ダイレクトバックアップ使用手引書 - SPシリーズ -
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第18章 テープ制御のためのコマンド

磁気テープライブラリシステム内の磁気テープドライブおよびテープに対して使用するコマンドについて説明します。これらのコマンドは、SSF/Backup Facility上で実行可能です。

これらのコマンドは/opt/FJSVfbupp/usr/bin 配下にインストールされ、/usr/bin からシンボリックリンクが張られています。そのため、シェルの環境変数PATHに/usr/binを定義すると、絶対パスを省略してコマンドを実行することができます。

 

18.1 dbu_disable_drive (磁気テープドライブの手動閉塞)

■形式

dbu_disable_drive  drive_name  library_name

 

■機能説明

このコマンドは、drive_namelibrary_nameによって指定された磁気テープドライブを閉塞します。

このコマンドは、メンテナンス作業を行うため、ダイレクトバックアップサーバ稼動中に磁気テープドライブを一時的に切り離すような場合に使用します。

 

■オペランド

以下のオペランドを指定します。これらのオペランドは省略できません。

オペランド

説明

drive_name

閉塞する磁気テープドライブの名前を文字列で指定します。

library_name

閉塞する磁気テープドライブが属する磁気テープライブラリシステムの名前を文字列で指定します。

 

■使用例

使用例を説明します。

  1. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) に属する磁気テープドライブ (Drv001) を閉塞します。

 

■終了ステータス

このコマンドは、以下の終了ステータスを返します。

0

正常終了

>0

エラーが発生した

 

■注意事項

このコマンドが正常終了した後、実際に磁気テープドライブが閉塞されるまでしばらく時間がかかることがあります。
このため、メンテナンス作業を行う前には、磁気テープドライブ一覧画面から磁気テープドライブの状態が「マウント不可」になっていることを確認してください。

コマンドの引数に指定したドライブにテープがマウントされていた場合、テープがマウントされたまま閉塞されます。また、閉塞したドライブにマウントされているテープは書き込み対象から外れます。
そのため、本コマンドの入力前後に「dbu_umount_drive (テープの手動アンマウント)」コマンドによってテープをドライブからアンマウントしてください。

 

■関連項目

dbu_enable_drive

 

18.2 dbu_enable_drive (磁気テープドライブの手動閉塞解除)

■形式

dbu_enable_drive  drive_name  library_name

 

■機能説明

このコマンドは、drive_namelibrary_nameによって指定された磁気テープドライブの閉塞を解除します。

 

■オペランド

以下のオペランドを指定します。これらのオペランドは省略できません。

オペランド

説明

drive_name

閉塞を解除する磁気テープドライブの名前を、文字列で指定します。

library_name

閉塞を解除する磁気テープドライブが属する磁気テープライブラリシステムの名前を、文字列で指定します。

 

■使用例

使用例を説明します。

  1. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) に属する磁気テープドライブ (Drv001) の閉塞を解除します。

 

■終了ステータス

このコマンドは、以下の終了ステータスを返します。

0

正常終了

>0

エラーが発生した

 

■関連項目

dbu_disable_drive

 

18.3 dbu_umount_drive (テープの手動アンマウント)

■形式

dbu_umount_drive [-t min ] [-d drive_name ] library_name

 

■機能説明

このコマンドは、マウントされているテープをアンマウントするためのコマンドです。

このコマンドでは、未使用状態の磁気テープドライブにマウントされたテープがアンマウントされます。

 

■オプション

以下のオプションを指定することができます。これらのオプションは省略することもできます。

オプション

説明

-t

minで指定した期間以上、未使用のままマウントしているテープをアンマウントします。
単位は分。指定できる値は“1”から“1440”の整数です。
“0”を指定した場合、マウントドライブが未使用であればアンマウントします。省略時は“0”になります。

-d

テープをアンマウントする磁気テープドライブをdrive_name に指定します。
drive_name には、複数の磁気テープドライブを指定することはできません。
このオプションを省略すると、library_name に指定された磁気テープライブラリシステム内においてダイレクトバックアップが使用できる、すべての磁気テープドライブでテープがアンマウントされます。

