ここでは、GDS でミラーリングしているシステムディスクのデータをテープにバックアップする方法を説明します。
バックアップ対象のファイルの整合性を確保するため、バックアップは、CD-ROM 装置からブートするか、または、シングルユーザモードに移行して行います。整合性を確実に確保するためには、CD-ROM 装置からブートしてバックアップを行うことを推奨します。
a) CD-ROM 装置からブートしてバックアップを行う場合
a1) バックアップの際に、バックアップ対象のスライスに対して書込みを行う可能性がある場合は、バックアップ対象のディスクのミラーリングを一時的に解除します。
例えば、バックアップ対象のファイルシステムに対して mount(8) コマンドや fsck(8) コマンドを実行すると、これらのコマンドがバックアップ対象のスライスに書込みを行うことがあります。このような場合、事前に本手順を実行してミラーリングを一時的に解除しておく必要があります。
例として、ディスク Root1 とディスク Root2 がグループ Group1 に接続されてミラーリングされていて、Root1 をバックアップ対象とする場合に、Group1 から Root2 を切断する場合のコマンド行を示します。
# sdxdisk -D -c System -g Group1 -d Root2 |
グループ Group1 に接続されているディスク (GROUP フィールドに Group1 と表示されるディスク) が 1 つだけであることを確認します。
# sdxinfo -D -c System |
参考
ディスク Root1 上に INVALID 状態のスライスがある場合は、Root1 の方を切断してください。keep タイプのディスクを切断した場合 (sdxinfo -D コマンドの出力のうち、切断したディスクの TYPE フィールドの値が keep の場合) は、後でグループに接続できるように、タイプ属性を undef に変更してください (または、いったんクラスから削除してから、undef タイプのディスクとして登録しなおしてください)。ディスクのタイプ属性の変更方法は、「8.2.1.2 クラス構成」の「ディスク属性の変更」または「B.1.7 sdxattr - オブジェクトの属性値変更」を参照してください。
例) keep タイプのディスク Root1 を Group1 から切断した場合に、Root1 のタイプ属性を undef に変更する方法
# sdxattr -D -c System -d Root1 -a type=undef |
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「8.2.1.3 グループ構成」を参照してください。
mount(8) コマンドおよび fsck(8) コマンドについては、Linux のマニュアルを参照してください。
注意
本手順を実行せずに、以降の手順でバックアップ対象のスライスに対して書込みを行ってしまった場合、バックアップ対象のボリュームの等価性は保証されません。この場合、「7.4.6 リストア手順 (システムがブートできない場合)【EFI】」に従って、バックアップ対象のボリュームのリストアを行ってください。
a2) 共用クラスまたはローカルクラスを使用している場合、「7.4.1 バックアップ前の設定」に従って設定を行います。
a3) システムをシャットダウンします。
# shutdown -h now |
a4) ノードの電源を投入し、OS のインストール CD を CD-ROM ドライブに挿入します。
a5) EFI ブートマネージャのブートオプション選択画面に表示されるブートデバイスの中から、CD-ROM 装置を選択し、レスキューモードで起動します。
RHEL-AS4(IPF) の場合、以下の手順で起動します。
詳細は、OS のマニュアルを参照してください。
EFI Boot Manager ver 1.10 Please select a boot option Root1 Root2 DVD/Acpi(PNP0A03,0)/Pci(1D|1)/Usb(0,0)←選択 ... Use ↑ and ↓ to change option(s). Use Enter to select an option |
ELILO boot: と表示されたら、linux rescue と入力します。
Choose a Language 画面では、English を選択します。
Keyboard Type 画面では、jp106 を選択します。ただし、使用するキーボードに応じて、適宜変更してください。
Setup Networking 画面では、ネットワークの設定を行う場合は Yes、行わない場合は No を選択します。Yes を選択した場合、IP アドレスの設定画面に移行します。画面の指定に従って IP アドレスを設定してください。
Rescue 画面では、Skip を選択します。
a6) バックアップ対象の物理スライス名を確認します。
バックアップ対象の物理ディスク名を確認します。
RHEL4 または RHEL5 の場合
# ls -l /sys/block/sd*/device | grep 0000:06:02.0 | grep 0:0:0 lrwxrwxrwx 1 root root 0 Jun 1 2005 /sys/block/sda/device ->\ ../../devices/pci0000:02/0000:02:1f.0/0000:06:02.0/host2/target0:0:0/0:0:0:0 |
RHEL6 または RHEL7 の場合
