管理OS異常切替機能を使用して、複数の管理OS上のゲスト間で、クラスタシステムを構築する場合の関連ソフトウェアのインストールと設定について説明します。
図3.1 管理OS異常時の切替機能を使用する場合のクラスタシステム構築の流れ
ソフトウェアのインストール(管理OS)
PRIMECLUSTERに関連したソフトウェアのインストール後、実際に導入/運用を行う上でOS、およびハードウェア等に関して設定を行う必要があります。
詳細は“3.2.3.1 関連ソフトウェアのインストールと設定(管理OS) ”を参照してください。
クラスタ構築の準備(管理OS)
Web-Based Admin View画面の起動など、クラスタ構築時の事前準備を管理OS上で行います。詳細は“第4章 クラスタ構築の準備”を参照してください。
クラスタの構築(管理OS)
管理OS上のPRIMECLUSTERのクラスタ構築を行います。詳細は、“第5章 クラスタの構築”を参照してください。構築は、"5.1.1 CF、CIPの設定"、“5.1.2 シャットダウン機構の設定”まで実行してください。なお、シャットダウン機構は、ネイティブ間の設定と同様に設定します。“5.1.2 シャットダウン機構の設定”を参照し、ハードウェアの機種/構成を確認して適切なシャットダウンエージェントを設定してください。
注意
CFの設定で、管理OS上のクラスタシステムのタイムアウト値を以下のように設定してください。
タイムアウト値:20秒(cfsetコマンドを使用してタイムアウト値を変更してください)
管理OSのクラスタインタコネクトのLANは、ゲストOSと共用し、クラスタシステム毎にVirtual LANでネットワークを分離します。
Xen環境では、管理OS上でクラスタアプリケーションの構築を行わないでください。
ソフトウェアのインストール(ゲストOS)
管理OSのクラスタの構築完了後、ゲストOSでPRIMECLUSTERに関連したソフトウェアのインストール、実際に導入/運用を行う上でOS、およびハードウェア等に関して設定を行う必要があります。
詳細は“3.2.2 管理OS異常切替機能を使用せず複数の管理OS上のゲストOS間でクラスタシステムを構築する場合”を参照してください。
注意
Xen環境では、ゲストOS がパニック(クラッシュ)で停止したあと、標準の設定ではゲストOS が自動的に再起動されます。仮想マシン環境では、ゲストOS のメモリダンプ自動採取後、ゲストOS が再起動される前に管理OS のシステム情報を採取(fjsnap)する必要があります。このため、ドメイン構成ファイルの設定を変更し、パニック後に再起動しないようにしてください。設定方法は、“PRIMEQUEST (1000 シリーズ)RHEL5-Xen 仮想マシン機能ユーザーズマニュアル(SupportDesk サービスご契約者様向け)”を参照してください。
KVM環境では、パニック後に再起動しないよう初期設定されているため、設定は不要です。
クラスタ構築の準備(ゲストOS)
Web-Based Admin View画面の起動など、クラスタ構築時の事前準備をゲストOS上で行います。詳細は“第4章 クラスタ構築の準備”を参照してください。
クラスタの構築(ゲストOS)
ゲストOS上のPRIMECLUSTERのクラスタ構築を行います。詳細は“3.2.3.2 クラスタの構築(ゲストOS) ”を参照してください。
クラスタアプリケーションの構築(ゲストOS)
ゲストOSでクラスタアプリケーションの作成を行います。詳細は“第6章 クラスタアプリケーションの構築”を参照してください。
注意
ゲストOSのクラスタアプリケーションの作成で、RMSの優先度(ShutdownPriority)属性は設定しないでください。
PRIMECLUSTERに関連したソフトウェアのインストール後、実際に導入/運用を行う上でOS、およびハードウェア等に関して設定を行う必要があります。
必要に応じて、以下の作業を行ってください。
管理OSの設定
管理OSをクラスタとして動作させるために、ネットワークの設定の設定が必要です。
NTPの設定
クラスタシステムを構築する各ノードの時刻を同期させるための設定です。クラスタを構築する際には必ず行う必要があります。
本設定はPRIMECLUSTERをインストールする前に行ってください。
関連ソフトウェアのインストールと設定
