GDS Snapshot が導入されているシステムでは、プロキシボリュームを使用した等価性方式によるスナップショットにより、業務運用中にバックアップを行うことができます。
ただし、スナップショットのデータの整合性を確保するため、スナップショット作成時 (プロキシボリュームをマスタボリュームから分離するとき) に、業務を一時的に停止します。
参照
スナップショットデータの整合性の確保については、「A.2.29 スナップショットデータの整合性」を参照してください。
注意
瞬間リストア
マスタボリュームとプロキシボリュームが結合されている状態でマスタボリュームのデータに不具合が発生した場合、プロキシボリュームのデータにも同じ不具合が発生するため、瞬間リストアは実行できません。この場合、テープからデータをリストアする必要があります。プロキシボリュームを分離してオンラインバックアップを実行した後、オンラインバックアップを再実行する直前まで、プロキシボリュームを分離した状態のままにしておくことを推奨します。
注意
ディスク装置のコピー機能を使用したスナップショット
グループが階層化されている場合や、プロキシを多重度 2 以上のミラー構成にした場合、マスタからプロキシへのコピー処理でディスク装置のコピー機能を利用することはできません。詳細については、「A.2.23 プロキシ構成におけるアドバンスト・コピー機能の利用」および「A.2.27 プロキシ構成における Dell EMC TimeFinder および Dell EMC SRDF の利用」を参照してください。
注意
Dell EMC TimeFinder または Dell EMC SRDF を使用する場合
以下の手順ではボリューム単位でスナップショット操作を行っていますが、TimeFinder または SRDF を使用する場合は、グループ単位でスナップショット操作を行う必要があります。
TimeFinder を使用する場合に、マスタグループを構成するスタンダードデバイスと、プロキシグループを構成する BCV デバイスとをエスタブリッシュした場合は、マスタとプロキシを結合する前に、その BCV ペアをキャンセルしておく必要があります。
SRDF を使用する場合、マスタとプロキシを結合する前に、マスタグループを構成するソース (R1) デバイスと、プロキシグループを構成するターゲット (R2) デバイスとを、スプリット状態にしておく必要があります。
マスタとプロキシを関連付けた後、関連付けを解除するまでは、マスタ/プロキシを構成する BCV ペアや SRDF ペアに対し、SYMCLI コマンドなどを使用して TimeFinder や SRDF の操作を行わないでください。
[手順]
1) プロキシボリュームの結合
スナップショットを作成するための準備として、マスタボリューム Volume1 のコピー先となるプロキシボリューム Volume2 をマスタボリュームに関連付けて結合します。ここでは、 Volume1、Volume2 がクラス Class1 に属している場合の手順を示します。クラス Class1 のスコープに属している任意の 1 ノードで以下のコマンドを実行します。
1-1) プロキシボリューム Volume2 を停止します。Class1 が共用クラスの場合は、 -e allnodes オプションを指定することにより、Volume2 を全ノードで停止します。
# sdxvolume -F -c Class1 -v Volume2 |
参考
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でプロキシボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム停止] を実行します。
1-2) マスタボリューム Volume1 にプロキシボリューム Volume2 を関連付けて結合します。
# sdxproxy Join -c Class1 -m Volume1 -p Volume2 |
コマンドが復帰した後、Volume1 から Volume2 への等価性コピーが実行されます。
参考
グループの対を関連付けて結合する場合
プロキシグループにボリュームが存在する場合は、sdxproxy Join コマンドを実行する前に削除しておく必要があります。また、sdxproxy Join コマンド実行時に -a オプションを指定する必要があります。
例) マスタグループ Group1 にプロキシグループ Group2 を関連付けて結合します。Group1 内のボリューム Volume1 および Volume2 に対応して Group2 内に自動的に作成されるプロキシボリュームのボリューム名を、それぞれ Proxy1、Proxy2 と命名します。
# sdxproxy Join -c Class1 -m Group1 -p Group2 \
-a Volume1=Proxy1:on,Volume2=Proxy2:on |
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「5.2.4.1 プロキシ結合」を参照してください。
2) コピー完了の確認
等価性コピーが完了したことを確認します。
# sdxinfo -S -c Class1 -o Volume2 OBJ CLASS GROUP DISK VOLUME STATUS ------ ------- ------- ------- ------- -------- slice Class1 Group2 Disk3 Volume2 STOP slice Class1 Group2 Disk4 Volume2 STOP |
表示されたスライスの STATUS フィールドがすべて STOP になっていれば、等価性コピーは完了しています。等価性コピー中の場合は、STATUS フィールドには COPY と表示されます。
3) 業務の停止
スナップショットのデータの整合性を確保するため、スナップショットを作成する前に業務を停止し、マスタボリュームへの書込みが行われない状態にします。
3a) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用している場合
クラスタアプリケーションを停止します。
3b) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用していない場合
3b-1) マスタボリュームを使用している業務を停止します。
3b-2) マスタボリュームをファイルシステムとして使用している場合は、以下のいずれかの方法で、マスタボリューム上のファイルシステムにアプリケーションからの書込みが行われないようにします。ここでは、マウントポイントが /DATA である場合の手順を示します。
ファイルシステムをアンマウントする場合
# cd / # umount /DATA |
ファイルシステムへの書込みを抑止する場合
# lockfs -w /DATA |
4) プロキシボリュームの分離
