負荷分散/QoS制御 機能ガイド |
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第2章 機能 | > 2.1 負荷分散 | > 2.1.1 サイト負荷分散 |
サイト負荷分散機能は、利用者からのリクエストをサーバファーム内のどのサーバに転送するかを決定するアルゴリズムとして、つぎの分散方式を提供しています。
負荷分散対象のサーバ上で動作しているアプリケーションの特質にもとづいて、最適な分散方式を選択することでサーバファームの能力を最大限に引き出すことができます。
分散方式 |
説明 |
選択の目安 |
ラウンドロビン |
サーバファーム内の各サーバの負荷に関係なく、サーバファーム内の各サーバに順番にリクエストを転送します。 |
サーバファーム内のすべてのサーバが同じ処理能力をもっている場合に有効です。 |
静的な重み付け |
この方式は、サーバファーム内の各サーバの負荷に関係なく、管理者があらかじめ指定した重み付けに従い、その比率でサーバファーム内の各サーバにリクエストを転送します。例えば、サーバAに「30」、サーバBに「70」の重み付けを指定した場合は、3対7の比率でリクエストが転送されます。 |
管理者がサーバファーム内の各サーバの処理能力を把握していて、明示的にサーバへの分散比率を制御したい場合に有効です。 |
最小コネクション数 |
サーバファーム内の各サーバが処理しているコネクション数(TCPコネクションとUDPフロー)にもとづいて、サーバファーム内のコネクション数が均一になるように各サーバにリクエストを転送します。 |
コネクション数の多いアプリケーションの負荷分散を行う場合に有効です。 |
最小クライアント数 |
サーバファーム内の各サーバに接続しているクライアント(ノード)数にもとづいて、サーバファーム内の各サーバに接続しているクライアント数が均一になるように各サーバにリクエストを転送します。 |
クライアント単位に均等に分散対象サーバを割当てたい場合に有効です。 |
最小サーバ負荷 |
サーバファーム内の各サーバのCPU負荷、メモリ負荷、ディスクI/O負荷の状況にもとづいて、サーバファーム内の各サーバ負荷が均一になるようにリクエストを転送します。この方式を使用する場合は、サーバファーム内のすべてのサーバに「負荷計測エージェント」をインストールして動作させておく必要があります。 |
サーバファーム内のサーバの能力が均一でなく、サーバの能力に見合ったリクエストを処理させたい場合に有効です。 |
最小データ通信量(注2) |
サーバファーム内の各サーバが処理しているデータ通信量にもとづいて、サーバファーム内の各サーバのデータ通信量が均一になるように各サーバにリクエストを転送します。 |
コネクション数は少ないがデータ通信量の多いアプリケーションの負荷分散を行う場合に有効です。 |
最小応答時間(注2) |
サーバファーム内の各サーバのレスポンス時間(リクエストを転送してからレスポンスを受信するまでの時間)にもとづいて、サーバファーム内の各サーバのレスポンス時間が均一化するように各サーバにリクエストを転送します。 |
サーバファーム内のサーバの能力が均一でなく、サーバの能力に見合ったリクエストを処理させたい場合に有効です。 |
最小待ちメッセージ数(注3) |
サーバファーム内の各サーバの処理待ちメッセージ数の数にもとづいて、サーバファーム内の各サーバの処理待ちメッセージ数が均一化するように各サーバにリクエストを転送します。サーバファーム内のすべてのサーバに「負荷計測エージェント」をインストールして動作させておく必要があります。 |
サーバファーム内の各Application Serverの処理量を均等化したい場合に有効です。 |
最小通信バッファ使用率(注3) |
サーバファーム内の各サーバの通信バッファ使用率にもとづいて、サーバファーム内の各サーバの通信バッファ使用率が均一化するように各サーバにリクエストを転送します。サーバファーム内のすべてのサーバに「負荷計測エージェント」をインストールして動作させておく必要があります。 |
サーバファーム内の各Application Serverの通信量を均等化したい場合に有効です。 |
最小FNA LU数(注4) |
複数台のFNA Serverに対して、サーバファーム内の各サーバのLU数が均一化するように各サーバにリクエストを転送します。この方式は、端末とメインフレーム側LUを固定化して運用する場合には利用できません。(端末が使用するLUを固定することはできません。)サーバファーム内のすべてのFNA Serverに「負荷計測エージェント」をインストールして動作させておく必要があります。計測可能なLU数は、グループLUとして定義されたLUの空きLU数です。 |
複数台のFNA Serverの負荷分散を行う場合に使用します。 |
(注1)サーバOSがSolarisの場合、sarがインストールされている必要があります。サーバOSがLinuxの場合、DISK負荷率を測定することはできません。
(注2)分散方式の「最小データ通信量」と「最小応答時間」は、Traffic Director(サーバ)を並列型配置する場合、使用できません。
(注3)分散方式の「最小待ちメッセージ数」と「最小通信バッファ使用率」は、サーバファーム内のサーバ上で、Interstage Application Server Enterprise Editionが動作している場合にだけ使用することができます。
(注4)サーバOSがLinuxの場合、最小FNA LU数を測定することはできません。
分散方式として、「最小サーバ負荷」、「最小待ちメッセージ数」、「最小通信バッファ使用率」、「最小FNA/LU数」以外のサーバ分散方式を使用する場合にも、サーバファーム内のすべての分散対象サーバに「負荷計測エージェント」をインストールすることで、サーバ負荷の上限制御を行うことができます。例えば、「ラウンドロビン」方式を使用する場合に、分散対象サーバのCPU負荷が80%を超えた場合は分散対象サーバから除外するといった負荷分散ポリシーを指定することができます。このように、サーバ負荷の上限制御を行う場合は、サーバファーム内のすべての分散対象サーバに「負荷計測エージェント」をインストールしておく必要があります。「最小サーバ負荷」、「最小待ちメッセージ数」、「最小通信バッファ使用率」、「最小FNA/LU数」以外のサーバ分散方式を使用し、かつサーバ負荷の上限制御を行わない場合は、「負荷計測エージェント」をインストールする必要はありません。
「ラウンドロビン」、「静的な重み付け」を除く分散方式では、負荷状況を各分散対象サーバへの転送比率に反映するのに一定のタイムラグがあるほか、急激な偏りを防止するため、徐々に転送比率への負荷状況反映をおこないます。そのため、クライアント数、コネクション数が少ない場合は、見かけ上振り分けが均一に見えない場合があります。
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