ここでは、仮想L-Serverのインポート操作について説明します。
VMコンバーターでは、CLIによる仮想L-Serverのインポート機能を提供します。
仮想L-Serverのインポート機能には、以下の3つの機能があります。
別環境の本製品、または外部クラウドサービスからエクスポートした仮想マシンの仮想ハードディスクを、VMホストにインポートします。
VMホストにインポートされた仮想マシンを、仮想L-Serverに関連付けます。
関連付けられた仮想L-Serverを、指定されたL-Platformに取り込みます。
注意
VMコンバーターのCLIによる仮想L-Server関連付けとL-Platform取り込みの対象は、以下のとおりです。
本インポート機能によりインポートされた仮想マシン
その仮想マシンを関連付けた仮想L-Server
VMコンバーターのエージェントプログラムのインストール
インポートする仮想マシンには、あらかじめVMコンバーターのエージェントプログラムがインストールされている必要があります。
対象の仮想マシンを移行元よりエクスポートする前に、VMコンバーターのエージェントプログラムをインストールします。
エージェントプログラムのインストーラーは、VMコンバーターのインストールフォルダー配下に格納されています。
VMコンバーターインストールフォルダー\VMConverter\Agent\x86\TransportAgent.msi VMコンバーターインストールフォルダー\VMConverter\Agent\x64\TransportAgent.msi
インポート対象の仮想マシンのOSのビットモードに合わせていずれかのインストーラーを選択し、仮想マシン上で実行してエージェントプログラムをインストールしてください。
注意
VMコンバーターのエージェントプログラムは、移行元で仮想マシンにインストールする必要があります。
エージェントプログラムをインストールした後に仮想マシンのエクスポートを行ってください。
仮想L-Server、テナント、およびL-Platformの確認と設計
VMコンバーターが提供する 3つの機能を使用するには、以下の情報を確認、またはあらかじめ決めておく必要があります。
移行先のVMホストを管理する vCenter Serverの IPアドレス(確認)
移行先のVMホストを管理する vCenter Serverのログイン名、パスワード(確認)
移行先のVMホストのIPアドレス(確認)
移行先のVMホスト内のデータストア名(確認)
移行先のVMホスト内の仮想マシン名(あらかじめ決めておく)
仮想マシンのディスクサイズ(あらかじめ決めておく)
仮想マシンのディスクイメージ形式(あらかじめ決めておく)
インポートするvmdkファイルのフルパス(確認)
仮想L-Serverを配置するテナント名(確認)
仮想L-Server名(あらかじめ決めておく)
取り込み先のL-Platform ID(確認)
仮想L-Serverに設定するディスクイメージID(確認)
仮想L-Serverを配置したテナント名(確認)
仮想L-Serverを配置したテナントのテナント管理者のユーザ名(確認)
参考
仮想L-Serverに設定するディスクイメージIDは、RORコンソールの[テンプレート]タブの[イメージ]タブより確認できます。また、cfmg_listimageinfoコマンドでも確認可能です。
コマンドの詳細は、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「9.9 cfmg_listimageinfo (イメージ情報の一覧表示)」を参照してください。
インポートされる仮想マシンの構成情報や個別情報の定義ファイルの作成
インポートされる仮想マシンの構成情報(CPU数やメモリ量)や個別情報(NIC数、NIC接続先、ホスト名、ネットワーク情報)は、インポート処理時に指定します。移行元の仮想マシンの構成情報、および個別情報は引き継がれません。
インポートする仮想マシンに設定する構成情報(CPU数やメモリ量)について、仮想マシン構成ファイルへ記載します。
仮想マシン構成ファイルの詳細は 「仮想マシン構成ファイル」を参照してください。
インポートする仮想マシン内に設定する個別情報(コンピュータ名やネットワーク情報)について、個別設定情報ファイルへ記載します。
ネットワーク情報については、事前に本製品のアドレスプールから割り当て可能なIPアドレスを確認し、記載します。
個別設定情報ファイルの詳細は 「個別設定情報ファイル」を参照してください。
仮想L-Serverへの関連付けに必要な定義ファイルの編集
インポートした仮想マシンを仮想L-Serverに関連付ける際に、本製品のIPアドレスを自動的に払い出すため、以下の定義ファイルの reserve_ip_address値を"true"にしてください。
【Windowsマネージャー】
インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\customize_data
l_server.rcxprop
reserve_ip_address=true
定義ファイルの詳細は、「17.8.1 導入」を参照してください。
VMコンバーターで提供されるCLIにより、以下の操作ができます。
仮想マシンのインポートの開始
インポート処理(タスク)の進捗状況の取得
インポートした仮想マシンの仮想L-Serverへの関連付け
仮想L-ServerのL-Platformへの取り込み
CLIは、Windows PowerShell2.0以降で以下のコマンドレットとして提供されます。
コマンドレットの使用にあたり、あらかじめモジュールマニフェストファイルをインポートしておく必要があります。モジュールマニフェストファイルは、インストールフォルダー配下のファイルです。
VMコンバーターのインストールフォルダー\VMConverter\Client\PowerShell\Fujitsu.VMConverterClient.psd1
上記フォルダーに移動し、Import-Moduleコマンドを実行します。
Import-module .\Fujitsu.VMConverterClient.psd1 |
コマンドレットの構文を説明します。
> Connect-DestinationCloud -DestinationCloudType String -DestinationServer String -DestinationServerUserName String -DestinationServerPassword String <RETURN> |
