バックアップ管理機能によるSQL Serverのバックアップ運用ではswstbackup_sqlsvrとswstrestore_sqlsvrを使用します。
名前
swstbackup_sqlsvr - SQL Serverのバックアップ
形式
プログラムディレクトリ\bin\swstbackup_sqlsvr [-Xserver Server-Name] [-Xinstance Instance-Name] [-Xdevmap Device-Map-File] [-suspend|-T] DB-Name-1 DB-Name-2…DB-Name-i
機能説明
SQL Serverのデータベースバックアップを行います。
本コマンドは、SQL Serverと連携して、swstbackup(バックアップ実行コマンド)を実行することで、対象データベースボリュームのデータをバックアップボリュームにコピーします。
swststartsync(バックアップ同期処理開始コマンド)によって前もってバックアップ同期処理を行い、Suspend/Resume機能を使用して同期型高速バックアップを行う場合は、サスペンド指定でバックアップを実行し、バックアップ同期処理を一時停止します。Suspend/Resume機能は、「第5章 Suspend/Resume機能によるバックアップ運用」を参照してください。
データベースのバックアップ履歴情報はSQL Serverのmsdbに記録されます。データベースボリュームのバックアップ履歴情報はAdvancedCopy Managerのバックアップ管理簿に記録されます。
オプション
クラスタ運用の場合、接続するSQL Serverの仮想サーバ名を指定します。
クラスタ運用でない場合は、本オプションを指定する必要はありません。
接続インスタンスを指定します。オペランドにはインスタンス名を指定します。
このオプションを指定しない場合は、既定のインスタンスに接続します。
出力先バックアップボリュームを指定してバックアップを行うことを指定します。
オペランドには、データベースボリュームと出力先バックアップボリュームの組を記述した、デバイスマップファイル名を指定します。デバイスマップファイルの詳細は、「3.4.9 デバイスマップファイルの準備」を参照してください。デバイスマップファイル名は絶対パスで指定してください。
このオプションを指定しない場合は、出力先バックアップボリュームは自動的に選択されます。
Suspend/Resume機能を使用して同期型高速バックアップを行うことを指定します。Suspend/Resume機能は、「第5章 Suspend/Resume機能によるバックアップ運用」を参照してください。
差分スナップショット型高速バックアップを行うことを指定します。
同期処理が行われている場合は、本オプションを指定できません。
本オプションは、筐体内コピー、かつ、ETERNUS ディスクアレイがQuickOPC機能をサポートしている場合だけ有効です。
本オプションを指定しないスナップショット型高速バックアップの場合、従来のスナップショット処理(従来のOPC)が起動されます。差分スナップショットを利用したバックアップ運用を行う場合は常に本オプションを指定する必要があります。
オペランド
データベース名を指定します。複数のデータベースを指定する場合はデータベース名を半角空白またはタブ文字で区切って指定してください。65個以上のデータベース名は指定できません。
終了ステータス
=0 : 正常終了
>0 : 異常終了
使用例
仮想サーバVSERVER配下のデータベースDB01、DB02、DB03をバックアップします(AdvancedCopy Manager論理ノード名がnodeAGTであるとします)。
C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swstbackup_sqlsvr -Xserver VSERVER DB01 DB02 DB03 DB01 DB02 DB03 swstbackup_sqlsvr completed C:\>
デバイスマップファイル(G:\STGADM\devmap.txt)で出力先バックアップボリュームを指定して、データベース(DB01、DB02、DB03)をバックアップします。
C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swstbackup_sqlsvr -Xserver VSERVER -Xdevmap G:\STGADM\DEV.map DB01 DB02 DB03 DB01 DB02 DB03 swstbackup_sqlsvr completed C:\>
注意事項
次のような場合は、バックアップを実行できません。
