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Linkexpress Transactional Replication option V5.0L60 説明書
FUJITSU Software

28.2.1 環境設定

クラスタシステムの環境設定の項目は、以下のとおりです。

環境設定の作業の流れは"図28.3 環境設定の手順"のとおりです。

図28.3 環境設定の手順

28.2.1.1 クラスタシステムの基本的な項目

クラスタシステムの基本的な項目について説明します。

28.2.1.1.1 PRIMECLUSTERの初期設定

TROの環境設定を行う前に、PRIMECLUSTERのインストールからクラスタ初期構成設定までの作業を行ってください。インストールおよびクラスタ初期構成設定の詳細については、"PRIMECLUSTER 導入運用手引書"を参照してください。

28.2.1.1.2 クラスタアプリケーションの構成の決定

TROをクラスタシステムで動作させるためには、PRIMECLUSTERに登録するTRO用のクラスタアプリケーションの構成を決定する必要があります。

専用のクラスタアプリケーションを新規に作成します。データベースシステム、TRM、JournalTransfer、およびTROを含めた業務の引継ぎ単位を考慮してクラスタアプリケーションを決定する必要があります。

Symfoware/RDBの場合

データベースシステムにSymfoware/RDBを使用する場合のTROの基本的なクラスタアプリケーションの構成を"図28.4 クラスタアプリケーション構成(Symfoware/RDB)"に示します。

図28.4 クラスタアプリケーション構成(Symfoware/RDB)

Oracleの場合

データベースシステムにOracleを使用する場合のTROの基本的なクラスタアプリケーションの構成を"図28.5 クラスタアプリケーション構成(Oracle)"に示します。

図28.5 クラスタアプリケーション構成(Oracle)

28.2.1.1.3 共用ディスク装置の設定

TROをクラスタシステムで動作させるためには、以下のすべてのファイルを共用ディスク装置上に作成しなければなりません。

そのため、必要なファイル容量を見積った後に、その容量を格納できる共用ディスク装置を用意します。用意したディスクは、クラスタシステムのディスクの初期設定時に切替えディスクとして設定します。次に、初期設定した共用ディスクのリソースを作成します。次に、作成したリソースを、TRO用のクラスタアプリケーションに登録します。

設定および登録方法の詳細については、"PRIMECLUSTER 導入運用手引書"を参照してください。また、Symfoware/RDBで作成するファイルについてはSymfowareのマニュアルを、Oracleデータベース作成時に作成するファイルについては"PRIMECLUSTER Wizard for Oracle 導入運用手引書"を参照してください。

共用ディスク装置に作成する資源を"図28.6 共用ディスク装置に作成する資源"に示します。
なお、共用ディスク装置は複数使用することも可能です。

図28.6 共用ディスク装置に作成する資源

28.2.1.1.4 引継ぎネットワークの設定

クラスタシステムにおいて切替えが発生したとき、業務で使用するLANのIPアドレスを、旧運用ノードから新運用ノードに引継ぐための設定を行います。最初に、使用するIPアドレスのリソースを作成します。次に、作成したIPアドレスのリソースを、TRO用のクラスタアプリケーションに登録します。設定および登録方法の詳細については、"PRIMECLUSTER 導入運用手引書"を参照してください。

28.2.1.2 クラスタアプリケーションの起動

切替えディスクにアクセスできるように、"共用ディの設"で作成したクラスタアプリケーションを起動します。クラスタアプリケーションの起動はWeb-Based Admin Viewを使用して行います。クラスタアプリケーションの起動方法の詳細については、"PRIMECLUSTER 導入運用手引書"を参照してください。

28.2.1.3 データベースシステムの環境作成

各データベースシステムの環境作成手順を説明します。

Symfoware/RDBの環境作成

使用するデータベースシステムがSymfoware/RDBの場合の環境作成手順は、以下のとおりです。

図28.7 Symfoware/RDB環境の設定手順

  1. Symfoware/RDBの環境作成

    クラスタシステムでSymfoware/RDBを使用するためには、Symfoware/RDB環境がクラスタシステムに対応している必要があります。クラスタシステムに対応したSymfoware/RDB環境を作成する方法の詳細については、Symfowareのマニュアルを参照してください。

