PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.1 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)
目次 前ページ次ページ

第2章 オブジェクト

2.6 論理スライス

論理スライスは、GDS が管理するオブジェクトの中で最も小さな単位です。論理スライスのことを、単に「スライス」と呼ぶ場合もあります。

ミラーボリュームは、複数の論理スライスをミラーリングすることによって構成されます。ひとつのミラーボリュームに対し、ミラーグループに属している各ディスクおよび各下位グループに、それぞれひとつの論理スライスが存在します。

シングルボリューム、ストライプボリューム、およびコンカチネーショングループ内のボリュームは、それぞれひとつの論理スライスからなります。

スイッチボリュームは、ひとつの論理スライスからなり、その論理スライスは、運用ディスク上に存在します。

ボリュームを構成しているスライスに対して、通常アプリケーションはアクセスできません。しかし、物理スライス属性が on のミラーボリュームの場合は、スライスの切離しという操作を行うことによって、一時的に切り離されたスライスに対して直接アクセスできるようになります。この機能を使って、ボリュームのスナップショットを採取できます。

 

■属性

スライスには、以下の属性があります。

名前
クラスの中でスライスを識別するための属性です。
JRM
スライス用の高速等価性回復モードを表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
on
スライス用の高速等価性回復モードが有効です。
off
スライス用の高速等価性回復モードが無効です。
アクセスモード
アクセスモードを表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
rw
アクセスモードを読書き用に設定します。
ro
アクセスモードを読取り専用に設定します。

 

■操作

スライスに対して、以下の操作を行うことができます。

切離し
sdxslice -M コマンドを使って、ミラーボリュームを構成する一部のスライスを切り離して、スナップショットを採取できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「バックアップ(スライス切離し方式)」を参照してください。
組込み
sdxslice -R コマンドを使って、切り離されていたスライスを再びボリュームへ組み込むことができます。
運用管理ビューを使用する場合は、「バックアップ(スライス切離し方式)」を参照してください。
起動
sdxslice -N コマンドを使って、切り離されたスライスを起動できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「バックアップ(スライス切離し方式)」を参照してください。
停止
sdxslice -F コマンドを使って、切り離されたスライスを停止できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「バックアップ(スライス切離し方式)」を参照してください。
引継ぎ
sdxslice -T コマンドを使って、切り離されたスライスを他ノードから引き継ぐことができます。
運用管理ビューでは操作できません。
状態表示
sdxinfo コマンドを使って、スライスの状態を表示できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「構成情報の確認と状態監視」を参照してください。
属性変更
sdxattr -S コマンドを使って、切り離されたスライスの属性値を変更できます。
運用管理ビューでは操作できません。

 

■状態

スライスには、以下の状態があります。

ACTIVE
データが正常で、アクセスできる状態。
このとき、ボリュームの状態はACTIVE です。ミラーボリューム内に存在する ACTIVE、STOP、およびバックグラウンドコピーを行っているCOPY 状態のスライス数の合計は、現在のミラーリング多重度(1〜8)を表します。
STOP
データが正常で、アクセスできない状態。
このとき、ボリュームの状態は STOP です。ミラーボリューム内に存在する STOP、ACTIVE、およびバックグラウンドコピーを行っているCOPY 状態のスライス数の合計は、現在のミラーリング多重度(1〜8)を表します。
INVALID
データが不当で、アクセスできない状態。
ミラーリングされているスライスで I/O エラーが検出されると、INVALID 状態になります。ディスクドライバのメッセージ確認などにより、速やかに原因を究明して復旧させてください。復旧後、等価性コピーを行って、正常に完了すればデータが正当な状態( ACTIVE またはSTOP )になります。失敗すれば、再び INVALID 状態に戻ります。
COPY
データを正当化するために、等価性コピーを行っている状態。
等価性コピーは、正当な状態(ACTIVE またはSTOP )のスライスから、COPY 状態のスライスに対して行われています。等価性コピーが正常に完了すれば、正当な状態( ACTIVE またはSTOP )になり、失敗すれば不当な状態(INVALID)になります。
TEMP
ミラーボリュームから一時的に切り離されていて、スライス単独でアクセスできる状態。
sdxslice -M コマンドが正常に完了した場合、TEMP 状態になります。元の状態(ACTIVE またはSTOP )に戻すためには、sdxslice -R コマンドを実行する必要があります。
TEMP-STOP
ミラーボリュームから一時的に切り離されていて、スライス単独でアクセスできない状態。
アクセス可能な状態にするためには、sdxslice -N またはsdxslice -T コマンドを実行してスライスを起動する必要があります。
NOUSE
特別な理由によって、アクセスできない状態。
ディスクの状態が動作不可能( DISABLE またはSWAP )になると、ディスクに関連するすべてのスライスはNOUSE 状態になります。

 

■参照

スライスに関して、以下の留意事項があります。

注意
スライス切離しによるスナップショット
高速等価性回復機構(JRM)

[図:論理スライス]



目次 前ページ次ページ

All Rights Reserved, Copyright(C) 富士通株式会社 2005