1) 初期化対象サービスの決定
Interstage統合コマンドで初期化できるサービスを以下に示します。
CORBAサービス
ネーミングサービス
インタフェースリポジトリ
EJB用インタフェースリポジトリ
コンポーネントトランザクションサービス
データベース連携サービス
イベントサービス
(Linux for Itaniumの場合)
CORBA/SOAPクライアントゲートウェイ
これらのサービスから、Interstage統合コマンドで運用するサービスを決定します。
Interstage統合コマンドで運用するサービスを初期化します。
2) 運用形態の決定
初期化対象とするサービスを元に、運用形態を決定します。
運用形態には、以下の3種類があります。
TYPE1
CORBAサービス、ネーミングサービス、インタフェースリポジトリ、コンポーネントトランザクションサービスを初期化します。
TYPE2
TYPE1に加え、データベース連携サービスを初期化します。
TYPE3
CORBAサービス、コンポーネントトランザクションサービスを初期化し、ネーミングサービスおよびインタフェースリポジトリについては、他のサーバで運用しているサービスを参照します。
また、Interstage動作環境定義の設定との組合せにより、ネーミングサービスまたはインタフェースリポジトリの両方、または、どちらか一方を初期化対象とすることができます。初期化対象としないネーミングサービスについては、他のサーバで運用しているサービスを参照します。
上記に含まれないサービスについては、Interstage動作環境定義のカストマイズにより使用有無を指定します。
3) Interstage動作環境定義のカストマイズ
サービスごとの運用形態とInterstage動作環境定義の関係を以下に示します。
| 運用形態 | Interstage | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
TYPE1 | TYPE2 | TYPE3 | |||
CORBAサービス | ◎ | ◎ | ◎ | - |
|
ネーミングサービス | ◎ | ◎ | △ | △ | TYPE3でも定義設定により初期化対象にできる (※1) |
インタフェースリポジトリ | ◎ | ◎ | △ | △ | TYPE3でも定義設定により初期化対象にできる (※2) |
コンポーネントトランザクションサービス | ◎ | ◎ | ◎ | - |
|
データベース連携サービス | × | ◎ | × | - | TYPE2でのみ使用できる |
イベントサービス | - | - | - | ○ | 定義設定で使用有無を指定 |
| - | - | - | ○ | 定義設定で使用有無を指定 |
◎:初期化対象
○:Interstage動作環境定義の設定により初期化対象とすることができる
△:リモートのサーバを参照する
×:初期化できない
-:指定方法がない
※1) ネーミングサービスを初期化した場合、拡張機能を使用する設定となります。
※2) EJB用インタフェースリポジトリの使用有無は、isinitコマンドのパラメタで指定します。初期化内容は、インタフェースリポジトリの設定に従います。
運用形態の指定に依存しないサービスを以下に示します。
イベントサービス
(Linux for Itaniumの場合)
CORBA/SOAPクライアントゲートウェイ
これらのサービスの運用方法として、以下のどちらの方法で行うかを決定します。
Interstageとして統合した運用
運用形態で指定したサービスと共に、isstartコマンド、isstopコマンド、isstatコマンド、およびInterstage管理コンソールによる運用操作が可能となります。
サービス単位の運用
各サービス単位に運用します。この場合、isstartコマンド、isstopコマンド、isstatコマンド、およびInterstage管理コンソールによる運用操作は行えません。
各サービスおよび機能の環境のセットアップや運用操作は、各サービスの機能を使用して行ってください。
Interstageとして統合した運用を行う場合は、初期化対象とするサービスに対して、Interstage動作環境定義のカストマイズを行います。
Interstage動作環境定義は、以下のファイルです。
C:\Interstage\td\etc\isreg\isinitdef.txt
/opt/FSUNtd/etc/isreg/isinitdef.txt
/opt/FJSVtd/etc/isreg/isinitdef.txt
具体的なカストマイズ方法を以下に示します。
なお、下記以外に、Interstage動作環境定義による各種カストマイズが可能です。具体的な設定方法については、“付録E Interstage動作環境定義”および“C.2.4 Interstage動作環境定義によるカストマイズ”を参照してください。
◆ネーミングサービスおよびインタフェースリポジトリ
運用形態が“TYPE3”の場合、ネーミングサービスとインタフェースリポジトリを、以下のように配置した運用が行えます。
他サーバで運用するネーミングサービスとインタフェースリポジトリを参照する。
他サーバで運用するネーミングサービスを参照する。
他サーバで運用するインタフェースリポジトリを参照する。
Interstage動作環境定義では、他サーバで運用しているネーミングサービス、インタフェースリポジトリを参照する場合に、そのサーバ名とポート番号を定義します。
定義例を以下に示します。
ネーミングサービス、インタフェースリポジトリともに別サーバHostAを設定する場合
NS USE=remote NS Host Name=HostA NS Port Number=8002 IR USE=remote IR Host Name=HostA IR Port Number=8002
ネーミングサービスは別サーバHostA、インタフェースリポジトリはローカルサーバを設定する場合
NS USE=remote NS Host Name=HostA NS Port Number=8002 IR USE=local IR Host Name= IR Port Number=
ネーミングサービスはローカルサーバ、インタフェースリポジトリは別サーバHostAを設定する場合
NS USE=local NS Host Name= NS Port Number= IR USE=remote IR Host Name=HostA IR Port Number=8002
