ダイレクトバックアップ使用手引書 - SPシリーズ -
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第5章 バックアップの管理

5.1 処理状況管

ダイレクトバックアップサーバは、処理状況や処理結果の情報を管理しています。

 

5.1.1 参照できる操作 

バックアップ運用管理者は、以下の処理に対する処理状況および処理結果を業務ボリューム実行履歴画面 または SP実行履歴画面 を利用して参照することができます。

処理結果については、過去から累積されたすべての実行履歴情報が参照できます。

 

5.1.2 処理結果表示範 

ダイレクトバックアップが管理している処理結果の情報は、バックアップ運用期間が長くなるほど情報が膨大になり、累積された情報が画面にすべて表示されると、参照したい情報を検索するのに時間が必要になります。
そこで、ダイレクトバックアップでは、表示させる処理結果の情報を限定する機能があります。

処理結果の情報表示は、表示する日を含めて過去にさかのぼった日数分を指定することができます。例えば、前日と当日の2日間の情報を表示するには、“2日”を指定します。

指定可能な範囲は、“1日”から“365日”です。

ダイレクトバックアップ導入時、表示範囲のデフォルト値は“3日”になっています。この表示範囲は、バックアップ管理画面で変更することができます。

処理結果表示範囲の変更方法は、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「処理結果表示範囲の変更」を参照してください。

 

5.1.3 処理結果の表示に関する注意事項 

ダイレクトバックアップサーバは、運用ログを検索して処理結果に関する情報を表示します。そのため、情報を運用ログから検索できなかった処理については、たとえその処理の実施日が表示範囲内であっても、業務ボリューム実行履歴画面 または SP実行履歴画面に表示されません。

ダイレクトバックアップサーバが情報を運用ログから検索できない場合は、運用ログファイルが以下の状態になっています。

ダイレクトバックアップサーバはバックアップ管理ソフトウェアという性質上、実施した処理に対する結果の確認が当日または数日の間に行われることを前提としています。したがって、処理結果を参照できなくなる (ロギングした運用ログファイルが上書きされる) までの間に、処理結果を参照するようにしてください。

運用ログについての説明は、本章の「運用ログ管理」を参照してください。

 

5.2 バックアップ履歴情報の管 

ダイレクトバックアップでは、バックアップ機能により採取したバックアップデータを世代管理します。

 

5.2.1 履歴情報の管理単位 

バックアップデータに関する履歴情報は、表5.1 の単位で管理されます。


[5.1 バックアップ履歴情報の管理単位]

バックアップタイプ

バックアップ履歴情報の管理単位

論理デバイスバックアップ

業務ボリューム (論理デバイスまたはボリュームグループ)

論理ユニットバックアップ

論理ユニット(OLU)

Symfowareデータベースのバックアップ

業務ボリューム (論理デバイス)

ETERNUS NR1000F seriesのバックアップ

ディレクトリ

グローバルサーバの業務データのバックアップ

論理ユニット(MLU)


Symfowareデータベースの履歴情報に対する変更処理(バックアップ、テープへのコピーおよび履歴削除など)はロググループ単位で行われますが、履歴情報の管理については業務ボリューム (論理デバイス) 単位で行われます。

このため、Symfowareデータベースの履歴情報に対する変更処理が失敗した場合は、ログクループ内でバックアップ履歴が揃っていない状態が発生します。

Symfowareデータベースのログクループ内でバックアップ履歴が揃っていない状態についての詳細は、本章の「Symfowareデータベースのロググループ内でバックアップ履歴が揃っていない状態」を参照してください。

 

5.2.2 履歴情報の登録タイミン 

履歴情報が登録されると、以下の方法でバックアップデータに関する履歴情報を参照することができます。


バックアップ履歴情報の参照についての詳細は、以下のいずれかを参照してください。


履歴情報が登録されるタイミングは、バックアップデータの保存媒体によって以下のように異なります。

Symfowareデータベースの履歴情報に対する変更処理(バックアップ、テープへのコピーおよび履歴削除など)はロググループ単位で行われますが、アドバンスト・コピーは業務ボリューム (論理デバイス) 単位で行われます。

 

■保存先媒体がディスクの場合

バックアップポリシーの「バックアップ先」に“ディスク”が指定されている場合、バックアップ対象の業務ボリュームまたは論理ユニットに対するアドバンスト・コピーが完了した時点で履歴情報が登録されます。

 

■保存先媒体がテープの場合

バックアップポリシーの「バックアップ先」に“テープ”が指定されている場合、バックアップ対象の業務ボリュームまたは論理ユニットのバックアップデータがすべてテープに書き込まれた時点で履歴情報が登録されます。

