PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.1 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版) |
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第6章 バックアップとリストア | > 6.4 プロキシボリュームを使用したオンラインバックアップと瞬間リストア |
業務で使用しているマスタボリュームからプロキシボリュームが分離されている状態でマスタボリュームのデータに不具合が発生した場合は、プロキシボリュームからマスタボリュームにデータをリストアすることができます(ただし、瞬間スナップショット作成後のバックグラウンドコピー実行中は除く)。
リストアを行う際に、一時的にマスタボリュームを停止する必要がありますが、コピー処理の完了を待たずに、リストア開始直後からマスタボリュームを起動してアクセスすることができます。
テープからのリストア
業務で使用しているマスタボリュームとプロキシボリュームが結合されている状態でマスタボリュームのデータに不具合が発生した場合は、プロキシボリュームのデータにも同じ不具合が発生するため、瞬間リストアは実行できません。この場合、「リストア」の手順にしたがって、テープからマスタボリュームにデータをリストアしてください。
ディスク装置のコピー機能を使用した瞬間リストア
リストア処理で使用できるのは(R)OPCのみであり、(R)EC、EMC TimeFinder、EMC SRDF を使用することはできません。詳細については、「プロキシ構成におけるアドバンスト・コピー機能の利用」を参照してください。
[手順]
1) プロキシボリュームの状態確認
プロキシボリューム Volume2 がマスタボリューム Volume1 から分離されていることを確認します。
# sdxinfo -V -c Class1 -o Volume2 -e long OBJ NAME TYPE CLASS GROUP DISK MASTER PROXY ... ------ ------- ------ ------ ------ ------ ------- ----- ... volume * mirror Class1 Group2 * * * ... volume Volume2 mirror Class1 Group2 * Volume1 Part ... volume * mirror Class1 Group2 * * * ... |
PROXY フィールドに Part と表示されていれば、プロキシボリュームは分離されています。
PROXY フィールドに Join と表示されている場合は、プロキシボリュームはマスタボリュームに結合されているため、瞬間リストアは実行できません。この場合は、テープからデータをリストアする必要があります。詳細については、上記の「参考 テープからのリストア」を参照してください
2) 業務の停止
2a) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用している場合
クラスタアプリケーションを停止します。
2b) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用していない場合
2b-1) マスタボリュームを使用している業務を停止します。
2b-2) マスタボリュームをファイルシステムとして使用している場合は、ファイルシステムをアンマウントします。ここでは、マウントポイントが/DATAである場合の手順を示します。
# cd / |
2b-3) マスタボリュームの停止
マスタボリューム Volume1 を停止します。Class1 が共用クラスの場合は、-e allnodesオプションを指定することにより、Volume1 を全ノードで停止します。
# sdxvolume -F -c Class1 -v Volume1 |
GDS運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でマスタボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム停止]を実行します。
3) プロキシボリュームからのリストア
クラス Class1 のスコープに属している任意の1ノードで以下のコマンドを実行します。
3a) OPC機能が使用できない場合
3a-1) プロキシボリューム Volume2 を停止します。Class1 が共用クラス場合は、-e allnodesオプションを指定することにより、Volume2 を全ノードで停止します。
# sdxvolume -F -c Class1 -v Volume2 |
GDS運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でプロキシボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム停止]を実行します。
3a-2) プロキシボリューム Volume2 からマスタボリューム Volume1 にデータをリストアします。
# sdxproxy RejoinRestore -c Class1 -p Volume2 -e instant |
Volume1 のリストアはコマンドが復帰した時点で完了します。コマンドが復帰した後、Volume2 から Volume1への等価性回復コピーが実行されますが、コピー処理の完了を待たず、手順4)以降を実行することができます。
GDS運用管理ビューを使用する場合は、「リストア」の「マスタ復元」を参照してください。マスタ復元の環境設定では、「再結合−する」および「瞬間リストア−する」を選択します。
3b) OPC機能が使用できる場合
プロキシボリューム Volume2 からマスタボリューム Volume1 にデータをリストアします。
# sdxproxy Restore -c Class1 -p Volume2 -e instant |
Volume1のリストアはコマンドが復帰した時点で完了します。コマンドが復帰した後、Volume2からVolume1へのOPC物理コピーがバックグラウンドで実行されますが、コピー処理の完了を待たず、手順4)以降を実行することができます。
GDS運用管理ビューを使用する場合は、「リストア」の「マスタ復元」を参照してください。マスタ復元の環境設定では、「再結合−しない」および「瞬間リストア−する」を選択します。
マスタボリュームのミラーリングの多重度が2以上の場合
