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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 14.1 運用手引書

9.1.4 バックアップ

9.1.4.1 データベースのバックアップ

Exchangeデータベースのバックアップは、Exchangeサーバ上で12.5.4 swsrpvssbackup_exchange(Exchange VSSバックアップ実行コマンド)を実行することにより行います。本コマンドはストレージグループ単位でバックアップを行います。

注意

バックアップ実行時、ストレージグループのすべてのデータベース(ストア)はマウントされていなければなりません。データベースがマウントされていない場合には、バックアップ処理は異常終了します。

[実行例]

C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT
C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpvssbackup_exchange -evs VSVR -sgname FirstStorageGroup -copygrp BK1
swsrpvssbackup_exchange successfully completed
C:\>

本コマンドを実行すると以下の処理が行われます。

  1. ストレージグループを構成するすべてのファイル(*.edb、*.stm、*.log、*.chk)のシャドウコピーが指定したコピーセットグループのバックアップボリュームに作成されます。シャドウコピー後のバックアップボリュームは読み取り専用(read-only)ボリュームとなります。

    • スナップショット型バックアップの場合は、OPC/ QuickOPCを起動することによりシャドウコピーを作成します。

    • 同期型バックアップの場合は、等価性維持状態のEC/RECをサスペンドすることによりシャドウコピーを作成します。

  2. シャドウコピー作成後、ESEUTILを使用してバックアップデータの検証が行われます(-skipchkオプションによりバックアップデータの検証を回避することは可能)。バックアップの終了後、不要ログの削除(切捨て)がExchangeによって行われます。

  3. ライタメタデータドキュメント(writer metadata document)およびバックアップコンポーネントドキュメント(backup components document)がバックアップサーバの以下の場所に保存されます。これらのファイルはリストア時に使用されます。

    ファイル

    出力先

    ライタメタデータ

    ドキュメント

    [コピーセットグループ名が“BkupGroup”(デフォルト)の場合]

    環境設定ディレクトリ\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc \<ストレージグループ名>.wmd.xml

    [コピーセットグループ名が“BkupGroup”(デフォルト)以外の場合]

    環境設定ディレクトリ\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc \<ストレージグループ名>.<コピーセットグループ名>.wmd.xml

    バックアップコンポーネント

    ドキュメント

    [コピーセットグループ名が“BkupGroup”(デフォルト)の場合]

    環境設定ディレクトリ\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc \<ストレージグループ名>.bcd.xml

    [コピーセットグループ名が“BkupGroup”(デフォルト)以外の場合]

    環境設定ディレクトリ\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc \<ストレージグループ名>.<コピーセットグループ名>.bcd.xml

注意

バックアップ時の注意事項

VSSの仕様上、並列に(パラレルに)複数のバックアップ処理を実行することはできません。複数のストレージグループが存在する場合、複数のバックアップ処理を並列に実行するのではなく、逐次的に(シーケンシャルに)実行する必要があります。並列に複数のバックアップ処理を実行した場合、先行処理のシャドウコピー作成が終わるまで後続処理は待ち状態となります。

作成したシャドウコピーの情報やアドバンスト・コピーの進捗状況は、Exchangeサーバ上で12.5.6 swsrpshadowadm_exchange(Exchange VSSシャドウコピー管理コマンド)を実行することによって確認できます。

[スナップショット型バックアップの例]

C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT
C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpshadowadm_exchange status -evs VSVR -sgname FirstStorageGroup -copygrp BK1
[Shadow Copy Status]
Original-Volume                    Replica-Volume                       Latest-Creation-Time Snapshot-ID SnapshotSet-ID 
g1d1p1@EXCHG-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) g1d11p1@BKUP-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) 2005/06/23 03:23     {XXXX}      {XXXX}
g1d2p1@EXCHG-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) g1d12p1@BKUP-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) 2005/06/23 03:23     {XXXX}      {XXXX}
[AdvancedCopy Status]
Type Group-Name Original-Disk  Replica-Disk   Status Execute Trk Update
QOPC BK1        g1d1@EXCHG-SVR g1d11@BKUP-SVR snap   ----    on  3%
QOPC BK1        g1d2@EXCHG-SVR g1d12@BKUP-SVR snap   83%     on  ----
C:\>

[同期型バックアップの例]

C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT
C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpshadowadm_exchange status -evs VSVR -sgname FirstStorageGroup -copygrp BK1
[Shadow Copy Status]
Original-Volume                    Replica-Volume                       Latest-Creation-Time Snapshot-ID SnapshotSet-ID 
g1d1p1@EXCHG-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) g1d11p1@BKUP-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) 2005/06/23 03:23     {XXXX}      {XXXX}
g1d2p1@EXCHG-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) g1d12p1@BKUP-SVR(\\?\Volume{XXXX}\) 2005/06/23 03:23     {XXXX}      {XXXX}
[AdvancedCopy Status]
Type Group-Name Original-Disk  Replica-Disk   Status Execute Trk Update
EC   BK1        g1d1@EXCHG-SVR g1d11@BKUP-SVR suspend ----    ---- ----
EC   BK1        g1d2@EXCHG-SVR g1d12@BKUP-SVR suspend ----    ---- ----
C:\>

9.1.4.2 テープへのバックアップ

バックアップを実行すると、リストア時に必要となるメタデータデータドキュメント(ライタメタデータドキュメントおよびバックアップコンポーネントドキュメント)がバックアップサーバに出力されます。

テープバックアップを行う際はバックアップボリューム上のデータだけでなく、これら2つのファイルもバックアップする必要があります。したがって、テープバックアップまで含めたバックアップの流れは以下となります。

図9.21 スナップショット型バックアップの場合

図9.22 同期型バックアップの場合

AdvancedCopy Managerテープバックアップ機能を使用したテープバックアップ手順については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 テープバックアップ連携編』を参照してください。

9.1.4.3 バックアップディスクの状態

バックアップディスク(LUN)にボリューム(パーティション)が存在している場合、同期処理の開始前(同期型バックアップの場合)またはバックアップ処理前(スナップショット型バックアップの場合)にいったんマウントポイントを解除し、ボリュームを削除します。このため、バックアップ時にはバックアップボリュームを使用しているプロセスが存在していてはいけません。

マウントポイントの解除およびボリューム削除は、リクエスタがボリュームをロックした状態で行います。ボリュームのロック処理に失敗した場合、ロック処理のリトライが実施されます。標準のリトライ動作は以下のとおりです。

リトライ上限(デフォルト値=20回)とリトライ間隔(デフォルト値=1秒)は、VSS複写先ディスクロック動作指定ファイルと呼ばれる設定ファイルを作成することにより変更できます。

また、この設定ファイルでは、複写先ボリュームの前処理に対して、以下の動作を指示することもできます。

VSS複写先ディスクロック動作指定ファイルは以下のファイル名でバックアップサーバ上に作成します。

環境設定ディレクトリ\etc\repl\data\VSSDSTLOCK.INI

本ファイルの設定はセクション名が「gXdYpZ」でなく「gXdY」となる以外は、C.2.5 複写先ボリュームロック動作指定ファイルの形式と同じです。

バックアップディスクは下図の状態A~Cのいずれかの状態となります。バックアップ実行時、バックアップディスクが状態B、状態Cにある場合は実際のバックアップ処理の前に状態Aに戻す処理が実施されます。

図9.23 バックアップディスクの状態遷移

初回のバックアップ以外には状態Cになることはないため、バックアップディスクはバックアップ運用中、状態Aと状態Bの間を遷移します。

図9.24 スナップショット型バックアップの場合

図9.25 同期型バックアップの場合