OPC 機能を備えたディスクアレイ装置を使用しているシステムに GDS Snapshot が導入されている場合、プロキシボリュームを使用した OPC 方式による瞬間スナップショットにより、業務運用中にバックアップを行うことができます。
ただし、スナップショットのデータの整合性を確保するため、スナップショット作成時 (プロキシボリューム更新時) に、業務を一時的に停止します。
参照
スナップショットデータの整合性の確保については、「A.2.29 スナップショットデータの整合性」を参照してください。
参考
バックグラウンドコピー (OPC 物理コピー) とテープへのバックアップ
コピー処理中にテープへのバックアップを行うことも可能ですが、ディスクアレイ装置に負荷がかかり、マスタボリュームを使用する業務に影響する場合があります。
注意
OPC 機能を使用した瞬間スナップショット
OPC 方式による瞬間スナップショット機能の利用条件については、「A.2.24 OPC 方式による瞬間スナップショット」を参照してください。また、プロキシボリュームを多重度 2 以上のミラー構成にした場合、マスタボリュームからプロキシボリュームへのコピー処理で OPC 機能を利用することはできません。詳細については、「A.2.23 プロキシ構成におけるアドバンスト・コピー機能の利用」を参照してください。
[手順]
1) プロキシボリュームの関連付け
スナップショットを作成するための準備として、マスタボリューム Volume1 のコピー先となるプロキシボリューム Volume2 をマスタボリュームに関連付けます。ここでは、Volume1、Volume2 がクラス Class1 に属している場合の手順を示します。クラス Class1 のスコープに属している任意の 1 ノードで以下のコマンドを実行します。
# sdxproxy Relate -c Class1 -m Volume1 -p Volume2 |
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「5.2.4.2 プロキシ関連付け」を参照してください。
2) プロキシボリュームの停止
プロキシボリューム Volume2 を停止します。Class1 が共用クラスの場合は、-e allnodes オプションを指定することにより、Volume2 を全ノード停止します。
# sdxvolume -F -c Class1 -v Volume2 |
参考
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でプロキシボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム停止] を実行します。
3) 業務の停止
スナップショットのデータの整合性を確保するため、スナップショットを作成する前に業務を停止し、マスタボリュームへの書込みが行われない状態にします。
3a) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用している場合
クラスタアプリケーションを停止します。
3b) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用していない場合
3b-1) マスタボリュームを使用している業務を停止します。
3b-2) マスタボリュームをファイルシステムとして使用している場合は、以下のいずれかの方法で、マスタボリューム上のファイルシステムにアプリケーションからの書込みが行われないようにします。ここでは、マウントポイントが /DATA である場合の手順を示します。
ファイルシステムをアンマウントする場合
# cd / |
ファイルシステムへの書込みを抑止する場合
# lockfs -w /DATA |
4) プロキシボリュームの更新
OPC 機能を使用して、マスタボリューム Volume1 のデータをプロキシボリューム Volume2 にコピーすることにより、コピー開始時点の Volume1 のデータで Volume2 の内容を更新します。クラス Class1 のスコープに属している任意の 1 ノードで以下のコマンドを実行します。
# sdxproxy Update -c Class1 -p Volume2 -e instant |
Volume2 の更新はコマンドが復帰した時点で完了します。コマンドが復帰した後、OPC の物理コピー処理がバックグラウンドで実行されますが、コピー処理の完了を待たず、手順 5) 以降を実行することができます。
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「5.3.2.3 バックアップ (OPC 方式)」の「プロキシ更新」を参照してください。プロキシ更新の環境設定では、「瞬間スナップショット-する」を選択します。
5) 業務の再開
5a) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用する場合
クラスタアプリケーションを起動します。
5b) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用しない場合
5b-1) マスタボリュームをファイルシステムとして使用する場合は、以下のいずれかの方法で、アプリケーションからマスタボリューム Volume1 上のファイルシステムへの書込みができるようにします。ここでは、マウントポイントが /DATA である場合の手順を示します。
手順 3b-2) でファイルシステムをアンマウントした場合は、マウントします。
ufs ファイルシステムの場合
# mount -F ufs /dev/sfdsk/Class1/dsk/Volume1 /DATA |
手順 3b-2) でファイルシステムへの書込みを抑止した場合は、書込みの抑止を解除します。
