ページの先頭行へ戻る
ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 15.3 運用ガイド
ETERNUS

4.2.5 運用

Symfowareを使用した、ロードシェア運用時のバックアップ運用について説明します。

バックアップ運用の前に、「4.2.4 事前準備」を参照して、バックアップ運用に必要な環境を設定してください。

注意

コマンドを使用して運用してください。Webコンソールでは運用できません。
バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルの格納先ディレクトリを指定して実行できる機能は、コマンドだけのサポートになります。

AdvancedCopy Managerのバックアップの運用には、以下の2種類があります。

ポイント

運用状態により、AdvancedCopy Managerのバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルの取扱いが異なります。

4.2.5.1 通常運用時

各ノードにAdvancedCopy Managerエージェントをインストールして、ロググループ単位でバックアップ/リカバリーします。バックアップ/リカバリーの実行後は、バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルをバックアップします。

図4.9 通常運用時のバックアップ/リカバリーの関連図

ポイント

バックアップしたバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルは、ノード縮退運用においてバックアップを採取した管理対象サーバ(Storageサーバ)と別のサーバでバックアップ/リカバリー運用する場合に必要となる資源です。

ノード縮退運用(障害発生時のノード)では参照できなくなるので、管理対象サーバと異なる場所(ファイルサーバなど)に二次退避してください。なお、二次退避する場合は、第三者による破壊から守るために、管理者がOS機能を利用して適切なアクセス権限を設定し、不正アクセスから資源を保護してください。

4.2.5.1.1 バックアップの実行

以下に、1つのロググループに着目した場合のバックアップの流れを記載します。

  1. ロググループ(DB)をバックアップします。

  2. バックアップ/リカバリーの情報を管理している資源(バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイル)をバックアップします。

  3. バックアップに使用したバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルを、ノードの障害に備えて、管理対象サーバ(Storageサーバ)とは異なる場所(ファイルサーバなど)に二次退避します。

図4.10 1つのロググループに着目した場合のバックアップの流れ

スナップショット型高速バックアップの実行

Symfowareのスナップショット型高速バックアップは、業務ボリュームまたはロググループを指定して、「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」で行います。ロググループ指定でのバックアップでは、そのロググループに含まれるすべての業務ボリュームを一度にバックアップします。

以下の方法でバックアップできます。

表4.18 スナップショット型高速バックアップの種類

バックアップ方法

説明

通常ダンプ

アーカイブログ運用中(通常運用中)のデータベースをバックアップします。

参照ダンプ

長期保存などの目的のためにアーカイブログ運用から切り離されたデータベースをバックアップします。

注意

参照ダンプでバックアップする場合、Symfowareのrdbrtrコマンドを用いて、バックアップする業務ボリューム内の全DSI(実表に対してその格納構造を表現するもの)に更新抑止を設定(データ書込み不可状態)する必要があります。

ロードシェア運用時のバックアップでは、コマンドの実行時に以下のパラメーターを指定する必要があります。

指定するディレクトリは、変更がなければ、「4.2.4.9 バックアップ管理簿の配置(退避)」で配置したディレクトリになります。

表4.19 コマンドの実行時に指定が必要なパラメタ

No

パラメーター

指定方法

1

バックアップ管理簿、リカバリ制御ファイルの配置ディレクトリ

-altdirオプションで指定

2

コマンド実行ノードのRDBシステム名

-rdbnameオプションで指定

[コマンド実行例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup -n LG1/RDB1 -Xdevmap /acm/devmap.txt -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB1
LG1/RDB1 swstbackup completed
#

<補足>ACMコマンドに指定する2つのRDBシステム名について

バックアップの実行後は、バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルをバックアップしてください。

[コマンド実行例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstresback /acm-bk/LG1 -lg LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1
swstresback completed
#

退避したバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルは、ノード縮退運用においてバックアップを採取した管理対象サーバ(Storageサーバ)と別のサーバでバックアップ/リカバリー運用する場合に必要となる資源です。管理対象サーバと異なる場所(ファイルサーバなど)に二次退避してください。なお、二次退避する場合は、第三者による破壊から守るために、管理者がOS機能を利用して適切なアクセス権限を設定し、不正アクセスから資源を保護してください。