指定したデータベースが存在しなかったとき(仮想サーバやインスタンスが存在しなかった場合も含みます)。
複数のデータベースを指定した場合、指定したデータベースのすべてが同一インスタンス配下のデータベースではなかったとき(-Xinstanceオプションを使用しなかった場合は、既定のインスタンスに対して処理を行います。-Xinstanceオプションを使用した場合はオペランドに指定した名前付きインスタンスに対して処理を行います)。
指定されたデータベースが配置されたボリュームが業務ボリュームに登録されていないとき。
バックアップ対象データベースボリュームにバックアップポリシーが設定されていないとき。
1世代前に実行したバックアップが失敗していたとき。
世代溢れになるバックアップ履歴情報を用いてリストアが実行されているとき。
コピー先とする未使用バックアップボリュームが取得できなかったとき。
コピー先とするバックアップボリュームにドライブレターが割り当てられているとき。
swststartsync(バックアップ同期処理開始コマンド)によって前もってバックアップ同期処理を実施している場合に、データベースボリュームとバックアップボリューム間の同期処理が等価性維持状態になっていなかったとき。
運用開始後にボリュームの物理情報(媒体識別子,OLU、EXTENT開始位置、EXTENTサイズ)が変更されているとき。
データベースボリュームがSDXオブジェクト(SafeDISK)の場合、そのSDXオブジェクトの状態が以下の状態でないとき。
ミラーボリュームがACTIVE、STOPのどちらか。
ミラースライスの状態がACTIVE、STOPのどちらか。
SDXディスクの状態がENABLEである。
65個以上のデータベースを指定したとき。
バックアップボリュームをロックできなかったとき。
バックアップ用バックアップボリュームロック動作指定ファイルの内容が不当なとき。
次のような場合、出力先バックアップボリュームを指定してバックアップを実行できません。
デバイスマップファイルで指定されたバックアップボリュームが対となるデータベースボリュームのバックアップボリュームとして使用可能でないとき。すなわち、以下の条件のどちらかが満たされないとき。
指定されたバックアップボリュームは未使用状態である。
データベースボリュームとバックアップボリュームのパーティションサイズは同一である。
デバイスマップファイルの対象データベースボリュームに関する記述に誤りがあるとき。
スナップショット処理の実行中に本コマンドを実行した場合は、実行中のコピーを停止し、新たにスナップショット処理を起動します。
本コマンドは、オペランドの指定により、複数のデータベースを同時にバックアップする機能を提供しています。1つのボリューム上に複数のデータベースが存在するなど、複数データベースの物理ファイルがボリューム上に混在して存在している場合は、本機能を使用してボリューム上に存在するすべてのデータベースをバックアップしてください。
本コマンドを使用すると、バックアップ処理が完了するまで、オペランドに指定したすべてのデータベースが凍結されます。そのため、データベースファイルが存在するボリュームがデータベースごとに独立している場合は、凍結時間をなるべく短くするために、データベースごとのバックアップを複数回行ってください。
SDXオブジェクト(SafeDISK)をバックアップボリュームとするアドバンスト・コピーは現在のところサポートされていません。したがって、SDXオブジェクトのデータベースボリュームから非SDXオブジェクトのバックアップボリュームへのアドバンスト・コピーだけが利用可能です。
SDXオブジェクトへデータをリストアする際は以下の方法で実施してください。
COPYコマンドでデータをコピーしてください。
バックアップ実行時のデータベースボリュームのデータ整合性処理はSQL Serverで行われるため、通常のファイルシステムボリュームのような前後処理(ボリュームロック・ロック解除)は実行されません。
本コマンドが複数ボリューム構成のデータベースを処理している間にエラーが発生した場合、処理を中断します。同期処理によるバックアップを行っていた場合は、停止された同期処理はswststartsync(バックアップ同期処理開始コマンド)で再開してください。
本コマンドが複数ボリューム構成のデータベースをswstbackup(バックアップ実行コマンド)によって処理している間にエラーが発生すると、AdvancedCopy Managerのバックアップ履歴情報が不揃いになる可能性があります。そのような不整合状態を解消するには、swsthistdel(履歴情報削除コマンド)を使用して不要な履歴情報を削除してください。
