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PRIMECLUSTER Global Disk Services  説明書 4.3
FUJITSU Software

A.4 高速等価性回復機構 (JRM)

高速等価性回復機構 (JRM) には、ボリューム用、スライス用、プロキシ用の 3 種類があります。

ボリューム用の JRM

ボリューム用のJRMは、パニックなどによってシステムがダウンした後のリブート時に行われる等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDS は、書込み処理中の箇所を占有スライスに記録しています。不測のシステムダウン後のリブート時に行われる等価性回復コピーでは、システムダウンが発生した時点で書込み処理中であった部分のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復し、コピー処理の負荷を最小限に抑えます。

参照

注意

以下の場合、ボリュームの高速等価性回復モードが有効であっても、通常の等価性回復が実施されます。

  • ミラーボリュームを構成するスライスの中に、1 つでも ACTIVE または STOP 以外の STATUS が存在する状態で、パニックが発生した場合。

プロキシを結合している場合は、プロキシボリュームのスライスの STATUS も上記の対象となります。


スライス用の JRM

スライス用の JRM は、ボリュームから一時的に切り離されていたスライスをボリュームに再度組み込む際の等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDS は、スライスが切り離されている間、ボリュームおよびスライスの更新箇所をメモリに記録しています。スライスを再度組み込む際に行われる等価性回復コピーでは、更新箇所のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復します。

スライス用の JRM は、スライスの jrm 属性をオンに設定してスライスを切り離した場合に有効になります。しかし、スライスを切り離した状態で、システムが停止した場合、または sdxslice -T コマンドによるスライスの引継ぎを行った場合、以降にスライスを組み込む際には、高速等価性回復コピーは行われません。つまり、更新部分のみでなく、ボリューム全体のコピーが行われます。

したがって、計画的なシステムシャットダウンやスライスの引継ぎを行う前には、スライスをボリュームにいったん組み込むことを推奨します。

参照


プロキシ用の JRM

プロキシ用の JRM は、マスタから分離されていたプロキシを再びマスタに結合する際、およびマスタのデータをプロキシから復元する際の等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDS は、プロキシが分離されている間、マスタおよびプロキシの更新箇所をメモリに記録しています。再結合または復元の際に行われる等価性回復コピーでは、更新箇所のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復します。

プロキシ用の JRM は、プロキシボリュームの pjrm 属性をオンに設定してプロキシボリュームを分離した場合に有効になります。しかし、プロキシを分離している状態で、クラスのスコープに含まれている任意の 1 ノードが停止した場合、再結合および復元の際には、高速等価性回復コピーは行われません。つまり、更新箇所のみでなく、ボリューム全体のコピーが行われます。

したがって、計画的なシステムシャットダウンを行う前には、プロキシをマスタにいったん再結合することを推奨します。

ディスク装置のコピー機能を利用している場合は、このような考慮は不要です。

参照

注意

ルートクラスのプロキシ用の JRM 【EFI】

ルートクラスでは、プロキシ用の JRM を「あり」に設定することはできません。GDS 運用管理ビューでプロキシ分離を行う際に、高速等価性回復機構として「あり」を選択しても、プロキシ用の JRM は「なし」に設定されます。プロキシ再結合の際には、マスタ全体のデータがプロキシにコピーされます。