注意

ロググループに含まれる業務ボリュームを個別にバックアップする場合は、参照ダンプを指定できません。

同期型高速バックアップの実行

Symfowareの同期型高速バックアップは、以下の手順で行います。

  1. 10.2.2.8 swststartsync(バックアップ同期処理開始コマンド)」で、業務ボリュームまたはロググループを指定し、バックアップ同期処理を開始します。ロググループを指定した場合、そのロググループに含まれる業務ボリュームすべてに対してバックアップ同期処理を実行します。
    開始したバックアップ同期処理のキャンセルは、「10.2.2.9 swstcancelsync(バックアップ同期処理キャンセルコマンド)」で行います。

  2. 10.2.2.10 swstsyncstat(バックアップ同期処理実行状況表示コマンド)」で、バックアップ同期処理中のバックアップボリュームが等価性維持状態にあることを確認します。ロググループを指定してバックアップ同期処理を行っている場合は、ロググループに含まれるすべての業務ボリュームのバックアップボリュームが等価性維持状態にあることを確認します。

  3. 業務ボリュームまたはロググループを指定し、「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」を実行してバックアップを採取します。「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」では、以下の方法でバックアップできます。「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」を実行すると、その時点の状態がバックアップ履歴情報に登録され、バックアップ同期処理は停止されます。

    表4.20 同期型高速バックアップの種類

    バックアップ方法

    説明

    通常ダンプ

    アーカイブログ運用中(通常運用中)のデータベースをバックアップします。

    参照ダンプ

    長期保存などの目的のためにアーカイブログ運用から切り離されたデータベースをバックアップします。

注意

参照ダンプでバックアップする場合、Symfowareのrdbrtrコマンドを用いて、バックアップする業務ボリューム内の全DSI(実表に対してその格納構造を表現するもの)に更新抑止を設定(データ書込み不可状態)する必要があります。

ロードシェア運用時のバックアップでは、コマンドの実行時に以下のパラメーターを指定する必要があります。

指定するディレクトリは、変更がなければ、「4.2.4.9 バックアップ管理簿の配置(退避)」で配置したディレクトリになります。

表4.21 コマンドの実行時に指定が必要なパラメーター

No

パラメーター

指定方法

1

バックアップ管理簿、リカバリ制御ファイルの配置ディレクトリ

-altdirオプションで指定

2

コマンド実行ノードのRDBシステム名

-rdbnameオプションで指定

[コマンド実行例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup -n -suspend LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB1
LG1/RDB1 swstbackup completed
#

<補足>ACMコマンドに指定する2つのRDBシステム名について

バックアップの実行後は、バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルをバックアップしてください。

[コマンド実行例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstresback /acm-bk/LG1 -lg LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1
swstresback completed
#

退避したバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルは、ノード縮退運用においてバックアップを採取した管理対象サーバ(Storageサーバ)と別のサーバでバックアップ/リカバリー運用する場合に必要となる資源です。管理対象サーバと異なる場所(ファイルサーバなど)に二次退避してください。なお、二次退避する場合は、第三者による破壊から守るために、管理者がOS機能を利用して適切なアクセス権限を設定し、不正アクセスから資源を保護してください。

注意

業務ボリュームとバックアップボリュームが等価状態になる前は、「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」を実行してもエラーになります。

ポイント

同期型高速バックアップでは、同期処理を停止または一時停止(サスペンド)することでバックアップが作成されます。「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」をサスペンド指定で実施すると、Suspend/Resume機能により、同期処理を一時停止(サスペンド)してバックアップします。Suspend/Resume機能の詳細は、「第5章 Suspend/Resume機能によるバックアップ運用」を参照してください。

4.2.5.1.2 リカバリーの実行

以下に、1つのロググループに着目した場合のリカバリーの流れを記載します。

  1. ロググループ(DB)をリカバリーします。

  2. バックアップ/リカバリーの情報を管理している資源(バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイル)をバックアップします。

  3. リカバリーに使用したバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルを、ノードの障害に備えて、管理対象サーバ(Storageサーバ)とは異なる場所(ファイルサーバなど)に二次退避します。

