ダイレクトバックアップ使用手引書 - SPシリーズ -
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第6章 その他の機能

6.1 テープ制御機

ダイレクトバックアップでは、SSF/Backup Facilityに接続された磁気テープライブラリシステム内の磁気テープドライブおよびテープに対して以下の制御処理を行うことができます。

 

6.1.1 バックアップデータのテープへのコピー

ディスクに保存されているバックアップデータは、いつでもテープにコピーすることができます。
例えば、バックアップポリシーの「バックアップ先」に“ディスク”を指定していても、テープにコピーすることができます。

テープへのコピーについての操作方法については、以下のいずれかを参照してください。

 

6.1.2 クローン媒体の管理

バックアップポリシーの「複写数」に“1”以上の値を指定してバックアップを実行し、バックアップデータがテープに保存される場合、バックアップデータは“複写数+1”組のテープに保存されます。この時、それぞれの組には、同一の情報が書き込まれます。

例えば、図6.1 のように、テープ3本を必要とするバックアップ対象資源を「複写数」に“1”を指定してバックアップすると、同じ内容のテープが 2組、計6本できることになります。


[図6.1  複写数に1を指定した場合のテープへのバックアップデータ格納]

バックアップに必要なテープの本数の算出については、『SSF/Backup Facility運用手引書』の「1.1.12 テープ量 (必要本数) の算出」を参照してください。


このように、「複写数」に“1”以上の値を指定して採取されたバックアップデータが保存されたテープを“クローン媒体”と呼びます。クローン媒体は、常に“複写数+1”組として管理されます。

ETERNUS NR1000F seriesのバックアップ運用ではテープをクローン媒体にすることはできません。

「複写数」に“1”以上の値を指定してバックアップを実行し、バックアップデータをテープに保存する場合、保存先のテープが以下のように限定されます。


「複写数」に“0”を指定してバックアップを実行した場合、保存先のテープはクローン媒体でないテープに限定されます。

 

すでに管理されているクローン媒体への保存には、保存時と「複写数」が同じである必要があります。


複写されたバックアップデータが新規テープに保存されると、その新規テープはクローン媒体となります。

クローン媒体上に保存されているバックアップデータのうち、1つでも削除された場合、クローン媒体の組が解除されます。

テープがクローン媒体であることは、テーププール詳細画面の表示項目[クローン数]に示される値で確認することができます。
[クローン数]が“1”以上の場合、そのテープはクローン媒体です。
[クローン数]が“0”の場合、そのテープはクローン媒体ではありません。

 

6.1.3 テープの状態回復

ハードウェアの異常が検出されたテープは自動的に閉塞され、使用できない状態になります。“テープの状態回復”は、閉塞されたテープを使用可能にする機能です。

“テープの状態回復”は、ハードウェアの異常を解消した状態で行ってください。


“テープの状態回復”の操作は、バックアップ管理画面で行うことができます。

テープの状態回復に関する操作方法については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「テープの状態回復」を参照してください。

 

6.1.4 磁気テープドライブの状態回復

ハードウェアの異常が検出された磁気テープドライブは自動的に閉塞され、使用できない状態になります。“磁気テープドライブの状態回復”は、閉塞された磁気テープドライブを使用可能にする機能です。

“磁気テープドライブの状態回復”は、ハードウェアの異常を解消した状態で行ってください。


“磁気テープドライブの状態回復”の操作は、dbu_enable_driveコマンドまたはバックアップ管理画面から行うことができます。

磁気テープドライブの状態回復に関する操作方法については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「磁気テープドライブの状態回復」を参照してください。

 

6.1.5 新規テープの種別チェック機能

新規テープの種別チェック機能とは、テープを誤ってダイレクトバックアップに新規登録してしまった場合に、登録したテープに保存されている磁気情報 (データ) が上書きされてしまうのを防ぐ機能です。

新規テープの種別チェック機能では、最初の書き込みの前にテープの磁気情報をチェックし、磁気情報が消去されていないテープの場合はエラーメッセージを出力して閉塞する処理が行われます。

磁気情報が消去されていると認識されるのは、以下の3種類のテープです。

新規テープの種別チェック機能の有効/無効は、テープ制御汎用設定ファイルのパラメタ“ERASED_CHECK”によって設定することができます。

テープ制御汎用設定ファイルの設定方法については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「テープ制御汎用設定ファイルの設定」を参照してください。

 

6.1.6 テープの手動アンマウント

「空きドライブがない状態でのテープに対する処理開始時」、「バックアップ/リストアの異常終了時」、「マルチボリュームにおけるテープ入れ換え時」、「テープ媒体削除時」といった場合を除いて、ダイレクトバックアップが使用している磁気テープドライブにマウントされたテープは、テープに対する処理が終了しても自動ではアンマウントされません。
そのため、磁気テープドライブのヘッドまたはテープの劣化を防止するため、一定時間以上使用していないテープに対して、手動アンマウントを実施してください。