 

■オペランド

以下のオペランドを指定します。このオペランドは省略できません。

オペランド

説明

library_name

アンマウントするテープが投入されている磁気テープライブラリシステムを指定します。
このオペランドに複数の磁気テープライブラリシステムを指定することはできません。

 

■使用例

使用例を説明します。

  1. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) の磁気テープドライブ (Drv001) にマウントされているテープをアンマウントします。

    # dbu_umount_drive -d Drv001 Lib001
    Lib001:Drv001 umount.
    #

  2. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) において、マウントしたまま60分以上使用されていないすべてのテープをアンマウントします。

    # dbu_umount_drive -t 60 Lib001
    Lib001:Drv001 umount.
    Lib001:Drv003 umount.
    #

  3. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) において、マウントされているすべてのテープをアンマウントします。

    # dbu_umount_drive Lib001
    Lib001:Drv001 umount.
    Lib001:Drv002 umount.
    Lib001:Drv003 umount.
    #

 

■終了ステータス

このコマンドは、以下の終了ステータスを返します。

0

正常終了

>0

エラーが発生した

 

■注意事項

このコマンドでは、使用中の磁気テープドライブまたは、閉塞している磁気テープドライブにマウントされているテープをアンマウントすることはできません。

このコマンドでは、ダイレクトバックアップが使用しない磁気テープライブラリシステム、または磁気テープドライブにマウントされたテープをアンマウントすることはできません。

ダイレクトバックアップで使用する磁気テープライブラリシステムと磁気テープドライブについては、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「磁気テープライブラリシステムと磁気テープドライブの設定」を参照してください。


このコマンドでは、テープのアンマウントに成功した磁気テープドライブに対して“library_name drive_name umount.”と表示されますが、“library_name drive_name umount failed.”と表示された磁気テープドライブのテープのアンマウントは失敗しています。その時は、ログに詳細メッセージが出力されますので、/sp/dbu/log配下のログを参照してください。

本コマンドを実行した際、一時的に「dbu_statdisp_drive (磁気テープドライブ状態の表示)」コマンドまたは、「磁気テープドライブ一覧画面」から“ドライブが閉塞"に見えることがあります。
アンマウント処理が正常に終了すると、ドライブ閉塞は解除されますので問題ありません。


 

■関連項目

dbu_disable_drive、dbu_statdisp_drive

 

18.4 dbu_statdisp_drive (磁気テープドライブ状態の表示)

■形式

dbu_statdisp_drive [[-d drive_name ] library_name ]

 

■機能説明

このコマンドは、ダイレクトバックアップが使用している磁気テープドライブの状態に関する詳細情報を表示するためのコマンドです。

このコマンドが出力する情報の意味は以下のとおりです。

表示項目

説明

Lib_name

Drv_name が存在する磁気テープライブラリシステム名を表示します。

Drv_name

磁気テープドライブ名を表示します。

Tapename

Drv_name にマウントされているテープ名を表示します。
テープがマウントされていない場合は、「−」が表示されます。

Drv_status

Drv_name の状態を表示します。
「テープのマウント状態 − ドライブの使用状態 (ドライブの閉塞状態) 」の形式で表示されます。
状態によって以下のいずれかが表示されます。

テープのマウント状態

  • Mounted

マウントされています。

  • Free

マウントされていません。

ドライブの使用状態
(テープがマウントされていないと表示されません。)

  • Use

使用中です。

  • Release

未使用です。

ドライブの閉塞状態

  • Enable

使用できます。

  • Disable

閉塞されています。

Drv_Release_Time

Drv_name が未使用になった日時を表示します。
YYYY /MM /DD hhmm 」形式で表示されます。
YYYY は西暦、MM は月、DD は日、hh は時、mm は分を示します。
表示日時は、SSF/Backup Facility上の日時が適用されます。
ドライブの使用状態が“Release”以外は、「−」が表示されます。

 