図4.11 1つのロググループに着目した場合のリカバリーの流れ

スナップショット型高速バックアップおよび同期型高速バックアップで退避したデータの復元は、「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」で行います。

Symfowareのリカバリーは、業務ボリュームまたはロググループを指定して、「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」でバックアップされた履歴管理されているバックアップボリュームから、「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」を用いて行います。

ロードシェア運用時のリカバリーでは、コマンドの実行時に以下のパラメーターを指定する必要があります。

指定するディレクトリは、変更がなければ、「4.2.4.9 バックアップ管理簿の配置(退避)」で配置したディレクトリになります。

表4.22 コマンドの実行時に指定が必要なパラメーター

No

パラメーター

指定方法

1

バックアップ管理簿、リカバリ制御ファイルの配置ディレクトリ

-altdirオプションで指定

2

コマンド実行ノードのRDBシステム名

-rdbnameオプションで指定

リカバリーの実行後は、バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルをバックアップしてください。

[コマンド実行例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore -n LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB1
LG1/RDB1 swstrestore completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstresback /acm-bk/LG1 -lg LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1
swstresback completed
#

退避したバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルは、ノード縮退運用においてバックアップを採取した管理対象サーバ(Storageサーバ)と別のサーバでバックアップ/リカバリー運用する場合に必要となる資源です。バックアップ時と同様に管理対象サーバと異なる場所(ファイルサーバなど)に二次退避してください。

※リカバリー時にバックアップ管理簿のリストア履歴情報が更新されるため、バックアップ管理簿のバックアップが必要となります。なお、リカバリーしても、リカバリ制御ファイルの内容は変更されません。

業務ボリュームがSDXオブジェクトで、かつ、論理ボリューム単位のバックアップ運用(GDS Snapshotを使用する方式)を使用している場合は「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」の実行後に以下のGDSコマンドを実行して、リストア対象業務ボリュームを全ノードでオンライン状態にしてください。

/usr/sbin/sdxvolume -N -c <クラス名> -v <ボリューム名> -e allnodes

注意

ロググループを指定してリカバリーする場合、ロググループに含まれる業務ボリュームを一度にリカバリーします。

-bundleオプションを使用して同一ロググループの複数の業務ボリュームを一括してリカバリーすることも可能です。これを、バンドル・リカバリーと呼びます。

RAIDグループ内に複数のデータベーススペースが配置されている場合、これらのデータベーススペースを一括してリカバリーすることで、ログ適用にかかる時間が短縮され、リカバリー時間が短縮されます。

リカバリーは、以下の方法で実行できます。

リカバリーするデータのバックアップした方法(通常ダンプ/参照ダンプ)によって、指定できるリカバリー方法が異なります。以下の組合せで指定できます。

表4.23 バックアップ方法とリカバリー方法の組合せ

バックアップ単位

バックアップ方法

リカバリー単位

リカバリー方法

最新状態への復旧

リカバリ終了点を指定した特定時点への復旧(注)

バックアップ時点への復旧

業務ボリューム

通常ダンプ

ロググループ

同一ロググループの複数の業務ボリューム

業務ボリューム

×

×

ロググループ

通常ダンプ

ロググループ

同一ロググループの複数の業務ボリューム

業務ボリューム

×

×

参照ダンプ

ロググループ

×

同一ロググループの複数の業務ボリューム

×

業務ボリューム

×

×

○: 可能、×: 不可能

注: リカバリポイントの詳細は、Symfoware Serverのマニュアルを参照してください。リカバリポイントはデータベースのリカバリー時まで覚えておく必要があります。

注意

  • すべての方法において、リカバリー対象となるデータベーススペースがアクセス禁止状態になっている必要があります。アクセス禁止状態にするには、Symfowareが提供するrdbinhコマンドまたはrdbexspcコマンドで行います。コマンドの詳細は、『Symfoware Server RDB運用ガイド』を参照してください。

  • ロググループに含まれる業務ボリュームを個別にリカバリーする場合は、最新状態へ復旧するリカバリー方法だけ利用できます。この場合、ロググループ内の表間のリレーションは、データベース管理者の責任で整合させる必要があります。