 

■保存先媒体が両方の場合

バックアップポリシーの「バックアップ先」に“両方”が指定されている場合、バックアップ対象の業務ボリュームまたは論理ユニットに対するアドバンスト・コピーが完了した時点でディスクへの保存に対する履歴情報が登録されます。テープへの保存に対する履歴情報が登録されるタイミングは、バックアップデータがすべてテープに書き込まれた時点となります。

このように、ディスクとテープで履歴情報の登録されるタイミングが異なるため、履歴情報を表示した場合にディスクへの保存に対する履歴情報しか表示されないタイミングがあります。

 

5.2.3 期限切れしたバックアップデータの自動削除

“期限切れ”とは、テープに保存されたバックアップデータに対して設定されている有効期間が切れることです。
ダイレクトバックアップ運用開始時に 有効期間切れ確認時刻の設定作業を行うと、テープのパラメタとして設定された有効期間が切れたバックアップデータをダイレクトバックアップサーバによって自動的に削除できます。

期限切れしたバックアップデータの自動削除の設定方法は、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」における「バックアップデータの有効期間切れ確認時刻の設定」を参照してください。


バックアップデータをテープで管理する場合、以下の管理方針が考えられます。

すべてのバックアップデータを永久的に保管する運用では、有効期間の設定は必要ないのですが、上記どちらの方針でも管理を行いたい場合は、ダイレクトバックアップ運用開始時の初期設定において、有効期間切れ確認時刻の設定作業を行います。そして、業務データをテープにバックアップする時、またはディスクに保存されているバックアップデータをテープにコピーする時に、有効期間を設定してください。

もし、有効期間切れ確認時刻の設定作業を行わなかった場合は、バックアップデータの有効期間を何日に設定しても、ダイレクトバックアップサーバがそれらのバックアップデータを自動的に削除しなくなります。


有効期間の設定には以下の方法があります

なお、テープに保存されたバックアップデータを永久保存する場合は、有効期間を“0”に設定します。


有効期間に“0”を設定して管理しているバックアップデータが不要になった場合、本章の「バックアップデータの削除」を行うことで、そのバックアップデータを削除できます。


ダイレクトバックアップサーバは、有効期間が切れているか否かを以下の3つの情報から判断します。

「現在時刻」から「テープへのバックアップデータ書き込み完了時刻」を引いた値が「設定されている有効期間」より大きければ、有効期間が切れたものとして扱われます。
例えば、有効期間を“1 (日) ”と設定した場合、テープへのバックアップデータ書き込み完了から 24時間1秒以上経過していると、有効期間切れと判断されます。

 

5.2.4 テープに保存されたバックアップデータの管理 

ダイレクトバックアップでは、ディスクに保存されたバックアップデータだけでなく、テープに保存されたバックアップデータも世代として履歴情報を管理します。

バックアップデータが保存されているテープを磁気テープライブラリシステムの外に排出する操作を行った場合でも、ダイレクトバックアップサーバは履歴情報の削除を行わずに、その履歴情報を管理している状態を継続します。
磁気テープライブラリシステムの外に排出されているテープに保存されたバックアップデータに対する操作を行うと、そのバックアップデータが保存されたテープの投入を促すメッセージが出力されます。

 

5.2.5 バックアップデータの削除

不要になったバックアップデータは削除することができます。バックアップデータの削除に関しては、以下の操作ができます。


バックアップデータの削除については、以下のいずれかを参照してください。

 

5.2.6 Symfowareデータベースのロググループ内でバックアップ履歴が揃っていない状態

“バックアップ履歴が存在する業務ボリュームと、バックアップ履歴が存在しない業務ボリュームが混在する状況”が発生しているSymfowareデータベースのロググループに対して、以下の操作を行った場合のダイレクトバックアップの動作について説明します。

バックアップ履歴が揃っていない状態の例を表5.2に示します。


[表5.2 ロググループでバックアップ履歴が揃っていない状態]

【ロググループA】

絶対世代1

ディスク

テープ

ボリュームA

ボリュームB

ボリュームC

×

【ロググループB】

絶対世代1

ディスク

テープ

ボリュームD

ボリュームE

ボリュームF

×

【ロググループC】

絶対世代1

ディスク

テープ

ボリュームG

×

ボリュームH

ボリュームI

×

(○:履歴あり  ×:履歴なし)

なお、Symfowareデータベースのバックアップ履歴情報の状態は、「バックアップデータの履歴情報の参照」の手順で確認を行えます。

 

