エージェントを導入しないサーバに対するOracle環境情報の設定について説明します。
Oracle環境情報には大きく分けて以下の5つの情報があります。
被監視システムの情報を設定します。
被監視システムのOracleの情報を設定します。
Oracleの状態監視機能を使用する場合の情報を設定します。
アラートログ監視機能を使用する場合の情報を設定します。
Data Guardに関する監視機能を使用する場合、スタンバイ・データベースの情報を設定します。
インストールレス型エージェント監視でのOracle環境情報の設定は、インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報設定コマンドで行います。
コマンドでは、「インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイル」を作成してOracle環境情報の設定を行います。
注意
Oracle環境情報の設定を行う場合の注意事項
Oracle環境情報には、以下の監視機能のいずれかを必ず設定してください。両方を設定することも可能です。
Oracle状態監視機能
アラートログ監視機能
監視対象とするOracleの構成等を変更した場合、Oracle環境情報の設定を再度実施してください。
[クラスタ運用時]
以下の場合はOracle環境情報を再設定する必要があります。
被監視システムの運用構成をクラスタシステムから非クラスタシステムへ変更した場合
被監視システムの運用構成を非クラスタシステムからクラスタシステムへ変更した場合
以下の手順で実施してください。
インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイルを作成する
“6.4.2.1 インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイルについて”を参照し、定義ファイルを作成します。定義ファイルは、運用管理サーバ上に作成してください。
インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイルの内容を確認する
1.の手順で作成した定義ファイルの内容確認を行います。
運用管理サーバ上で以下のコマンドを実行してください。
【UNIX版】
コマンドは、スーパーユーザで実行する必要があります。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporaenvsetals -c FILENAME <ENTER> |
【Windows版】
コマンドは、AdministratorsグループおよびDmAdminグループに属するユーザで実行する必要があります。
mporaenvsetals.exe -c FILENAME <ENTER> |
1.の手順で作成した定義ファイルをフルパスで指定してください。
エラーがあった場合は、ファイルを修正し、再度確認を行ってください。
インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報設定コマンドを実施する
2.の手順で内容を確認した後、Oracle環境情報の設定を行います。
運用管理サーバ上で以下のコマンドを実行してください。
【UNIX版】
コマンドは、スーパーユーザで実行する必要があります。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporaenvsetals -a FILENAME <ENTER> |
【Windows版】
コマンドは、AdministratorsグループおよびDmAdminグループに属するユーザで実行する必要があります。
mporaenvsetals.exe -a FILENAME <ENTER> |
1.の手順で作成した定義ファイルをフルパスで指定してください。
ポリシー配付を行う
Systemwalkerコンソールのメニュー[ポリシー]-[監視]-[ポリシーの配付]を選択します。
[ポリシーの配付]画面で「すぐに適用する」を選択して[OK]ボタンを選択します。
エージェントを導入していないサーバに対して「Oracle環境情報」を設定するために使用するインストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイルについて説明します。
定義ファイルは運用管理サーバ上に作成し、インストールレス型エージェント監視Oracle環境設定コマンドで使用します。
インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイルの形式は以下のとおりです。
[FILE_VERSION] 被監視システムの情報を設定します。 ・“Oracle環境情報(必須)” |
ファイル先頭に[FILE_VERSION]を記述します。
被監視システムの情報を設定します。
[AGENT_ENV]を記述します。
[AGENT_ENV]から[STANDBY_ENV]までが[AGENT_ENV]に記述した監視対象サーバの情報となります。
監視対象のOracleの情報を設定します。
[INSTANCE_ENV]を記述します。
Data Guardに関する監視機能を使用する場合、スタンバイ・データベースの情報を設定します。
[STANDBY_ENV]を記述します。
スタンバイ・データベースが複数ある場合、スタンバイ・データベースの数だけ繰り返して設定してください。
監視対象のOracleが複数ある場合、3~4を繰り返し記述します。
注意
ファイルは運用管理サーバ上に作成してください。
(ディレクトリおよびファイル名は任意です。)
「=」の右側を文字コードASCIIで入力します。
各項目の記述位置については“6.4.2.2 インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイルの作成例”を参照してください。
行の最後には改行を設定してください。
設定値を省略する場合、対象となる行を省いてください。
セミコロン(;)から始まる行はコメント行となります。