プロキシボリューム Volume2 をマスタボリューム Volume1 から分離することにより、マスタボリューム Volume1 のスナップショットを作成します。クラス Class1 のスコープに属している任意の 1 ノードで以下のコマンドを実行します。
# sdxproxy Part -c Class1 -p Volume2 |
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「5.3.2.2 バックアップ (等価性方式) 」の「プロキシ分離」を参照してください。プロキシ分離の環境設定では、「瞬間スナップショット - しない」を選択します。
5) 業務の再開
5a) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用する場合
クラスタアプリケーションを起動します。
5b) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用しない場合
5b-1) マスタボリュームをファイルシステムとして使用する場合は、以下のいずれかの方法で、アプリケーションからマスタボリューム Volume1 上のファイルシステムへの書込みができるようにします。ここでは、マウントポイントが /DATA である場合の手順を示します。
手順 3b-2)でファイルシステムをアンマウントした場合は、マウントします。
ufs ファイルシステムの場合
# mount -F ufs /dev/sfdsk/Class1/dsk/Volume1 /DATA |
手順 3b-2) でファイルシステムへの書込みを抑止した場合は、書込みの抑止を解除します。
# lockfs -u /DATA |
5b-2) マスタボリュームを使用する業務を起動します。
6) テープへのバックアップ
プロキシボリューム上のスナップショットのデータを、テープにバックアップします。以下のコマンドは、クラス Class1 のスコープに属している任意の 1 ノードで実行します。
参照
バックアップ方法の詳細については、バックアップするファイルシステムや使用する各コマンドのマニュアルを参照してください。
6a) dd(1M) コマンドを使用して raw デバイスのデータをバックアップする場合
# dd if=/dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume2 of=/dev/rmt/0 bs=32768 |
6b) tar(1) コマンドを使用して ufs ファイルシステムをバックアップする場合
6b-1) マウントの事前準備
fsck(1M) コマンドを使用して、プロキシボリューム Volume2 上の ufs ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順 3b-2) においてマスタボリューム上のファイルシステムのアンマウントを行った場合は、本手順を実施する必要はありません。
# fsck -F ufs /dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume2 |
6b-2) スナップショットのマウント
プロキシボリューム Volume2 上の ufs ファイルシステムを、一時的なマウントポイント /DATA_backup にマウントします。
# mkdir /DATA_backup # mount -F ufs /dev/sfdsk/Class1/dsk/Volume2 /DATA_backup |
6b-3) テープへのバックアップ
ここでは、tar(1) コマンドを使用して、テープ装置 /dev/rmt/0 のテープ媒体にデータをバックアップする場合の手順を示します。
# cd /DATA_backup |
6b-4) スナップショットのアンマウント
手順 6b-2) でマウントしたファイルシステムをアンマウントします。
# cd / |
6c) ufsdump(1M) コマンドを使用して ufs ファイルシステムをバックアップする場合
6c-1) マウントの事前準備
fsck(1M) コマンドを使用して、プロキシボリューム Volume2 上の ufs ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順 3b-2) においてマスタボリューム上のファイルシステムのアンマウントを行った場合は、本手順を実施する必要はありません。
# fsck -F ufs /dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume2 |
6c-2) テープへのバックアップ
ここでは、ufsdump(1M) コマンドを使用して、テープ装置 /dev/rmt/0 のテープ媒体にデータをバックアップする場合の手順を示します。
# ufsdump 0ucf /dev/rmt/0 /dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume2 |
7) プロキシボリュームの再結合
再度オンラインバックアップを行う場合は、クラス Class1 のスコープに属している任意の 1 ノードで以下の手順を実行した後、手順 2) から再実行します。
7-1) プロキシボリューム Volume2 を停止します。Class1 が共用クラスの場合は、-e allnodes オプションを指定することにより、Volume2 を全ノードで停止します。
# sdxvolume -F -c Class1 -v Volume2 |
参考
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でプロキシボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム停止] を実行します。
7-2) プロキシボリューム Volume2 をマスタボリューム Volume1 に再結合します。
# sdxproxy Rejoin -c Class1 -p Volume2 |
コマンドが復帰した後、 Volume1 から Volume2 への等価性回復コピーが実行されます。
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「5.3.2.2 バックアップ (等価性方式) 」の「プロキシ再結合」を参照してください。
8) プロキシボリュームの解除
オンラインバックアップを再度行わない場合は、マスタボリューム Volume1 とプロキシボリューム Volume2 の関係を解除します。クラス Class1 のスコープに属している任意の 1 ノードで以下のコマンドを実行します。
# sdxproxy Break -c Class1 -p Volume2 |
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「5.5.5 プロキシ解除」を参照してください。