パターン | システム領域 | データ領域 |
---|---|---|
A | 障害 | 障害 |
B | 正常 | 障害 |
C | 障害 | 正常 |
図6.1 ディスク障害の復旧作業フロー
ディスク障害が発生した場合は、「図6.1 ディスク障害の復旧作業フロー」に従って復旧作業を実施してください。
ディスク障害の発生箇所が「表6.6 ディスク障害の発生箇所」のどのパターンに該当するか確認します。
パターンAまたはパターンBに該当する場合
クラウドプロバイダーにバックアップされているデータを使って、システム全体の復旧を行います。
復旧手順は、「6.4.1.2 クラウドプロバイダーのデータからの復旧」を参照してください。
パターンCに該当する場合
システムバックアップの存在有無によって復旧手順が異なります。
システムバックアップが存在しない場合
クラウドプロバイダーにバックアップされているデータを使って、システム全体の復旧を行います。
復旧手順は、「6.4.1.2 クラウドプロバイダーのデータからの復旧」を参照してください。
システムバックアップが存在する場合
システムリストアを行うことで、データ領域を維持した状態でリストアします。
復旧手順は、「6.4.1.3 システムバックアップからの復旧」を参照してください。
注意
システムバックアップを採取するとき、仮想アプライアンスに割り当てたネットワークのMACアドレスが引き継がれるようにしてください。
バックアップを採取したあとに、共有フォルダの追加・削除などの構成変更を実施していた場合は、「6.4.1.2 クラウドプロバイダーのデータからの復旧」を参照してシステム全体の復旧を行ってください。
クラウドプロバイダーにバックアップされているデータを使ってシステムを復旧する手順は、以下のとおりです。
障害が発生した物理ディスクを正常な物理ディスクに交換します。
サーバ仮想化ソフトウェアから、障害が発生した物理ディスクに構築されている、本製品が動作していた仮想マシンを削除します。
参考
ディスク障害の発生箇所が「表6.6 ディスク障害の発生箇所」のパターンBの場合は、正常な物理ディスク上に残っているシステム領域の仮想ディスクも削除されます。
サーバ仮想化ソフトウェア上に、本製品の仮想アプライアンスを新規にデプロイします。
デプロイ方法は、「2.2 仮想アプライアンスのデプロイ」を参照してください。
本製品の仮想アプライアンスの設定を行います。
「2.3 仮想アプライアンスのセットアップ」から「2.7 NASアクセス利用ユーザーの設定」に記載されている作業を実施してください。
クラウドプロバイダーを登録します。
登録方法は、「3.1 クラウドプロバイダーの登録」を参照してください。
手順5で登録したクラウドプロバイダーにデータストアを作成します。
作成方法は、「3.2 データストアとキャッシュの登録」を参照してください。
注意
入力項目には、障害発生前と同じ内容を入力してください。
特に、以下の入力項目の内容が障害発生前と異なっている場合、復旧処理が失敗します。
情報入力画面で必要な情報の、「キャッシュ容量」および「プロバイダー名」
バケット選択画面で必要な情報の「バケット名」
詳細設定画面で必要な情報の、「データストア暗号化」および「データストア暗号化パスワード」
キャッシュ容量が障害発生前より小さい場合、キャッシュ容量の不足が原因で復旧処理が失敗します。データストアを一旦削除したあと、本手順6から再実施してください。
データの入っていないバケットを選択した場合、手順7を実施しても復旧処理は行われません。データストアを一旦削除したあと、手順5または手順6から再実施してください。
選択したバケットに対して、「データストア暗号化」および「データストア暗号化パスワード」の設定が合ってない場合、本手順6が失敗します。本手順6から再実施してください。
障害発生前に使用していたバケットを指定してください。
データストアとキャッシュの登録を実施すると、csgdp03002メッセージが出力されます。このメッセージは、指定されたバケットがすでに使用されていることを表すメッセージです。
クラウドプロバイダーのデータから復旧する場合、データが入っているバケットを指定するため、このメッセージが出力されます。問題はないため、復旧手順を進めてください。
データの入っていないバケットを指定した場合、このメッセージが出力されませんので、バケットの指定が誤っていないか確認してください。
以下の手順で、手順6で作成したデータストアのメタデータリカバリーを実行します。メタデータリカバリーを実行すると、クラウドプロバイダーにあるメタデータがキャッシュにリストアされます。
