ファイルシステムを作成する手順を説明します。
(1) 共用ディスク装置の設定
GFS 共用ファイルシステムは、共用デバイスとして GDS の論理ボリュームを利用します。また GDS の論理ボリュームは各ノードで ACTIVE の状態である必要があります。
注意
GDS の論理ボリュームには、以下の設定を行ってください。
論理ボリュームが属するディスククラスのタイプを共用に設定 (GDS のクラスの属性変更)
論理ボリュームが属するディスククラスのスコープに、GFS 共用ファイルシステムを共用するすべてのノードを設定 (GDS のクラスの属性変更)
参照
GDS の論理ボリュームが属するディスククラスの操作については、“PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書”“操作”“運用管理ビューでの操作”から該当項目を参照してください。
GDS の論理ボリュームの操作については、“PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書”“操作”“運用管理ビューでの操作”から該当項目を参照してください。
(2) ホストデータベースへの登録
MDS と AC は、GFS 共用ファイルシステムを共用するノードのホスト名に対応した IP アドレスを使って通信します。このため、共用ノードのホスト名と IP アドレスを、ホストデータベース (例:/etc/inet/hosts) に登録します。
注意
共用ノードの IP アドレスの種別は、“(9) 通信プロトコルの選択”で選択する通信プロトコルに適合させてください。適合しない場合、GFS 共用ファイルシステムをマウントできません。
共用ノードのホスト名は、正式なホスト名 (/etc/inet/hosts の場合、1 番左に記載するホスト名) として登録してください。
GFS 共用ファイルシステムで使用できる IPv6 アドレスの種別は、以下の 2つです。
ユニークローカルユニキャストアドレス
グローバルユニキャストアドレス
すべての共用ノードにおいて、ホストデータベースの設定は統一してください。共用ノード間で設定が異なる場合、MDS ダウンリカバリに失敗して、ファイルシステムの閉塞、システムパニックが発生することがあります。
参照
/etc/inet/hostsの詳細については、Solaris のマニュアルの hosts(4) を参照してください。
(3) 共用情報の設定
[操作]:[作成] を選択し、[ファイルシステム作成ウィザード(1)] を表示します。
[ファイルシステム作成ウィザード(1)] では、ファイルシステムで共用するノード情報、およびマウント情報などの設定を行います。
表示されているホスト名以外のホスト名を選択する場合は、<選択> ボタンをクリックして、各ノードで使用する LAN のホスト名を下図の画面で選択します。<選択> ボタンをクリックしない場合は、表示されているホスト名の LAN を使用します。
図10.7 ホスト名選択ウィザード
左側の [候補ホスト名] から使用する LAN のホスト名を選択して、右側の [選択ホスト名] に追加してください。なお、選択ホスト名は、同時に 1つしか選択できません。選択ホスト名を変更する場合は、選択しているホスト名を削除する必要があります。
[プライマリ MDS] と [セカンダリ MDS] には、共用ファイルシステムの管理サーバを起動するノードを指定します。それぞれ異なる 1 ノードずつを選択する必要があります。
[マウントポイント] は、フルパスで指定します。また、[ディレクトリ作成] で [作成する] を選択した場合、以下の属性でディレクトリを作成します。
オーナ : root
グループ : sys
アクセス権 : 775
各情報を設定後、<次へ> ボタンを押し、[ファイルシステム作成ウィザード(2)] に進みます。
各設定値をデフォルトに戻す場合は、<リセット> ボタンを押します。
ファイルシステム作成の処理を中止する場合は、<中止> ボタンを押します。
(4) 構成パーティションの選択
[ファイルシステム作成ウィザード(2)] では、ファイルシステムとして使用するパーティションの登録を行います。
図10.8 ファイルシステム作成ウィザード(2)
登録するパーティションを [候補パーティション] から選択し、<追加> ボタンを押します。パーティションの選択は、複数同時選択が可能です。ただし、すでにファイルシステムとして使用中のパーティションや管理パーティションは選択できません。
パーティションの選択が完了したら、<次へ> ボタンを押し、[ファイルシステム作成ウィザード(3)] に進みます。
[構成パーティション] に表示されているパーティションの選択をすべて取り消す場合は、<リセット> ボタンを押します。
[ファイルシステム作成ウィザード(1)] に戻る場合は、<戻る> ボタンを押します。
ファイルシステム作成の処理を中止する場合は、<中止> ボタンを押します。
注意
