ダイレクトバックアップ使用手引書 - SPシリーズ -
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第4章 プール管理

4.1 論理ユニットプー

論理ユニットプール管理では、ダイレクトバックアップに割り当てられた論理ユニットをグループ化して管理を行います。ダイレクトバックアップでは、そのグループを“論理ユニットプール”と呼びます。

ETERNUS NR1000F seriesのバックアップおよびグローバルサーバの業務データのバックアップでは、論理ユニットプールを利用することはできません。

 

4.1.1 論理ユニットプールの役割 

バックアップデータの保存先として論理ユニットプールを指定しておくと、バックアップデータを格納する論理ユニットがその論理ユニットプールから自動選択されます。

複数の論理ユニットプールを定義することができるため、以下のようなバックアップ運用を行うことができます。

 

4.1.2 論理ユニットプールの構造 

業務ボリュームのバックアップ/リストアなどを行う時に使用する論理ユニットのプール名を指定します。以下のような運用を行うことができます。


論理ユニットプールを登録する方法については、本章の「論理ユニットプールの登録」を参照してください。

 

論理ユニットプールへ論理ユニットを登録する方法については、本章の「論理ユニットプールへの論理ユニットの登録」を参照してください。


論理ユニットプールは、バックアップポリシーの「バックアップ先」に“ディスク”または“両方”を指定した場合に、「バックアップ先ディスク」で指定が必要になります。

また、「バックアップ先」に“テープ”、「バックアップエンジン」に“EC”、“EC (SUSPEND) ”または “OPC”を指定した場合は、「作業用論理ユニットプール」の指定が必要です。1つの業務ボリュームまたは論理ユニットに対して設定できる論理ユニットプール数は1つです。

バックアップポリシーの各パラメタについては、「第3章 バックアップポリシー」の「バックアップポリシーのパラメタの説明」を参照してください。

 

■スペア論理ユニットプー

各ETERNUS3000/6000,GR seriesに“spare_[ディスクアレイ装置名]”([ディスクアレイ装置名]は、ETERNUS3000/6000,GR seriesの導入時に付けられた文字列です。)という名前が付けられた“スペア論理ユニットプール”が1つ自動的に作成されます。

“スペア論理ユニットプール”は、ダイレクトバックアップでは 利用できません。

 

4.1.3 プール管理された論理ユニットの使用用途

論理ユニットプールに属する論理ユニットは、以下の用途で使用されます。

上記の用途のうち、バックアップデータの格納領域に使用される論理ユニットは“バックアップ論理ユニット”、一時領域に使用される論理ユニットは“テンポラリ論理ユニット”に割り当てられます。

以下に、バックアップ論理ユニット および テンポラリ論理ユニットを使用する契機について、詳しく説明します。

 

4.1.3.1 バックアップ論理ユニットを使用する契機

バックアップ論理ユニットを使用する契機を以下に示します。

バックアップ論理ユニットが論理ユニットプールの未使用の論理ユニットに遷移するのは、そのバックアップ論理ユニットに保存されているすべてのバックアップデータがなくなった時点です。

 

4.1.3.2 テンポラリ論理ユニットを使用する契機

テンポラリ論理ユニットを使用する契機を以下に示します。

テンポラリ論理ユニットは、複数の処理の一時領域として共有されます。つまり、上記のいずれかの処理で使用している テンポラリ論理ユニット内に充分な空きがある場合は、そのテンポラリ論理ユニットの空き領域を使用して処理を行います。
したがって、テンポラリ論理ユニットが 論理ユニットプールの未使用の論理ユニットに遷移するのは、そのテンポラリ論理ユニットを使用するすべての処理がなくなった時点です。

バックアップ同期処理については、バックアップ同期処理をキャンセルすることで処理がなくなることに注意してください。


上記における1番目の契機のうち、バックアップポリシーの「バックアップ同期処理開始」が“手動”の場合にバックアップ同期処理を開始してバックアップを行うと、テープへのバックアップデータ書き込みが完了した時点で論理ユニットプールの未使用の論理ユニットに遷移します。