以下のCSG REST APIを実行して、データストアのメタデータリカバリーを実行します。idは、CSG Web GUIの「データストア」画面で確認できます。
POST /v1/datastores/{id}/metadata/recovery
以下のCSG REST APIを定期的に実行して、データストアのメタデータリカバリーが完了するのを待ち合わせます。
GET /v1/datastores/{id}/metadata/recovery
メタデータリカバリーの進捗状況は、CSG REST APIレスポンスのstatusキーで確認できます。
処理中の場合
statusキーが“Active”になります。
読込み専用モードで本製品にアクセスできるようになった場合
statusキーが“Active(Readable)”になります。
共有フォルダを登録することで、データの読込みが可能になります。
イベントログから、障害発生前に未転送データが「なし」になった最後の時刻を確認できます。
バックアップソフトウェアでリストアを実行する際は、確認した時刻を参考にしてください。
処理が完了した場合
statusキーが“N/A”になります。
イベントログから、メタデータリカバリーが完了したことを確認してください。
処理が異常終了した場合
statusキーは“Error”になります。
イベントログから、異常終了した原因を特定できます。原因を特定・対処したあと、システムを再起動してください。再起動によって、メタデータリカバリーは自動で再開されます。
メタデータリカバリーを再開しても、再度、異常終了となった場合は、手順2から作業を再実施する必要があります。
参照
本製品のイベントログは、CSG Web GUIのダッシュボードにある「ログ」パネルに表示されます。
注意
読込み専用モードの状態では、共有フォルダへのファイルの作成・削除や書込みはエラーとなります。
以下の手順で、データストア上の共有フォルダをNASアクセス可能な状態にします。
以下のCSG REST APIを実行して、データストア上に存在する共有フォルダ名を確認します。
datastore_idパラメーターは、CSG Web GUIの「データストア」画面で確認できます。
GET /v1/datastore_folders
手順8-aで確認した共有フォルダ名を指定して、共有フォルダを登録します。
登録方法は、「3.3 共有フォルダの登録」を参照してください。
ポイント
本作業は、データストア上の共有フォルダ数分実施してください。
注意
共有フォルダ名と共有フォルダの所有者・グループの入力項目には、障害発生前と同じ内容を入力する必要があります。
読込み専用モードの期間に、障害発生前と異なる内容を入力した場合、エラー終了します。
リカバリー完了後に、障害発生前と異なる内容を入力した場合、入力した内容が共有フォルダに設定されます(入力した内容に基づいて、共有フォルダが登録されます)。
参照
手順7および手順8に記載されているCSG REST APIの詳細は、『リファレンスガイド』を参照してください。
ファストリカバリー機能
データ量によっては、リカバリー完了まで時間がかかる場合があります。本製品はリカバリー処理中でも読込みだけ先行して行えるファストリカバリー機能を提供します。このため、メタデータリカバリーの完了前にリストアを開始できます。
メタデータリカバリーでは、処理の進捗に応じて、実行状態が「処理中(Active)」→「読込み専用モード(Active(Readable))」→「完了(N/A)」の順に遷移します。「読込み専用モード(Active(Readable))」以降の状態で参照が可能になり、「完了(N/A)」の状態で更新も可能となります。
状態 | アクセスの種類 | |
---|---|---|
参照 | 更新 | |
Active | × | × |
Active(Readable) | ○ | × |
N/A | ○ | ○ |
メタデータリカバリーの状態は、この表の上から下へと状態遷移します。
注意
Active(Readable)状態は参照用のメタデータだけリストアが完了した状態であるため、ファイルに最初にアクセスするときに必ずクラウドプロバイダーからのデータ転送が発生します。このため、リストア完了後にアクセスするときより処理時間を要する場合があります。
書込みが必要なバックアップソフトを使用してActive(Readable)状態からリストアする場合、ローカルストレージの一時領域にデータを複写してリストアを行う回避が必要となります。
