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Big Data Integration ServerV1.7.0 利用ガイド

4.1.2 データ管理機能の準備

データ管理機能の並列分散処理をインストールする前の準備作業について説明します。

各サーバで必要な作業を以下に示します。

設定順序/設定項目

サーバ種別

マスタサーバ

スレーブ
サーバ

開発実行
環境
サーバ

プライマリ

セカンダリ

1

サーバBIOS設定

2

SELinux機能の無効化

3

システムパラメーターの設定

4

ファイアーウォールの設定

5

ホスト名の設定

6

サーバ名の設定

7

業務LAN のネットワークインターフェースの設定

8

システム時刻の設定

9

sshの

10

sshパスワード認証方式の設定

11

JRE/JDKのインストール

12

環境変数JAVA_HOMEの設定

○:作業あり
―:作業無し


4.1.2.1 サーバのBIOS設定

各サーバのBIOS設定を以下のように設定する必要があります。


ハイパースレッディング

マスタサーバ、スレーブサーバ、および開発実行環境サーバのハイパースレッディング機能を無効化してください。

ポイント

  • ハイパースレッディング機能によってパフォーマンスが向上することは、必ずしも保証されていません。そのため、本機能ではハイパースレッディングを無効にした条件下で Apache Hadoopのパラメーターを最適化します。
    Apache Hadoopのパラメーターの詳細は、“分散処理編 ユーザーズガイド”の“Hadoop設定パラメーター”を参照してください。

  • 仮想環境に導入する場合は、ホストマシンのシステム BIOS を設定します。

4.1.2.2 SELinux 機能の無効化

SELinux(Security-Enhanced Linux)機能が有効に設定されている Linux 環境には、本機能をインストールすることができません。

本機能をインストールするには、SELinux 機能を無効に設定してから、本機能をインストールしてください。

参照

SELinux機能を無効に設定する方法は、Linuxのオンラインマニュアルなどを参照してください。


4.1.2.3 システムパラメーターの設定

システムパラメーターのチューニングを行う必要があります。

以下の手順でシステムパラメーターのチューニングを実施してください。

  1. 以下のコマンドを使用して、現在システムに設定されている該当するパラメーターの設定値を確認します。

    # /sbin/sysctl -a <Enter>

    # /sbin/sysctl -a <Enter>
    ・・・ 省略 ・・・
    kernel.sem = 250        32000   32      128
    kernel.msgmnb = 4194304
    kernel.msgmni = 8192
    kernel.msgmax = 65536
    kernel.shmmni = 4096
    kernel.shmall = 4294967296
    kernel.shmmax = 68719476736
    ・・・ 省略 ・・・
  2. 3.1.1.3.5 システムパラメーター”を参照し、現在の設定値と比較を行い、パラメーターごとに最大/加算の種別を考慮して、適切な設定値を算出します。

    ポイント

    パラメーターの “種別”により、以下のように設定してください。

    • 種別が“最大”の場合

      すでに設定されている値(初期値または以前の設定値)がパラメーターの“設定値(チューニング値)”以上の場合は変更不要です。チューニング値より小さい場合は、チューニング値に変更してください。

    • 種別が“加算” の場合

      すでに設定されている値(初期値または以前の設定値)にパラメーターの“設定値(チューニング値)”を加算してください。加算する前にシステム上限値を確認し、加算した値がシステム上限値を超える場合は、システム上限値を設定してください。

      詳細については、OSのマニュアルなどを参照してください。

  3. /etc/sysctl.conf を編集します。以下の例のように編集します。

    kernel.sem = 250 32011 32 130
    kernel.shmmni = 4096
    kernel.msgmnb = 4194304
    kernel.msgmni = 8192
  4. /etc/sysctl.conf へ編集内容が反映されていることを、以下のコマンドで確認します。