 

4.1.4 プール管理された論理ユニットの割り当て

ユーザが実行した操作に対する処理を行う時に論理ユニットが必要となった場合、ダイレクトバックアップサーバはバックアップポリシーで指定されている“論理ユニットプール”から論理ユニットを動的に割り当てます。

この論理ユニットは、複数の業務ボリュームで共用されます。

よって、残りディスク量が少ない場合でも 論理ユニットを有効利用したバックアップ運用ができます。

1つの世代のバックアップデータは、連続した領域にしかバックアップすることはできません。

 

1つの論理ユニットに複数の業務ボリュームのバックアップデータを混在させたくない場合は、業務ボリュームごとに、論理ユニットプールを作成することで可能です。

 

4.1.4.1 バックアップ論理ユニットの割り当て論理

■論理ユニットの動的割り当て

バックアップ論理ユニットとして割り当てられる論理ユニットの優先度は、以下の順番で行われます。

  1. バックアップポリシーで指定した論理ユニットプールから動的に割り当てます。この時、現在 バックアップ運用の各処理が存在しない論理ユニットを優先して割り当てます。
  2. 上記で空き領域が見つけられない場合、割り当て失敗となり、バックアップが失敗します。

 

■バックアップ先論理ユニット設定ファイルによる割り当て

Symfowareデータベースのバックアップでは、「バックアップ先論理ユニット設定ファイル」を設定してバックアップを行う場合、ファイルに記述した論理ユニットが割り当てられます。

バックアップ先論理ユニット設定ファイルについては、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「バックアップ先論理ユニット設定ファイル」を参照してください。

 

4.1.4.2 テンポラリ論理ユニットの割り当て論理

テンポラリ論理ユニットとして割り当てられる論理ユニットの優先度は、以下の順番で行われます。

  1. バックアップポリシーで指定した “作業用論理ユニットプール”から割り当てます。この時、現在 バックアップ運用の各処理が存在しない論理ユニットを優先して割り当てます。
  2. 上記で空き領域が見つけられない場合、割り当て失敗となり、バックアップやリストアが失敗します。


テンポラリ論理ユニットが確保できない状況でも、ディスク内にバックアップ履歴がない場合は、バックアップポリシーの「バックアップエンジン」を“未使用”にすることにより、バックアップやリストアが可能となります。

 

4.1.5 論理ユニットプールの設

ダイレクトバックアップで、論理ユニットプール管理の運用を開始するには、以下の流れにそった作業が必要です。

  1. ETERNUS3000/6000,GR series内の論理ユニットの作成
  2. ディスクアレイ装置名の定義
  3. ダイレクトバックアップの起動
  4. ダイレクトバックアップで使用する論理ユニットの使用用途の定義
  5. ダイレクトバックアップで使用する論理ユニットの登録
  6. SSF/Backup Facilityの情報更新
  7. 論理ユニットプールの登録
  8. 論理ユニットプールへの論理ユニットの登録
  9. バックアップポリシーの設定

 

4.1.5.1 論理ユニットの作成

ETERNUSmgr によって、ETERNUS3000/6000,GR series内の論理ユニットのサイズ、RLU (RAID Logical Unit) グループ番号を設定し、論理ユニットを作成します。

この作業は、ETERNUS3000/6000,GR seriesを新たに導入した時に必要な作業です。既に論理ユニットが作成されている ETERNUS3000/6000,GR seriesは、この作業を省略できます。

 

論理ユニットの作成についての詳細については、ETERNUSmgr のマニュアル『ETERNUSmgrユーザガイド』を参照してください。

 

4.1.5.2 ディスクアレイ装置名の定義

SSF/Backup Facilityに接続されたすべてのETERNUS3000/6000,GR seriesに識別名を定義します。

ETERNUS3000/6000,GR seriesの識別名は、24文字以内で定義してください。識別名に使用できる文字は、ASCII文字コード表で定義されている文字のうちの、印刷可能文字です。

