本製品で扱うネットワークリソースとは、L-Serverを接続するネットワークの定義情報です。L-Serverを作成する際のネットワーク設定を自動化するため、ネットワークの構成を事前に定義できます。
ネットワークリソースには、以下の2種類があります。
内部ネットワーク
L-Server同士を接続するためのネットワークリソースです。以下の情報を保持します。
接続経路で使用するVLAN ID
接続したL-ServerのNICに設定するIPアドレスの範囲(オプション)
外部ネットワーク
L-Serverを本製品の管理外の既存ネットワークと接続するためのネットワークリソースです。内部ネットワークに加えて、以下の情報を保持します。
本製品の管理下のネットワークと既存ネットワークを接続するLANスイッチブレードとそのポート(以降、外部接続ポート)
ネットワークリソースを用いた設定の簡易化
L-ServerのNICとネットワークリソースを、以下の図のように接続することで、ネットワークの複数の設定をまとめて行えます。
図1.2 ネットワークリソースの接続イメージ
L-ServerのNICとネットワークリソースの接続によって設定される項目について説明します。
ブレードサーバに対するネットワークの自動設定
サポートするネットワークの構成パターン以外の場合、以下を参照してください。
物理L-Serverの場合
「F.6.1 ネットワーク自動設定」を参照してください。
仮想L-Serverの場合
【VMware】
「G.1.4 セットアップ」の「ネットワークの自動設定」を参照してください。
【Hyper-V】
「G.2.4 セットアップ」の「ネットワークの自動設定」を参照してください。
ブレードサーバに対するネットワークの手動設定
サポートするネットワーク構成パターン以外の場合、以下を参照してください。
物理L-Serverの場合
「F.6.2 ネットワーク手動設定」を参照してください。
仮想L-Serverの場合
【VMware】
「G.1.4 セットアップ」の「ネットワークの手動設定」を参照してください。
【Hyper-V】
「G.2.4 セットアップ」の「ネットワークの手動設定」を参照してください。
自動で設定されない場合、手動で設定できます。
図1.3 ブレードサーバに対するネットワーク自動設定
物理L-Server | 仮想L-Server | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
VMware | Hyper-V | RHEL5-Xen | Oracle VM | ||||||||
冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | 冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | 冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | 冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | 冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | ||
a | 仮想スイッチの作成とNICへの接続 (*1) | - | - | × (*2) | ○ | × (*2) | ○ (*3) | × | × | × | × |
b | L-Serverの仮想NICと仮想スイッチの自動接続 (*4) | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
c | L-Serverの仮想NICに対するVLAN IDの自動設定 | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
d | LANスイッチブレードのサーバブレード側のポートへの設定 | ○ (*5) | × (*2) | × (*2、*6) | ○ (*6) | ○ (*2、*6) | ○ (*3、*6) | × | × | × | × |
e | LANスイッチブレードのサーバブレード側のポートと外部接続ポートの接続 | ○ | × | × (*2) | ○ (*6) | × (*2) | ○ (*2、*3) | × | × | × | × |
○: 本製品が設定
×: 本製品は設定しない
*1: サーバ仮想化ソフトウェア製品ごとに、以下のように読み替えてください。
VMware | 仮想スイッチとポートグループの作成 |
Hyper-V | 仮想ネットワークの作成 |
RHEL5-Xen | 仮想ブリッジの作成 |
*2: 手動で設定できます。
*3: Intel PROSetまたはPRIMECLUSTER GLSを導入した冗長化構成の場合、自動で設定できます。
*4: サーバ仮想化ソフトウェア製品ごとに、以下のように読み替えてください。
VMware | L-Serverの仮想NICと仮想スイッチのポートグループとの接続 |
Hyper-V | L-Serverの仮想NICと仮想ネットワークとの接続 |
RHEL5-Xen | L-Serverの仮想ネットワークインターフェースと事前に手動で作成済の仮想ブリッジの接続 |
*5: ポートVLANまたはタグVLANを設定します。
*6: タグVLANを設定します。
管理サーバと同一サブネットアドレスの管理LANに仮想L-Serverを接続する場合、セキュリティのリスクがあるため、本製品は仮想スイッチの作成を自動で行いません。
管理サーバと仮想L-Server間の通信経路のセキュリティを確保したあと、仮想スイッチの作成を行ってください。
LANスイッチブレードに対するVLANの自動設定
LANスイッチブレードに対してVLANを設定します。LANスイッチブレードには、レイヤー2スイッチ機能を提供するSwitchファームウェアと、仮想化を実現するIBPファームウェアがあります。
本製品では、LANスイッチブレードをSwitchファームウェアで動作させることをSwitchモード、IBPファームウェアで動作させることをIBPモードと呼びます。
詳細については、LANスイッチブレードのマニュアルを参照してください。
Switchモード
サーバブレード側のポートへのタグVLANおよびポートVLANの自動設定を行います。
IBPモード
VLANの自動設定は行いません。
ブレードサーバ以外のサーバに対する設定
ブレードサーバ以外のサーバに対して、L-Serverの仮想NICと仮想スイッチの接続を行います。
図1.4 ブレードサーバ以外のサーバに対するネットワーク設定
物理L-Server | 仮想L-Server | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
VMware | Hyper-V | RHEL5-Xen | Oracle VM | ||||||||
冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | 冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | 冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | 冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | 冗長化しない場合 | 冗長化する場合 | ||
a | 仮想スイッチの作成とNICへの接続 (*1) | - | - | × | × | × | × | × | × | × | × |
b | L-Serverの仮想NICと仮想スイッチの接続 (*2) | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
c | L-Serverの仮想NICの使用するVLAN IDの設定 | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
d | LANスイッチのポートへの設定 | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × |
○: 本製品が設定
×: 本製品は設定しない
*1: サーバ仮想化ソフトウェア製品ごとに、以下のように読み替えてください。
VMware | 仮想スイッチとポートグループの作成 |
Hyper-V | 仮想ネットワークの作成 |
RHEL5-Xen | 仮想ブリッジの作成 |
*2: サーバ仮想化ソフトウェア製品ごとに、以下のように読み替えてください。
VMware | L-Serverの仮想NICと仮想スイッチのポートグループとの接続 |
Hyper-V | L-Serverの仮想NICと仮想ネットワークとの接続 |
RHEL5-Xen | L-Serverの仮想ネットワークインターフェースと事前に手動で作成済の仮想ブリッジの接続 |
利用できるネットワーク構成
本製品で利用できるネットワーク構成と設定方法は以下のとおりです。
ハードウェア | ネットワーク構成 | 設定方法参照先 |
---|---|---|
PRIMERGY ブレードサーバ | 非冗長化構成 | 物理L-Serverの場合、「F.6.1 ネットワーク自動設定」を参照してください。 仮想L-Serverの場合、サーバ仮想化ソフトウェア製品によって異なります。 【VMware】 【Hyper-V】 【Xen】 【Oracle VM】 |
冗長化構成 | 物理L-Serverの場合、「F.6.1 ネットワーク自動設定」および「F.7.4 L-Serverのネットワーク冗長化およびVLAN設定」を参照してください。 仮想L-Serverの場合、サーバ仮想化ソフトウェア製品によって異なります。 【VMware】 【Hyper-V】 【Xen】 【Oracle VM】 | |
| 非冗長化構成 | 物理L-Serverの場合、「F.6.1 ネットワーク自動設定」を参照してください。 仮想L-Serverの場合、サーバ仮想化ソフトウェア製品によって異なります。 【VMware】 【Hyper-V】 【Xen】 【Oracle VM】 |
冗長化構成 | 物理L-Serverの場合、「F.6.1 ネットワーク自動設定」を参照してください。 仮想L-Serverの場合、サーバ仮想化ソフトウェア製品によって異なります。 【VMware】 【Hyper-V】 【Xen】 【Oracle VM】 |
ポイント
物理L-Serverを作成する場合のネットワーク構成例は、「付録F 物理L-Serverを作成する場合の設定」を参照してください。
仮想L-Serverを作成する場合のネットワーク構成例は、「付録G サーバ仮想化ソフトウェア製品の設定」を参照してください。
IPアドレスの自動設定
【Windows/Linux】【VMware】【Hyper-V】
ネットワークリソースにIPアドレスの範囲が設定されている場合は、L-Serverへのイメージ配付時に、IPアドレスを自動的に設定できます。
IPアドレスの範囲が設定されていない場合、DHCPの設定になります。
【Hyper-V】
統合サービスが導入されている以下のゲストOSで、IPアドレスの自動設定ができます。
Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 R2
Microsoft(R) Windows Server(R) 2008
Microsoft(R) Windows Server(R) 2003 R2
Microsoft(R) Windows Server(R) 2003
Microsoft(R) Windows(R) 7
Microsoft(R) Windows Vista(R)
Microsoft(R) Windows(R) XP
【Xen】【Oracle VM】
IPアドレスの自動設定には対応していません。
ネットワークリソースにIPアドレスの範囲が設定されている場合は、L-Serverへのイメージ配付後に、IPアドレスを手動で設定してください(DNSサーバも手動で設定してください)。
IPアドレスの確認方法については、「D.4 [ネットワーク]タブ」の注意事項を参照してください。
IPアドレスの範囲が設定されていない場合も、L-Serverへのイメージ配付後に、手動でDHCPでの運用になるように設定してください。
物理L-Serverに対するネットワーク設定
本製品は、サーバのNIC冗長化やタグVLANなどのOSの設定は行いません。これらの設定はL-Serverを作成したあと、手動で設定してください。
OSのイメージ配付時に自動で行う場合、以下のようなスクリプトを用意して、OS起動時に1回だけスクリプトが起動されるようにした状態でイメージを採取するなどして対応します。
ネットワーク情報ファイルに記載された内容に従って、NIC冗長化ソフトウェア(Windows Intel PROSet/Linux bondingなど)を動作させ、NIC冗長化、タグVLANの設定、およびIPアドレスの設定を行う。
ネットワーク情報ファイルについては、「F.7.4 L-Serverのネットワーク冗長化およびVLAN設定」の「ネットワーク情報ファイル」を参照してください。
ネットワーク情報ファイルを利用した設定方法は、「F.7.4 L-Serverのネットワーク冗長化およびVLAN設定」を参照してください。
注意
ネットワーク設定スクリプトが動作するタイミングによって、サーバにインストールされている業務アプリケーションが通信エラーになる可能性があります。
本製品ではこのエラーを検出できないため、ユーザーのアプリケーションで発生するネットワークエラーで検出してください。
エラーが発生した場合、サーバまたはアプリケーションを再起動する必要があります。
ネットワーク設定スクリプトでサーバを再起動してください。
RCVEのネットワークパラメーター設定機能は利用できません。
ネットワークリソースの仕様変更
以下のネットワークリソースの仕様を変更できます。
基本情報
接続情報
サブネット情報
以下のネットワークリソースを追加できます。
シャーシの増設に伴う外部接続ポート
ネットワークの仕様変更の詳細は、「A.3 リソース操作」の「ネットワークリソースの仕様変更」を参照してください。