Oracleの環境作成

使用するデータベースシステムがOracleの場合の環境作成手順は、以下のとおりです。

図28.8 Oracle環境の設定手順

  1. Oracleの環境作成

    クラスタシステムでOracleデータベースを使用するためには、Oracle環境がクラスタシステムに対応している必要があります。クラスタシステムに対応したOracle環境を作成する方法の詳細については、"PRIMECLUSTER Wizard for Oracle 導入運用手引書"を参照してください。

  2. PRIMECLUSTER Wizard for Oracleの環境設定

    Oracleの環境を作成したあとに、PRIMECLUSTER Wizard for Oracleの環境を設定します。PRIMECLUSTER Wizard for Oracleの環境設定の詳細については、"PRIMECLUSTER Wizard for Oracle 導入運用手引書"を参照してください。

28.2.1.4 TRM環境の作成

クラスタシステムでTRMを使用するためには、TRMの環境がクラスタシステムに対応している必要があります。
TRM環境の作成手順は以下のとおりです。

図28.9 TRM環境の作成手順

TRM環境定義の作成

クラスタアプリケーションを使用する場合、TRM環境定義にクラスタシステム用としてClusterセクションを追加します。また、環境定義に指定するすべてのファイルは、クラスタアプリケーションに登録した切替えディスクを指定する必要があります。クラスタアプリケーションを使用する場合のTRM環境定義の記述形式は以下のとおりです。なお、Clusterセクション以外の指定内容については、"17.2 TRM環境定義の記述"を参照してください。

記述形式
    
    [MQDConfiguration]
       QueueMax               = 作成メッセージキュー数の最大値
       MessageBufferMaxSize  = メッセージバッファの最大長
    [Transaction]
       TransactionFile  = トランザクション管理ファイルの名前
       Max_Size         = 1トランザクションで送受信するメッセージ長の合計の最大値
    [SystemFile]
       SystemFile1      = システム制御用ファイル1の名前
       SystemFile2      = システム制御用ファイル2の名前
       SystemFile2_Size = システム制御用ファイル2の容量
    [QueueIndex]
       File             = メッセージキュー管理ファイルの名前
    [DiskQueue]
       File             = ディスク型メッセージキューのメッセージ格納ファイルの名前
       Size             = ディスク型メッセージキューのメッセージ格納域の容量
    [WatchQueueUsed]
       DiskQueue        = ディスク型メッセージキューのメッセージ格納域の安全値と警告値
    [Cluster]
       SystemDirectory  = TRM用のクラスタアプリケーションが使用するディレクトリの名前
Clusterセクション

TRMのクラスタ機能が使用するシステムファイルを格納するディレクトリを指定します。記述内容を、"表28.1 Clusterセクションの記述内容"に示します。

表28.1 Clusterセクションの記述内容

キーワード

省略

記述方法

記述内容の説明

SystemDirectory

不可

絶対パスで指定します。
切替えディスク上にあるディレクトリを指定します。

TRMのクラスタ機能が使用するシステムファイルを格納するディレクトリを指定します。

以下に、Clusterセクションの記述例を示します。

    
    [Cluster]
       SystemDirectory = /disk1/trmsysdir
共用ディスクの容量の見積もり

TRMをクラスタアプリケーションで使用する場合、共用ディスク上に"17.1.2.2 ファイル容量の見積り"に示すファイル容量が必要です。
必要なファイル容量を確保してから以降の操作を行ってください。

