プロキシ構成では、Dell EMC 社製ソフトウェア TimeFinder および SRDF を使用することによって、Dell EMC 社製ストレージ装置の持つコピー機能を利用して、主業務で使用しているサーバや SAN に負荷をかけずにマスタ、プロキシ間の等価性コピー処理を行うことができます。この場合、コピー処理はストレージ装置が行うため、コピー処理中にサーバを再起動しても、コピー処理は継続されます。
TimeFinder および SRDF は、物理ディスク全体のデータを他の物理ディスクにコピーする機能を提供していますが、物理ディスクの一部 (スライスなど) のデータを他のディスク領域にコピーする機能は提供されていません。そのため、プロキシ構成で TimeFinder または SRDF を利用するには、ボリュームの対ではなくグループの対をマスタとプロキシとして関連付ける必要があります。また、TimeFinder または SRDF を利用している場合、プロキシグループではなくプロキシボリュームを指定して分離、再結合、復元を行おうとすると、コマンドがエラーとなります。
マスタグループとプロキシグループを結合する前に、以下の条件を満たすように設定しておく必要があります。
TimeFinder を使用する場合:
マスタグループに接続するディスクのうちの 1 つが、クラススコープ内のすべてのノードでデバイスグループに登録されているスタンダードデバイスあること。
プロキシグループに接続するディスクが、クラススコープ内のすべてのノードで 1. のデバイスグループに関連付けられている BCV デバイスであること。
1. のスタンダードデバイスと 2. の BCV デバイスをエスタブリッシュした場合は、その BCV ペアをキャンセルしておくこと。
SRDF を使用する場合:
マスタグループに接続するディスクのうちの 1 つが、クラススコープ内のすべてのノードでデバイスグループに登録されているソース (R1) デバイスであること。
プロキシグループに接続するディスクが、クラススコープ内のすべてのノードで 1. のソース (R1) デバイスとペアとなっているターゲット (R2) デバイスであること。
1. のソース (R1) デバイスと 2. のターゲット (R2) デバイスは、スプリット状態であること。
また、プロキシ構成で使用する BCV デバイス、ソース (R1) デバイス、ターゲット (R2) デバイスの管理に関して、以下の留意事項があります。
BCV デバイスおよびターゲット (R2) デバイスは、コピー元のディスクのデータで上書きされるため、GDS の構成データベースを格納できません。したがって、BCV デバイスおよびターゲット (R2) デバイスは、「F.1.4 クラス状態に関する異常」の「(1) 運用中にクラスが閉塞状態となる。」の[説明]にある「正常にアクセス可能なディスク」には該当しません。
プロキシグループに接続する BCV デバイスおよびターゲット (R2) デバイス、およびその BCV、R2 デバイスを構成する native デバイスのうち、GDS の管理対象とするデバイスは、除外リストに記載しないでください。除外リストの詳細については、「A.2.26 Dell EMC 社製ストレージ装置を使用する場合」を参照してください。
SRDF ペアのターゲット (R2) デバイスを除外リストに記載しない場合、自動リソース登録を実施する際には、その SRDF ペアをスプリット状態にしておく必要があります。自動リソース登録の詳細については、「PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書」を参照してください。
SRDF ペアのターゲット (R2) デバイスを GDS のクラスに登録する際には、その SRDF ペアをスプリット状態にしておく必要があります。
プロキシ構成で使用する BCV デバイス、ソース (R1) デバイス、ターゲット (R2) デバイスを、SYMCLI コマンドなどで操作しないでください。
TimeFinder または SRDF を使用してコピー処理を行っているときにマスタとプロキシの強制分離を行うと、装置異常として Dell EMC 社のカスタマー・サポート・センターに通報されます。
ディスク装置のコピー機能が使用できる場合は、ディスク装置のコピー機能を使用して、マスタからプロキシへの等価性コピー処理を行います。ただし、次の場合は、ソフトコピー機能 (サーバで動作する GDS のドライバのコピー機能) を使用します。
明示的にソフトコピー機能を使用するよう指定された場合
グループの対ではなくボリュームの対をマスタとプロキシとして関連付けた場合
コピー先のプロキシグループがミラーリング構成となっている場合
マスタおよびプロキシがルートクラスに属している場合
プロキシグループに、対応するマスタボリュームと異なる物理スライス属性を持つプロキシボリュームを作成するように指定した場合
マスタグループまたはプロキシグループに、下位グループが接続されている場合
コピー元のマスタグループに、コピー先のディスクとサイズの等しいディスクが接続されていない場合
GDS Snapshot をインストールする前に、マスタまたはプロキシを構成するディスクをクラスに登録した場合
TimeFinder および SRDF は、結合、再結合したときのマスタからプロキシへの等価性コピー処理、等価性を維持するためのコピー処理、および、マスタとプロキシを分離している間の更新箇所を記録する処理で使用します。
TimeFinder および SRDF の 2 つのコピー方式を備えている装置の場合は、SRDF よりも TimeFinder を優先して使用します。
BCV ペアあるいは SRDF ペアがいったんキャンセルされると、それ以降、TimeFinder および SRDF の機能は使用されません。BCV ペアおよび SRDF ペアがキャンセルされるのは、次の場合です。
GDS 運用管理ビューの [操作]:[プロキシ操作]:[復元] を選択して実行した場合
sdxproxy Cancel コマンドを使用して、BCV ペアまたは SRDF ペアを中止 (解除) した場合
sdxproxy Join -e softcopy コマンドを使用して、マスタとプロキシを結合する際にソフトコピー機能を使用した場合
sdxproxy Rejoin -e softcopy コマンドを使用して、マスタとプロキシを再結合する際にソフトコピー機能を使用した場合
sdxproxy RejoinRestore コマンドを使用して、マスタのデータをプロキシから復元した場合
TimeFinder および SRDF の機能を使用したい場合、これらの操作を行ったら、マスタとプロキシの関係をいったん解除し、プロキシボリュームを削除してから、再び結合してください。
実行中のコピー処理がいずれの方式で行われているかは、次のいずれかの方法で確認することができます。
GDS 運用管理ビューのスライス情報フィールドの [コピー種別] フィールド
sdxinfo コマンドで表示される CPTYPE フィールド
また、マスタとプロキシの間に存在する BCV ペアおよび SRDF ペアの種類と状態は、sdxinfo コマンドで表示される FUNC フィールドと CPSTAT フィールドで確認できます。
注意
Solaris 11 での Dell EMC TimeFinder および Dell EMC SRDF の利用
Solaris 11 では、Dell EMC TimeFinder および Dell EMC SRDF を利用して、マスタ、プロキシ間の等価性コピー処理はできません。
Dell EMC 社製ストレージ装置を使用している場合、マスタ、プロキシ間の等価性コピー処理ではソフトコピー機能が使用されます。