  • “最新状態への復旧”または“特定時点への復旧”を行う場合、アーカイブログファイルが外部媒体に保管されていれば、リカバリー時に必要なアーカイブログ退避ファイル名を列挙したファイルを、リカバリーを行う業務ボリュームが存在する管理対象サーバ(Storageサーバ)に作成しておき、リカバリー時に指定する必要があります。このファイルの記述方法は、『Symfoware Server RDB運用ガイド』を参照してください。

  • 10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」で実行したリカバリーが、作業ディレクトリの空き容量不足で失敗した場合、-wオプションを使用して、一時的に別のディレクトリを作業ディレクトリとして再実行することでリカバリーが可能です。-wオプションの詳細は、「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」を参照してください。

  • “リカバリ終了点を指定した特定時点への復旧”または“バックアップ時点への復旧”を行う場合、Symfowareの管理情報を復旧する処理が行われます。この処理はリカバリーの実行処理の一部として実施されるため、コマンドの処理に時間がかかります。

  • データベーススペース単位にバックアップを実施した場合、ロググループ単位のリカバリーまたはバンドル・リカバリーでは、世代指定に相対世代番号を指定してください。これは、以下の例のようにデータベーススペース単位にバックアップを実施した場合、特定の業務ボリューム(データベーススペース)の履歴が更新され、相対世代番号に対する絶対世代番号がそろわない状態が発生するためです。

(例)ロググループ(LG1/RDB1)にデータベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)が存在する場合

1日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)をバックアップ

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sdd1 -Xdevmap /acm/devmap.txt -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB1
/dev/sdd1 swstbackup completed

2日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)を個別にバックアップ

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sdd1 -Xdevmap /acm/devmap.txt -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB1
/dev/sdd1 swstbackup completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sdd2 -Xdevmap /acm/devmap.txt -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB1
/dev/sdd2 swstbackup completed

履歴情報の表示

# /opt/FJSVswsts/bin/swsthistdisp -n LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1
Server=SV01 Device=/dev/sdd1 Mount-Point=DB1.DBSP1/LG1/RDB1 (SymfoWARE)
Generation Version   Backup-Date        Backup-Disk         Status    Execute  ArcSerial
   1          2      2002/12/12 22:00   /dev/sdz1           succeeded   ----       5
   2          1      2002/12/11 22:00   /dev/sdy1           succeeded   ----       5
Server=SV01 Device=/dev/sdd2 Mount-Point=DB1.DBSP2/LG1/RDB1 (SymfoWARE)
Generation  Version  Backup-Date        Backup-Disk         Status    Execute  ArcSerial
   1          1      2002/12/12 23:00   /dev/sdz2           succeeded   ----       5

以上のような履歴を使用したロググループ単位リカバリーまたはバンドル・リカバリーでは、指定するオプションによって使用されるバックアップデータが異なります。上記の場合、相対世代番号を指定した方が両データベーススペースとも2日目のバックアップデータが使用されるため、リカバリー後のデータベースの整合性を保つことができます。

表4.24 指定オプションとリカバリーに使用されるバックアップデータ

世代番号の種類

指定オプション

リカバリーに使用されるバックアップデータ

DB1.DBSP1
(/dev/sdd1)

DB1.DBSP2

(/dev/sdd2)

相対世代番号

-g 1

2日目のバックアップデータ
(/dev/sdz1)

2日目のバックアップデータ
(/dev/sdz2)

絶対世代番号

-v 1

1日目のバックアップデータ
(/dev/sdy1)

注意

ロググループ単位にバックアップを実施した場合、データベーススペース単位バックアップや履歴の削除で絶対世代番号がそろっていない状態でも、ロググループ単位バックアップの絶対世代番号はそろいます。これは、以下の例のように絶対世代番号が小さい業務ボリューム(データベーススペース)の番号が、絶対世代番号が大きい業務ボリューム(データベーススペース)の番号に合わせられるためです。よって、絶対世代番号が小さい業務ボリューム(データベーススペース)では、途中の絶対世代番号が抜けた状態になります。

(例)ロググループ(LG1/RDB1)にデータベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)が存在する場合

1日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)をバックアップ

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sdd1 -Xdevmap /acm/devmap.txt -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB1
/dev/sdd1 swstbackup completed