“TYPE3”でEJBサービスを使用する場合は、インタフェースリポジトリをローカルホスト上で運用する必要があります。Interstage動作環境定義に、インタフェースリポジトリをローカルホストで使用するように登録してください。詳細については、“付録E Interstage動作環境定義”を参照してください。
ネーミングサービス、インタフェースリポジトリを動作させるサーバ上では、inithostファイルを編集しないでください。
ネーミングサービスとインタフェースリポジトリを別のサーバで使用する場合、ポート番号は同じ番号を使用してください。
他サーバのネーミングサービス、インタフェースリポジトリを参照する場合に指定する参照先サーバ名と同一のサーバ名が、inithostファイルに定義されている場合は、inithostファイルに定義されているサーバ名を削除してください。
◆データベース連携サービス
データベース連携サービスを使用する場合は、データベース連携サービスのセットアップモードやデータベース連携サービスに関する各種カストマイズが行えます。セットアップモードでは、OTSシステムが起動するセットアップ、またはリソース管理プログラムが動作するセットアップの2種類が選択できます。
データベース連携サービスを使用する場合
OTS Path for system log=d:\otslog OTS Setup mode=sys
OTS Path for system log=/dev/rdsk/c1t0d0s7 OTS Setup mode=sys
◆イベントサービス
イベントサービスの使用有無と各種カストマイズが行えます。また、Interstageの初期化完了後、essetcnfコマンドを実行することにより、イベントサービスの構成情報を変更できます。
定義例を以下に示します。
イベントサービスを使用する場合
Event Service=yes Event Locale=SJIS Event maximum Process=2 Event maximum Connection=5 Event Auto Disconnect=no
esmkchnlコマンドによりイベントチャネルを生成した後、Interstageを再度初期化する場合は、初期化前にesrmchnlコマンドによりイベントチャネルを削除してください。esrmchnlコマンドの詳細については、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。
◆Webサーバサービス
Interstage HTTP Serverは、Interstage統合コマンドの運用操作の対象ではありません。“Interstage HTTP Server 運用ガイド”の“運用・保守”-“起動・停止”を参照して、Webサーバの運用操作を行ってください。
◆CORBA/SOAPクライアントゲートウェイ
CORBA/SOAPクライアントゲートウェイをInterstage統合コマンドの操作対象とするかを指定します。
CORBA/SOAPクライアントゲートウェイを使用する場合
SOAP Client GW=yes
CORBA/SOAPクライアントゲートウェイは、Linux for Itaniumにおいて使用できます。Linux for Intel64では、使用できません。
4) 初期化の実行
isinitコマンドを実行し、Interstageを初期化します。
isinit TYPE1 | TYPE2 | TYPE3 | type1 | type2 | type3 [ EJB | ejb ]
EJBを使用する場合は、isinitコマンドで“EJB”を指定してください。EJB用インタフェースリポジトリが初期化対象に加わります。
なお、Interstageをマルチサーバで運用し、サーバ間でEJBアプリケーションの連携を行う場合は、連携するEJBアプリケーションが存在するサーバ群の中でネーミングサービスの存在するサーバは1台にしてください。
また、Interstage環境がすでに初期化済みの状態でInterstage動作環境定義の“TD path for system”を変更すると、次回isinitコマンド実行時にコンポーネントトランザクションサービスの再セットアップが行われます。この場合、登録済みのワークユニット定義が削除されるため、ワークユニット定義を再登録する必要があります。
Interstageの運用中に、Interstageを構成するサービスが終了した場合、Interstageは異常終了します。ただし、Webサーバなどは、稼働状態監視モードの内容に従った動作となります。稼働状態監視モードの詳細については、“C.2.4 Interstage動作環境定義によるカストマイズ”を参照してください。
TYPE2は、Interstage Application Server Enterprise Editionでのみ提供されています。
isregistdefコマンドを実行する場合は、事前にInterstageを停止(全強制停止モード)してください。
ネーミングサービスを初期化した場合、ネーミングサービスは、拡張機能を使用する設定となります。
■再初期化の契機について
以下の場合は、再度初期化を行う必要があります。
システム規模の変更時
クライアント数の増加により、すでに指定されているシステム規模を変更する場合は、変更後に初期化します。手順の詳細については、“C.7 システム規模の変更”を参照してください。
運用形態の変更時
運用形態を変更する場合は、新しい運用形態を指定して初期化します。手順の詳細については、“C.6 システムの運用形態の変更”を参照してください。
定義の変更時
運用形態に応じて必要となるサービスの定義およびInterstage動作環境定義を変更した場合、isinitコマンドにそれまでの運用形態と同じ運用形態を指定して初期化します。
初期化を行っていないと、Interstageの起動はできません。
一度初期化を行うと、値はシステムに保存されます。
Interstage環境がすでに初期化済みの状態で、以下の操作を行った場合、その後のisinitコマンド実行時にコンポーネントトランザクションサービスの再セットアップが行われます。この場合、登録済みのワークユニット定義が削除されるため、ワークユニット定義を再登録する必要があります。
isgendefコマンドを実行した。
Interstage動作環境定義の“TD path for system”を変更した。
isinitコマンドを実行したが、その結果がエラーとなった。
また、Interstage動作環境定義の“Corba Host Name”を変更した場合は、Interstage統合コマンドのセットアップ対象資源がすべて初期化されます。