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ServerView Resource Orchestrator Cloud Edition V3.1.2 導入ガイド
FUJITSU Software

C.3.12 オーバーコミット

ここでは、L-Serverのオーバーコミットについて説明します。


オーバーコミット

本製品では、Hyper-VのCPUのオーバーコミットや動的メモリを利用できます。

Hyper-VのCPUのオーバーコミットとは、サーバに実装されているCPUのリソース量よりも、多くのリソースをゲストOSに対して仮想的に割り当てられる機能のことです。

Hyper-Vの動的メモリとは、サーバに実装されているメモリのリソース量以内で、ゲストOSに対して効率的にメモリを割り当てられる機能のことです。

注意

動的メモリやメモリ割当て優先度を使用する場合、VMホストは以下のどれかである必要があります。

  • Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 R2 SP1以降

  • Microsoft(R) Windows Server(R) 2012以降

SCVMMは、対象のVMホストを管理できる以下のどれかである必要があります。

  • System Center Virtual Machine Manager 2008 R2 SP1以降

  • System Center 2012 Virtual Machine Manager以降

上記のVMホストとSCVMMが存在しない場合、動的メモリやメモリ割当て優先度を有効にするL-Serverの作成と仕様変更は失敗します。

動的メモリを利用できるゲストOSは、Windowsの一部の製品に限定されます。詳細はMicrosoft社のWebサイトで確認してください。

URL: http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ff817651(WS.10).aspx

VMホストがWindows Server 2012以降の場合には、動的メモリの設定として最小メモリ値が存在しますが、本製品からは設定できません。
初期メモリ量と同じ値が設定されます。

本製品では、L-Serverを作成する際に、Hyper-VのCPUのオーバーコミットや動的メモリを利用するため以下の機能を提供します。

前提条件

管理サーバ

本製品とHyper-VとCPUのオーバーコミットおよび動的メモリとの連携機能を利用する場合、管理サーバのOSは、Windowsだけサポートします。


導入手順

以下の手順で、オーバーコミットを導入します。

  1. オーバーコミット用のVMプールの作成

    VMプールの作成方法については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第20章 リソースプールの操作」を参照してください。

    ポイント

    C.2.11 オーバーコミット」の「導入手順」の「1. オーバーコミット用のVMプールの作成」に記載されている「ポイント」を参照してください。

    注意

    C.2.11 オーバーコミット」の「導入手順」の「1. オーバーコミット用のVMプールの作成」に記載されている「注意」を参照してください。

  2. 定義ファイルを作成します。

    定義ファイル(VM固有情報定義ファイル)は、L-Serverテンプレートにオーバーコミットの値を設定せず、ユーザーグループごとに異なる設定を行う場合に作成してください。

    VM固有情報定義ファイルの作成については、「C.1 仮想L-Server作成で共通に利用する定義ファイル」を参照してください。

  3. L-Serverテンプレートのエクスポート

    L-Serverテンプレートのエクスポートについては、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.2.1 エクスポート」を参照してください。

    L-Serverテンプレートの操作(手順3.~手順5.)は、GUIを利用して行うこともできます。

    GUIを利用したL-Serverテンプレートの操作については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.1 ウィザード形式のGUIによる操作」を参照してください。

  4. L-Serverテンプレートの編集

    L-Serverテンプレートにオーバーコミットを設定します。

    L-ServerテンプレートのXML定義については、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「15.2.2 仮想L-Serverテンプレート」に従って編集してください。

    • オーバーコミットに関する値をL-ServerテンプレートとVM固有情報定義ファイルで設定した場合

      L-Serverテンプレートで設定した値が優先されます。

    • VM固有情報定義ファイルを使用してオーバーコミットの各値を設定する場合

      L-Serverテンプレートには以下の要素だけを設定してください。

      • オーバーコミットの有効/無効

      以下の要素は、設定しないでください。

      • CPU予約性能

      • CPU割当て優先度

      • 初期メモリ量

      • メモリバッファー

      • メモリ割当て優先度

    参考

    L-Serverテンプレート名を編集せずにインポートすると、既存のL-Serverテンプレートの内容が上書きされます。エクスポートした際のL-Serverテンプレートと異なる名前に変更してインポートすると、L-Serverテンプレートが追加されます。

    L-Serverテンプレートを編集する際は、動的メモリ設定の有効/無効、初期メモリ量、メモリバッファーの組合せについて確認してください。

    • 動的メモリが有効に設定

      L-Server作成時に、初期メモリ量、メモリバッファーが有効になる

    • 動的メモリが無効に設定

      L-Server作成時に、初期メモリ量、メモリバッファーが無視される

  5. L-Serverテンプレートのインポート

    L-Serverテンプレートのインポートについては、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.2.3 インポート」を参照してください。

  6. L-Serverの作成

    手順5.で作成したL-Serverテンプレートを利用してL-Serverを作成します。
    詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「16.1 L-Serverテンプレートを利用したL-Serverの作成」を参照してください。

    L-Serverテンプレートを利用しない場合、コマンドを利用してL-Serverを作成します。「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第16章 L-Serverの作成」に従ってL-ServerのXMLを編集したあと、rcxadm lserver createコマンドを実行します。

    詳細は、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」と「15.2.2 仮想L-Serverテンプレート」を参照してください。

    ポイント

    RORコンソールの[リソース]タブからオーバーコミットを使用するL-Serverを作成する場合、L-Serverテンプレートを指定してください。

  7. L-Serverに対するオーバーコミットの設定確認

    L-Serverに対するオーバーコミットの設定を確認するには、rcxadm lserver showコマンドを実行します。

    コマンドの出力結果に、"OverCommit: true"の行が含まれているか確認してください。

    また、動的メモリ設定、初期メモリ量、メモリバッファーの組合せも確認してください。

    rcxadm lserverコマンドについては、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」を参照してください。

    注意

    L-Serverの起動に失敗した場合、L-Serverの設定により手順が異なります。以下の手順を実行してください。

    • L-Serverの設定で、[運用位置]が[起動毎に変更]の場合

      L-Serverの起動を再実行してください。リソースに空き領域があるVMホストがあれば、何回か起動を行うと空き領域のあるVMホストで起動できます。

    • L-Serverの設定で、[運用位置]が[固定]の場合

      VMホストを自動選択しないため、L-Serverの運用位置を変更して起動するか、同じVMホスト上のほかのL-Serverを移動または停止させたあとに起動してください。

      運用位置の変更については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「16.3 個々のパラメーターを指定した仮想L-Serverの作成」を参照してください。
      移動については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.7 VMホスト間の移動(マイグレーション)」を参照してください。


L-Serverの仕様変更

ここでは、L-Serverの仕様変更について説明します。

L-Serverの仕様変更は、rcxadm lserver modifyコマンドを実行します。

詳細は、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」を参照してください。

注意

L-Serverの仕様を変更する場合、VMホストの稼動している物理サーバのリソース(CPU数、CPU周波数、メモリ容量)がCPU予約性能、メモリ容量よりも小さい場合、L-Serverの仕様変更は失敗します。

また、CPU性能やメモリ容量が、CPU予約性能やメモリ予約容量の値よりも小さくなる場合も、L-Serverの仕様変更は失敗します。

リソースを割り当てたL-Serverの仕様変更を行う際は、L-Serverに設定済みの値が優先されるため、VM固有情報定義ファイルの情報は反映されません。そのようなL-Serverの仕様変更を行う際は、XMLに変更する値を記載し、コマンドを実行して変更してください。