この作業は、ETERNUS3000/6000,GR seriesを新たに導入した時に必要な作業です。ETERNUS3000/6000,GR seriesの識別名が既に定義されている場合は、この作業を省略できます。

 

SSF/Backup Facilityに接続するETERNUS3000/6000,GR seriesが1台のみの場合でも、ディスクアレイ装置名の設定が必要です。

 

ETERNUS3000/6000,GR seriesの識別名の定義については、『SSF/Backup Facility導入手引書』の「第7章  システムの動作確認」で記述されている方法を参照してください。

 

4.1.5.3 ダイレクトバックアップの起動

ダイレクトバックアップの起動を行います。

ダイレクトバックアップの起動方法については、「第7章 ダイレクトバックアップサーバの起動と停止」の「起動方法」を参照してください。

 

4.1.5.4 ダイレクトバックアップで使用する論理ユニットの使用用途の定義

論理ユニットの作成」で作成した論理ユニットのうち、ダイレクトバックアップで使用する論理ユニットの情報を“SP論理ユニット使用用途設定ファイル (/sp/uty/conf/diskadm/luinfo.conf) ”に記述し、ダイレクトバックアップとしての使用用途を定義します。

論理ユニットの使用用途の定義については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「論理ユニットの使用用途の定義」を参照してください。

 

4.1.5.5 ダイレクトバックアップで使用する論理ユニットの登録

ダイレクトバックアップで使用する論理ユニットの使用用途の定義」で定義した論理ユニットの使用用途などの論理ユニット情報をダイレクトバックアップに登録します。

論理ユニットの登録については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「論理ユニットの登録」を参照してください。

 

4.1.5.6 SSF/Backup Facilityの情報更新

SSF/Backup Facilityの構成が変更されるため、SSF/Backup Facilityの情報更新を行う必要があります。SSF/Backup Facilityの情報更新は Softek AdvancedCopy Manager の Storage管理サーバに 登録されている SSF/Backup Facilityの変更を行うことによって行われます。

SSF/Backup Facilityの変更については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「SSF/Backup Facilityの構成変更」を参照してください。

 

4.1.5.7 論理ユニットプールの登録

ダイレクトバックアップに新しい論理ユニットプールを登録します。

論理ユニットプールの登録については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「論理ユニットプール、論理ユニットの新規登録手順」を参照してください。

 

4.1.5.8 論理ユニットプールへの論理ユニットの登録

「論理ユニットプールの登録」で登録した論理ユニットプールに論理ユニットを登録します。

論理ユニットプールの登録については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「論理ユニットプール、論理ユニットの新規登録手順」を参照してください。

 

4.1.5.9 バックアップポリシーの設定

バックアップポリシー設定を設定します。論理ユニットプールについて以下いずれかの設定を行ってください。

バックアップポリシーの「バックアップ先」が“ディスク”または“両方”の場合は、必ず「バックアップ先ディスク」の“論理ユニットプール名”の設定を行ってください。

 

バックアップポリシーの「バックアップ先」に“テープ”、「バックアップエンジン」に“EC”、“EC (SUSPEND) ”または “OPC”を指定した場合は、必ず「作業用論理ユニットプール」の設定を行ってください。

 

バックアップポリシーの設定方法については、以下のいずれかを参照してください。

 

4.1.6 使用用途の把握 

ダイレクトバックアップで管理する論理ユニットプールの情報やその論理ユニットプールに含まれる論理ユニットの使用用途の参照を、以下のいずれかで行うことができます。

 

4.1.6.1 コマンドの利用 

コマンドによって、論理ユニットプールの情報の参照を行うには、dbugetpoolinfo コマンドを使用します。

SSF/Backup Facility上で dbugetpoolinfo コマンドを実行する場合の実行例を示します。
dbugetpoolinfoコマンドで、論理ユニットプール名「LU_pool」の詳細情報(-l オプション指定)を参照します。