コマンドレット名 | 説明 | パラメーター | 出力 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
パラメーター名 | 型 | 必須 | 説明 | |||
Connect-DestinationCloud | 移行先クラウドにログインします | DestinationCloudType | String | True | 移行先となるクラウドの種別を指定します。 | なし |
DestinationServer | 移行先となるクラウドのサーバ名をFQDN名またはIPアドレスで指定します。移行先として本製品の管理サーバだけをサポートします | |||||
DestinationServerUserName | 移行先となるクラウドにログオンするための認証ユーザーIDを指定します。 | |||||
DestinationServerPassword | 移行先となるクラウドにログオンするための認証パスワードを指定します。 |
> Disconnect-DestinationCloud -DestinationCloudType String <RETURN> |
コマンドレット名 | 説明 | パラメーター | 出力 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
パラメーター名 | 型 | 必須 | 説明 | |||
Disconnect-DestinationCloud | 移行先クラウドからログアウトします | DestinationCloudType | String | True | 移行先となるクラウドの種別を指定します。 | なし |
> Start-ImportTask -SourceCloudType String -DestinationCloudType String -VMManagementServerAddress String -VMHostAddress String -VMHostDatastore String -VMName String -VMManagementServerUserName String -VMManagementServerPassword String -TargetPath String [-VMDiskSize String] [-VMDiskFormat String] -VMConfigFile String -VMCustomizeFile String [-Wait Switch] <RETURN> |
コマンドレット名 | 説明 | パラメーター | 出力 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
パラメーター名 | 型 | 必須 | 説明 | |||
Start-ImportTask | インポートのタスクを開始します。 | SourceCloudType | String | True | 移行元となるクラウドの種別を指定します。 | タスクID |
DestinationCloudType | 移行先となるクラウドの種別を指定します。 | |||||
VMManagementServerAddress | VMを管理するvCenterサーバのIPアドレスを指定します。 | |||||
VMHostAddress | VMが格納されるESX/ESXiホストを指定します。 vCenterにESX/ESXiをIPアドレスで登録している場合は、IPアドレスを指定します。 | |||||
VMHostDatastore | VMが格納されるESX/ESXiホスト内のデータストア名を指定します。 | |||||
VMName | インポート後のVM名(移行先のVMホスト上でのVM名)を指定します。 | |||||
VMManagementServerUserName | vCenterサーバにログオンするための認証ユーザーIDを指定します。 | |||||
VMManagementServerPassword | vCenterサーバにログオンするための認証パスワードを指定します。 | |||||
TargetPath | インポートするvmdkファイルのフルパス名を指定します。 ローカルフォルダーまたは、本ツールの実行ユーザーがアクセス可能な共有パスが指定可能です。 | |||||
VMDiskSize | False | インポート後のVMのディスクサイズをギガバイト数で指定します。 (注) | ||||
VMDiskFormat | インポート後のVMのディスク形式を以下から選択します。
| |||||
VMConfigFile | True | 仮想マシン構成ファイルのフルパス名を指定します。 | ||||
VMCustomizeFile | True | 個別設定情報ファイルのフルパス名を指定します。 | ||||
Wait | False | インポート処理が完了するまで待ちます。 |
注) ディスクサイズは、エクスポートしたVMのディスクサイズ以上の値を指定してください。
>Update-ConvertTask [-Show] <RETURN> |
コマンドレット名 | 説明 | パラメーター | 出力 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
パラメーター名 | 型 | 必須 | 説明 | |||
Update-ConvertTask | 管理中のタスクの実行状況を更新します。 | Show | Switch | False | 指定された場合、更新したタスク管理データベースを読み出します。 | なし。 |
> Start-VMtoLServer -VMName String -TenantName String -LServerName String <RETURN> |
コマンドレット名 | 説明 | パラメーター | 出力 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
パラメーター名 | 型 | 必須 | 説明 | |||
Start-VMtoLServer | VMのL-Server関連付けを開始します。 | VMName | String | True | Start-ImportTaskでインポートしたVM名を指定します。 | なし |
