PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.2 (Linux版)
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付録A 留意事項> A.2 注意事項

A.2.12 高速等価性回復機構 (JRM)

高速等価性回復機構 (JRM)には、ボリューム用、スライス用、プロキシ用の3種類があります。

 

■ボリューム用のJRM

ボリューム用のJRMは、パニックなどによってシステムがダウンした後のリブート時に行われる等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDSは、書込み処理中の箇所を占有スライスに記録しています。不測のシステムダウン後のリブート時に行われる等価性回復コピーでは、システムダウンが発生した時点で書込み処理中であった部分のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復し、コピー処理の負荷を最小限に抑えます。

 

■スライス用のJRM

スライス用のJRMは、ボリュームから一時的に切り離されていたスライスをボリュームに再度組み込む際の等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDSは、スライスが切り離されている間、ボリュームおよびスライスの更新箇所をメモリに記録しています。スライスを再度組み込む際に行われる等価性回復コピーでは、更新箇所のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復します。

スライス用のJRMは、スライスのjrm属性をオンに設定してスライスを切り離した場合に有効になります。しかし、スライスを切り離した状態で、システムが停止した場合、またはsdxslice -Tコマンドによるスライスの引継ぎを行った場合、以降にスライスを組み込む際には、高速等価性回復コピーは行われません。つまり、更新部分のみでなく、ボリューム全体のコピーが行われます。

したがって、計画的なシステムシャットダウンやスライスの引継ぎを行う前には、スライスをボリュームにいったん組み込むことを推奨します。

 

■プロキシ用のJRM

プロキシ用のJRMは、マスタから分離されていたプロキシを再びマスタに結合する際、およびマスタのデータをプロキシから復元する際の等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDSは、プロキシが分離されている間、マスタおよびプロキシの更新箇所をメモリに記録しています。再結合または復元の際に行われる等価性回復コピーでは、更新箇所のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復します。

プロキシ用のJRMは、プロキシボリュームのpjrm属性をオンに設定してプロキシボリュームを分離した場合に有効になります。しかし、プロキシを分離している状態で、クラスのスコープに含まれている任意の1ノードが停止した場合、再結合および復元の際には、高速等価性回復コピーは行われません。つまり、更新箇所のみでなく、ボリューム全体のコピーが行われます。

したがって、計画的なシステムシャットダウンを行う前には、プロキシをマスタにいったん再結合することを推奨します。

ディスク装置のコピー機能を利用している場合は、このような考慮は不要です。



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