# /opt/FJSVfbupp/usr/bin/dbugetpoolinfo  -l  LU_pool
LU_pool
 Setting device at policy
 -------------------------------------------------------------------------
   afs-node1:/dev/dsk/c1t1d1s4     
   afs-node1:/dev/dsk/c1t1d2s4     
 belong volume    RLU      exclusive
 -------------------------------------------------------------------------
   GR001:OLU0001  LUN_R001    -
   GR001:OLU0002  LUN_R002    -
   GR001:OLU0003  LUN_R003    -
   GR001:OLU0004  LUN_R004    -
#

dbugetpoolinfo コマンドの詳細については、「第17章 バックアップ運用のためのコマンド」の「dbugetpoolinfo (論理ユニットプールの情報表示) 」を参照してください。

 

4.1.6.2 バックアップ管理画面の利用 

バックアップ管理画面からの論理ユニットプールに関する情報の参照は、以下の画面で行います。

 

■論理ユニットプール一覧画面

ダイレクトバックアップが管理する論理ユニットプールの情報を表示する画面です。

論理ユニットプール一覧画面の詳細については、「第19章 バックアップ管理画面」の「論理ユニットプール一覧画面」を参照してください。

 

■論理ユニット一覧画面

論理ユニットプールに属する論理ユニットの情報を表示する画面です。

論理ユニット一覧画面の詳細については、「第19章 バックアップ管理画面」の「論理ユニット一覧画面」を参照してください。

 

■ディスク領域一覧画面

論理ユニットプールに属する論理ユニットのディスク情報を表示する画面です。

ディスク領域一覧画面の詳細については、「第19章 バックアップ管理画面」の「ディスク領域一覧画面」を参照してください。

 

4.2 テーププー

ダイレクトバックアップでは、磁気テープライブラリシステムに投入されたテープをグループ化し、プール管理します。本書では、そのプールを“テーププール”と呼びます。

テーププールの設定については、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「テーププールの設定」を参照してください。

 

4.2.1 テーププールの役割 

バックアップデータの保存先としてテーププールを指定しておくと、バックアップデータを格納する時、空いているテープがそのテーププールから自動選択されます。このため、個々のテープを意識しないバックアップ運用が可能となります。

また、複数のテーププールを定義することができるため、以下のようなバックアップ運用を行うことができます。

ETERNUS NR1000F seriesのバックアップデータと、ETERNUS3000/6000,GRseriesのバックアップデータを、同一のテープ媒体に書き込むことはできません。
このため、それぞれのバックアップ運用に合わせて異なるテーププールを作成することを推奨します。


 

4.2.2 特殊な用途を持つテーププール (spare_tapepool)  

ダイレクトバックアップの導入時には、“spare_tapepool”という名前が付けられたテーププールが1つだけ存在します。

この“spare_tapepool”テーププールは、ダイレクトバックアップにとって特殊な用途を持つテーププールであり、バックアップデータの保存先のテーププールとして指定することはできません。また、このテーププールに登録されているテープをバックアップデータの保存先として指定することもできません。

“spare_tapepool”テーププールは、削除することができません。


“spare_tapepool”テーププールは、バックアップデータの保存先となっている他のテーププールにテープを補充するテーププールです。バックアップポリシーの「Tape書き込み対象」を“テーププール”に設定してバックアップを行った時、テープの不足が発生すると、“spare_tapepool”テーププールに登録されているテープが、テープ不足を起こしているテーププールに自動的に補充されます。

“spare_tapepool”テーププールから自動補充できるようにするには、“spare_tapepool”テーププールにテープが登録されている必要があります。

 

テープをテーププールに登録する方法は、「第8章 ダイレクトバックアップの環境設定」の「新規テープの登録」を参照してください。

 


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