運用ノード上でのTRM環境の作成

運用ノード上でTRM環境を作成します。TRM環境の作成は、通常の環境作成と同様に、trmqdsetupコマンドを使用します。
以下に、trmqdsetupコマンドの実行例を示します。

trmqdsetup -f /trm/def/setup.def

待機ノード上でのTRM環境の作成

待機ノード上でTRM環境を作成します。このとき、切替えディスクにアクセスできるようにする必要はありません。TRM環境の作成は、trmqdsetupコマンドを使用します。運用ノード上に環境を作成したときと同一内容のTRM環境定義、および待機ノード上での環境作成を意味する-hオプションを指定します。
以下に、trmqdsetupコマンドの実行例を示します。

trmqdsetup -f /trm/def/setup.def -h

TRMの起動

切替えディスクにアクセス可能なノード上で、TRMを起動します。
TRMの起動については、"18.1.1 TRMの起動"を参照してください。

メッセージキューの作成

TROおよびJournalTransferが使用するメッセージキューを作成します。
メッセージキューの作成は、trmqdcrtqコマンドで行います。trmqdcrtqコマンドの詳細については、"20.2.5 trmqdcrtq (メッセージキューの作成)"を参照してください。また、オプションの指定方法については、"23.2.3.1 TRMのメッセージキュー環境"を参照してください。

28.2.1.5 JournalTransferの環境作成

クラスタシステムでJournalTransferを使用するためには、JournalTransferの環境がクラスタシステムに対応している必要があります。
JournalTransfer環境の作成手順は以下のとおりです。

図28.10 JournalTransfer環境の作成手順

CKPTファイルの作成

JournalTransferが使用するCKPTファイルを作成します。
CKPTファイルの作成方法については、"23.2.3.1 TRMのメッセージキュー環境"を参照してください。

サービス定義の作成

JournalTransferサービスのサービス定義に、起動するJournalTransferシステムを定義します。
サービス定義の詳細については、"23.2.1 JournalTransferサービスのサービス定義"を参照してください。

起動パラメタの作成

JournalTransferが使用する起動パラメタを作成します。
起動パラメタは共用ディスク装置に作成する必要があります。起動パラメタの詳細については、"23.2.2 JournalTransferシステムの起動パラメタ"を参照してください。

JournalTransferサービスの起動

JournalTransferを運用するためにJournalTransferサービスを起動します。
詳細については、"24.2.1 起動方法"を参照してください。

JournalTransferサービスの停止

JournalTransferサービスを停止します。
詳細については、"24.2.2 停止方法"を参照してください。

TRMの停止

TRMを停止します。
TRMの停止については、"18.1.6 TRMの停止"を参照してください。

28.2.1.6 クラスタアプリケーションの停止

環境作成のために起動したクラスタアプリケーションを停止します。
クラスタアプリケーションの停止はWeb-Based Admin Viewを使用して行います。クラスタアプリケーションの停止方法の詳細については、"PRIMECLUSTER 導入運用手引書"を参照してください。

28.2.1.7 TROの環境作成

TROの環境作成は、運用系と待機系の各ノード上で行ってください。
TROの環境作成の詳細については、"4.3 逐次差分反映環境の作成"を参照してください。

28.2.1.8 クラスタシステムの環境作成

TROをPRIMECLUSTERのクラスタシステムで動作させるための環境を作成する手順は以下のとおりです。

  1. Symfoware/RDBのリソースの登録

  2. TRM用の状態遷移プロシジャのリソース登録

  3. JournalTransfer用の状態遷移プロシジャのリソース登録

  4. TRO用の状態遷移プロシジャのリソース登録

  5. クラスタアプリケーションの設定

状態遷移プロシジャとは、クラスタ制御からの状態遷移指示を受け取り、リソースの活性化や非活性化を制御(アプリケーションの起動や停止など)するものです。
状態遷移プロシジャおよびPRIMECLUSTERのコマンドの詳細については、"PRIMECLUSTER 導入運用手引書"を参照してください。

28.2.1.8.1 Symfoware/RDBのリソースの登録

使用するデータベースシステムがSymfoware/RDBの場合、Symfoware/RDBのリソースを登録します。
Symfoware/RDBのリソースの登録の詳細については、Symfowareのマニュアルを参照してください。

