Exchangeデータベースのバックアップは、Exchangeサーバ上で12.5.4 swsrpvssbackup_exchange(Exchange VSSバックアップ実行コマンド)を実行することにより行います。本コマンドはストレージグループ単位でバックアップを行います。
注意
バックアップ実行時、ストレージグループのすべてのデータベース(ストア)はマウントされていなければなりません。データベースがマウントされていない場合には、バックアップ処理は異常終了します。
[実行例]
C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpvssbackup_exchange -evs VSVR -sgname FirstStorageGroup swsrpvssbackup_exchange successfully completed C:\> |
本コマンドを実行すると以下の処理が行われます。
ストレージグループを構成するすべてのファイル(*.edb、*.log、*.chk)のシャドウコピーが指定したコピーセットグループのバックアップボリュームに作成されます。シャドウコピー後のバックアップボリュームは読み取り専用(read-only)ボリュームとなります。
スナップショット型バックアップの場合は、OPC/ QuickOPCを起動することによりシャドウコピーを作成します。
シャドウコピー作成後、ESEUTILを使用してバックアップデータの検証が行われます。バックアップの終了後、不要ログの削除(切捨て)がExchangeによって行われます。
-skipchkオプションによりバックアップデータの検証を回避することも可能です。詳細については「12.5.4 swsrpvssbackup_exchange(Exchange VSSバックアップ実行コマンド)」を参照してください。
ライタメタデータドキュメント(writer metadata document)およびバックアップコンポーネントドキュメント(backup components document)がバックアップサーバの以下の場所に保存されます。これらのファイルはリストア時に使用されます。
ファイル | 出力先 |
---|---|
ライタメタデータドキュメント | 環境設定ディレクトリ\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc \<ストレージグループ名>.wmd.xml |
バックアップコンポーネントドキュメント | 環境設定ディレクトリ\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc \<ストレージグループ名>.bcd.xml |
注意
バックアップ時の注意事項
VSSの仕様上、並列に(パラレルに)複数のバックアップ処理を実行することはできません。複数のストレージグループが存在する場合、複数のバックアップ処理を並列に実行するのではなく、逐次的に(シーケンシャルに)実行する必要があります。並列に複数のバックアップ処理を実行した場合、先行処理のシャドウコピー作成が終わるまで後続処理は待ち状態となります。
バックアップ実行後、バックアップサーバ上の各ボリュームについて、物理ディスク番号が変更される可能性があります。各ボリュームのドライブ文字およびマウントポイントには影響ありません。ただし、バックアップボリュームのドライブ文字およびマウントポイントを維持する必要がある場合は「9.2.3.2.3 ドライブ文字マップファイルの準備」を実施しておく必要があります。
作成したシャドウコピーの情報やアドバンスト・コピーの進捗状況は、Exchangeサーバ上で12.5.6 swsrpshadowadm_exchange(Exchange VSSシャドウコピー管理コマンド)を実行することによって確認できます。
[スナップショット型バックアップの例]
C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpshadowadm_exchange status -evs VSVR -sgname FirstStorageGroup [Shadow Copy Status] Original-Volume Replica-Volume Latest-Creation-Time Snapshot-ID SnapshotSet-ID g1d1p1@EXCHG-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) g1d11p1@BKUP-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) 2005/06/23 03:23 {XXXX} {XXXX} g1d2p1@EXCHG-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) g1d12p1@BKUP-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) 2005/06/23 03:23 {XXXX} {XXXX} [AdvancedCopy Status] Type Group Original-Disk Replica-Disk Status Execute Trk Update QOPC ---- g1d1@EXCHG-SVR g1d11@BKUP-SVR snap ---- on 3% QOPC ---- g1d2@EXCHG-SVR g1d12@BKUP-SVR snap 83% on ---- C:\> |
バックアップを実行すると、リストア時に必要となるメタデータデータドキュメント(ライタメタデータドキュメントおよびバックアップコンポーネントドキュメント)がバックアップサーバに出力されます。
テープバックアップを行う際はバックアップボリューム上のデータだけでなく、これら2つのファイルもバックアップする必要があります。したがって、テープバックアップまで含めたバックアップの流れは以下となります。
図9.46 スナップショット型バックアップの場合
バックアップディスク(LUN)にボリューム(パーティション)が存在している場合、バックアップ処理前(スナップショット型バックアップの場合)にいったんマウントポイントを解除します。このため、バックアップ時にはバックアップボリュームを使用しているプロセスが存在しないようにしてください。
Windows Server 2008環境では、業務ディスクに関連付けられたバックアップディスクは1つに限定されているため、1つのバックアップディスクを繰り返して使用します。
バックアップディスクは下図のいずれかの状態となります。バックアップ実行時、バックアップディスクは初期状態または状態Aにあり、状態Aの場合はバックアップ処理の前にシャドウコピー削除が行われ、状態Bとなります。
図9.47 バックアップディスクの状態遷移
初回のバックアップ以外には初期状態になることはないため、バックアップディスクはバックアップ運用中、状態Aと状態Bの間を遷移します。
図9.48 スナップショット型バックアップの場合
注意
12.5.6 swsrpshadowadm_exchange(Exchange VSSシャドウコピー管理コマンド)または12.5.8 swsrpshadowadm(シャドウコピー管理コマンド)を使用してディスク上の全てのシャドウコピーを削除した場合、そのディスクはオフライン状態になります。AdvancedCopy Managerではオフライン状態のディスクのコピーを行う事ができませんので、引き続きシャドウコピーを削除したディスクをバックアップディスクとして使用する場合は、ディスクをオンラインにしてください。Windows Server 2008のディスクのオンライン/オフラインについては「1.7.4 ディスクのオンライン/オフラインに関する注意事項」を参照してください。
12.5.4 swsrpvssbackup_exchange(Exchange VSSバックアップ実行コマンド)を実行したディスクのパーティション構成を変更する場合は、初期状態に戻した後に作業を行う必要があります。手順については「9.2.6 構成変更」を参照して下さい。