テープの手動アンマウントは、以下の場合に実施します。

テープの手動アンマウントは、dbu_umount_drive コマンドを利用して行います。

ダイレクトバックアップにおけるテープのアンマウントは、磁気テープライブラリシステムのオペレーションパネル、またはテープライブラリ制御ソフトウェアなどから手動で行わないでください。
ダイレクトバックアップが管理しているマウント情報と実際のステータスの整合性が保てなくなります。

 

閉塞されている磁気テープドライブにマウントされているテープをアンマウントすることはできません。

 

テープを定期的にアンマウントするための手順については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「テープ定期アンマウントの設定」を参照してください。

 

磁気テープドライブの手動閉塞については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「磁気テープドライブの手動閉塞」を参照してください。

 

dbu_umount_drive コマンドの詳細については、「第18章 テープ制御のためのコマンド」の「dbu_umount_drive (テープの手動アンマウント)」を参照してください。

 

6.1.7 磁気テープドライブ状態の表示

“磁気テープドライブ状態の表示”は、ダイレクトバックアップが使用している磁気テープドライブの状態に関する詳細情報を表示するための機能です。

磁気テープドライブ状態の表示は、以下の場合に行います。

磁気テープドライブ状態の表示は、dbu_statdisp_drive コマンドを利用して行います。

磁気テープドライブの手動閉塞については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「磁気テープドライブの手動閉塞」を参照してください。

 

dbu_statdisp_drive コマンドの詳細については、「第18章 テープ制御のためのコマンド」の「dbu_statdisp_drive (磁気テープドライブ状態の表示)」を参照してください。

また、磁気テープドライブのマウント/アンマウントの状況は、「磁気テープドライブ一覧画面」でも確認できます。

磁気テープドライブ一覧画面については、「第19章 バックアップ管理画面」の「磁気テープドライブ一覧画面」を参照してください。

 

6.1.8 磁気テープドライブ管理情報の回復

“磁気テープドライブ管理情報の回復”は、磁気テープドライブの状態に関するダイレクトバックアップの管理情報と実際のステータスの整合性が保てなくなった場合に、ダイレクトバックアップの管理情報を回復させるための機能です。

磁気テープドライブ管理情報の回復は、以下の場合に行います。

磁気テープドライブ管理情報の回復は、dbu_init_drive コマンドを利用して行います。

dbu_init_drive コマンドの詳細については、「第18章 テープ制御のためのコマンド」の「dbu_init_drive (磁気テープドライブ管理情報の回復)」を参照してください。

 

6.2 処理継続機 

ダイレクトバックアップには、停電または OSダウンなどの不慮の事故が発生した際に実行中であった処理を再起動時に処理継続できる機能があります。
この機能を使用すると、テープへの書き込みまたはテープからの読み込みのような、比較的時間のかかる処理を実行中にダウンが発生しても、ダイレクトバックアップサーバの再起動時に、ダウン前に行った操作を再度行う必要がなくなります。

ETERNUS NR1000F seriesのバックアップ運用では「処理継続機能」を使用できません。

 

6.2.1 処理継続機能の活性/非活性化 

処理継続機能の活性化とは、処理継続機能を有効にすることを意味します。ダイレクトバックアップサーバの再起動時、ダウン前に実行中であった処理を継続させる設定です。
処理継続機能を活性化させるには、オプション指定なしでダイレクトバックアップサーバを起動します。

また、処理継続機能の非活性化とは、処理継続機能を無効にすることを意味します。ダイレクトバックアップサーバの再起動時に、ダウン前に実行中であった処理をすべて強制終了させる設定です。
処理継続機能を非活性化させるには、-nオプションを指定してダイレクトバックアップサーバを起動します。

処理継続機能は、実行している処理の単位毎に設定することはできません。

 

処理継続機能の設定方法については、「第7章 ダイレクトバックアップーバの起動と停止」の「処理継続機能の指定」を参照してください。

 

6.2.2 クラスタ構成での処理継続機能 

処理継続機能を活性化 (有効) するように指定している場合は、PRIMECLUSTERによるノード切り替えが発生しても、ダイレクトバックアップサーバは切り替え前のノードで実行していた処理を切り替え後のノードで継続します。

 

6.2.3 シングル構成での処理継続機能 

処理継続機能を活性化 (有効) するように指定している場合は、SSF/Backup Facilityの再起動によってダウン前に実行中であった処理を継続させることができます。

 

6.2.4 処理継続機能に関する注意事項 

処理継続機能を使用する場合は、以下のことに注意してください。

 


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