28.2.1.8.2 TRM用の状態遷移プロシジャのリソース登録

TRM用の状態遷移プロシジャをリソースとして登録します。
PRIMECLUSTER上で動作するTRMでは、状態遷移プロシジャを利用して、TRMの起動や停止を行います。

状態遷移プロシジャの手順は、以下のとおりです。

1.状態遷移プロシジャファイルの修正

TRMは状態遷移プロシジャファイルのひな型を提供します。TRM用のひな型は以下のファイルで提供しています。

/opt/FJSVtrm/sample/TRM001.TRM

状態遷移プロシジャファイルのひな型は、以下の内容に設定しています。

  • TRMシステム名: TRM001

  • TRM停止: 強制停止を行う

状態遷移プロシジャファイルのひな型を複写し、使用するTRMシステムに合わせて、修正します。
なお、状態遷移プロシジャファイル名は以下の規約に従ってください。

TRMシステム名.TRM

たとえば、TRMシステム名が"TRMSYS01"の場合には、"TRMSYS01.TRM"となります。
また、上記以外の設定でTRMシステムの起動と停止を行う場合は、ひな型の修正が必要です。
以下に、状態遷移プロシジャファイルの修正例を示します。

[TRMシステム名が"TRMABC"の場合]

SYSNAME="TRM001"

SYSNAME="TRMABC"

[TRM起動時にTRM資源を回収しTRMを起動する場合]

START_OPT="-s $SYSNAME -p"

START_OPT="-s $SYSNAME -p -r"


2.状態遷移プロシジャのクラスタシステムへの登録

各ノード上で、状態遷移プロシジャをクラスタシステムに登録します。
状態遷移プロシジャをクラスタシステムに登録するには、PRIMECLUSTERのclsetprocコマンドを使用します。
TRMでは、clsetprocコマンドを実行するシェルスクリプトのひな型として、以下のファイルを提供しています。

/opt/FJSVtrm/sample/SETPROC_TRM

シェルスクリプトのひな型は、以下の内容に設定しています。

  • 状態遷移プロシジャファイル名: /opt/FJSVtrm/sample/TRM001.TRM

  • リソースクラス: BasicApplication

シェルスクリプトのひな型を複写し、登録する状態遷移プロシジャファイルに合わせて、シェルスクリプトを修正します。

[状態遷移プロシジャファイルのディレクトリを変更し、状態遷移プロシジャ名が"TRMABC.TRM"の場合]

PROC_FILE=/opt/FJSVtrm/sample/TRM001.TRM

PROC_FILE=/trmenv/TRMABC.TRM

[備考]

  • 状態遷移プロシジャファイル名からディレクトリを除いたファイル名が、状態遷移プロシジャ名となります。("/opt/FJSVtrm/sample/TRM001.TRM"の場合"TRM001.TRM")

  • リソースクラス(ひな型内の-cオプション)は、変更しないでください。


3.状態遷移プロシジャのリソースデータベースへの登録

各ノード上で、状態遷移プロシジャをリソースデータベースに登録します。
状態遷移プロシジャをリソースデータベースに登録するには、PRIMECLUSTERのcladdprocrscコマンドを使用します。
TRMでは、claddprocrscコマンドを実行するシェルスクリプトのひな型として、以下のファイルを提供しています。

/opt/FJSVtrm/sample/ADDPROCRSC_TRM

シェルスクリプトのひな型は、以下の内容に設定しています。

  • 状態遷移プロシジャ名: TRM001.TRM

  • 起動優先度: 100

シェルスクリプトのひな型を複写し、登録する状態遷移プロシジャファイルに合わせて、シェルスクリプトを修正します。
以下に、シェルスクリプトの修正例を示します。

[状態遷移プロシジャ名が"TRMABC.TRM"の場合]

PROC_NAME="TRM001.TRM"

PROC_NAME="TRMABC.TRM"

[起動優先度を変更する場合]

PRIORITY="100"

PRIORITY="150"

[備考]

