GDS は、障害が発生した場合でも業務を維持できる安全性の高いシステム環境を実現するソフトウェアです。しかし、ミラーリングされたシステム環境だからといって、絶対安全というわけではありません。コンピュータは、ハードウェア、ソフトウェア、操作ミス、粗悪な環境などが原因でトラブルが発生することがあります。そのトラブルに対応する確実な手段として「バックアップ」があります。トラブルによる被害を最小限にするため、必ず定期的なバックアップを行ってください。
注意
システムディスクのバックアップとリストア
ZFS ブート環境のシステムディスクのバックアップとリストアは、運用管理ビューではできません。ZFS ブート環境のシステムディスクのバックアップとリストアの方法については、「6.2 ZFS ブート環境のシステムディスクのバックアップとリストア」を参照してください。
UFS ブート環境の場合、システムディスクのボリュームのうち、システムボリューム (/、/usr、/var、スワップ域) 以外のボリューム (例えば、/opt、/home など) は、本手順に従って、バックアップすることができます。UFS ブート環境のシステムボリュームのバックアップとリストアについては、「6.3 UFS ブート環境のシステムディスクのバックアップとリストア」および、「6.4 代替ブート環境を使用したシステムディスクのバックアップとリストア」を参照してください。
ここでは、スライス切離しによるスナップショットを利用して、ミラーボリュームのバックアップを行う手順を説明します。この方法では、以下の "スライス操作" が必要です。
スライス切離し
スライス組込み
参照
スライス切離し方式によるスナップショットについては、「1.3.8 スライス切離し方式によるスナップショット」を参照してください。
操作の流れは、「5.1.4.1 バックアップ (スライス切離し方式)」を参照してください。
注意
スライス切離しによるスナップショットの利用条件
スライスの切離しができるのは、物理スライスを持つミラーボリュームのみです。したがって、ミラーグループにディスクが直接接続されていない場合は、スライス切離しによるスナップショットの作成はできません。
参考
リストア
本手順でバックアップしたデータを使用してボリュームのデータを復旧する場合、ボリュームのアクセスパス /dev/sfdsk/クラス名/rdsk/ボリューム名 に対してデータをリストアします。詳細については、「5.1.5 リストア」を参照してください。
スライス切離し
バックアップを行うため、ボリューム内のひとつのスライスを一時的に切り離し、別のデバイスとしてアクセス可能な状態にします。
手順を以下に示します。
対象のスライスを含むボリュームの状態表示
メイン画面中に操作対象のスライスを含むボリュームを表示し、そのアイコンをクリックして対象のスライスの一覧情報を表示します。
切り離すスライスの選択
スライス一覧中の対象スライスのアイコンをクリックし、切り離すスライスを選択します。
[スライス切離し] メニューの選択
メイン画面の [操作]:[スライス切離し] を選択します。
スライス切離し環境設定
切り離すスライスの環境設定を行います。
アクセスモード
切り離したスライスのアクセスモードを設定します。
初期値は、「リード/ライト可能」です。
「リードのみ可能」を指定すると、切離し後のスライスは、読み取り専用となり、書込みモードでオープンするとエラーになります。
環境設定が完了したら、<完了> をクリックします。<中止> をクリックすると、スライス切離し処理を中止します。
注意
「スライス切離し」可能なスライスの状態
「スライス切離し」は、"active" または "stop" 状態のスライスに対してだけ、操作可能です。
以下の確認画面が表示されます。
処理を続ける場合は、<はい> をクリックします。<いいえ> をクリックすると、スライス切離し処理を取り消します。
アクセスパスを利用してバックアップ
<はい> をクリックすると、以下のスライス切離し完了通知画面が表示されます。
表示されたアクセスパスを利用して、バックアップ作業を行ってください。
スライス組込み
バックアップ作業が完了したら、一時切離し中のスライスを再度ボリュームに組み込みます。
ボリュームが起動中であれば、等価性コピーが開始されます。
手順を以下に示します。
組込み対象スライスの選択
スライス情報フィールド上の対象スライスのアイコンをクリックし、組み込むスライスを選択します。