■バックアップ

ロググループでバックアップ履歴の揃っていない世代が存在してもバックアップは行えます。バックアップを行うと新たな世代として、すべての業務ボリュームのバックアップ履歴が作成されます。

バックアップ履歴が表5.2の場合、バックアップを実行すると、各ロググループ内のボリュームともに次の世代(絶対世代2)のバックアップ履歴が新たに作成されます。

 

■ディスクからテープへのコピー

指定された世代番号で、ディスクに対するロググループのバックアップ履歴が揃っていれば、ディスクからテープへのコピーが行えます。

バックアップ履歴が表5.2の場合、ロググループAを指定すると成功、ロググループBおよびCを指定するとエラーになります。また、ロググループAに対する操作の場合、テープへのコピーを行うのはボリュームCのみで、ボリュームA、Bに対しては行いません。

 

■リカバリ

◆ロググループ単位のリカバリ

指定された世代番号で、ディスクまたはテープに対するロググループのバックアップ履歴が、どちらか揃っていればリカバリが行えます。

バックアップ履歴が表5.2の場合、各ロググループの動作を以下に示します。

  • ロググループAはボリュームA, B, Cのディスクに対するバックアップ履歴が揃っているため、ディスクからリカバリを行います。
  • ロググループBはボリュームD, E, Fのテープに対するバックアップ履歴が揃っているため、テープからリカバリを行います。
  • ロググループCはボリュームG, H, Iともバックアップ履歴が存在しますが、ディスク、テープどちらに対しても揃っていないのでリカバリは行えません。

 

◆業務ボリューム単位のリカバリ

指定された世代番号で、ロググループのバックアップ履歴が揃っていなくても、リカバリの対象となる業務ボリュームのバックアップ履歴が存在すれば、リカバリが行えます。

バックアップ履歴が表5.2の場合、ロググループCはディスクまたはテープのどちらに対してもバックアップ履歴が揃っていないのでロググループ単位のリカバリは行えません。しかし、業務ボリューム単位ではボリュームAおよびBはディスク、ボリュームCはテープに対してバックアップ履歴が存在するため、リカバリが行えます。

 

■バックアップ履歴削除

ロググループのバックアップ履歴が揃っていない世代でも、バックアップ履歴の削除を行えます。

 

■バックアップポリシー設定

ロググループのバックアップ履歴が揃っていない世代が存在する場合でも、バックアップポリシー設定を行えます。

 

■バックアップポリシー削除

ロググループのバックアップ履歴が存在する場合、バックアップポリシー削除は行えません。バックアップポリシー削除を行う場合は、対象となるロググループのバックアップ履歴をすべて削除した上で、バックアップポリシー削除を行ってください。

 

5.3 運用ログ管

ダイレクトバックアップサーバの運用ログ管理について説明します。

ダイレクトバックアップサーバが処理した要求とその結果は、運用ログとしてロギングされます。運用ログは、/sp/dbu/logディレクトリ配下に書き出されます。

運用ログを書き出すディレクトリを変更することはできません。

 

運用ログは日本語メッセージがUTF8で出力されます。このため、日本語を正しく表示する場合はUTF8の文字コードをサポートしているエディタ等を利用してください。


運用ログ管理には、ログレベル1 と ログレベル2 の、2段階のレベルがあります。

 

5.3.1 各ログレベルでの出力情報 

ダイレクトバックアップサーバが各ログレベルで出力する情報を、表5.3 に示します。


[5.3 各ログレベルでダイレクトバックアップサーバが出力する情報]

ログレベル

ログ種別

Info

Warn

Error

Debug

×


ログ種別の意味を表5.4 に示します。


[5.4 ログ種別の意味]

ログ種別

意味

Info

ダイレクトバックアップサーバが受け付けた要求種別 (バックアップ、リストア、履歴表示など) と、正常終了時の処理結果に関する情報

Warn

処理中に検出した警告レベルの情報 (処理は継続されます)

Error

処理中に検出した異常に関する情報 (処理は異常終了します)

Debug

ダイレクトバックアップサーバの動作に関するデバッグ情報 (障害調査用の情報)

 

5.3.2 ログレベルの変更

ダイレクトバックアップサーバのログレベルを変更することができます。
ログレベルの変更は、バックアップ管理画面で行うことができます。

なお、デフォルト値ではログレベル“1”に設定されています。

ログレベルの変更方法は、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「運用ログ出力レベルの変更」を参照してください。

 

5.3.3 ログ情報の形 

ログ情報は、以下の形式で運用ログファイルに書き出されます。

yyyy/mm/dd HHMMSS FUNCNAME : J = JOBID[SUB-JOBID]:[TYPE]Message

ログ情報の内容によって斜体部分が変化します。斜体部分の情報について、表5.5 に説明します。


[5.5 ログ情報の形式説明]