TenantName | L-Serverを配置するテナント名を指定します。 | |||||
LServerName | L-Server名を指定します。 |
注意
本コマンドレットの実行時に VMホストが停止している場合、仮想L-ServerにIPアドレスが設定されていない状態で関連付けが完了します。この場合は、rcxadm lserver modify コマンドでIPアドレスを設定してください。
詳細は、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」を参照してください。
>Start-LServertoLPlatform -DestinationServerUserName String -DestinationServerPassword String -DiscImageId String -TenantAdmin String -TenantName String -LPlatformName String -LServerName String [-LPlatformApiPort String ] <RETURN> |
コマンドレット名 | 説明 | パラメーター | 出力 (戻り値) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
パラメーター名 | 型 | 必須 | 説明 | |||
Start-LServertoLPlatform | L-ServerのL-Platform取り込みを開始します。 | DestinationServerUserName | String | True | 移行先となるクラウドにログオンするための認証ユーザーIDを指定します。 | なし |
DestinationServerPassword | 移行先となるクラウドにログオンするための認証パスワードを指定します。 | |||||
DiscImageId | L-Serverに設定するディスクイメージIDを指定します。 | |||||
TenantAdmin | L-Serverの関連付けで指定したテナントのテナント管理者のユーザー名を指定します。 | |||||
TenantName | Start-VMtoLServerで指定したテナント名を指定します。 | |||||
LPlatformName | 取り込み先のL-Platform IDを指定します。 | |||||
LServerName | Start-VMtoLServerで指定した取り込み対象のL-Server名を指定します。 | |||||
LPlatformApiPort | False | L-Platform APIが動作するポート番号を指定します。 省略された場合はポート番号8014を使用します。 |
仮想マシン構成ファイル
Start-ImportTaskコマンドレットの VMConfigFile オプションで仮想マシン構成ファイルを指定することにより、インポートする仮想マシンの構成を設定することが可能です。
仮想マシン構成ファイルは以下の記載例のようにXML形式で記載します。
ファイルの文字コードはUTF-8にしてください。
VMコンバーターインストールフォルダー\VMConverter\Client\sample\import_vmconfig.xml
例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <Config> <VmVersion>vmx-08</VmVersion > <OSType ovfType="1" vmwType="winNetEnterpriseGuest"/> <Processor numCPUs="2"/> <Memory sizeInMB="2048"/> <DiskController type="lsilogic"/> <NetworkInterfaces> <NicType>E1000</NicType> <NetworkInterface> <Connection>Virtual Network #1</Connection> </NetworkInterface> <NetworkInterface> <Connection>Virtual Network #2</Connection> </NetworkInterface> </NetworkInterfaces> </Config> |
要素 | 属性 | 説明 | 必須 |
---|---|---|---|
Config | - | ルート要素です。 | ○ |
VmVersion | - | 仮想マシンバージョンを指定します。 【VMware】 例
仮想マシンのバージョンがわからない場合は、 VmVersion要素を指定しないでください。省略した場合には、移行先のVMホストにより自動的に設定されます。 | - |
OSType | ovfType vmwType | ゲストOSの種類を指定します。
| ○ |
Processor | numCPUs | 仮想マシンのCPU総数を指定します。 | ○ |
Memory | sizeInMB | 仮想マシンのメモリ量をメガバイト(MB)単位で指定します。 | ○ |
DiskController | type | SCSI コントローラーの種類を指定します。指定できる値は以下です。 lsilogic, buslogic, lsilogicsas, VirtualSCSI 省略した場合は、移行先のホストにより自動的に設定されます。 | - |
NetworkInterfaces | ○ | ||
NicType | NIC の種類を指定します。指定できる値は以下です。 E1000e, E1000, VmxNet3, VmxNet2, PCNet32 省略した場合は、移行先のホストにより自動的に設定されます。 | - | |
NetworkInterface | ○ | ||
Connection | 接続する仮想ネットワーク名を指定します。 | ○ |
設定が必須ではない要素は、タグ自体を記述しないようにする必要があります。
インポート対象VMのOS | 指定文字列 |
---|---|
Windows Server 2008 (32bit) | winLonghornGuest |
Windows Server 2008 (64bit) | winLonghorn64Guest |
Windows Server 2008R2 | windows7Server64Guest |