# ls -l /sys/block/sd* | grep 0000:06:02.0 | grep 0:0:0
lrwxrwxrwx 1 root root 0 Jun 1 2011 /sys/block/sda ->\
../devices/pci0000:00/0000:00:09.0/0000:01:00.0/0000:02:00.0/0000:03:00.0/\
0000:04:03.0/0000:06:02.0/host1/port-1:0/end_device-1:0/target1:0:0/1:0:0:0/block/sda |
grep コマンドの引数には、バックアップ対象のディスク (この例では Root1) の、「6.5.5 物理ディスク情報とスライス番号の確認」で確認した物理ディスク情報を指定します。
この例では、物理ディスク名は、sda です。
物理ディスク名と、「6.5.5 物理ディスク情報とスライス番号の確認」で確認したスライス番号を組み合わせることで、物理スライス名が分かります。
この例では、バックアップ対象の物理スライス名は、下記のとおりです。
用途 | 物理スライス名 |
---|---|
/ | sda1 |
/var | sda2 |
/usr | sda3 |
/boot | sda4 |
/boot/efi | sda5 |
a7) ファイルシステムのデータのバックアップをテープ媒体に採取します。
バックアップするファイルシステムの形式により、使用するコマンドが異なります。ファイルシステムの形式に合うコマンドを使用して、データをバックアップしてください。
ここでは、dump(8) コマンドを使用して、ルートファイルシステムのデータをテープ装置 /dev/st0 のテープ媒体にバックアップする場合を例として示します。
# dump 0uf /dev/st0 /dev/sda2 |
dump コマンドの引数では、手順 a6) で確認した物理スライスを指定します。
参照
バックアップ方法の詳細については、バックアップするファイルシステムや使用するコマンドのマニュアルを参照してください。
a8) レスキューモードを終了し、システムを起動します。
RHEL-AS4(IPF) の場合、以下のコマンドでレスキューモードを終了します。
詳細は、OS のマニュアルを参照してください。
# exit |
a9) 共用クラスまたはローカルクラスを使用している場合、「7.4.3 バックアップ後の設定」に従って設定を行います。
a10) 手順 a1) を実行した場合は、手順 a1) で切断したディスクをグループに再接続します。
# sdxdisk -C -c System -g Group1 -d Root2 |
ディスク Root2 がグループ Group1 に接続されたこと (Root2 の行の GROUPフィールドに Group1 と表示されること) を確認します。
# sdxinfo -D -c System |
等価性コピーが自動的に行われ、等価性コピーが完了するとミラーリング状態が復旧されます。
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「8.2.1.3 グループ構成」を参照してください。
参考
手順 a1) で keep タイプのディスクをグループから切断し、タイプ属性を undef に変更しなかった場合、手順 a10) がエラーとなり、エラーメッセージ "keep disk cannot be connected to existing group" が出力されます。この場合、ディスクのタイプ属性を undef に変更してから、手順 a10) を再実行してください。
ディスクのタイプ属性の変更方法は、手順 a1) の「参考」を参照してください。
b) シングルユーザモードに移行してバックアップを行う場合
b1) 動作中のアプリケーションプログラムを停止します。
b2) シングルユーザモードに移行します。
b3) 共用クラスまたはローカルクラスを使用している場合、「7.4.1 バックアップ前の設定」に従って設定を行います。
b4) バックアップするファイルシステムのボリュームを確認します。
ここでは、/ (ルート) ファイルシステムをバックアップする場合を例として説明します。
# mount | grep " / "
/dev/sfdsk/System/dsk/rootVolume on / type ext3 (rw) |
この例では、/ (ルート) ファイルシステムのボリュームのデバイス特殊ファイルは、/dev/sfdsk/System/dsk/rootVolume です。
なお、RHEL6 以降の場合、デバイス特殊ファイルは /dev/sfdsk/gdssysX (X は数値) の形式です。
b5) ファイルシステムのデータのバックアップをテープ媒体に採取します。
バックアップするファイルシステムの形式により、使用するコマンドが異なります。ファイルシステムの形式に合うコマンドを使用して、データをバックアップしてください。
ここでは、dump(8) コマンドを使用してテープ装置 /dev/st0 のテープ媒体にバックアップする場合を例として示します。
# dump 0uf /dev/st0 /dev/sfdsk/System/dsk/rootVolume |
dump コマンドの引数には、手順 b4) で確認したボリュームのデバイス特殊ファイルを指定します。
参照
バックアップ方法の詳細については、バックアップするファイルシステムや使用するコマンドのマニュアルを参照してください。
b6) 共用クラスまたはローカルクラスを使用している場合、「7.4.3 バックアップ後の設定」に従って設定を行います。
b7) システムを再起動します。
# shutdown -r now |