管理OSに、ゲストOSのシステムディスクを使用するために必要なソフトウェア製品(ETERNUSマルチパスドライバ)のインストールと設定を行います。インストールおよび設定の手順については、ETERNUSマルチパスドライバのソフトウェア説明書を参照してください。
注意
システムボリュームを配置したI/O装置が故障したときの即時クラスタ切替えについて
ext3ファイルシステムのデフォルトの設定では、システムボリュームを配置したI/O装置が故障しても、クラスタ切替えが発生せず、メモリ上に保持している情報を基にシステムの動作が継続してしまう場合があります。
システムボリュームを配置したI/O装置の故障時に、即時にPRIMECLUSTERによるクラスタ切替え運用を行いたい場合は、以下の設定を行ってください。
システムボリュームに含まれる各パーティションに対して、ext3のmountオプションに「errors=panic」を指定します。
例) /etc/fstab に設定する場合 ( /、/var、/home が 1つのシステムボリュームに存在するとき)
LABEL=/ / ext3 errors=panic 1 1 LABEL=/boot /boot ext3 errors=panic 1 2 LABEL=/var /var ext3 errors=panic 1 3 LABEL=/home /home ext3 errors=panic 1 4
ただし、I/Oエラーがext3ファイルシステムに伝わるまでに時間がかかり、即時切替えにならない場合があります。定期的にシステムボリュームに書込みを行うことで、I/Oエラーの検出頻度を上げることができます。
管理OSにおけるゲストOSの設定(KVM環境の場合)
KVM環境では、ゲストOSの動作中に管理OSを誤ってシャットダウンした場合でも、ゲストOSを正常に停止させるために、以下の設定を実施します。
/etc/sysconfig/libvirt-guestsに、以下の2つの値を定義します。すでに値が定義されている場合、その値を変更してください。
ON_SHUTDOWN=shutdown
SHUTDOWN_TIMEOUT=300
SHUTDOWN_TIMEOUTには、ゲストOSのシャットダウンのタイムアウト時間(秒)を指定します。ゲストOSのシャットダウンにかかる時間を見積もり、設定してください。複数のゲストOSが設定されている場合は、シャットダウンにかかる時間の大きい方を設定してください。上記は300秒(5分)とした場合の設定例です。
注意
/etc/sysconfig/libvirt-guests を設定するときは、設定値とコメントを同一行に記載しないでください。
運用中に /etc/sysconfig/libvirt-guests の設定を変更する場合は、“8.9.2.3 /etc/sysconfig/libvirt-guests の設定変更” の手順で必ず実施してください。
管理OSへのPRIMECLUSTERのインストール
管理OSにPRIMECLUSTERをインストールします。インストール方法の詳細については、PRIMECLUSTERのインストールガイドを参照してください。
クラスタ高速切替機能の設定
クラスタ高速切替機能に関連するソフトウェアとハードウェアの設定を行う必要があります。
本設定はOSおよびPRIMECLUSTERインストール後に行ってください。
詳しくは、“3.1.4 クラスタ高速切替機能の設定”を参照してください。
カーネルパラメタの確認設定
PRIMECLUSTERに関連するソフトウェアを運用する際には、環境に応じてOSのカーネルパラメタを調整する必要があります。
本設定はPRIMECLUSTERインストール後の再起動を行う前に行ってください。
詳しくは、“3.1.5 カーネルパラメタの確認”を参照してください。
ゲストOS上にクラスタの構築を行います。各項目の詳細は“第5章 クラスタの構築”を参照してください。
注意
ゲストOSのクラスタインタコネクトのLANは、他のゲストOS、管理OSと共用し、クラスタシステム毎にVirtual LANでネットワークを分離します。
CFの設定で、ゲストOS上のタイムアウト値を10秒から変更しないでください。
生存優先度の設定指針については、“5.1.2 シャットダウン機構の設定”の“◆生存優先度の設計指針”を参照してください。