PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.1 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)
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第2章 オブジェクト

2.5 論理ボリューム

GDS は、管理している物理ディスクを論理ボリュームとして仮想化することによって、ミラーリング機能や統合的な運用管理機能を提供します。

アプリケーションは、物理ディスクの替わりに論理ボリュームへアクセスします。

論理ボリュームのことを、単に「ボリューム」と呼ぶ場合もあります。

ボリュームには、以下の5種類があります。

階層化されたグループに作成されたボリュームは、各階層のグループの特性を併せ持ちます。たとえば、複数のストライプグループが属しているミラーグループ内に作成されたミラーボリュームは、ストライピング機能によるI/O負荷分散と、ミラーリング機能によるデータの冗長化を同時に実現します。

Solaris(TM)オペレーティングシステムでは、通常、物理ディスクは最大でも7個のディスクスライス(物理スライス)にしか分割できません。GDSでは、対応する物理スライスを持つボリュームと、対応する物理スライスを持たないボリュームのどちらも作成できます。シングルディスクおよびグループは、物理スライスを持つボリュームと持たないボリュームとを合わせて、最大で1024個のボリュームに分割することができます。

 

■属性

ボリュームには、以下の属性があります。

名前
クラスの中でボリュームを識別するための属性です。
JRM
ボリューム用の高速等価性回復モードを表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
on
ボリューム用の高速等価性回復モードが有効です。
off
ボリューム用の高速等価性回復モードが無効です。
起動ロック
起動ロックモードを表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
on
以降のボリューム起動をロック(抑止)します。
off
以降のボリューム起動をロックしません。
アクセスモード
省略時のアクセスモードを表す属性です。アクセスモードを指定せずにボリュームを起動した場合、この属性に設定されているアクセスモードで起動されます。次のいずれかの値が設定できます。
rw
省略時のアクセスモードを読書き用に設定します。
ro
省略時のアクセスモードを読取り専用に設定します。
物理スライス
ボリュームが物理スライスを持つかどうか、つまりボリュームを構成しているスライスが VTOC に登録されているかどうかを表す属性です。以下のいずれかの値が設定できます。ただし、ストライプグループおよびコンカチネーショングループに作成されたボリュームの物理スライス属性は、必ずoffに設定する必要があります。
on
シングルボリュームの場合は、シングルディスク上のスライスが VTOC に登録されます。ミラーボリュームの場合は、ミラーグループに直接接続されているディスクがあれば、そのディスク上のスライスが VTOC に登録されます。スイッチボリュームの場合は、スイッチグループに接続されているすべてのディスク上のスライスが VTOC に登録されます。
下位グループのみが接続されているミラーグループに作成されたミラーボリュームは、この属性がonであっても、物理スライスを持ちません。
off
ボリュームは物理スライスを持っていません。つまり、ボリュームを構成しているすべてのスライスが VTOC に登録されていません。
PJRM
プロキシ用の高速等価性回復モードを表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
on
プロキシ用の高速等価性回復モードが有効です。
off
プロキシ用の高速等価性回復モードが無効です。

 

■操作

ボリュームに対して、以下の操作を行うことができます。

作成
sdxvolume -M コマンドを使って、最上位グループまたはシングルディスク内にボリュームを作成できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「ボリューム構成」を参照してください。
削除
sdxvolume -R コマンドを使って、ボリュームを削除できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「ボリュームの削除」を参照してください。
起動
sdxvolume -N コマンドを使って、ボリュームを起動できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「操作」を参照してください。
停止
sdxvolume -F コマンドを使って、ボリュームを停止できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「操作」を参照してください。
拡張
sdxvolume -S コマンドを使って、ボリュームのサイズを拡張できます。
運用管理ビューでは操作できません。
状態表示
sdxinfo コマンドを使って、ボリュームの状態を表示できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「構成情報の確認と状態監視」を参照してください。
属性変更
sdxattr -V コマンドを使って、ボリュームの属性値を変更できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「ボリューム構成」を参照してください。
コピー制御
sdxcopy コマンドを使って、ボリュームの等価性コピー処理を制御できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「コピー操作」を参照してください。
復旧
sdxfix -V コマンドを使って、特殊な異常が発生したボリュームの復旧を試みることができます。
運用管理ビューでは操作できません。

 

■状態

ボリュームには、以下の状態があります。

ACTIVE
正常なデータにアクセスできる状態。
ボリュームの起動が正常に完了すると、ACTIVE 状態になります。このとき、ボリューム内には、ACTIVE 状態のスライスか、またはバックグラウンドコピー中のCOPY 状態のスライスが、ひとつ以上存在しています。
STOP
アクセスできないが、起動してACTIVE 状態にすることが可能な状態。
ただし、プロキシボリュームの場合は、マスタボリュームから分離しなければ起動できません。
ボリュームの停止が正常に完了するとSTOP 状態になります。このとき、ボリューム内には、STOP 状態のスライスか、またはバックグラウンドコピー中のCOPY 状態のスライスが、ひとつ以上存在しています。
INVALID
データが不当で、アクセスできない状態。
このとき、ボリューム内には、正当な状態(ACTIVE またはSTOP)のスライスも、バックグラウンドコピー中のCOPY 状態のスライスも存在しないため、ボリュームの起動はできません。
ボリューム状態に関する異常」を参照してください。

 

■参照

ボリュームに関して、以下の留意事項があります。

規約
ボリューム数
注意
ボリュームサイズ
高速等価性回復機構 (JRM)
ボリュームのアクセスモード

 

[図:論理ボリューム]

 

[図:論理パーティション分割(物理スライス属性)]



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