2日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)をロググループ単位でバックアップ

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup -n LG1/RDB1 -Xdevmap /acm/devmap.txt -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB1
LG1/RDB1 swstbackup completed

履歴情報の表示

# /opt/FJSVswsts/bin/swsthistdisp -n LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1
Server=SV01 Device=/dev/sdd1 Mount-Point=DB1.DBSP1/LG1/RDB1 (SymfoWARE)
Generation Version   Backup-Date        Backup-Disk         Status    Execute  ArcSerial
   1          2      2002/12/12 22:00   /dev/sdz1           succeeded   ----       5
   2          1      2002/12/11 22:00   /dev/sdy1           succeeded   ----       5
Server=SV01 Device=/dev/sdd2 Mount-Point=DB1.DBSP2/LG1/RDB1 (SymfoWARE)
Generation  Version  Backup-Date        Backup-Disk         Status    Execute  ArcSerial
   1          2      2002/12/12 22:00   /dev/sdz2           succeeded   ----       5

以上のような履歴を使用したロググループ単位リカバリーまたはバンドル・リカバリーでは、相対世代番号に対する絶対世代番号がそろっているため、どちらの世代指定でも使用されるバックアップデータに違いはありません。

表4.25 指定オプションとリカバリーに使用されるバックアップデータ

世代番号の種類

指定オプション

リカバリーに使用されるバックアップデータ

DB1.DBSP1
(/dev/sdd1)

DB1.DBSP2
(/dev/sdd2)

相対世代番号

-g 1

2日目のバックアップデータ
(/dev/sdz1)

2日目のバックアップデータ
(/dev/sdz2)

絶対世代番号

-v 2

ただし、“-v 1”を指定した場合は、データベーススペース2(DB1.DBSP2)のバックアップデータが存在しないため、リストアコマンドはエラーになります。

ポイント

  • Webコンソールでは、バンドル・リカバリーできません。

  • バンドル・リカバリーを実行するには、あらかじめ、一括してリカバリーしたい業務ボリュームを列挙した「デバイスリストファイル」を作成しておく必要があります。デバイスリストファイルの詳細は、「4.2.5.1.3 デバイスリストファイルの記述方法」を参照してください。

4.2.5.1.3 デバイスリストファイルの記述方法

デバイスリストファイルは、リカバリーを行う管理対象サーバ(Storageサーバ)の任意の場所に作成します。このファイルをリカバリー実行時に指定することで、複数の業務ボリュームを一括でリカバリーできます。

デバイスリストファイルの記述例を以下に示します。

# コメント行は「#」ではじめます。

# LOG01/GRP1
/dev/sdd1    # この部分にもコメントを記述できます。
/dev/sdd2
/dev/sdd3
/dev/sdd4
/dev/sdd5
:
:

デバイスリストファイルの記述規則は、以下のとおりです。

注意

リストア実行コマンドで-bundleオプションが指定された場合、デバイスリストファイルに記述されたすべての業務ボリュームがリストアの対象となります。以下の場合、リストア処理はエラーとなります。

  • 業務ボリュームに関する記述が1件もなかったとき。

  • 業務ボリュームに関する記述は存在するが、記述形式に誤りがあったとき。

  • 業務ボリュームがSymfowareのボリュームでなかったとき。

  • 業務ボリュームが複数のロググループにまたがっていたとき。

  • 業務ボリュームに関する記述行以外に不正行が存在したとき。

  • 以下の例のように、1つの業務ボリュームを複数指定したとき。

    # 1業務ボリュームが複数ある例
    /dev/sdd2
    /dev/sdd2
    :
    :

4.2.5.2 ノード縮退運用時

障害発生時は、Symfowareのロググループが別のノードに引き継がれます。

このため、ファイルサーバなどにバックアップしておいた、障害が発生したノードに対応するAdvancedCopy Managerのバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルを、ロググループが引き継がれたノード上にコピーします。

コピーしたバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルを使用することで、通常運用時と同様に引き継がれたロググループのバックアップ/リカバリーが可能となります。

