ここでは、構築したレプリケーションの環境を別のサーバに移行する作業手順を説明します。
移行元のサーバと移行先のサーバで行う退避、復元の作業を、以下の手順で行ってください。
手順を誤ると、移行先で復元できない場合や、データベース間で整合性が保たれず、移行先での運用でエラーが発生する場合があります。
図3.95 レプリケーションの環境を移行する基本的な作業手順
移行元のサーバで行う作業を、以下の手順で行ってください。
業務終了
同期対象のデータファイルを操作する業務を終了して、データファイルをオープンしないようにしてください。
連携する相手サーバの業務も終了してください。
スケジュールの停止
同期を実行するスケジュールを停止するため、スケジュール定義を停止してください。また、スケジュールを設定しているサーバのサービス「PowerReplication ATJS」を停止してください。
手動で同期実行
レプリケーションマネージャまたはrpsyncコマンドを使用し、定義情報に従って同期を実行してください。レプリケーションマネージャを利用する場合は、レプリケーショングループを関連づけているマスタグループ定義を選択して同期を実行してください。
更新情報取得の停止
レプリケーションマネージャまたはrpctldifコマンドを使用し、差分同期を行うマスタグループ定義およびレプリカグループ定義の更新情報の取得を停止してください。
構成定義の移出
構成定義の移出入機能を使用して、レプリケーションの構成定義を移出(エクスポート)してください。このとき、連携する相手サーバ(移行しないサーバ)でも構成定義を移出(エクスポート)してください。
レプリケーションの構成定義の移出方法は、"6.2.4 構成定義のエクスポート"を参照してください。
構成定義の削除
レプリケーションマネージャを使用して、すべての構成定義を削除してください。
サービスの停止
PowerReplicationのサービス「PowerReplication」を停止してください。
データファイルの退避
移行する同期対象のデータファイルを退避してください。
移行先のサーバにレプリケーションの構成定義を復元する場合、事前にデータファイルを移行しておくことが必要です。
このため、退避するデータファイルは、移行先のサーバで新規作成できる情報を退避してください。
反映元となるサーバのデータファイルは、データも合わせて退避してください。
データファイルの退避方法は、使用するDBMSのオンラインマニュアルを参照してください。
文字コード変換表の移出
外字(利用者定義文字)を使用している場合、「Charset Manager」または「JEF拡張漢字サポート」を使用して、文字コード変換表を移出してください。
文字コード変換表の移出方法は、それぞれの製品マニュアルを参照してください。
PowerReplicationの機能に、レプリケーションの動作環境を移行するための機能はありません。
必要に応じて、レプリケーションの動作環境に設定した内容を記録しておいてください。
なお、rpsavdefコマンドとrprstdefコマンドは、レプリケーションの動作環境の設定を、同一サーバで退避、復元するコマンドです。異なるサーバに移行できません。
移行先のサーバで行う作業を、以下の手順で行ってください。
なお、レプリケーションの環境が構築されていないサーバに移行することを前提に説明します。
インストール
「PowerReplication V4.0」をインストールしてください。必要に応じてDBMS製品や文字コード変換製品をインストールしてください。インストールする製品は、移行元の製品と同じバージョンを使用してください。「PowerReplication V4.0」のインストール方法は、"3.2.1 インストールする"を参照してください。
DBMS製品や文字コード変換製品のインストール方法は、それぞれの製品マニュアルを参照してください。
文字コード変換表の移入
移行元のサーバで移出した文字コード変換表を移入してください。
文字コード変換表の移入方法は、使用する文字コード変換製品のマニュアルを参照してください。
動作環境の設定
以下の動作環境を設定してください。
ネットワークの環境を構築
データベースの環境を作成
OracleまたはSQL Serverを使用する場合、更新情報を格納する表領域またはデータベースを新規に作成してください。移出元のサーバから移行しないでください。
レプリケーションの動作環境を設定
ネットワークの環境設定、データベースの環境、文字コード変換の環境などに合わせてレプリケーションの動作環境を設定してください。
これらの動作環境設定には、以下を参照してください。
Oracleを使用する場合:"3.3.3 レプリケーションの環境を作成する"
SQL Serverを使用する場合:"3.4.3 レプリケーションの環境を作成する"
サービスの開始
PowerReplicationのサービス「PowerReplication」を開始してください。
データファイルの復元
移行元のサーバで退避したデータファイルを復元してください。
マスタとなるデータファイルは、データも復元してください。
データファイルの復元方法は、使用するDBMS製品のオンラインマニュアルを参照してください。
復元したデータファイルの構造は変更しないでください。構造を変更すると、移行元のサーバで移出したレプリケーションの構成定義が移入できない場合があります。移入できても、PowerReplicationの各機能の実行で予期せぬエラーが発生する場合があります。
記述文ファイルの修正
移出元のサーバで移出(エクスポート)しておいた構成定義(記述文ファイル)のサーバ定義情報を、移入先のサーバに合わせて変更してください。
キーワード | 変更内容 |
---|---|
SVR_NAME | "ローカル"で始まるサーバ定義情報のHOSTのパラメタを変更します。 |
HOST | 移入するサーバ(自サーバ)のサーバ名またはIPアドレスに変更してください。 |
記述文ファイルは、Unicode(UTF8)で出力されています。このため、記述文ファイルを編集するエディタは、文字コードがUnicodeとして扱えるように記述文ファイルを開いてください。編集後、閉じるときにはUnicodeとして格納してください。シフトJISコードとして格納する場合には、記述文ファイルのCHR_CODEの設定値を"SJIS"に変更するか、または、CHR_CODEの記述を削除してから、記述文ファイルを閉じてください。
記述文ファイルの詳細は、"E.1 構成定義の記述文言語仕様"を参照してください。
レプリケーションの構成定義の移入方法は、"6.2.5 構成定義のインポート"を参照してください。
構成定義の移入
構成定義の移出入機能を使用して、記述文ファイルを移入(インポート)してください。
連携する相手サーバ(移行しないサーバ)で移入(インポート)を行ってください。相手サーバで移出(エクスポート)しておいた記述文ファイルを移入(インポート)します。
このとき、自サーバ(移行したサーバ)に接続するため、ログイン操作画面が表示されます。このログイン操作画面では、[キャンセル]ボタンを押してください。
自サーバ(移行したサーバ)で移入(インポート)を行ってください。"6. 記述文ファイルの修正"で修正した記述文ファイルを移入(インポート)します。
このとき、相手サーバ(移行しない)に接続するため、ログイン操作画面が表示されます。このログイン操作画面では、相手サーバと接続するためのユーザー名、パスワード、ドメイン名を入力してください。
記述文ファイルの移入が完了した後、レプリケーションマネージャを使用して、レプリケーションの構成定義が正しく作成されていることを確認してください。
異なるバージョンのレプリケーション製品と連携している場合、移入時のログイン操作画面で入力できるパスワードの最大長が異なるため、14バイト以下のパスワードが設定されたユーザを使用してください。
移入する前に、相手サーバの定義は作成しないでください。
更新情報取得の開始
レプリケーションマネージャまたはrpctldifコマンドを使用して、差分同期を行うマスタグループ定義およびレプリカグループ定義の更新情報の取得を開始してください。
スケジュールの開始
サービス「PowerReplication ATJS」を開始してください。
動作検証
レプリケーションの運用を動作検証してください。
動作検証の作業は、以下を参照して行ってください。
Oracleを使用する場合:"3.3.4 レプリケーションの運用を動作検証する"
SQL Serverを使用する場合:"3.4.4 レプリケーションの運用を動作検証する"