これまで説明してきた前提知識を元に、どのように分散開発環境を構築するか計画を立てます。
UNIX系サーバ側の環境
開発管理者は、次のようなことを検討・決定する必要があります。
開発対象の分担
“2.1.1 COBOLプロジェクトマネージャにおけるプロジェクト”で説明したように、NetCOBOLを用いての分散開発の単位は、個人で開発可能な単位に分割されている必要があります。
分散開発の対象となるアプリケーションが規模の大きなものである場合、それを構成するプログラムのサイズや機能の単位を元に適切な開発単位に分割し、それぞれに開発者を割り当てます。
分散開発時のUNIXサーバ側の環境設定
“2.1.2 分散開発時のUNIXサーバ上の環境”で説明したように、プログラム資産の送受信からターゲットビルドまでの操作に必要な環境変数は、UNIXサーバに接続する際のログインシェルで指定する必要があります。これは、分散開発時に使用するユーザ識別名に既存のものを使用する場合、そのログイン環境を書き換えることになります。
このため、開発管理者は、各開発者が使用するUNIXサーバ側のユーザ環境の割り当てについて次の事を決定する必要があります。
分散開発に既存のユーザ識別名を使用するか、新しくユーザ識別名を割り当てるか
新しくユーザ識別名を割り当てる場合、開発者個人単位に割り当てるかどうか
また、設定すべき環境変数を決定します。これについては“2.3 分散開発のための環境設定”で設定例を交えてより詳細に説明します。
リモートデバッガの使用方法
“2.1.3 リモートデバッグの概要”で説明したように、リモートデバッグの方法には2つの方式があります。開発対象のプログラムにより、どちらの方式を使用するかを選択します。
リモートデバッガからデバッグ対象プログラムを起動する方式(一般形式)では、サーバ側リモートデバッガコネクタを使用します。この場合は、各開発者が使用するサーバ側リモートデバッガコネクタのポート番号を割り当てておく必要があります。
資産管理をどのように行うか
“2.1.4 資産管理方法と資産の配置”での説明を参考にプログラム資産管理の方法と、プログラム資産をWindowsクライアント、UNIXサーバにどのように配置するかを決定してください。
Windowsクライアント側の環境
開発管理者は、個々の開発者が利用するWindowsクライアントで次の項目についてどのように設定すべきかを、開発者に伝えます。
開発に使用するUNIXサーバのホスト名またはIPアドレス
開発に使用するユーザ識別名およびパスワード
開発対象プログラムが日本語文字として使用するコード系
文字コード変換をサーバ・クライアントどちら側で行うか
ファイルの送受信にPASVモードを使用する必要(使用するUNIXサーバがファイアウォール外にある)があるかどうか
一般の開発者は、その決定に従ってWindowsクライアント側の環境設定を行います。設定方法の詳細については“2.3.2 クライアント側の環境設定”で説明します。