手順3b)のsdxproxy Restoreコマンドを実行すると、プロキシボリュームのスライスのうちの1つをコピー元、マスタボリュームのスライスのうちの1つをコピー先として、OPCが開始されます。マスタボリュームのスライスのうち、OPCのコピー先のスライス以外は、ミラーから切り離され、データ不当(INVALID)状態になります。マスタボリュームのミラー状態を回復するには、sdxcopy -Bコマンドを使用して、マスタボリュームの等価性回復コピーを実行してください。なお、sdxcopy -Bコマンドを実行しなくても、手順4)でマスタボリュームが起動されると、自動的にマスタボリュームの等価性回復コピーが実行され、OPCのコピー先のスライスからそれ以外のスライスに対し、ソフトコピー機能によりデータがコピーされます。
マルチパーティション構成のGFSローカルファイルシステムの場合
複数のボリュームを使用して1つのGFSローカルファイルシステムを構成している場合は、すべてのボリュームに対してプロキシボリュームからリストアを行います。
4) 業務の再開
コピーの完了を待たずに、業務を再開することができます。
プロキシボリュームのデータを再利用する場合
手順3a)で sdxproxy RejoinRestore コマンドを実行すると、Volume1 と Volume2 は結合状態になり、Volume1 に書き込んだデータは Volume2 にも反映されます。Volume2 のデータを変更せずにリストアに再利用したい場合は、Volume2 から Volume1 への等価性回復コピーが完了した後、Volume2 を Volume1 から分離してから業務を再開してください。なお、手順3b)で sdxproxy Restore コマンドを実行した場合は、Volume1 と Volume2 は分離状態のままであるため、コピーの完了を待たずに業務を再開しても、Volume2 のデータは変更されません。
4a) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用する場合
クラスタアプリケーションを起動します。
4b) マスタボリュームをクラスタアプリケーションで使用しない場合
4b-1) 業務を実行するノードでマスタボリューム Volume1 を起動します。
# sdxvolume -N -c Class1 -v Volume1 |
GDS運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でマスタボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム起動]を実行します。
OPC機能が使用できる場合
マスタボリュームのミラーリングの多重度が2以上の場合、手順3b)を実行してOPC機能によるリストアを行うと、本コマンド実行後、自動的にマスタボリュームの等価性回復コピーが実行されます。OPC物理コピーが完了してから等価性回復コピーを行いたい場合は、sdxvolume -Nコマンド実行時に-e nosyncオプションを指定することによって、等価性回復コピーを行わずにマスタボリュームを起動することができます。この場合、OPC物理コピーが完了した後、sdxcopy -Bコマンドを使用して、マスタボリュームの等価性回復コピーを実行してください。
4b-2) マスタボリュームをsfxfsファイルシステムとして使用する場合は、パーティション情報の構成変更を行います。
# sfxadm /dev/sfdsk/Class1/rdsk/Volume1 |
マルチパーティション構成のGFSローカルファイルシステムの場合
sfxadm(1M)コマンドでは、ファイルシステムを構成するすべてのボリュームのデバイス特殊ファイル名を指定します。
4b-3) マスタボリュームをファイルシステムとして使用する場合は、ファイルシステムをマウントします。ここでは、マウントポイントが/DATAである場合の手順を示します
ufsファイルシステムの場合
# mount -F ufs /dev/sfdsk/Class1/dsk/Volume1 /DATA |
sfxfsファイルシステムの場合
# mount -F sfxfs /dev/sfdsk/Class1/dsk/Volume1 /DATA |
マルチパーティション構成のGFSローカルファイルシステムの場合
mount(1M)コマンドでは、代表パーティションのデバイス特殊ファイル名を指定します。
4b-4) マスタボリュームを使用する業務を起動します。
5) コピー状況の確認
手順3)で開始したプロキシボリューム Volume2 からマスタボリューム Volume1 へのコピー処理の状況は、sdxinfo -Sコマンドで確認することができます。コピー先のマスタボリューム Volume1 のスライスは、コピー処理中は COPY 状態であり、コピー処理が正常に完了すると ACTIVE 状態になります。
# sdxinfo -S -c Class1 -o Volume1 OBJ CLASS GROUP DISK VOLUME STATUS ----- ------ ------ ----- ------- ------ slice Class1 Group1 Disk1 Volume1 ACTIVE slice Class1 Group1 Disk2 Volume1 ACTIVE |
手順3a)でsdxproxy RejoinRestoreコマンドを実行すると、マスタボリューム Volume1 とプロキシボリューム Volume2 は結合状態になります。結合状態のときに Volume1 のデータに不具合が発生した場合は、Volume2 のデータにも同じ不具合が 発生するため、テープからデータをリストアする必要があります。Volume2 から Volume1 への等価性回復コピーが完了したら、Volume2 を Volume1 から分離しておくことを推奨します。プロキシボリュームを分離する手順については、「オンラインバックアップ(等価性方式)」の手順3)〜5)を参照してください。
(R)EC, EMC TimeFinder, EMC SRDFを使用してバックアップを行う場合
プロキシを使ってマスタのリストアを行うと、これらのコピー機能のセッションは停止されます。再度これらのコピー機能を使用してバックアップを行う場合は、sdxproxy Breakコマンドを使用してマスタとプロキシの関係をいったん解除する必要があります。
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