Active(Readable)状態でも読み書き可能なモードでマウントできますが、ファイルの作成や書込みなどはエラーとなります。
ActiveまたはActive(Readable)状態のとき、GUI上のデータストアステータスはNormalとなります。
システムバックアップを利用してシステムを復旧する手順は、以下のとおりです。
障害が発生した物理ディスクを正常な物理ディスクに交換します。
システムバックアップをリストアします。
リストア方法は、使用しているバックアップソフトウェアのマニュアルを参照してください。
注意
リストアするのはシステム領域だけです。データ領域は正常な既存のディスクをそのまま使用してください。
以下の手順で、データストア機能の無効化を解除(有効化)します。
管理者アカウント(administrator)を使用して、本製品のコンソールにログインします。
以下のコマンドを実行して、データストア機能の無効化を解除(有効化)します。
# csgadm datastore activate datastoreID
コマンドオペランドに指定するdatastoreID はデータストアIDです。データストアIDは、CSG Web GUIの「データストア」画面で確認できます(「表示設定」で「ID」を選択してください)。
参考
システムバックアップのリストア後にデータストア機能が無効になっているのは、バックアップ元システムの稼働中に誤ってシステムリストアを行ってしまった場合にバケット内のデータが破壊されることを防止するためです。
データストア機能が無効になっている場合はNASアクセスができません。
以下のコマンドを実行して、システムを再起動します。
# csgadm power restart
システムバックアップからのリストアにおいて、仮想アプライアンスに割り当てたネットワークのMACアドレスが引き継がれなかった場合は、以下の手順でIPアドレスを再設定してください。
注意
IPアドレスを再設定するまでの間、クラウドプロバイダーと通信できないため、システムの再起動には通常より10分程度多く時間がかかります。
単一ネットワーク構成の場合
設定ウィザードを実行して「ネットワーク設定」でIPアドレスを変更します。
作業手順は、「6.7.1 単一ネットワーク構成の場合」を参照してください。作業手順の最後にシステム再起動の問合せがありますので、システムを再起動してください。問合せに対して再起動を選択しなかった場合は、以下のコマンドを実行して、システムを再起動してください。
# csgadm power restart
複数ネットワーク構成の場合
設定ウィザードで設定した1つ目ネットワークのIPアドレスを設定します。
設定方法は「6.7.1 単一ネットワーク構成の場合」を参照してください。
以降の手順は、この1つ目のネットワークから操作します。
2つ目以降のネットワークをすべて削除します。
CSG REST APIを使って2つ目以降のネットワークをすべて削除します。
クラウドプロバイダーとの通信に使用しているネットワークは、デフォルトでは削除できませんが、強制的に削除するオプションを指定して削除してください。
2つ目以降のネットワークを再登録します。
クラウドプロバイダーとの通信に使用しているネットワークのIDが変わらないように再登録します。
CSG REST APIを使って、クラウドプロバイダーに設定されているネットワークのIDを確認してください。
ネットワークIDが1のネットワークを使用しているクラウドプロバイダーがある場合、そのクラウドプロバイダーと通信できるネットワークを先に登録してください。
ネットワークIDが2のネットワークを使用しているクラウドプロバイダーがある場合、そのクラウドプロバイダーと通信できるネットワークを後に登録してください。
クラウドプロバイダーとの通信に、ネットワークIDが0のネットワークしか使用していない場合は、どの順番で登録してもかまいません。
ネットワークの登録方法は、「2.5.7 複数ネットワーク構成の設定」を参照してください。
システムを再起動します。
管理者アカウント(administrator)を使用して本製品のコンソールにログインしたあと、以下のコマンドを実行してください。
# csgadm power restart
参照
環境は、CSG REST APIでも復旧できます。CSG REST APIでの復旧方法は、『リファレンスガイド』の「メタデータリカバリー」および「共有フォルダ一覧(復旧時)」を参照してください。