PRIMECLUSTER Global File Services 説明書 4.2 (Solaris(TM) オペレーティング環境版)
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第3部 Global File Services 共用ファイルシステム> 第24章 ファイルシステムのバックアップとリストア

24.3 sfcmkbkupによるバックアップ・リストア

 sfcmkbkup は dd コマンドを用いてバックアップ・リストアを行うための支援ツールです。GFS ではマルチパーティション構成のファイルシステムを作成することができます。しかし、その場合 dd コマンドでバックアップを行うためには複数回の dd コマンドを実行する必要があり、操作が煩雑になります。また、リストア時には複数のパーティションのバックアップをそれぞれ正しいパーティションにリストアする必要があり、間違えるとファイルシステムを正しく復元できないという危険性があります。

 sfcmkbkup は上記の問題を解決するための支援ツールです。sfcmkbkup を用いると GFS 共用ファイルシステムをバックアップおよびリストアするためのシェルスクリプトを生成することができ、これらを用いることで安全にバックアップ・リストアを行うことができます。

 ここでは、sfcmkbkup(1M) を利用した GFS 共用ファイルシステムのバックアップ・リストアについて説明します。

 sfcmkbkup(1M) の詳細については、本書の“付録F.2.12 sfcmkbkup(1M)”を参照してください。
 sfcmkbkup(1M) および sfcmkrstr(1M) で生成されるシェルスクリプトは、root 資格で実行する必要があります。

 以下のような複数パーティション構成の GFS 共用ファイルシステムがあるとします。

# sfcinfo /dev/sfdsk/gfs/dsk/volume1
FSID special                                       size  Type  mount
   1 /dev/sfdsk/gfs/dsk/volume1(3fa0081)          25986  META  /mnt
   1 /dev/sfdsk/gfs/dsk/volume1(3fa0081)         105751  DATA  /mnt
   1 /dev/sfdsk/gfs/dsk/volume2(3fa0082)           5120  LOG   /mnt
   1 /dev/sfdsk/gfs/dsk/volume3(3fa0083)         131736  DATA  /mnt

 このファイルシステムをバックアップ・リストアするには、sfcmkbkup(1M) にファイルシステムの代表パーティショ用語説明とバックアップを取る媒体のデバイスを指定します。そして、バックアップ・リストアのためのシェルスクリプトを生成します。

 以下は、バックアップ装置として /dev/rmt/0 を使用し、上記ファイルシステムのバックアップ・リストアのためのシェルスクリプトを作成する例です。

# sfcmkbkup /dev/sfdsk/gfs/rdsk/volume1 /dev/rmt/0

 sfcmkbkup(1M) の実行により、以下の2つのシェルスクリプトが、現在の作業用ディレクトリに生成されます。

sfcfs.bkup … バックアップ用シェルスクリプト
sfcfs.rstr … リストア用シェルスクリプト

 バックアップ・リストアは、これらのシェルスクリプトをバックアップ時とリストア時にそれぞれ実行します。

 以下に、バックアップ手順を示します。

1. スーパーユーザになります。

% su
#

2. バックアップ媒体の準備。

 バックアップに必要なデバイス容量の見積もりを sfcmkbkup(1M) の -e オプションで確認します。sfcmkbkup(1M) の実行結果から、必要なバックアップ媒体を用意します。

 sfcmkbkup(1M) には、代表パーティション用語説明を指定して実行します。

# sfcmkbkup -e /dev/sfdsk/gfs/rdsk/volume1
special                              size(KB)
/dev/sfdsk/gfs/rdsk/volume1            131760
/dev/sfdsk/gfs/rdsk/volume2            131760
/dev/sfdsk/gfs/rdsk/volume3            131760

3. ファイルシステムの停止

 バックアップ中にファイルシステムのデータが変更されるとバックアップデータが不整合になるため、バックアップ対象となるファイルシステムを停止します。

# sfcumntgl /dev/sfdsk/gfs/dsk/volume1

4. バックアップ作業

 スクリプト sfcfs.bkup を使用してバックアップする方法を以下に示します。

# ./sfcfs.bkup

 sfcfs.bkupdd(1M) コマンドを使用しています。詳細は、本書の“24.4.2 ファイルシステム単位のバックアップ”および、"Solaris X Reference Manual Collection" を参照してください。

 以下に、リストア手順を示します。

1. スーパーユーザになります。

% su
#

2. リストア媒体の準備。

 バックアップデータの入った媒体を準備します。

 バックアップ元とは異なったパーティションへリストアを行う場合、バックアップ元で使用しているパーティションと同じ大きさ同じ数のパーティションを用意します。

 いくつかのパーティションについて、バックアップ時とは異なるディスクにリストアを行いたい場合には、スクリプト sfcfs.rstr の変数 SPECS の値を編集することによって行います。このとき、編集した特殊ファイル名の直前に、ボリューム情報のチェックを行わないことを示す“ ! ”を置きます。

# SPECS="/dev/sfdsk/gfs/rdsk/volume1 !/dev/sfdsk/gfs/rdsk/volume2 /dev/sfdsk/gfs/rdsk/volume3"

3. ファイルシステムの停止

 リストア対象のパーティションを使用しているファイルシステムを停止します。

# sfcumntgl /dev/sfdsk/gfs/dsk/volume1

4. リストア作業。

 スクリプト sfcfs.rstr を使用してリストアする方法を以下に示します。

# ./sfcfs.rstr

 sfcfs.rstrdd(1M) コマンドを使用しています。詳細は、本書の“24.5.2 ファイルシステム単位のリストア”“24.5.3 リストア後の設定方法”および、"Solaris X Reference Manual Collection" を参照してください。

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