Windows Server 2012 | windows8Server64Guest |
Windows Server 2012 R2 | windows8Server64Guest |
注意
仮想マシンバージョンは、移行先ホストがサポートしている仮想マシンバージョンを指定してください。
移行前の仮想マシンバージョンとは異なる仮想マシンバージョンをインポート時に指定すると、インポートした仮想マシンが正常に動作しない場合があります。
個別設定情報ファイル
Start-ImportTaskのコマンドレットの VMCustomizeFileオプションで個別設定情報ファイルを指定することにより、仮想マシンのインポート時に個別情報を設定することが可能です。
vmdk ファイルをインポートする場合、本ファイルの指定は必須です。
個別設定情報ファイルは以下の記載例のようにXML形式で記載します。
ファイルの文字コードはUTF-8にしてください。
VMコンバーターインストールフォルダー\VMConverter\Client\sample\import_customize.xml
例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <Customization version="1"> <ComputerName>comp01</ComputerName> <Interfaces> <Interface mode="static"> <Connection>Virtual Network #1</Connection> <Name>Business LAN</Name> <IPv4Address>10.1.1.4</IPv4Address> <IPv4SubnetMask>255.255.255.0</IPv4SubnetMask> <IPv4Gateway>10.1.1.1</IPv4Gateway> <DNSServer>10.1.2.8</DNSServer> <DNSServer>10.1.3.10</DNSServer> </Interface> <Interface mode="static"> <Connection>Virtual Network #2</Connection> <Name>Management LAN</Name> <IPv4Address>192.168.10.24</IPv4Address> <IPv4SubnetMask>255.255.255.0</IPv4SubnetMask> <IPv4Gateway>192.168.10.1</IPv4Gateway> </Interface> </Interfaces> </Customization> |
要素 | 親要素 | 値 | 必須 |
---|---|---|---|
Customization | - | ルート要素です。 | ○ |
ComputerName | Customization | コンピューター名を指定します。 | - |
Interfaces | Customization | NICの設定のリストです。 | ○ |
Interface | Interfaces | NICごとに設定します。 | ○ |
Connection | Interface | どの仮想ネットワークにつながっているかを指定します。 | ○ |
Name | Interface | ネットワーク接続名を指定します。 | - |
IPv4Address | Interface | IPv4アドレスを指定します。 | ○ |
IPv4SubnetMask | Interface | IPv4サブネットマスクを指定します。 | ○ |
IPv4Gateway | Interface | IPv4デフォルトゲートウェイを指定します。 | ○ |
DNSServer | Interface | DNSサーバのアドレスを指定します。 | - |
設定が必須ではない要素は、タグ自体を記述しないようにする必要があります。
VM移行エンジン構成ファイル
Start-ImportTaskのコマンドレット実行時に、VM移行エンジン構成ファイルで、仮想マシンのインポート時の動作を変更できます。このファイルが存在しない場合は、既定値で動作します。
VM移行エンジン構成ファイルは以下の記載例のようにXML形式で記載します。
ファイルの文字コードはUTF-8にしてください。
VMコンバーターインストールフォルダー\VMConverter\Engine\TransporterConfig.xml
例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <configuration> <timeout> <WebService>100</WebService> <FindNic>300</FindNic> <InitSys>180</InitSys> </timeout> </configuration> |
要素 | 説明 | 必須 | 既定値(秒) |
---|---|---|---|
configuration | ルート要素です。 | ○ | - |
timeout | - | ||
WebService | インポート内部処理(Webサービス)のタイムアウト時間(秒)を指定します。 VMDiskFormat オプションで thickeager を指定した場合、移行先のホスト性能等によりインポートがタイムアウトすることがあります。 その場合は、WebServiceを大きい値に変更してください。 | - | 100 |
FindNic | インポートされた仮想マシン内で、エージェントプログラムが、NICの初期化の完了を待つ時間(秒)を指定します。 仮想マシン構成ファイルでNICを追加・変更した場合、OSによるNICの初期化に時間を要し、個別設定情報ファイルで指定した値の設定に失敗する場合があります。 その場合は、FindNicを大きい値に変更してください。 | - | 300 |
InitSys | インポートされた仮想マシン内で、エージェントプログラムが、システムの初期化の完了を待つ時間(秒)を指定します。 個別設定情報ファイルでNICを設定する場合、タイミングにより、本設定処理とVMware Toolsの設定処理とが競合して正常に設定できない場合があります。 インポートが完了したにも関わらず、仮想マシンに移行前のNIC情報が残っている場合には、他のインポート操作を続ける前に、InitSys値を大きい値に変更してください。 | - | 180 |