  • 状態遷移プロシジャ名(ひな型内のPROC_NAME)は、登録するリソースの名前に合わせて変更してください。


  • 起動優先度(ひな型内のPRIORITY)は、同一リソースクラス内で同じ値に統一してください。なお、依存関係についてはクラスタアプリケーションの設定において指定します。

    起動優先度(ひな型内のPRIORITY)は、同一リソースクラス内に複数のリソースが存在する場合、任意の値に変更してください。

28.2.1.8.3 JournalTransfer用の状態遷移プロシジャのリソース登録

JournalTransfer用の状態遷移プロシジャをリソースとして登録します。
PRIMECLUSTER上で動作するJournalTransferでは、状態遷移プロシジャを利用して、JournalTransferサービスの起動や停止を行います。状態遷移プロシジャの登録手順は、以下のとおりです。

1.状態遷移プロシジャファイルの修正

JournalTransferは状態遷移プロシジャファイルのひな型を提供します。JournalTransfer用のひな型は以下のファイルで提供しています。

/opt/FJSVtrjt/samples/SERVICE.JournalTransfer

状態遷移プロシジャファイルのひな型は、以下の内容に設定しています。

  • JournalTransferサービス起動: JournalTransferサービスを起動する

  • JournalTransferサービス停止: JournalTransferサービスを停止する

状態遷移プロシジャファイルのひな型を複写して使用してください。上記以外の設定を行う場合は、状態遷移プロシジャファイルの修正が必要です。

2.状態遷移プロシジャのクラスタシステムへの登録

各ノード上で、状態遷移プロシジャをクラスタシステムに登録します。
状態遷移プロシジャをクラスタシステムに登録するには、PRIMECLUSTERのclsetprocコマンドを使用します。
JournalTransferでは、clsetprocコマンドを実行するシェルスクリプトのひな型として、以下のファイルを提供しています。

/opt/FJSVtrjt/samples/SETPROC_TRJT

シェルスクリプトのひな型は、以下の内容に設定しています。

  • 状態遷移プロシジャファイル名: /opt/FJSVtrjt/samples/SERVICE.JournalTransfer

  • リソースクラス: BasicApplication

シェルスクリプトのひな型を複写し、登録する状態遷移プロシジャファイルに合わせて、シェルスクリプトを修正します。

[備考]

  • 状態遷移プロシジャファイル名は、ひな型内のPROC_FILEで指定します。

  • 状態遷移プロシジャファイル名からディレクトリを除いたファイル名が、状態遷移プロシジャ名となります。("/opt/FJSVtrjt/samples/SERVICE.JournalTransfer"の場合"SERVICE.JournalTransfer")

  • リソースクラス(ひな型内の-cオプション)は、変更しないでください。


3.状態遷移プロシジャのリソースデータベースへの登録

各ノード上で、状態遷移プロシジャをリソースデータベースに登録します。
状態遷移プロシジャをリソースデータベースに登録するには、PRIMECLUSTERのcladdprocrscコマンドを使用します。
JournalTransferでは、claddprocrscコマンドを実行するシェルスクリプトのひな型として、以下のファイルを提供しています。

/opt/FJSVtrm/sample/ADDPROCRSC_TRJT

シェルスクリプトのひな型は、以下の内容に設定しています。

  • 状態遷移プロシジャ名: SERVICE.JournalTransfer

  • 起動優先度: 100

  • 起動優先度: 300

シェルスクリプトのひな型を複写し、登録する状態遷移プロシジャファイルに合わせて、シェルスクリプトを修正します。

[備考]

  • 状態遷移プロシジャ名(ひな型内のPROC_NAME)は、登録するリソースの名前に合わせて変更してください。


  • 起動優先度(ひな型内のPRIORITY)は、同一リソースクラス内で同じ値に統一してください。なお、依存関係についてはクラスタアプリケーションの設定において指定します。

