PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.2 (Linux版)
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目次

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D.5 sdxslice − スライスの操作
■形式
sdxslice -F -c class -s slice,...
sdxslice -M -c class -d disk -v volume
[-a attribute=value[,attribute=value]]
sdxslice -N -c class -s slice,...
sdxslice -R -c class {-d disk -v volume|-s slice}
[-e delay=msec,waitsync]
sdxslice -T -c class -s slice,...
■機能説明
sdxsliceは、スライス・オブジェクト(シャドウスライスは除く)を操作するためのコマンドです。スーパユーザ権限を持つユーザだけがsdxslice コマンドを実行することができます。
ルートクラスのスライスの操作はできません。
■基本オプション
以下の基本オプションのうち、いずれかを指定します。
- -F
- oFfline
slice,... で指定された1つあるいは複数のスライスを停止させます。停止されたスライスにはアクセスすることができません。
slice には、-Mオプションを使ってミラーボリュームから切り離されたミラースライスのスライス名を指定します。
class には、slice が属しているクラスのクラス名を指定します。
停止されたスライスは、リブート時には起動されます。
slice が使用中の場合、コマンドは異常終了します。
- -M
- Make
disk で指定されたディスクの一部で、volume で指定された多重度が2以上のミラーボリュームの、コピーの1つであるミラースライスを、volume から一時的に切り離します。class には、volume が属しているクラスのクラス名を指定します。
volume の物理スライス属性がオンの場合のみ、スライスの切離しが可能です。物理スライス属性がオフの場合は、sdxattr -Vコマンドを使用してオンに変更してから、実行してください。
切離しが完了すると、スライス単独でアクセス可能な特殊ファイルを作成して、次のようなパス名を表示します。
/dev/sfdsk/class/rdsk/disk.volume【Linux2.4】
/dev/sfdsk/class/dsk/disk.volume
ユーザは、この特殊ファイルを使って、スライスへアクセスすることができます。たとえば、このスライスをもとにしてvolume のデータのバックアップを採取することが可能です。
class が共用クラスの場合、切離しを行ったノードだけがスライスへアクセスできます。class を共用している他のノードからはアクセスすることができません。他のノードから使用したい場合は、-Tオプションを使ってスライスへのアクセス権を引き継ぐことができます。
volume が起動中であっても切離し可能ですが、切り離されたスライスデータの整合性についてはデータを管理しているファイルシステム層あるいはデータベース層などで確保しなければなりません。たとえば、ファイルシステムとして使用している場合、fsckコマンドによる整合性修復が必要となる場合があります。

-Rオプションを使ってスライスの組込みを行わない限り、ミラーの多重度は低下したままの状態となります。
- -N
- oNline
slice,... で指定された1つあるいは複数のスライスを起動します。起動されたスライスはアクセス可能になります。
slice には、-Mオプションを使ってミラーボリュームから切り離されたミラースライスのスライス名を指定します。
class には、slice が属しているクラスのクラス名を指定します。
- -R
- Remove
disk とvolume との組合せで指定されたスライス、あるいはslice で指定されたスライスを、ボリュームに再度組み込みます。
disk とvolume の組合せ、あるいはslice には、-Mオプションを使ってミラーボリュームから切り離されたミラースライスのスライス名を指定します。
class には、スライスが属しているクラスのクラス名を指定します。
sdxsliceコマンドの復帰後(-e waitsync指定時は復帰前)、スライスは自動的にボリュームに対して組み込まれます。このとき、ボリュームが起動中であれば、等価性コピーが行われます。
スライスが使用中の場合、コマンドは異常終了します。
- -T
- Takeover
slice で指定された1つあるいは複数のスライスを、他ノードから引き継ぎます。引継ぎが完了すると、他ノードではスライスが停止されて自ノードで起動されます。また、引継ぎが完了すると、自ノードにおけるスライスの操作が可能となります。このコマンドを実行すると、以降にスライスをボリュームに組み込んだ際には、高速等価性回復モードの設定値に関係なく、すべてのブロックがコピーされます。
このオプションは、共用クラスに対してのみ有効です。
slice には、-Mオプションを使ってミラーボリュームから切り離されたミラースライスのスライス名を指定します。
class にはslice が属しているクラスのクラス名を指定します。
スライスが使用中の場合、コマンドは異常終了します。
■サブオプション
以下のサブオプションが指定できます。
- -a attribute=value [,attribute=value] (-M指定時)
- スライスの属性であるattribute をvalue に設定します。いずれの属性値も-Rオプションによりスライスがボリュームに組み込まれた時点で無効になります。
attribute には属性名、value には属性値を指定します。attribute とvalue の間には、必ずイコール(=)を入れます。複数の属性を設定する場合は、これらの指定子の組合せをカンマ(,)で区切って指定します。
attribute とvalue には、以下の組合せが指定できます。
複数の属性が指定された場合、一部の処理でエラーが発生すると一切処理を行いません。
- jrm=onまたはjrm=off (省略時はon)
- スライスの高速等価性回復モードを設定します。
- on
- 高速等価性回復モードをオンにします。
- off
- 高速等価性回復モードをオフにします。
- mode=rwまたはmode=ro (省略時はrw)
- スライスのアクセスモードを設定します。
- rw
- アクセスモードを読書き用に設定します。
- ro
- アクセスモードを読取り専用に設定します。読取り専用のスライスを書込みモードでオープンすると、エラーとなります。
- -c class
- class には、スライスが属しているローカルクラスまたは共用クラスのクラス名を指定します。
- -d disk (-M,-R指定時)
- disk には、操作対象となるスライスが属しているディスクのディスク名を指定します。
- -e delay=msec (-R指定時)
- ボリュームと切り離されていたスライスとの等価性コピー処理にともなうディスクへの入出力要求の発行を、msec で指定された時間(単位はミリ秒)だけ遅延させます。
delayとmsec の間には、必ずイコール(=)を入れます。
本オプションによって、ボリュームを使用しているアプリケーションへの影響を調整できます。
遅延時間の省略値は0です。
msec に指定可能な値は、0から1000までです。
- -e waitsync (-R指定時)
- 等価性コピー処理が行われる場合、コピー処理の完了を待ってコマンドを復帰させます。
- -s slice (-R指定時)
- slice には、操作対象となるスライスのスライス名を指定します。
スライス名は、disk.volume の形式で指定してください。
- -s slice,... (-F,-N,-T指定時)
- slice には、操作対象となる1つあるいは複数のスライスのスライス名を指定します。複数のslice を指定する場合は、スライス名をカンマ(,)で区切って指定します。
スライス名は、disk.volume の形式で指定してください。
- -v volume (-M,-R指定時)
- volume には、操作対象となるスライスから構成されるボリュームのボリューム名を指定します。
■戻り値
正常終了した場合には0を返し、そうでない場合には0以外の値を返します。
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