[スライス組込み] メニューの選択
メイン画面の [操作]:[スライス組込み] を選択します。
以下の、確認画面が表示されます。
処理を続ける場合は、<はい> をクリックします。<いいえ> をクリックすると、スライス組込み完了処理を取り消します。
スライス組込み完了通知
<はい> をクリックすると、以下のスライス組込み完了通知画面が表示されます。
信頼性を低下させないバックアップ手順
上記の手順では、スライス切離し後もボリュームとしてそのまま使用可能ですが、ひとつのスライスが切り離されているため、信頼性が低下します。
信頼性を低下させないためには、一時的にバックアップ用のディスクを追加し、等価性コピー完了後に、スライス切離しを行ってください。
信頼性を低下させないバックアップ手順は、以下のとおりです。
バックアップ用ディスクをクラスに登録する。
バックアップ用ディスクをグループに接続する。
等価性コピー完了後に、業務を停止する。
「スライス切離し」を行う。
業務を再開する。
バックアップ用のアクセスパスを使用してバックアップを行う。
「スライス組込み」を行う。
バックアップ用ディスクをグループから切断する。
バックアップ用ディスクをクラスから削除する。
なお、手順 1. および 2. をバックアップの直前ではなく、あらかじめ実施しておくと、手順 3. での等価性コピーの完了待ちの時間がなくなり、バックアップ作業全体の所要時間を短縮することができます。
注意
「スライス切離し」は業務停止後に行う
バックアップデータの整合性を保証するため、スライス切離しは、いったん業務を停止してから行ってください。
「スライス切離し」が完了した時点で、業務再開可能であり、テープなどへのバックアップ作業中は、業務を停止する必要はありません。
業務を停止せずに「スライス切離し」を行った場合は、バックアップを行う前に、必要に応じて、fsck (ファイルシステムの場合) などの上位プログラムによる整合性回復処理を行ってください。
スライス停止/起動
スライス停止
バックアップのために切り離したスライスのデータを保護するため、"temp" 状態のスライスを一時的にアクセス不可能な状態にします。
停止させるスライスの選択
スライス情報フィールド上で "temp" 状態のスライスアイコンをクリックし、停止させるスライスを選択します。
「スライス停止/起動」の選択
メイン画面の [操作]:[スライス停止/起動] を選択します。
処理を続ける場合は、<はい> をクリックします。<いいえ> をクリックすると、スライス停止を取り消します。
スライス起動
「スライス停止」操作やノード切替えにより、アクセス不可能な状態 ("temp-stop" 状態) になった切離し中のスライスを再起動し、アクセス可能な状態にします。
起動させるスライスの選択
スライス情報フィールド上で "temp-stop" 状態のスライスアイコンをクリックし、再起動させるスライスを選択します。
「スライス停止/起動」の選択
メイン画面の [操作]:[スライス停止/起動] を選択します。
処理を続ける場合は、<はい> をクリックします。<いいえ> をクリックすると、スライス起動を取り消します。
GDS Snapshot の等価性方式によるスナップショットを利用してボリュームをバックアップする手順を説明します。この方法では、以下の「プロキシ操作」が必要です。
プロキシ結合
プロキシ分離
プロキシ再結合
プロキシ解除
参照
等価性方式によるスナップショットについては、「1.5.1 等価性方式によるスナップショット」を参照してください。
操作の流れは、「5.1.4.2 バックアップ (等価性方式)」を参照してください。
ポイント
プロキシはできるだけ分離しておく
プロキシを分離しておけば、プロキシを使用してマスタのデータをリストアすることができます。したがって、できるだけプロキシを分離した状態にしておくことを推奨します。リストアの手順については、「5.3.3 リストア」を参照してください。
注意
「プロキシ分離」は業務停止後に行う
バックアップデータの整合性を保証するため、「プロキシ分離」は、業務をいったん停止してから行ってください。「プロキシ分離」が完了した時点で、業務再開可能であり、テープなどへのバックアップ作業中は、業務を停止する必要はありません。
詳細については、「A.2.29 スナップショットデータの整合性」を参照してください。
注意
等価性方式によるスナップショットの利用条件