    起動優先度(ひな型内のPRIORITY)は、同一リソースクラス内に複数のリソースが存在する場合、任意の値に変更してください。

28.2.1.8.4 TRO用の状態遷移プロシジャのリソース登録

TRO用の状態遷移プロシジャをリソースとして登録します。
登録手順は以下のとおりです。

1.状態遷移プロシジャの修正

TROから提供されている状態遷移プロシジャのひな型を修正します。TRO用の状態遷移プロシジャのひな型は、以下のファイルで提供されています。

/opt/FJSVlnktr/SAMPLE/TRM001.DBSVCRTM

状態遷移プロシジャのひな型は、以下の内容に設定されています。

  • DBサービスグループ名: DBSVCGRP

  • 格納グループ名: STRGRP1

状態遷移プロシジャのひな型を複写し、状態遷移プロシジャを環境に合わせて修正します。以下の修正が必要です。

  • 状態遷移プロシジャ名

  • DBサービスグループ名

  • 格納グループ名

  • 逐次差分反映操作コマンド

その他の箇所は必要に応じて修正してください。

  1. 状態遷移プロシジャ名の修正

    状態遷移プロシジャ名は以下の規約に従って変更します。

    • TRMシステム名.DBサービスグループ名

    たとえば、TRMシステム名が"TRM002"、DBサービスグループ名が"TROGRP01"の場合は、"TRM002.TROGRP01"となります。

  2. DBサービスグループ名の修正

    状態遷移プロシジャに設定されているDBサービスグループ名を修正します。
    以下に修正例を示します。

    [DBサービスグループ名が"TROGRP01"の場合]

    DBSVCGRP="DBSVCGRP"
          ↓
    DBSVCGRP="TROGRP01"


  3. 格納グループ名の修正

    状態遷移プロシジャに設定されている格納グループ名を修正します。
    以下に修正例を示します。

    [格納グループ名が"ODRDIF1"の場合]

    STRGRP1="STRGRP1"
          ↓
    STRGRP1="ODRDIF1"

    なお、ひな型には2つの格納グループの逐次差分反映を行う場合の記述方法を示しています(2個目の格納グループはコメントになっています)。複数の格納グループの逐次差分反映を行う場合は、ひな型を参考にして必要な行を追加してください。

  4. 逐次差分反映操作コマンドの修正

    逐次差分反映操作コマンドの詳細については、"7.3.4 lxrtmdbコマンド"を参照してください。
    以下に修正例を示します。(データベースアクセスユーザ名とパスワードを指定する場合)

    $START_P_COMMAND $STRGRP1 > /dev/null 2>&1
                          ↓
    $START_P_COMMAND $STRGRP1 -u user1/user1 > /dev/null 2>&1

    また、データベースシステムを動作させるため、必要に応じて以下の環境変数を設定してください。詳細については、"4.3.1 環境変数の設定"を参照してください。

    環境変数

    備考

    PATH

    使用するデータベースに応じて設定

    LD_LIBRARY_PATH

    RDBNAME

    Symfoware/RDBの場合に設定

    RDBDIR

    ORACLE_HOME

    Oracleの場合に設定

    NLS_LANG

    以下に修正例を示します。

    Symfoware/RDBの例

    LNKTR_HOME=/opt/FJSVlnktr
    export LNKTR_HOME

          ↓

    LNKTR_HOME=/opt/FJSVlnktr
    export LNKTR_HOME

    # ここから追加

    RDBNAME=RDBDB # 実際の環境に合わせて設定してください。
    export RDBNAME

    RDBDIR=/opt/FSUNrdb2b

    ### setup environment

    PATH=$RDBDIR/bin:$LNKTR_HOME/bin:$PATH
    export PATH


    LD_LIBRARY_PATH=$RDBDIR/lib:$LD_LIBRARY_PATH
    export LD_LIBRARY_PATH


    # ここまで追加


    注) "FSUNrdb2b"を"FJSVrdb2b"としてください。

    Oracleの例(Oracle11gR1)

    LNKTR_HOME=/opt/FJSVlnktr
    export LNKTR_HOME

          ↓

    LNKTR_HOME=/opt/FJSVlnktr
    export LNKTR_HOME

    # ここから追加

    ORACLE_HOME=/opt/oracle/product/11.1.0 # 実際の環境に合わせて設定してください。
    export ORACLE_HOME