バックアップを実行する前に、swstbkpolset(バックアップポリシー設定コマンド)で設定した保存世代数を満たすバックアップ履歴情報がすでに存在する場合、バックアップ実行時にそのバックアップ履歴情報の中から一番古い情報を自動的に削除し、バックアップボリュームは空き状態になります。ただし、サスペンド指定バックアップの履歴情報の場合、バックアップボリュームとのサスペンド状態は解除されず、バックアップボリュームは使用中のままになります。
バックアップを実行する業務ボリュームと別の業務ボリュームとサスペンド中のバックアップボリュームは、デバイスマップファイルでバックアップ先として指定できません。
次のコマンドが動作中のときは、本コマンドを実行できません。
スナップショット型バックアップを実施する場合、本コマンドでは、バックアップボリュームにアクセスしているプロセスを保護するために、バックアップボリュームをほかのプロセスからアクセスできない状態にしてからバックアップを実行します。そのために、バックアップボリュームのロックを実行します。バックアップボリュームのロックができない以下のような場合は、本コマンドはエラーで終了します。
マウントポイントの配下に、さらにほかのボリュームをマウントするディレクトリがある場合。
ボリューム内に使用中のファイルがある。また、本コマンドを投入するサーバ以外のサーバからバックアップボリュームが使用されている場合、レプリケーション運用の管理者の責任で共有設定の解除などによりバックアップボリュームをアクセス禁止状態にしてください。
名前
swstrestore_sqlsvr - SQL Serverのリストア
形式
プログラムディレクトリ\bin\swstrestore_sqlsvr [-Xserver Server-Name] [-Xinstance Instance-Name] [-Xnolog] -Xmeta Meta-File-Name DB-Name
機能説明
SQL Serverのデータベースをリストアします。swstrestore(リストア実行コマンド)を使ってデータベースファイルを復元したあと、本コマンドを投入してください。本コマンドは、復元したデータベースファイルからデータベースを再作成します。リカバリーする場合は、本コマンドの実行後、Enterprise Manager/Management StudioまたはTransact-SQLを使用してログを適用してください。
オプション
クラスタ運用の場合、接続するSQL Serverの仮想サーバ名を指定します。
クラスタ運用でない場合は、本オプションを指定する必要はありません。
接続インスタンスを指定します。オペランドにはインスタンス名を指定します。このオプションを指定しない場合は、規定のインスタンスに接続します。
ログの適用をせず、バックアップ時点までDBを復元することを指定します。このオプションを指定しない場合、DBはバックアップ時点までリストアされますが、ログの適用を完了するまで使用できません。ログの適用は、Enterprise Manager/Management StudioまたはTransact-SQLを使用してください。
メタデータファイル名を指定します。絶対パスで指定してください。メタデータファイルは、ファイル識別番号(FILE_ID)1のファイルと同一のフォルダに「“DB名”.swst-dmp」という名前で保存されています。データベースファイルのファイル識別番号を確認するには、Transact-SQL文「USE データベース名 EXEC SP_HELPFILE」を使用してください。なお、本コマンドの正常終了後、メタデータファイルは削除されます。
オペランド
データベース名を指定します。
終了ステータス
=0 : 正常終了
>0 : 異常終了
使用例
データベース(DB01)をリストアします。swstrestoreによるファイル復元は完了しており、メタデータファイルがD:\SQLSVR\DB01.swst-dmpに存在するとします。
C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT C:\>C:\Win32\AdvancedCopyManager\bin\swstrestore_sqlsvr -Xserver VSERVER -Xmeta D:\SQLSVR\DB01.swst-dmp DB01 DB01 swstrestore_sqlsvr completed C:\>
注意事項
次のような場合は、リストアを実行できません。
指定した仮想サーバやインスタンスが存在しなかったとき。
ログ適用の有無によって以下の2種類の復旧方式を選択できます。
バックアップ時点への復旧(バックアップデータ復旧だけ)
最新時点・特定時点への復旧(バックアップデータ復旧後ログ適用)