以下の2つの運用例を基に、自動でスナップ世代を管理する方法を説明します。
ポイント
必要空きボリューム数の設定値によって世代管理の動作が異なります。詳細は、「2.6.2 SnapOPC+を開始するコピーペアの選択論理」を参照してください。
日次バックアップを7世代管理する
日次バックアップを7世代管理するには、1つのコピーグループに7つのコピーペアを作成します。必要空きボリューム数の設定は不要です。
コピーグループを指定してacsnap startコマンドを実行することで、自動でスナップ世代の管理が可能です。バックアップ手順は、「3.2.1.5 SnapOPC+を利用したバックアップ」を参照してください。
コピーグループ名をgrp_dailyとした場合のコマンド実行例とコマンド実行時の処理概要は、以下のとおりです。
実行契機 | コマンド実行例 | コマンド実行時の処理概要 |
---|---|---|
毎日1回 | acsnap start -g grp_daily |
|
図2.1 コピーグループgrp_dailyに対するacsnap startコマンドの動作
acsnap startコマンドが実行されると、コピーグループ内で最古のSnapOPC+セッションが停止した時点で、スナップ世代番号が1つずつ詰められます(上記の例では、左の図の"2"~"7"が中央の図で"1"~"6"に遷移)。
そのあと、停止したSnapOPC+セッションが使用していたボリュームに対してSnapOPC+セッションが新規に設定され、最新のスナップ世代番号が割り当てられます(上記の例では、右の図の"7")。
月次バックアップを1世代と日次バックアップを7世代管理する
参考
上記の図において、スナップ世代番号が1のスナップ世代は月次バックアップ、スナップ世代番号が2から8のスナップ世代は日次バックアップで取得されたものを表しています。
月次バックアップを1世代と日次バックアップを7世代管理するには、2つのコピーグループが必要です。
月次バックアップ用のコピーグループには1つのコピーペアを作成します。このコピーグループには、必要空きボリューム数の設定は不要です。
日次バックアップ用のコピーグループには8つのコピーペアを作成します。このコピーグループには、必要空きボリュームの設定が必要になります。
月次バックアップ用のコピーグループ名をgrp_monthly、日次バックアップ用のコピーグループ名をgrp_dailyとした場合の、必要空きボリューム数およびコピーペア数は以下のとおりです。
コピーグループの用途 | 必要空きボリューム数 | 必要なコピーペア数 |
---|---|---|
月次バックアップ | 0 (設定不要) | 1 |
日次バックアップ | 1 | 8 (= 7 + 必要空きボリューム数) |
それぞれのコピーグループに対して以下のようにacsnap startコマンドを実行することで、自動でスナップ世代の管理が可能です。バックアップ手順は、「3.2.1.5 SnapOPC+を利用したバックアップ」を参照してください。
月次バックアップ用のコピーグループ名をgrp_monthly、日次バックアップ用のコピーグループ名をgrp_dailyとした場合のコマンド実行例とコマンド実行時の処理概要は、以下のとおりです。
実行契機 | コマンド実行例 | コマンド実行時の処理概要 |
---|---|---|
毎月1回 | acsnap start -g grp_monthly |
|
毎日1回 | acsnap start -g grp_daily |
|
図2.2 コピーグループgrp_monthlyに対するacsnap startコマンドの動作
コピーグループgrp_monthlyに対してacsnap startコマンドが実行されると、コピーグループgrp_monthly側のSnapOPC+セッションが停止した時点で、コピーグループgrp_daily側のスナップ世代番号が1つずつ詰められます。(上記の例では、左の図の"2"~"8"が中央の図で"1"~"7"に遷移)
そのあと、コピーグループgrp_monthly側の空きボリュームに対してSnapOPC+セッションが新規に設定され、最新のスナップ世代番号が割り当てられます(上記の例では、右の図の"8")。
図2.3 コピーグループgrp_dailyに対するacsnap startコマンドの動作
コピーグループgrp_dailyに対してacsnap startコマンドが実行されると、コピーグループgrp_dailyにおける最古のスナップ世代(上記の例では、左の図の"2")のSnapOPC+セッションを停止します。ただし、このスナップ世代は、コピー元ボリュームに対する最古のスナップ世代ではないため、SnapOPC+セッションがなくなるまで時間がかかります。SnapOPC+セッションがあるコピーペアに対して新たなスナップ世代を取得することはできないため、必要空きボリューム数の設定によって用意されている空きボリューム(上記の例では、左の図でスナップ世代番号が割り当てられていないボリューム)に対してSnapOPC+を開始します。このように、停止処理中のSnapOPC+セッションが存在する状態で新たなSnapOPC+セッションを開始するため、一時的に8世代(上記の例では、中央の図の"2"~"9")のスナップ世代が存在するように見えます。
停止処理中のSnapOPC+セッションは、時間の経過によって自動的に停止されます。停止処理中のSnapOPC+セッションがなくなると、コピーグループgrp_dailyのスナップ世代番号が1つずつ詰められます(上記の例では、中央の図の"3"~"9"が右の図で"2"~"8"に遷移)。なお、停止したSnapOPC+セッションで使用していたコピーペアのボリュームは、次のスナップ世代取得時の空きボリュームとして使用されます。
ポイント
1つのコピー元ボリュームに対して複数のコピーグループで世代管理する場合は、処理対象のコピーグループ内で最古のスナップ世代が、コピー元ボリューム対する最古のスナップ世代とは限りません。コピー元ボリュームに対する最古でないスナップ世代を削除する場合、コマンドが復帰してからしばらくの間は、停止中のSnapOPC+セッションが存在することがあります。
SnapOPC+セッションの停止処理が完了していないコピーペアに対して、次のスナップ世代を取得することはできません。最古でないスナップ世代を削除する運用では、必要空きボリューム数を1以上に設定し、空きボリュームが常に存在するように運用設計してください。
以下の要件などで次のバックアップ取得時までにSnapOPC+セッションの停止処理が完了しないことが考えられる場合は、十分に運用設計したうえで、必要空きボリューム数を設定してください。
バックアップを頻繁に実施する必要がある(バックアップ周期が短い)
不定期にバックアップを取得することがある