    NLS_LANG=Japanese_Japan.JA16EUC # 実際の環境に合わせて設定してください。
    export NLS_LANG

    ### setup environment

    PATH=$ORACLE_HOME/bin:$LNKTR_HOME/bin:$PATH
    export PATH

    LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_HOME/lib32:$LD_LIBRARY_PATH
    export LD_LIBRARY_PATH

    # ここまで追加

    Oracleの例(Oracle11gR2)

    LNKTR_HOME=/opt/FJSVlnktr
    export LNKTR_HOME

          ↓

    LNKTR_HOME=/opt/FJSVlnktr
    export LNKTR_HOME

    # ここから追加

    ORACLE_HOME=/opt/oracle/product/11.2.0 # 実際の環境に合わせて設定してください。
    export ORACLE_HOME
    ORACLE_CLIENT_HOME=/opt/oracle/product/11.2.0_client # 実際の環境に合わせて設定してください。
    export ORACLE_CLIENT_HOME

    NLS_LANG=Japanese_Japan.JA16EUC # 実際の環境に合わせて設定してください。
    export NLS_LANG

    ### setup environment

    PATH=$ORACLE_HOME/bin:$LNKTR_HOME/bin:$PATH
    export PATH

    LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_CLIENT_HOME/lib:$LD_LIBRARY_PATH
    export LD_LIBRARY_PATH

    # ここまで追加

    Oracle11gR2以降の場合、32ビット・バージョンのOracle Database ClientのライブラリをLD_LIBRARY_PATHに設定する必要があります。

    Oracleの例

    LNKTR_HOME=/opt/FJSVlnktr
    export LNKTR_HOME

          ↓

    LNKTR_HOME=/opt/FJSVlnktr
    export LNKTR_HOME

    # ここから追加

    ORACLE_HOME=/opt/oracle/product/11.1.0 # 実際の環境に合わせて設定してください。
    export ORACLE_HOME

    NLS_LANG=Japanese_Japan.AL32UTF8 # 実際の環境に合わせて設定してください。
    export NLS_LANG

    ### setup environment

    PATH=$ORACLE_HOME/bin:$LNKTR_HOME/bin:$PATH
    export PATH

    LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_HOME/lib:$LD_LIBRARY_PATH
    export LD_LIBRARY_PATH

    # ここまで追加


2.状態遷移プロシジャの格納

各ノード上で、状態遷移プロシジャをクラスタシステムに登録します。
状態遷移プロシジャをクラスタシステムに登録するには、PRIMECLUSTERのclsetprocコマンドを使用します。
TROでは、clsetprocコマンドを実行するシェルスクリプトのひな型として、以下のファイルを提供しています。

/opt/FJSVlnktr/SAMPLE/SETPROC_TRO

シェルスクリプトのひな型は、以下の内容に設定しています。

  • 状態遷移プロシジャファイル名: /opt/FJSVlnktr/SAMPLE/TRM001.DBSVCRTM

  • リソースクラス: Application

シェルスクリプトのひな型を複写し、登録する状態遷移プロシジャファイルに合わせて、シェルスクリプトを修正します。

[備考]

  • 状態遷移プロシジャファイル名は、ひな型内のPROC_FILEで指定します。

  • 状態遷移プロシジャファイル名からディレクトリを除いたファイル名が、状態遷移プロシジャ名となります。("/opt/FJSVlnktr/SAMPLE/TRM001.DBSVCRTM"の場合"TRM001.DBSVCRTM")

  • リソースクラス(ひな型内の-cオプション)は、変更しないでください。


3.状態遷移プロシジャのリソース登録

各ノード上で、状態遷移プロシジャをリソースデータベースに登録します。
状態遷移プロシジャをリソースデータベースに登録するには、PRIMECLUSTERのcladdprocrscコマンドを使用します。
TROでは、claddprocrscコマンドを実行するシェルスクリプトのひな型として、以下のファイルを提供しています。

