システム運用設計中の疑問点について説明します。
Q: GUI (GDS 運用管理ビュー) を使用しない運用は可能か。
A
可能です。運用管理インタフェースには、グラフィカルユーザインタフェース (GUI) とコマンドラインインタフェース (CLI) の 2 種類があります。
Q: GUI (GDS 運用管理ビュー) を使って GDS Snapshot の操作は可能か。
A
プロキシオブジェクトの操作は可能です。シャドウオブジェクトの操作は、コマンドラインインタフェース (CLI) で行ってください。
Q: サイズや回転数などの特性が異なるディスクどうしをミラーリングできるか。
A
できます。ただし、サイズが異なるディスクをミラーリングした場合、小さなディスクの容量分しか使用することができません。例えば、4GB のディスクと 9GB のディスクをミラーリングした場合、9GB のディスクは 4GB 分しか使用することができません。
また、回転数など性能特性の異なるディスクをミラーリングした場合、リード性能が不均衡となったり、ライト性能がより遅いディスクの性能に左右されたりするため、できるだけ同じ特性のディスクどうしをミラーリングすることをお勧めします。
「3.1.1 ミラーリングの指針」も参照してください。
Q: マスタとプロキシには、サイズや回転数などの特性が同じディスクを使用しなければならないか。
A
サイズや回転数などの特性が異なるディスクどうしでも、マスタとプロキシとして関連付けることができます。
ただし、回転数など性能特性が異なる場合は、結合状態におけるリード性能が不均衡となったり、ライト性能がより遅いディスクの性能に左右されたりするため、できるだけ同じ特性のディスクどうしを関連づけることをお勧めします。
「2.3.12 プロキシ構成の前提条件」も参照してください。
Q:ストライピングとミラーリングの組合せは可能か。
A
ストライプグループどうしをミラーリングすることができます。
複数のミラーグループをストライプ列にしてストライピングすることはできません。
Q: ディスクの活性交換 (ホットスワップ) を行うためには、事前に設定が必要か。
A
事前に必要な設定はありません。
使用しているディスクが活性交換をサポートしている装置であれば、特別な事前設定なしに可能です。
なお、手順については、「7.3.1.2 操作手順」、あるいは「B.1.8 sdxswap - ディスクの交換」を参照してください。
Q: シングルボリュームの用途は何か。
A
GDS は、ディスクデータの可用性と運用管理性を向上させるソフトウェアです。シングルボリュームは、可用性ではなく、運用管理性を向上させる目的で使用します。詳しくは、「1.3.2 すべてのディスク装置を一括管理」を参照してください。
例えば、ディスクアレイを使用していて、ミラーリングしなくても必要な可用性が得られているのであれば、ミラーリングしないシングルボリュームとして物理ディスクを管理することによって、運用管理がしやすくなります。
また、いったんシングルボリュームとして、GDS の管理下においておけば、必要に応じて、ミラーリング構成へ移行できて、なおかつ一貫した運用管理が可能です。ミラーリング構成へ移行する際に、業務アプリケーションを停止させる必要は特にありません。
Q: GDS のドライバ、デーモン、およびコマンドが出力するメッセージを英語以外に変更できるか。
A
英語以外のメッセージを出力することはできません。
Q: ディスクアレイ装置を GDS で管理する場合、ディスクアレイ装置内の LUN (論理ユニット) 構成に制限はあるか。
A
LUN の RAID レベルやサイズなどに関して、特に制限はありません。
Q: ミラーリングしているディスクのなかで、正ディスクと副ディスクの区別があるか。
A
ありません。GDS でミラーリングされているディスクは、それぞれ同等に扱われます。利用者やアプリケーションから見ても、どれが正ディスクであるかを意識することはありません。
ただし、システムディスクの場合だけは、EFI から初期ブートするディスクとして、正ディスクと副ディスクを区別する場合があります。詳しくは、「D.1.5 システムディスクに関する異常【EFI】」を参照してください。
Q: ミラーボリュームをリードしたとき、ボリュームを構成する、いずれのスライスへ I/O が発行されるのか。
A