行の途中からコメントを記入することはできません。
「=」の前後に空白およびタブを入れないでください。
空白行は挿入可能です。
監視対象となるサーバに対し設定可能なOracle環境情報の数は16です。
各項目に対して指定可能な項目長を超える長さの値が設定されている場合、エラーとなります。
定義ファイルの記述に誤りがある場合、処理が中断され、Oracle環境情報は設定されません。
以下の項目については、英大文字で指定してください。
OSコード系
Oracleキャラクタセット
mount状態のOracle監視の有無
Alertログファイルの扱い
設定する値には以下の文字を使用しないでください。
"、<、>、&、%、;、*、^、|、'、`、[、]、(、)、?、#
以下に、インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイルに設定する内容について説明します。
ファイル情報(必須)
このファイルのファイルバージョンを設定します。
ファイル情報は[FILE_VERSION]の下に記述します。
定 義 | 設定する値 |
---|---|
VERSION | ファイルバージョン(「a000」固定)を設定します。 |
サーバ情報(必須)
監視対象のサーバに関する情報を設定します。
サーバ情報は[AGENT_ENV]の下に記述します。
定 義 | 設定する値 |
---|---|
SERVER_NAME (*1) | 被監視システムのホスト名を設定します。 |
OS_NAME | 被監視システムのOS種別を設定します。
インストールレス型エージェント監視で監視できるOSについては、“1.6.1 エージェントを導入しないでOracleを監視する”を参照してください。 |
OS_CODE | 被監視システムのOSで使用する文字コード種別を設定します。英大文字で記述してください。
|
[クラスタ運用の場合] | 被監視システムのクラスタの運用形態を設定します。被監視システムをクラスタ運用している場合に指定してください。
|
WK_DIR | 被監視システムで使用する作業ディレクトリを設定します。アラートログ監視機能を使用する場合に指定してください。 最大項目長は1024文字(ASCII英数字換算)です。 指定するディレクトリについては、“5.9.2 エージェントを導入しないサーバ側の設定”を参照してください。 |
Oracle環境情報(必須)
監視対象のOracleに関する情報を設定します。
Oracle環境情報は[INSTANCE_ENV]の下に記述します。
定 義 | 設定する値 |
---|---|
ORA_VL | 監視対象となるOracleのバージョンを設定します。
|
ORA_CHAR_SET | 監視対象となるOracleのキャラクタセットを設定します。
|
ORA_SID | 監視対象とするOracleのORACLE_SIDを設定します。 |
Oracle状態監視機能
Oracleの状態監視機能を使用する場合に設定する項目について説明します。
Oracleの状態監視機能を使用しない場合は設定する必要はありません。
Oracle状態監視機能の設定は[INSTANCE_ENV]の下に記述します。
定 義 | 設定する値 |
---|---|
CLI_ORA_HOME | 運用管理サーバのOracleクライアントのORACLE_HOMEを設定します。 |
ORA_USER_ID | 被監視システムのOracleにログインするために使用するOracleのユーザ名を設定します。 |
MNT_DB | mount状態のOracleの監視について設定します。
省略した場合、「N」が設定されます。 |
ORA_PASS_WD | Oracleユーザ名に対するパスワードを設定します。 |
ORA_PORT | 接続時に使用するリスナーのポート番号を指定します。 |
(*1) 設定するORA_USER_ID(Oracleユーザ名)およびORA_PASS_WD(Oracleユーザパスワード)は、監視対象となるOracleにログイン可能であるか確認したものを設定してください。確認方法については、“5.9.1 運用管理サーバ側の設定”の“Oracle状態監視を利用する場合”を参照してください。
(*2) MNT_DB(mount状態のOracleの監視)の設定によって、ORA_USER_ID(Oracleユーザ名)に指定するユーザが異なります。
「N(行わない)」を設定した場合
systemまたは同等の権限を持つOracleユーザを設定します。
[例] system
「Y(行う)」を設定した場合
sysdba権限を持つOracleユーザを設定します。
[例] sys
参照
mount状態で起動しているOracleの監視について
Oracle状態監視の一部の監視項目が無効となります。
監視項目の詳細は“6.3.3 各監視項目の設定について”を参照してください。
参考
Oracleへの接続確認方法
エージェントを導入していないサーバに対して、インストールレス型Oracle環境情報に設定する以下の情報を使用して接続確認を行う方法については、“5.9.1 運用管理サーバ側の設定”の「Oracle状態監視を利用する場合」を参照してください。
SERVER_NAME
ORA_SID
ORA_USER_ID
ORA_PASS_WD
ORA_PORT
アラートログ監視機能
アラートログ監視機能を使用する場合に設定する項目について説明します。
アラートログ監視機能を使用しない場合は設定する必要はありません。
アラートログ監視機能の設定は[INSTANCE_ENV]の下に記述します。
定 義 | 設定する値 |
---|---|
ALERT_DIR | アラートログファイルの格納ディレクトリを設定します。 設定する値に"#"は指定できません。 |
ALERT_NAME | アラートログファイル名を設定します。 設定する値に"#"は指定できません。 |
[クラスタ運用の場合] | クラスタシステムで使用するアラートログファイルの扱い方法を設定します。 「L」(同一のアラートログファイルを使用しない) |