/opt/FJSVtrm/sample/ADDPROCRSC_TRO

シェルスクリプトのひな型は、以下の内容に設定しています。

  • 状態遷移プロシジャ名: TRM001.DBSVCRTM

  • 起動優先度: 300

シェルスクリプトのひな型を複写し、登録する状態遷移プロシジャに合わせて、シェルスクリプトを修正します。

[備考]

  • 状態遷移プロシジャファイル名(ひな型内のPROC_NAME)は、登録するリソースの名前に合わせて変更してください。

  • 起動優先度(ひな型内のPRIORITY)は、同一リソースクラス内に複数のリソースが存在する場合、任意の値に変更してください。

28.2.1.8.5 クラスタアプリケーションの設定

Web-Based Admin View(Solarisサーバの場合)またはRMS Wizard(Linuxサーバの場合)を使用して、クラスタアプリケーションを設定します。詳細については、"PRIMECLUSTER 導入運用手引書"を参照してください。

クラスタアプリケーションの設定内容

クラスタアプリケーションの設定内容は"表28.2 クラスタアプリケーション設定内容"に示すとおりです。

表28.2 クラスタアプリケーション設定内容

設定項目

設定内容

サービス名

任意

運用形態

Standby

ノード

運用ノード

運用インスタンスを登録するノード

待機ノード

待機インスタンスを登録するノード

リソース

"表28.3 TROのリソース一覧"を参照

アプリケーション依存関係

"図28.11 リソース起動優先度(Symfoware/RDB)"または"図28.12 リソース起動優先度(Oracle)"を参照

共用ディスク装置の使用種別

切替えディスク

表28.3 TROのリソース一覧

リソース

リソースタイプ

切替えディスク

SHD_DISK

引継ぎIPアドレス

SHD_Host

Symfoware/RDB

Symfoware_RDB

TNSリスナー

Oracle

Oracleインスタンス

Oracle

TRM用状態遷移プロシジャ

Procedure

JournalTransfer用状態遷移プロシジャ

Procedure

TRO用状態遷移プロシジャ

Procedure

[注]必要に応じて、業務アプリケーションなどのリソースも登録してください。

起動優先度

クラスタサービスを構成するアプリケーションの起動順序(リソース起動優先度)を設定します。


リソースクラス(プロシジャクラス)がBasicApplicationの状態遷移プロシジャについては、SubApplicationとして依存関係を指定してください。(JournalTransfer⇒TRM)


リソースクラス(プロシジャクラス)がBasicApplicationの状態遷移プロシジャについては、状態遷移プロシジャのリソースデータベースへの登録時に指定する起動優先度に従います。

Symfoware/RDBの場合

Symfoware/RDBを使用する場合のリソース起動優先度を"図28.11 リソース起動優先度(Symfoware/RDB))"に示します。

図28.11 リソース起動優先度(Symfoware/RDB)

Oracleの場合

Oracleを使用する場合のリソース起動優先度を"図28.12 リソース起動優先度(Oracle)"に示します。

図28.12 リソース起動優先度(Oracle)

28.2.1.9 動作確認

環境設定の妥当性確認のために、以下を確認してください。

各操作はWeb-Based Admin Viewを使用して行います。Web-Based Admin Viewの詳細については、"PRIMECLUSTER 導入運用手引書"を参照してください。

また、障害が発生したノードでは、システムの再起動が必要です。

起動の確認

クラスタアプリケーションを起動します。その後、運用ノード上のリソースの状態がすべて正常になっていることを確認してください。また、運用ノード上のコンソールに以下が出力されることを確認してください。

切替えの確認

運用ノードを停止させることにより、待機ノードが運用状態に切り替わることを確認してください。また、待機ノード上のコンソールに以下が出力されることを確認してください。

運用が自動継続できることの確認

ノードが切り替わった後に、逐次差分反映が自動的に継続できることを確認してください。データベースを利用するアプリケーションが正しく動作することを確認してください。