■オプション

以下のオプションを指定することができます。このオプションは省略することもできます。

オプション

説明

-d

状態を表示する磁気テープドライブをdrive_name に指定します。
このオプションはlibrary_name と同時に指定します。
drive_name には、複数の磁気テープドライブを指定することはできません。
このオプションを省略すると、library_name に指定された磁気テープライブラリシステム内においてダイレクトバックアップが使用できる、すべての磁気テープドライブの状態が表示されます。

 

■オペランド

以下のオペランドを指定します。このオペランドは省略することもできます。

オペランド

説明

library_name

状態を表示する磁気テープドライブが存在する磁気テープライブラリシステムを指定します。
このオペランドに複数の磁気テープライブラリシステムを指定することはできません。
このオペランドを省略すると、ダイレクトバックアップで使用できるすべての磁気テープドライブの状態が表示されます。

 

■使用例

使用例を説明します。

  1. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) の磁気テープドライブ (Drv001) におけるテープのマウント状態、およびドライブの閉塞状態を表示します。

    # dbu_statdisp_drive -d Drv001 Lib001

    Lib_name

    Drv_name

    Tapename

    Drv_status

    Drv_Release_Time

    ----------------------------------------------------------------------------

    Lib001

    Drv001

    Tape1

    Mounted-Release(Enable)

    2003/07/31 18:32

    #

  2. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) のすべての磁気テープドライブにおけるテープのマウント状態、およびドライブの閉塞状態を表示します。

    # dbu_statdisp_drive Lib001

    Lib_name

    Drv_name

    Tapename

    Drv_status

    Drv_Release_Time

    ----------------------------------------------------------------------------

    Lib001

    Drv001

    Tape1

    Mounted-Release(Enable)

    2003/07/31 18:32

    Lib001

    Drv002

    Tape2

    Mounted-Use(Enable)

    -

    Lib001

    Drv003

    -

    Free(Disable)

    -

    #

  3. ダイレクトバックアップが使用できる、すべての磁気テープドライブにおけるテープのマウント状態、およびドライブの閉塞状態を表示します。

    # dbu_statdisp_drive

    Lib_name

    Drv_name

    Tapename

    Drv_status

    Drv_Release_Time

    ----------------------------------------------------------------------------

    Lib001

    Drv001

    Tape1

    Mounted-Release(Enable)

    2003/07/31 18:32

    Lib001

    Drv002

    Tape2

    Mounted-Use(Enable)

    -

    Lib001

    Drv003

    Tape3

    Mounted-Release(Disable)

    2003/08/01 00:01

    Lib001

    Drv004

    Tape4

    Mounted-Use(Disable)

    -

    Lib002

    Drv102

    -

    Free(Enable)

    -

    Lib002

    Drv103

    -

    Free(Disable)

    -

    #

 

■終了ステータス

このコマンドは、以下の終了ステータスを返します。

0

正常終了

>0

エラーが発生した

 

■注意事項

このコマンドでは、ダイレクトバックアップが使用しない磁気テープライブラリシステム、または磁気テープドライブの情報を表示することはできません。

ダイレクトバックアップで使用する磁気テープライブラリシステムと磁気テープドライブについては、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「磁気テープライブラリシステムと磁気テープドライブの設定」を参照してください。


このコマンドでは、ダイレクトバックアップの管理情報と磁気テープドライブの実際のステータスと情報の不整合が発生している場合に、正しい情報が表示されません。情報の不整合を回復するには、dbu_init_drive コマンドを実行してください。

dbu_init_drive コマンドの詳細については、本章の「dbu_init_drive (磁気テープドライブ管理情報の回復)」を参照してください。

 

■関連項目

dbu_umount_drive、dbu_init_drive

 

18.5 dbu_init_drive (磁気テープドライブ管理情報の回復)

■形式

dbu_init_drive [-s] [-f] [-d drive_name ] library_name

 

■機能説明

このコマンドは、磁気テープドライブの状態に関するダイレクトバックアップの管理情報と実際のステータスの整合性を回復させるためのコマンドです。

このコマンドが正常復帰すると磁気テープドライブにマウントされているテープはアンマウントされ、ダイレクトバックアップの「テープのマウント状態」が"マウントされていない"状態になります。
ただし、以下の場合、テープはアンマウントされず、ダイレクトバックアップの管理情報も回復されません。