    # /bin/cat /etc/sysctl.conf <Enter>
  5. 3.の設定を有効にするために、次のどちらかの方法を実行します。

    • システムを再起動して設定を反映

      # /sbin/shutdown -r now <Enter>
    • /sbin/sysctl -p を使用して設定を反映

      # /sbin/sysctl -p /etc/sysctl.conf <Enter> (注)

      注) このコマンドを使用した場合は、システムの再起動は必要ありません。

  6. 設定したシステムパラメーターが反映されていることを、以下のコマンドの出力で確認します。

    # /sbin/sysctl -a <Enter>

    # /sbin/sysctl -a <Enter>
    ・・・ 省略 ・・・
    kernel.sem = 250        32002   32      130
    kernel.msgmnb = 4194304
    kernel.msgmni = 8192
    kernel.msgmax = 65536
    kernel.shmmni = 4096
    kernel.shmall = 4294967296
    kernel.shmmax = 68719476736
    ・・・ 省略 ・・・

4.1.2.4 ファイアーウォールの設定

ファイアーウォール機能を利用している環境に本機能をインストールする場合には、ファイアーウォール機能に対して必要な通信(ポート)を許可する必要があります。

ファイアーウォール機能に対して必要な通信(ポート)を許可する方法については、OSのマニュアルを参照してください。

本機能が使用するポートについては、以下を参照し、接続を許可する必要があります。

4.1.2.5 ホスト名の設定

マスタサーバ、スレーブサーバおよび開発実行環境サーバにおいて、Apache Hadoopで使用するホスト名の設定が必要です。hostsファイルに、各サーバの業務 LAN に接続するNICに対応するホスト名を記述してください。


hosts ファイル
/etc/hosts

hostsファイルの詳細については、オンラインマニュアルページを参照してください。

ポイント

  • マスタサーバを二重化構成とする場合は、マスタサーバ(プライマリ)とマスタサーバ(セカンダリ)のhostsファイルの内容を一致させてください。

  • スレーブサーバ、開発実行環境サーバのhostsファイルに記述するホスト情報は、マスタサーバで追加したホスト名を設定してください。

  • マスタサーバ、スレーブサーバ、および開発実行環境サーバの業務 LAN に接続するNICに対応するホスト名は、サーバ名と一致させてください。詳しくは、“4.1.2.6 サーバ名の設定”を参照してください。

  • EDI連携機能、DB連携機能を使用する場合は、開発実行環境サーバの業務LANに接続するNICに対応するホスト名は、20文字以内に設定する必要があります。

注意

hosts ファイルにローカルホストを登録する場合、以下に注意してください。

  • “127.0.0.1”にローカルホスト名を設定する場合、必ずリモートから参照可能なIPアドレスを先に記述してください。または、“127.0.0.1”にはローカルホスト名を設定しないでください。

  • ホスト名にエイリアス名は設定しないでください。

各サーバの業務 LAN に接続するNICに割り当てる IP アドレスとホスト名の設定例:

  • マスタサーバ(プライマリ)

:10.10.10.11

:master1

  • マスタサーバ(セカンダリ)

:10.10.10.12

:master2

  • スレーブサーバ

:10.10.10.21 ~ 10.10.10.25

:slave1 ~ slave5

  • 開発実行環境サーバ

:10.10.10.30

:develop

マスタサーバの hosts ファイルには以下のように設定します。

10.10.10.11 master1
10.10.10.12 master2
127.0.0.1 localhost.localdomain localhost

10.10.10.21 slave1
10.10.10.22 slave2
10.10.10.23 slave3
10.10.10.24 slave4
10.10.10.25 slave5
10.10.10.30 develop

4.1.2.6 サーバ名の設定

サーバ名(hostname コマンドなどで出力されるシステムのホスト名)は、業務 LAN に接続する NIC に対応するホスト名と同じである必要があります。

異なる場合は、以下の手順でホスト名の設定をしてください。

hostnamectlコマンドでホスト名の設定をしてください。

サーバ名を変更する場合は、hostnamectlコマンドを使用します。

# hostnamectl set-hostname master1 <Enter>

4.1.2.7 業務LANのネットワークインターフェースの設定

各サーバの業務LANのネットワークインターフェースは、本機能を導入する前に、IPアドレスが設定されており、かつ、活性状態である必要があります。

対象となるネットワークインターフェースの状態を ifconfigコマンド、ipコマンドで確認して、未設定および未活性の状態であれば、IPアドレスの設定および活性化を行ってください。