# lockfs -u /DATA |
5b-2) マスタボリュームを使用する業務を起動します。
6) プロキシボリュームの起動
テープへのバックアップを実行するノードで、プロキシボリューム Volume2 を起動します。
# sdxvolume -N -c Class1 -v Volume2 |
参考
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でプロキシボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム起動] を実行します。
7) コピー完了の確認
コピーが完了したことを確認します。
# sdxinfo -S -c Class1 -o Volume2 OBJ CLASS GROUP DISK VOLUME STATUS ----- ------ ------ ------ ------- ------- slice Class1 Group2 Disk3 Volume2 ACTIVE slice Class1 Group2 Disk4 Volume2 ACTIVE |
表示されたスライスの STATUS フィールドがすべて ACTIVE になっていれば、コピーは完了しています。コピー処理中の場合は、STATUS フィールドには COPY と表示されます。
8) テープへのバックアップ
プロキシボリューム上のスナップショットのデータを、テープにバックアップします。以下のコマンドは、クラス Class1 のスコープに属している任意の 1 ノードで実行します。
参照
バックアップ方法の詳細については、バックアップするファイルシステムや使用する各コマンドのマニュアルを参照してください。
8a) dd(1M) コマンドを使用して raw デバイスのデータをバックアップする場合
# dd if=/dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume2 of=/dev/rmt/0 bs=32768 |
8b) tar(1) コマンドを使用して ufs ファイルシステムをバックアップする場合
8b-1) マウントの事前準備
fsck(1M) コマンドを使用して、プロキシボリューム Volume2 上のufsファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順 3b-2) においてマスタボリューム上のファイルシステムのアンマウントを行った場合は、本手順を実施する必要はありません。
# fsck -F ufs /dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume2 |
8b-2) スナップショットのマウント
プロキシボリューム Volume2 上の ufs ファイルシステムを、一時的なマウントポイント /DATA_backup にマウントします
# mkdir /DATA_backup |
8b-3) テープへのバックアップ
ここでは、tar(1) コマンドを使用して、テープ装置 /dev/rmt/0 のテープ媒体にデータをバックアップする場合の手順を示します。
# cd /DATA_backup |
8b-4) スナップショットのアンマウント
手順 8b-2) でマウントしたファイルシステムをアンマウントします。
# cd / |
8c) ufsdump(1M) コマンドを使用して ufs ファイルシステムをバックアップする場合
8c-1) マウントの事前準備
fsck(1M) コマンドを使用して、プロキシボリューム Volume2 上の ufs ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順 3b-2) においてマスタボリューム上のファイルシステムのアンマウントを行った場合は、本手順を実施する必要はありません。
# fsck -F ufs /dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume2 |
8c-2) テープへのバックアップ
ここでは、ufsdump(1M) コマンドを使用して、テープ装置 /dev/rmt/0 のテープ媒体にデータをバックアップする場合の手順を示します。
# ufsdump 0ucf /dev/rmt/0 /dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume2 |
9) プロキシボリュームの停止
テープへのバックアップが完了したら、プロキシボリューム Volume2 のデータを保護するため、Volume2 を停止します。Class1 が共用クラスの場合は、-e allnodes オプションを指定することにより、Volume2 を全ノードを停止します。
# sdxvolume -F -c Class1 -v Volume2 |
参考
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でプロキシボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム停止] を実行します。
10) プロキシボリュームの解除
オンラインバックアップを再度行わない場合は、マスタボリューム Volume1 とプロキシボリューム Volume2 の関係を解除します。
# sdxproxy Break -c Class1 -p Volume2 |
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「5.5.5 プロキシ解除」を参照してください。
11) オンラインバックアップの再実行
再度オンラインバックアップを行う場合は、手順 3) から再実行します。