(*1) 設定する内容については、“Systemwalker for Oracle エージェントクラスタ ユーザーズガイド”-“「Alertログファイルの扱い」について”を参照してください。
スタンバイ・データベース情報[EE]
Data Guard環境に関する監視機能を使用する場合に設定する項目について説明します。
Data Guard環境に関する監視機能を使用しない場合は設定する必要はありません。
スタンバイ・データベースの設定は[STANDBY_ENV]の下に記述します。
ポイント
Data Guardに関する監視機能には、以下の監視機能があります。
Oracle状態監視の「Data Guard運用状況の監視」
Data Guardに関する監視機能は、Oracle環境情報に設定したOracleがプライマリ・データベースの場合に動作します。
プライマリ・データベースのOracle環境情報に対してスタンバイ・データベース情報を設定します。
Oracle環境情報に設定したOracleがスタンバイ・データベースの状態ではData Guardに関する監視機能は動作しません。
注意
Data Guardに関する監視機能について
スタンバイ・データベースがクラスタ構成の場合、以下の構成をサポートします。
1:1運用待機構成
相互待機構成
以下に設定する各項目について説明します。
各項目にはスタンバイ・データベースの情報を設定します。
また、“接続確認方法”を参照し、設定内容に誤りがないことを確認してください。
定 義 | 設定する値 |
---|---|
STB_HOST_NAME | サーバのホスト名を設定します。 |
STB_ORA_SID | ORACLE_SIDの値を設定します。 |
STB_USER_ID | Oracleにログインするために使用するOracleのユーザ名を設定します。 |
STB_PASS_WD | Oracleユーザ名に対するパスワードを設定します。 |
STB_PORT | 接続時に使用するリスナーのポート番号を指定します。 |
(*1) スタンバイ・データベースがクラスタ構成の場合、「ホスト名」には以下を設定してください。
1:1運用待機構成、および相互待機構成の場合、論理ホスト名を設定します。
(*2) sysdba権限を持つOracleユーザ名を設定します。
ポイント
スタンバイ・データベースが複数存在する場合
スタンバイ・データベースが複数存在する場合、スタンバイ・データベースごとに情報を設定します。
[STANDBY_ENV]をスタンバイ・データベースの数だけ繰り返し設定してください。
設定可能なスタンバイ・データベース情報の最大数は9です。
例
[FILE_VERSION] ;Oracle環境情報 |
参考
接続確認方法
[STANDBY_ENV]に設定する値を使用して、各データベースへの接続確認を行う方法の例を以下に示します。
なお、[STANDBY_ENV]の設定内容は以下のとおりとします。
STB_HOST_NAME (ホスト名) =mpor11
STB_ORA_SID (ORACLE_SID) =ora10_1
STB_USER_ID (Oracleユーザ名)=sys1
STB_PASS_WD (Oracleユーザパスワード)=pwsys1
STB_PORT (リスナーのポート番号)=1524
#sqlplus /nolog <ENTER> |
接続できなかった場合、[STANDBY_ENV]に設定する値を確認し、再度接続確認を行ってください。
インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイルの作成例を以下に示します。
以下は被監視システムがSolarisの場合の例です。
[FILE_VERSION] VERSION=a000 <ファイルバージョン> ;サーバ情報 [AGENT_ENV] SERVER_NAME=host <被監視システムのホスト名> OS_NAME=Solaris <被監視システムのOS種別> OS_CODE=EUC <被監視システムのOSコード系> CLS_MODE=hot_standby <クラスタの運用形態> WK_DIR=/home/user/tmp <被監視システムの作業ディレクトリ> ;Oracle環境情報 [INSTANCE_ENV] ORA_VL=10.2.0 <Oracleバージョン> ORA_CHAR_SET=JA16EUC <Oracleキャラクタセット> ORA_SID=ora10 <ORACLE_SID> CLI_ORA_HOME=/oracle/ora10/product/10 <ORACLE_HOME> ORA_USER_ID=system <Oracleユーザ名> MNT_DB=N <mount状態での監視> ORA_PASS_WD=pwsystem <Oracleユーザパスワード> ORA_PORT=1521 <リスナーで使用するポート番号> |
インストールレス型エージェント監視で、Oracle環境情報の設定内容の確認を行う場合、運用管理サーバ上で以下のコマンドを実行してください。
【UNIX版】
コマンドは、スーパーユーザで実行する必要があります。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporaenvdspals { -h ホスト名 | -all }<ENTER> |
【Windows版】
コマンドは、AdministratorsグループおよびDmAdminグループに属するユーザで実行する必要があります。
mporaenvdspals.exe { -h ホスト名 | -all } <ENTER> |
[オプション]
指定されたホストに対する「Oracle環境情報」の設定内容を表示します。
すべてのホストに対する作成済みの「Oracle環境情報」の設定内容を表示します。
注意
設定内容は「インストールレス型エージェント監視Oracle環境情報定義ファイル」の形式で表示されます。
以下の項目は空の状態で表示されます。
ORA_PASS_WD (Oracleユーザパスワード)
STB_PASS_WD (スタンバイ・データベース情報のOracleユーザパスワード)