以下の留意事項を参照してください。
参考
ディスク装置のコピー機能の利用条件
「A.2.23 プロキシ構成におけるアドバンスト・コピー機能の利用」、「A.2.27 プロキシ構成における Dell EMC TimeFinder および Dell EMC SRDF の利用」を参照してください。
プロキシ結合
バックアップするボリューム (マスタボリューム) に、バックアップ用のボリューム (プロキシボリューム) を結合します。
グループ内のすべてのボリュームを一括してバックアップする場合は、バックアップするグループ (マスタグループ) に、バックアップ用のグループ (プロキシグループ) を結合します。
「プロキシ結合」の手順は、「5.2.4.1 プロキシ結合」を参照してください。
プロキシ分離
マスタからプロキシへの等価性コピーの完了をメイン画面で確認してから、プロキシをマスタから分離します。
手順を以下に示します。
分離するプロキシの選択
メイン画面の GDS 構成ツリーにおいて、バックアップするマスタボリュームのアイコンをクリックします。
マスタグループ内のすべてのマスタボリュームを一括してバックアップする場合は、マスタグループのアイコンをクリックします。
[表示]:[詳細表示切替え]:[プロキシオブジェクト] を選択すると、GDS 構成ツリーで選択したマスタオブジェクトに関連付けられているすべてのプロキシオブジェクトが、オブジェクト情報フィールドに表示されます。
オブジェクト情報フィールドにおいて、バックアップに使用するプロキシボリュームまたはプロキシグループのアイコンをクリックします。
注意
分離可能なプロキシオブジェクト
結合状態で、かつ、コピーが完了しているプロキシボリュームを分離することができます。
[分離] メニューの選択
メイン画面の [操作]:[プロキシ操作]:[分離] を選択します。
プロキシ分離環境設定
プロキシ分離画面が表示されます。
プロキシ分離の環境設定を行います。
瞬間スナップショット
等価性方式から OPC 方式に切り替えるかどうかを指定します。
初期値は「しない」です。マスタからプロキシへの等価性コピーが完了していない場合は、プロキシ分離処理が失敗します。
「する」に変更した場合、OPC 機能を使用して瞬間スナップショットを作成します。マスタからプロキシへの等価性コピー処理中であってもプロキシが分離され、分離後、マスタからプロキシへのコピー処理が OPC 機能によってバックグラウンドで実行されます。OPC 機能が使用できない場合は、プロキシ分離処理が失敗します。
注意
OPC 方式による瞬間スナップショットの利用条件
以下の注意事項を参照してください。
高速等価性回復機構
プロキシ用の高速等価性回復機構 (JRM) を設定します。初期値は「あり」です。
参照
プロキシ用の JRM の詳細ついては、「A.2.21 高速等価性回復機構 (JRM)」を参照してください。
アクセスモード
分離後のプロキシボリュームのアクセスモードを設定します。
初期値は「リードのみ」です。分離後のプロキシボリュームは読取り専用となり、書込みモードでオープンするとエラーになります。
分離後のプロキシボリュームに書込みを行う場合は、「リード/ライト」に変更してください。
設定が完了したら、<完了> をクリックします。<中止> をクリックすると、プロキシ分離処理を中止します。
プロキシ分離完了通知
プロキシ分離完了通知画面が表示されます。
<確認> をクリックして、プロキシ分離完了通知画面を閉じます。
プロキシボリュームを使用して、バックアップを行ってください。
プロキシ再結合
バックアップを再実行する場合は、分離されているプロキシを、マスタに再結合します。
手順を以下に示します。
再結合するプロキシの選択
メイン画面の GDS 構成ツリーにおいて、バックアップするマスタボリュームのアイコンをクリックします。
マスタグループ内のすべてのマスタボリュームを一括してバックアップする場合は、マスタグループのアイコンをクリックします。
[表示]:[詳細表示切替え]:[プロキシオブジェクト] を選択すると、GDS 構成ツリーで選択したマスタオブジェクトに関連付けられているすべてのプロキシオブジェクトが、オブジェクト情報フィールドに表示されます。オブジェクト情報フィールドにおいて、バックアップに使用するプロキシボリュームまたはプロキシグループのアイコンをクリックします。
[再結合] メニューの選択
