ETERNUSマルチパスドライバまたは Dell EMC PowerPath のデバイスをGDSに登録しているシステムにおいて、マルチパスソフトウェア(ETERNUSマルチパスドライバまたはPowerPath) をアップグレードするときに必要な手順を説明します。
本作業では、すべての業務を停止する必要があります。
以下の手順を実施する前に、システムディスクおよびユーザのデータをバックアップしてください。
クラスの情報表示
以下のコマンドをすべてのノードで実施し、作成されているクラスの構成情報を確認します。
# sdxinfo -C
OBJ NAME TYPE SCOPE SPARE
------ ------- -------- ----------- ----
class class00 shared node1:node2 0
class class01 shared node1:node2 0
class class02 local node1 0 |
アプリケーションの停止
アップグレードするマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスクにアクセスしているすべてのアプリケーションを停止します。
また、umount(1M) コマンドでそのストレージ装置のディスク上に作成したファイルシステムをアンマウントします。
RMS の停止
以下の手順に従ってRMSを停止します。
3-1) RMS が動作しているいずれかのノードで以下のコマンドを実行し、RMSを停止します。
# hvshut -a |
3-2) RMS が正しく停止したことを確認するため、すべてのノードで以下のコマンドを実行し、"RMS is not running."というメッセージが出力されることを確認します。
# hvdisp -a |
3-3) マルチパスソフトウェアのアップグレードが完了するまで RMS を自動起動しないように設定します。
RMSを使用しているすべてのノードで以下のコマンドを実行します。
# hvsetenv HV_RCSTART 0 |
GDS の構成情報の退避
以下の手順に従って GDS の構成情報を退避します。
以下の手順の mydir には、/tmp 配下以外のディレクトリを指定してください。
4-1) クラスの構成情報を退避します。
アップグレードするマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスクが登録されているすべてのクラスに対して、クラススコープに含まれている任意のノードで以下のコマンドを実行します。
クラススコープは、手順 1.で実行した sdxinfo -C コマンドの出力の SCOPE 欄で確認できます。
# sdxconfig Backup -c classname -o /mydir/classname.bkup |
4-2) ボリュームを停止します。
アップグレードするマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスクが登録されているすべてのクラスに対して、クラススコープに含まれている任意のノードで以下のコマンドを実行します。
共用 (shared) クラスの場合
# sdxvolume -F -c classname -e allnodes |
ローカル (local) クラスの場合
# sdxvolume -F -c classname |
4-3) 共用クラスをローカルクラスに変更します。
アップグレードするマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスクが登録されているすべての共用クラスに対して、クラススコープに含まれている任意のノードで以下のコマンドを実行します。
# sdxattr -C -c classname -a type=local |
4-4) クラスを削除します。
アップグレードするマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスクが登録されているすべてのクラスに対して、手順 4-3) と同じノードで以下のコマンドを実行します。
# sdxconfig Remove -c classname |
シングルユーザモードへの移行
以下のコマンドを実行し、シングルユーザモードへ移行します。
# /usr/sbin/shutdown -i0 -g0 -y : : ok boot -s : : # mountall -l |
マルチパスソフトウェアのアップグレード
マルチパスソフトウェアをアップグレードします。
PowerPath のアップグレードは、Dell EMC 社のエンジニアが行います。
マルチパスソフトウェアのアップグレード後、マルチパスデバイスおよび native デバイス名がアップグレード前から変更されていないことを確認してください。
デバイス名が変更されていた場合、アップグレード前と同じデバイス名に変更してください。PowerPathの場合、Dell EMC 社のエンジニアに依頼してください。
マルチユーザモードへの移行
全ノードで以下のコマンドを実行し、マルチユーザモードへ移行します。
# /usr/sbin/shutdown -i6 -g0 -y |
除外リストの設定
PowerPathをアップグレードした場合で、除外リストが作成されていない場合は、作成します。
本作業は、Dell EMC 社製ストレージ装置のディスクをクラスに登録するすべてのノードで行います。
除外リストの作成方法については、「A.2.26 Dell EMC 社製ストレージ装置を使用する場合」を参照してください。
GDS の構成情報の復元
以下の手順に従ってGDSの構成情報を復元します。
9-1) クラスの構成情報を復元します。
アップグレードしたマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスクが登録されていたすべてのクラスに対して、クラススコープに含まれている任意のノードで以下のコマンドを実行します。
クラススコープは、手順 1. で実行した sdxinfo -C コマンドの出力の SCOPE 欄で確認できます。
# sdxconfig Restore -c classname -i /mydir/classname.bkup |
上記のコマンドを実行すると、コマンドを実行したノードで、クラスがローカルクラスとして復元されます。
9-2) システムを再起動します。
手順 9-1) と同じノードで以下のコマンドを実行します。
# /usr/sbin/shutdown -i6 -g0 -y |
9-3) ローカルクラスを共用クラスに変更します。
アップグレードしたマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスクが登録されていたすべての共用クラスについて、手順9-1) で復元されたローカルクラスを共用クラスに変更します。
手順1) で実行した sdxinfo -C コマンドの出力の TYPE 欄に shared と表示されているクラスに対し、手順 9-1) と同じノードで以下のコマンドを実行します。
# sdxattr -C -c classname -a type=shared,scope=nodename1:nodename2 |
9-4) クラスを RMS リソースとして使用するための設定を行います。
アップグレードしたマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスクが登録されているすべての共用クラスに対して、クラススコープに含まれている任意のノードで以下のコマンドを実行します。
# /opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvgdsetup -a classname |
クラスの復元確認
以下のコマンドをすべてのノードで実行し、復元したすべてのクラスが正しく表示されることを確認します。
# sdxinfo -C |
RMS の起動
以下の手順に従ってRMSを起動します。
11-1) 以下のコマンドをいずれかのノードで実行しRMS を起動します。
# /opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvcm -a |
11-2) 以下のコマンドをすべてのノードで実行し、RMS が正しく起動したことを確認します。
# hvdisp -a |
11-3) ノード起動時に RMS を自動起動させる場合は、RMS を使用するすべてのノードで以下のコマンドを実行します。
# hvsetenv HV_RCSTART 1 |
アプリケーションの起動
mount(1M) コマンドで アップグレードしたマルチパスソフトウェアが適用されているストレージ装置のディスク上のファイルシステムをマウントします。
また、そのストレージ装置のディスクを使用するアプリケーションを起動します。