ボリュームに対してリードが発行されると、ボリュームを構成する各ディスクの最終アクセスブロック番号を確認し、その値がリードブロック番号に最も近いスライスからリードします。すなわち、シーク距離が最も短いディスクからリードします。
ちなみに、ボリュームに対してライトが発行された場合には、ボリュームを構成するすべてのスライス(ただし、ACTIVE 状態でないものを除く) に対してライトして、すべてのスライスへのライト要求の完了を待ち合わせたうえでライト結果を返します。
Q: ホットスペア機能をサポートしているディスクアレイ装置をミラーリングする構成において、ディスクアレイ装置のスペアディスクを利用した方が良いのか、それとも GDS のスペアディスクを利用した方が良いのか。
A
一般的には、ディスクアレイ装置のスペアディスクを利用されることをお勧めします。
Q: GDS が出力するメッセージを監視したいが、どのメッセージを監視すべきか。
A
一般的には、マニュアルの「GDS のメッセージ」に記載されている、次のメッセージを監視対象とすることをお勧めします。
「C.2 ドライバのメッセージ」のうち、重要度が PANIC または WARNING レベルのメッセージおよび内部エラーメッセージ
「C.3 デーモンのメッセージ」のうち、重要度が HALT、ERROR、あるいは WARNING レベルのメッセージおよび内部エラーメッセージ
詳しくは、「付録C GDS のメッセージ」を参照してください。
Q: 常駐プロセスを監視するため、GDS の常駐デーモンが知りたい。
A
GDS の常駐デーモンには以下のものがあります。
名称 | ps -ef コマンドの CMD 欄 | 説明 |
---|---|---|
sdxmond | /usr/sbin/sdxmond | GDS の各デーモンを監視するデーモン |
sdxservd | /usr/sbin/sdxservd | 必須デーモン |
sdxlogd | /usr/sbin/sdxlogd | 必須デーモン |
sdxexd | /usr/sbin/sdxexd | 必須デーモン |
sdxclc | /usr/sbin/sdxclc -W | PRIMECLUSTER CF と連携を行うデーモン |
sdxcld | /usr/sbin/sdxcld -W | PRIMECLUSTER CF と連携を行うデーモン |
sdxcle | /usr/sbin/sdxcle -f n | PRIMECLUSTER CF と連携を行うデーモン |
GDS : Global Disk Services
sdxmond 以外の常駐デーモンが異常終了した場合は、sdxmond によって自動的に再起動され、GDS のログファイル /var/opt/FJSVsdx/msglog/sdxservd.log に以下のメッセージが出力されます。
再起動に成功した場合
SDX:sdxmond: WARNING: respawned daemon daemon successfully |
再起動に失敗した場合
SDX:sdxmond: HALT: failed to respawn daemon daemon, osfunc=osfunc, errno=errno |
sdxmond が異常終了した場合は、OS のinit(8) プロセスによって自動的に再起動されます。その際、メッセージは出力されません。
このように、GDS の常駐デーモンは、異常終了した場合には自動的に再起動されるため、監視対象とする必要はありません。
なお、GDS Snapshot には、常駐デーモンはありません。
参照
メッセージの意味と対処方法については、「C.3 デーモンのメッセージ」を参照してください。
Q: 24 時間運用に向けたシステムを構築しようとしているが、サイズが単調増加するファイル、特にメッセージログファイルについて影響を確認したい。
A
GDS のメッセージログファイルは、一定のサイズ以上に大きくならないように管理されているため、特に問題はありません。
Q: NAS装置をミラーリングできるか。
A
NAS装置はミラーリングできません。
GDSが管理できるディスク装置は、GDSが動作するサーバから内蔵ディスクと同じように見えるディスク装置です。
ETERNUS NR1000F seriesなどのNAS装置は、GDSが動作するサーバからはファイルサーバのように見えるため、サポート対象外です。
Q: マルチブート環境でシステムディスクをミラーリングできるか。【EFI】
A
マルチブート環境では、システムディスクのミラーリングはできません。