負荷分散/QoS制御 機能ガイド
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第2章 機能> 2.1 負荷分散> 2.1.1 サイト負荷分散

2.1.1.6 Webアクセラレーション

WWWブラウザからWWWサーバにアクセスする場合、通常、Webページのオブジェクト単位に、TCPコネクションの確立、オブジェクトを取得するためのHTTPリクエストの発行、WWWサーバからのHTTPレスポンスの受信、TCPコネクションの解放が実行されます。Traffic Director(サーバ)は、この一連のシーケンスをサーバファーム内から最適なサーバを1台選択して中継します。1枚のWebページには、少なくても10〜20のオブジェクトがありますので、1台のWWWブラウザが1ページを表示するだけでも上記の一連のシーケンスが10〜20回発生することになります。同時に、数千、数万のクライアントからリクエストが発行された場合、WWWサーバはTCPコネクションの確立、解放処理に忙殺され、膨大なリソースを消費し、レスポンスの悪化を招きます。Webアクセラレーション機能は、WWWサーバがTCPコネクションの確立、解放に費やす労力を大幅に削減することで、Webサイトのトータル・パフォーマンスを改善するための機能です。

Traffic Director(サーバ)の負荷分散エンジンは、あらかじめサーバファーム内のWWWサーバとの間にTCPコネクションを確立しておきます。WWWブラウザからのTCPコネクションの確立をTraffic Director(サーバ)で終端し、WWWブラウザからのHTTPリクエストを待ちます。WWWブラウザからのHTTPリクエストを受信すると、最適なWWWサーバを選択し、WWWサーバとの間で既に確立済みのTCPコネクション上にHTTPリクエストを転送します。その後、WWWサーバからHTTPレスポンスを受け取ると、WWWブラウザに転送し、WWWブラウザからのTCPコネクションの解放を待ちます。このように、Traffic Director(サーバ)がWWWブラウザとの間に発生するTCPコネクションの確立、解放処理をすべて引き受けることになりますので、WWWサーバは、情報の提供だけに専念でき、WWWサーバのレスポンス、キャパシティを大幅に改善することができます。また、WWWサーバとの間にTCPコネクションを常時確立しておくようなプロキシ(アプリケーションゲートウェイ)を経由してアクセスが行われた場合、特定のWWWサーバにアクセスが偏っていましたが、このWebアクセラレーション機能を利用することで、アクセスの偏りを回避することができます。

Webアクセラレーション機能は、分散対象のWebサーバがHTTP V1.1をサポートしている場合に使用することができます。Webアクセラレーション機能を効果的に使用するには、分散対象のWebサーバにてキープアライブ機能を有効にしておく必要があります。詳細は、Webサーバのドキュメントを参照願います。



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