高速等価性回復機構 (JRM) には、ボリューム用、スライス用、プロキシ用の 3 種類があります。
ボリューム用の JRM
ボリューム用のJRMは、パニックなどによってシステムがダウンした後のリブート時に行われる等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDS は、書込み処理中の箇所を占有スライスに記録しています。不測のシステムダウン後のリブート時に行われる等価性回復コピーでは、システムダウンが発生した時点で書込み処理中であった部分のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復し、コピー処理の負荷を最小限に抑えます。
参照
設定方法については、「6.6.1.6 ボリューム構成」または「B.1.4 sdxvolume - ボリュームの操作」を参照してください。
変更方法については、「8.2.1.4 ボリューム構成」または「B.1.7 sdxattr - オブジェクトの属性値変更」を参照してください。
GDS 運用管理ビューを使用する場合、メイン画面のボリューム情報フィールドで、ボリュームの高速等価性回復機構の設定 (あり/なし) が確認できます。詳細は、「7.1.1 SDX オブジェクトの構成確認」を参照してください。
コマンドを使用する場合、sdxinfo コマンドで表示されるボリューム情報の JRM フィールドで、ボリュームの高速等価性回復モードが確認できます。詳細は、「B.1.6 sdxinfo - オブジェクトの構成および状態情報の表示」
注意
以下の場合、ボリュームの高速等価性回復モードが有効であっても、通常の等価性回復が実施されます。
ミラーボリュームを構成するスライスの中に、1 つでも ACTIVE または STOP 以外の STATUS が存在する状態で、パニックが発生した場合。
プロキシを結合している場合は、プロキシボリュームのスライスの STATUS も上記の対象となります。
スライス用の JRM
スライス用の JRM は、ボリュームから一時的に切り離されていたスライスをボリュームに再度組み込む際の等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDS は、スライスが切り離されている間、ボリュームおよびスライスの更新箇所をメモリに記録しています。スライスを再度組み込む際に行われる等価性回復コピーでは、更新箇所のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復します。
スライス用の JRM は、スライスの jrm 属性をオンに設定してスライスを切り離した場合に有効になります。しかし、スライスを切り離した状態で、システムが停止した場合、または sdxslice -T コマンドによるスライスの引継ぎを行った場合、以降にスライスを組み込む際には、高速等価性回復コピーは行われません。つまり、更新部分のみでなく、ボリューム全体のコピーが行われます。
したがって、計画的なシステムシャットダウンやスライスの引継ぎを行う前には、スライスをボリュームにいったん組み込むことを推奨します。
参照
設定方法については、「B.1.5 sdxslice - スライスの操作」を参照してください。
変更方法については、「B.1.7 sdxattr - オブジェクトの属性値変更」を参照してください。
スライスの高速等価性回復モードは、sdxinfo コマンドの -e long オプションで表示されるスライス情報のJRMフィールドで確認することができます。詳細は、「B.1.6 sdxinfo - オブジェクトの構成および状態情報の表示」を参照してください。
プロキシ用の JRM
プロキシ用の JRM は、マスタから分離されていたプロキシを再びマスタに結合する際、およびマスタのデータをプロキシから復元する際の等価性回復処理を高速化する仕組みです。GDS は、プロキシが分離されている間、マスタおよびプロキシの更新箇所をメモリに記録しています。再結合または復元の際に行われる等価性回復コピーでは、更新箇所のみをコピーすることによって、高速に等価性を回復します。
プロキシ用の JRM は、プロキシボリュームの pjrm 属性をオンに設定してプロキシボリュームを分離した場合に有効になります。しかし、プロキシを分離している状態で、クラスのスコープに含まれている任意の 1 ノードが停止した場合、再結合および復元の際には、高速等価性回復コピーは行われません。つまり、更新箇所のみでなく、ボリューム全体のコピーが行われます。
したがって、計画的なシステムシャットダウンを行う前には、プロキシをマスタにいったん再結合することを推奨します。
ディスク装置のコピー機能を利用している場合は、このような考慮は不要です。
参照
設定方法については、「7.8.1.2 操作手順」または「B.2.1 sdxproxy - プロキシオブジェクトの操作」を参照してください。
変更方法については、「B.1.7 sdxattr - オブジェクトの属性値変更」を参照してください。
GDS 運用管理ビューを使用する場合、メイン画面のプロキシボリューム情報フィールドで、プロキシ用の高速等価性回復機構の設定 (あり/なし) が確認できます。詳細は、「7.1.2 プロキシオブジェクトの構成確認」を参照してください。
コマンドを使用する場合、sdxinfo コマンドの -e long オプションで表示されるボリューム情報の PJRM フィールドで、プロキシ用の高速等価性回復モードが確認できます。詳細は、「B.1.6 sdxinfo - オブジェクトの構成および状態情報の表示」
注意
ルートクラスのプロキシ用の JRM 【EFI】
ルートクラスでは、プロキシ用の JRM を「あり」に設定することはできません。GDS 運用管理ビューでプロキシ分離を行う際に、高速等価性回復機構として「あり」を選択しても、プロキシ用の JRM は「なし」に設定されます。プロキシ再結合の際には、マスタ全体のデータがプロキシにコピーされます。