ダイレクトバックアップの管理情報の「テープのマウント状態」については、dbu_statdisp_driveコマンドで確認できます。詳細は、本章の「dbu_statdisp_drive (磁気テープドライブ状態の表示)」を参照してください。


このコマンドにより、未使用状態の磁気テープドライブに対するダイレクトバックアップの管理情報が回復されます。

このコマンドを実行すると、磁気テープドライブごとに管理情報の回復に対する確認メッセージが出力されます。メッセージが出力された後、以下の選択をしてください。

 

■オプション

以下のオプションを指定することができます。これらのオプションは省略することもできます。

オプション

説明

-s

管理情報の回復に対する確認メッセージが出力されず、ただちに管理情報の回復が行われます。

-f

磁気テープドライブが使用中の場合でも管理情報の回復を行います。
実行中のバックアップ/リストア (リカバリ) に影響するため、バックアップ/リストア (リカバリ)実行時の指定は避けてください。
このオプションを省略すると、使用中の磁気テープドライブに対する管理情報は回復されず、テープもアンマウントされません。

-d

管理情報を回復させる磁気テープドライブをdrive_name に指定します。
drive_name には、複数の磁気テープドライブを指定することはできません。
このオプションを省略すると、library_name に指定された磁気テープライブラリシステム内においてダイレクトバックアップが使用できる、すべての磁気テープドライブに対する管理情報が回復されます。
ただし、使用中のテープドライブがあった場合、そのドライブは処理対象から除かれます。

 

■オペランド

以下のオペランドを指定します。このオペランドは省略できません。

オペランド

説明

library_name

管理情報を回復させる磁気テープライブラリシステムを指定します。
このオペランドに複数の磁気テープライブラリシステムを指定することはできません。

 

■使用例

使用例を説明します。

  1. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) の磁気テープドライブ (Drv001) に対する管理情報を回復します。
    以下は、確認メッセージに対して“y”を入力した例です。

    # dbu_init_drive -d Drv001 Lib001
    Lib001:Init drive (Drv001)? (y/n)y
    Lib001: Drv001 complete.
    #

  2. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) のすべての磁気テープドライブに対する管理情報を回復します。
    以下は、確認メッセージに対して“y”を入力した例です。

    # dbu_init_drive Lib001
    Lib001:Init drive (Drv001)? (y/n)y
    Lib001: Drv001 complete.
    Lib001:Init drive (Drv002)? (y/n)y
    Lib001: Drv002 complete.
    Lib001:Init drive (Drv003)? (y/n)y
    Lib001: Drv003 complete.
    #

  3. 磁気テープライブラリシステム (Lib001) の磁気テープドライブ (Drv001)に対する管理情報を確認メッセージなしで回復します。

    # dbu_init_drive -s -d Drv001 Lib001
    Lib001: Drv001 complete.
    #

 

■終了ステータス

このコマンドは、以下の終了ステータスを返します。

0

正常終了

>0

エラーが発生した

 

■注意事項

テープに対する処理が実行中の場合は、このコマンドの実行に注意してください。

このコマンドに、ダイレクトバックアップが使用しない磁気テープライブラリシステム、または磁気テープドライブを指定することはできません。

ダイレクトバックアップで使用する磁気テープライブラリシステムと磁気テープドライブについては、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「磁気テープライブラリシステムと磁気テープドライブの設定」を参照してください。


このコマンドでは、“library_name :Init drive (drive_name ) failed.”と表示された磁気テープドライブに対する管理情報の回復は失敗しています。その時は、ログに詳細メッセージが出力されますので、/sp/dbu/log配下のログを参照してください。

本コマンドを実行した際、一時的に「dbu_statdisp_drive (磁気テープドライブ状態の表示)」コマンドまたは、「磁気テープドライブ一覧画面」から“ドライブが閉塞"に見えることがあります。
アンマウント処理が正常に終了すると、ドライブ閉塞は解除されますので問題ありません。


 

■関連項目

dbu_statdisp_drive

 


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