表示項目

説明

yyyy/mm/dd HHMMSS

運用ログを出力した時刻です。
yyyyは西暦を、mmは月を、ddは日を、HHは時を、MMは分を、SSは秒を示します。

FUNCNAME

ダイレクトバックアップの内部処理名です。以下のいずれかが表示されます。

  • LUCTL

SP論理ユニット制御の処理です。

  • TMCTL

テープに関する処理です。

  • INIT

ダイレクトバックアップサーバの起動処理です。

  • TERM

ダイレクトバックアップサーバの停止処理です。

  • SETPLCY

バックアップポリシーの設定処理です。

  • SETENV

ダイレクトバックアップの環境設定処理です。

  • VIEW

情報表示処理です。

  • BKUP

バックアップ処理です。

  • RSTR

リストア処理です。

  • DELGEN

バックアップデータの削除処理です。

  • TAPECPY

バックアップデータのテープへのコピー処理です。

  • DISP

要求切り分け処理です。

  • JOBDEL

キャンセル処理です。

  • SETPOOL

論理ユニットプールへの論理ユニット追加/削除処理です。

  • SETEC

アドバンスト・コピー機能の「EC」に対する処理です。

  • DELVOL

ボリューム情報の削除処理です。

  • DELHOST

業務サーバ情報の削除処理です。

  • TMCOM

テープ制御処理を呼び出す時の共通処理です。

JOBID

ダイレクトバックアップサーバが、要求に対する処理を行うのに割り振ったIDです。要求毎にユニークな値となります。
要求に対する処理の開始から終了までの情報を運用ログから検索する場合の、識別子として利用できます。

SUB-JOBID

ダイレクトバックアップサーバが、要求に対する処理を行うのに割り振ったIDです。このIDのプロセスとJOBIDのプロセスは親子関係となります。
バックアップ管理者が意識する必要はありません。

TYPE

ログ種別です。以下のいずれかが表示されます。

  • ERR

エラーメッセージです。

  • WARN

警告メッセージです。

  • INFO

情報に関するメッセージです。
バックアップ管理者が意識する必要はありません。

  • DBG

デバッグメッセージです。
バックアップ管理者が意識する必要はありません。

Message

出力されたメッセージ本文です。

 

5.3.4 運用ログファイルの作成と命名規

運用ログファイルに付けられるファイル名の形式は、以下のとおりです。

logn.yyyymmddHHMMSS

ファイル名はファイル作成時に付けられ、斜体部分がファイルごとに変化します。斜体部分について、表5.6 に説明します。


[5.6 運用ログファイルの名称説明]

表示項目

説明

n

運用ログファイルの通番です。
振られる番号は、“1”から“N”までの整数値です。

 N = ([ロギング情報を書き込む領域の容量] × 0.9)/ 5MB

計算結果の小数点以下は切り上げです。

yyyymmddHHMMSS

ファイルが作成された時刻です。
yyyyは西暦を、mmは月を、ddは日を、HHは時を、MMは分を、SSは秒を示します。


“log.now”という名前のファイルは、現在、ダイレクトバックアップサーバがロギング情報を書き込んでいる運用ログファイルへのシンボリックリンク・ファイルです。


運用ログファイルを作成する時にロギング情報を書き込む領域に空きがない場合、最も古い運用ログファイルを再利用します。そのため、最も古い運用ログファイルの内容が失われます。

古い運用ログファイルの保存を継続したい場合は、内容が失われる前に /sp/dbu/logディレクトリとは別の領域に複写するようにしてください。

 

5.3.5 運用ログに関する注意事項 

ダイレクトバックアップサーバは、業務ボリューム実行履歴画面 または SP実行履歴画面に表示する情報を運用ログから検索します。そのため、情報を運用ログから検索できなかった処理については、たとえその処理の実施日が表示範囲内であっても表示されません。

ダイレクトバックアップサーバが情報を運用ログから検索できない場合は、運用ログファイルが以下の状態になっています。

よって、運用ログファイルをむやみに削除しないでください。運用ログファイルを削除する場合は、処理結果表示範囲に含まれるタイムスタンプを持つ運用ログファイルを削除しないように注意してください。
なお、運用ログファイルのタイムスタンプは、運用ログファイルのファイル名で確認できます。

運用ログファイルのファイル名についての説明は、本章の「運用ログファイルの作成と命名規約」を参照してください。

 

処理結果表示範囲についての説明は、本章の「処理状況管理」を参照してください。

 


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