図4.12 ノード縮退運用時のバックアップ/リカバリーの関連図

注意

Symfowareを使用したロードシェア運用のノード縮退時は、運用環境を変更できません。

4.2.5.2.1 バックアップの実行

以下に、障害が発生したノードの1つのロググループに着目した場合のバックアップの流れを記載します。

  1. ファイルサーバなどに退避されているバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルを、ロググループが引き継がれたノードにコピーします。

  2. バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルがコピーされた配置ディレクトリを指定して、バックアップを実行します。

  3. ロググループ(DB)をバックアップします。

  4. バックアップ/リカバリーの情報を管理している資源(バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイル)をバックアップします。

  5. バックアップに使用したバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルを、ノードの障害に備えて、管理対象サーバ(Storageサーバ)とは異なる場所(ファイルサーバなど)に二次退避します。

図4.13 障害が発生したノードの1つのロググループに着目した場合のバックアップの流れ

ロググループの引継ぎ先の管理対象サーバ(Storageサーバ)でバックアップ/リカバリーする手順は、以下のとおりです。

  1. バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルの最新の退避データを「4.2.2.6 バックアップ管理簿/リカバリ制御ファイルの配置ディレクトリの設計」で決定したディレクトリに配置します。

  2. 上記の配置ディレクトリを-altdirオプションに指定して、コマンドを実行します。

バックアップの実行方法は、-rdbnameオプションの指定パラメーターが異なることを除いて、通常運用時と同じです。

[コマンド実行例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup -n LG1/RDB1 -Xdevmap /acm/devmap.txt -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB2
LG1/RDB1 swstbackup completed
#

バックアップの実行後は、通常運用時と同様にバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルをバックアップしてください。

[コマンド実行例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstresback /acm-bk/LG1 -lg LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1
swstresback completed
#
4.2.5.2.2 リカバリーの実行

以下に、障害が発生したノードの1つのロググループに着目した場合のリカバリーの流れを記載します。

  1. ファイルサーバなどに退避されているバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルを、ロググループが引き継がれたノードにコピーします。

  2. バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルがコピーされた配置ディレクトリを指定して、リカバリーを実行します。

  3. ロググループ(DB)をリカバリーします。

  4. バックアップ/リカバリーの情報を管理している資源(バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイル)をバックアップします。

  5. リカバリーに使用したバックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルを、ノードの障害に備えて、管理対象サーバ(Storageサーバ)とは異なる場所(ファイルサーバなど)に二次退避します。

図4.14 障害が発生したノードの1つのロググループに着目した場合のリカバリーの流れ

リカバリーの実行方法も、-rdbnameオプションの指定パラメーターが異なることを除いて、通常運用時と同じです。

リカバリーの実行後は、通常運用時と同様、バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルをバックアップしてください。

[コマンド実行例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore -n LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1 -rdbname RDB2
LG1/RDB1 swstrestore completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstresback /acm-bk/LG1 -lg LG1/RDB1 -altdir /acm/LG1
swstresback completed
#

業務ボリュームがSDXオブジェクトで、かつ、論理ボリューム単位のバックアップ運用(GDS Snapshotを使用する方式)を使用している場合は、通常運用時と同様に「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」の実行後にリストア対象業務ボリュームを全ノードでオンライン状態にしてください。

4.2.5.2.3 ノード縮退運用からの切戻し

ノード縮退運用から切り戻す場合は、バックアップ管理簿とリカバリ制御ファイルの最新の退避データを引継ぎ元管理対象サーバ(初期配置ノード)の「4.2.2.6 バックアップ管理簿/リカバリ制御ファイルの配置ディレクトリの設計」で決定したディレクトリにリストアしてください。リストア後の運用手順は「4.2.5.2 ノード縮退運用時」と同じです。

4.2.5.3 バックアップ履歴の管理

10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」で行ったバックアップの履歴情報を、表示・削除できます。

4.2.5.3.1 バックアップ履歴の表示

10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」で行ったバックアップの履歴情報は、「10.2.2.6 swsthistdisp(履歴情報表示コマンド)」で表示できます。

4.2.5.3.2 バックアップ履歴の削除

10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」で行ったバックアップの履歴情報は、「10.2.2.7 swsthistdel(履歴情報削除コマンド)」で削除できます。