# ip a show ens192 <Enter>
3: ens192: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UP qlen 1000
    link/ether 00:0c:29:af:5f:c4 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.1.192/24 brd 192.168.1.255 scope global ens192
       valid_lft forever preferred_lft forever
    inet6 fe80::20c:29ff:feaf:5fc4/64 scope link
       valid_lft forever preferred_lft forever

4.1.2.8 システム時刻の設定

マスタサーバ、スレーブサーバおよび開発実行環境サーバのシステム時刻は、NTP(Network Time Protocol)を使用し、同じ時刻に同期するように設定してください。


4.1.2.9 ssh の設定

マスタサーバは自身を含むすべてのサーバに対してパスワードなしで ssh の通信ができるように設定する必要があります。

また、マスタサーバを二重化構成にする場合、マスタサーバ(プライマリ)とマスタサーバ(セカンダリ)間でパスワードなしでsshの通信ができるように設定する必要があります。

マスタサーバ(プライマリ)およびマスタサーバ(セカンダリ)において、それぞれ公開鍵を作成してroot権限でパスワードなしで ssh 接続できるようにしてください。

参照

公開鍵の作成については、ssh-keygen コマンドのヘルプを参照してください。

注意

本機能のApache Hadoopの起動・停止などを行う場合、Apache Hadoopはssh経由にて通信を行います。


各サーバ間のssh接続の有無について、以下に示します。

接続元
サーバの種別

接続先サーバ

マスタサーバ

スレーブ
サーバ

開発実行
環境
サーバ

プライマリ

セカンダリ

マスタサーバ

プライマリ

○(注1)

○(注1)

○(注1)

○(注1)

セカンダリ

○(注1)

○(注1)

○(注2)

スレーブサーバ

×

×

×

×

開発実行環境サーバ

×

×

×

×

○:root 権限で ssh 接続を行う
×:ssh 接続は行わない
注1) パスワードなしで ssh 接続できるように設定する必要があります。
注2) Apache Hadoopの起動・停止ではマスタサーバからスレーブサーバに対してssh経由で通信を行うため、パスワードなしでssh接続できるように設定していない場合はスレーブサーバの数だけパスワードの入力が必要となります。

4.1.2.10 sshパスワード認証方式の設定

構築対象のすべてのサーバにおいて、sshのパスワード認証方式を有効にする必要があります。

環境構築完了後は元の値に戻してください。

以下に設定方法の例を記載します。詳細はOSのマニュアルを参照してください。

  1. /etc/ssh/sshd_configファイルを編集します。以下の例のように編集します。

    PasswordAuthentication=yes 
  2. 設定を反映するためにsshdデーモンを再起動します。

    # systemctl restart sshd <Enter>

環境構築完了後にパスワード認証方式を無効にする場合は、手順1.の値“yes”を“no”に変更して手順2.を行ってください。

4.1.2.11 JRE/JDKのインストール

マスタサーバ、スレーブサーバおよび開発実行環境サーバに対して、関連ソフトウェアであるJREまたはJDKをインストールしてください。JREまたはJDKはすべてのサーバでインストール先ディレクトリを一致させてください。

関連ソフトウェアについては、“3.2.3 関連ソフトウェア”を参照してください。

4.1.2.12 環境変数 JAVA_HOMEの設定

マスタサーバ、スレーブサーバおよび開発実行環境サーバに対して、環境変数 JAVA_HOMEにJREまたはJDKをインストールしたディレクトリを設定し、“4.2 初期インストール”の直前に有効になるようにしてください。

JREのインストールパスが /usr/lib/jre8 ディレクトリの場合

  • bash、BシェルまたはKシェルの場合

    JAVA_HOME=/usr/lib/jre8 ; export JAVA_HOME
  • Cシェルの場合

    setenv JAVA_HOME /usr/lib/jre8