メイン画面の [操作]:[プロキシ操作]:[再結合] を選択します。
プロキシ再結合確認
プロキシ再結合確認画面が表示されます。
処理を続ける場合は、<はい> をクリックします。<いいえ> をクリックすると、プロキシ再結合処理を中止します。
プロキシ再結合完了通知
プロキシ再結合完了通知画面が表示されます。
<確認> をクリックして、プロキシ再結合完了通知画面を閉じます。
プロキシ解除
バックアップ操作を繰り返さない場合は、マスタとプロキシの関連付けを解除します。
「プロキシ解除」の手順は、「5.5.5 プロキシ解除」を参照してください。
GDS Snapshot の OPC 方式によるスナップショットを利用して、ボリュームのバックアップを行う手順を説明します。この方法では、以下の「プロキシ操作」が必要です。
プロキシ関連付け
プロキシ更新
プロキシ解除
参照
OPC 方式によるスナップショットについては、「1.5.3 OPC 方式による瞬間スナップショット」を参照してください。
操作の流れは、「5.1.4.3 バックアップ (OPC 方式)」を参照してください。
注意
「プロキシ更新」は業務停止後に行う
バックアップデータの整合性を保証するため、「プロキシ更新」は、業務をいったん停止してから行ってください。「プロキシ更新」が完了した時点で、業務再開可能であり、テープなどへのバックアップ作業中は、業務を停止する必要はありません。
詳細については、「A.2.29 スナップショットデータの整合性」を参照してください。
注意
OPC 方式による瞬間スナップショットの利用条件
以下の留意事項を参照してください。
プロキシ関連付け
バックアップするボリューム (マスタボリューム) に、バックアップ用のボリューム (プロキシボリューム) を関連付けます。
グループ内のすべてのボリュームを一括してバックアップする場合は、バックアップするグループ (マスタグループ) に、バックアップ用のグループ (プロキシグループ) を関連付けます。
「プロキシ関連付け」の手順は、「5.2.4.2 プロキシ関連付け」を参照してください。
プロキシ更新
OPC 機能を使用してマスタのデータをプロキシにコピー (上書き) します。
手順を以下に示します。
更新するプロキシの選択
メイン画面の GDS 構成ツリーにおいて、バックアップするマスタボリュームのアイコンをクリックします。
マスタグループ内のすべてのマスタボリュームを一括してバックアップする場合は、マスタグループのアイコンをクリックします。
[表示]:[詳細表示切替え]:[プロキシオブジェクト] を選択すると、GDS 構成ツリーで選択したマスタオブジェクトに関連付けられているすべてのプロキシオブジェクトが、オブジェクト情報フィールドに表示されます。オブジェクト情報フィールドにおいて、バックアップに使用するプロキシボリューム (またはプロキシグループ) のアイコンをクリックします。
注意
更新可能なプロキシボリュームの状態
分離状態で、かつ、"stop" 状態のプロキシボリュームを更新することができます。
[更新] メニューの選択
メイン画面の [操作]:[プロキシ操作]:[更新] を選択します。
プロキシ更新環境設定
プロキシ更新画面が表示されます。
プロキシ更新の環境設定を行います。
瞬間スナップショット
瞬間スナップショットにするかどうかを指定します。
初期値は「しない」です。マスタボリュームからプロキシボリュームへのコピーが完了するまで、プロキシボリュームを起動することはできません。
マスタボリュームからプロキシボリュームへのコピーの完了を待たずにプロキシボリュームを起動する場合は、「する」に変更します。
設定が完了したら、<完了> をクリックします。<中止> をクリックすると、プロキシ更新処理を中止します。
プロキシ更新完了通知
プロキシ更新完了通知画面が表示されます。
手順 3. のプロキシ更新環境設定で「瞬間スナップショット - しない」を選択した場合は、メイン画面でコピー状況を確認し、コピーが完了してからプロキシボリュームを起動してバックアップを行ってください。
手順 3. のプロキシ更新環境設定で「瞬間スナップショット - する」を選択した場合は、コピーの完了を待たずにプロキシボリュームを起動してバックアップを行うことができます。
プロキシ解除
バックアップ操作を繰り返さない場合は、マスタとプロキシの関連付けを解除します。
「プロキシ解除」の手順は、「5.5.5 プロキシ解除」を参照してください。