GDS の論理ボリュームの状態が ACTIVE でない場合、構成パーティションとして選択できません。構成パーティションとして選択する場合は、論理ボリュームの状態を ACTIVE にしてください。
[ファイルシステム作成ウィザード(3)] では、[ファイルシステム作成ウィザード(2)] で選択した各パーティションに割り当てる領域 (メタ/ログ/データ) の選択を行います。
メタデータ領域を割り当てたパーティションが、代表パーティションになります。
参照
各パーティションに割り当てる領域 (メタ/ログ/データ) の組合せについては、本書の“2.1.6 パーティション構成”を参照してください。
図10.9 ファイルシステム作成ウィザード(3)
各情報を設定後、<次へ> ボタンを押し、[ファイルシステム作成ウィザード(4)] に進みます。
各設定値をデフォルトに戻す場合は、<リセット> ボタンを押します。
[ファイルシステム作成ウィザード(2)] に戻る場合は、<戻る> ボタンを押します。
ファイルシステム作成の処理を中止する場合は、<中止> ボタンを押します。
拡張情報、詳細情報、およびマウント情報をデフォルト設定のままでファイルシステムの作成を行う場合は、<作成> ボタンを押します。
(6) 拡張情報の設定
[ファイルシステム作成ウィザード(4)] では、将来、パーティション追加により、ファイルシステムの拡張や構成変更を行う場合に必要な拡張情報を設定します。
図10.10 ファイルシステム作成ウィザード(4)
注意
[最大パーティション数] および [データ領域最大サイズ] は、作成するファイルシステムが、将来データ領域を拡張することを考慮して設定してください。詳細については、本書の“4.3.5 将来の拡張に備えて”を参照してください。
参照
上記の拡張設定パラメタは、mkfs_sfcfs(1M) の GFS 共用ファイルシステム固有オプションに、それぞれ以下のように対応しています。
[最大パーティション数]:maxvol=n
[データ領域最大サイズ]:maxdsz=n
各パラメタの詳細については、本書の mkfs_sfcfs(1M) を参照してください。
各情報を設定後、<次へ> ボタンを押し、[ファイルシステム作成ウィザード(5)] に進みます。
各設定値をデフォルトに戻す場合は、<リセット> ボタンを押します。
「ファイルシステム作成ウィザード(3)」に戻る場合は、<戻る> ボタンを押します。
ファイルシステム作成の処理を中止する場合は、<中止> ボタンを押します。
詳細情報、およびマウント情報をデフォルト設定のままでファイルシステムの作成を行う場合は、<作成> ボタンを押します。
(7) 詳細情報の設定
[ファイルシステム作成ウィザード(5)] では、詳細情報の設定を行います。
図10.11 ファイルシステム作成ウィザード(5)
参照
上記の詳細設定パラメタは、mkfs_sfcfs(1M) の GFS 共用ファイルシステム固有オプションに、それぞれ以下のように対応しています。
[ファイルシステム使用限界]:free=n
[V データ領域使用限界]:mfree=n
[i ノード毎バイト数]:nbpi=n
[エクステント毎ブロック数]:nblkpext=n
[アップデートログ領域サイズ]:logsz=n
各パラメタの詳細については、本書の mkfs_sfcfs(1M) を参照してください。
注意
[ファイルシステム使用限界] は、mkfs_sfcfs(1M) の -o free オプションで指定する、ファイルシステムの空き領域の最小パーセントを 100 から引いた値です。
[V データ領域使用限界] は、mkfs_sfcfs(1M) の -o mfree オプションで指定する、V データ領域の空き領域の最小パーセントを 100 から引いた値です。
各情報を設定後、<次へ> ボタンを押し、[ファイルシステム作成ウィザード(6)] に進みます。
各設定値をデフォルトに戻す場合は、<リセット> ボタンを押します。
[ファイルシステム作成ウィザード(4)] に戻る場合は、<戻る> ボタンを押します。
ファイルシステム作成の処理を中止する場合は、<中止> ボタンを押します。
マウント情報をデフォルト設定のままでファイルシステムの作成を行う場合は、<作成> ボタンを押します。
[ファイルシステム作成ウィザード(6)] では、マウント情報の設定を行います。
図10.12 ファイルシステム作成ウィザード(6)
参照
上記の各種マウントオプションは、mount_sfcfs(1M) のマウントオプションに、それぞれ以下のように対応しています。
[setuid 実行禁止]:nosuid
[RO マウント]:ro
[noatime]:noatime
[自動マウント禁止]:noauto
各パラメタの詳細については、本書の mount_sfcfs(1M) を参照してください。
各情報を設定後、<作成> ボタンを押し、ファイルシステムの作成を行います。
各設定値をデフォルトに戻す場合は、<リセット> ボタンを押します。
[ファイルシステム作成ウィザード(5)] に戻る場合は、<戻る> ボタンを押します。
ファイルシステム作成の処理を中止する場合は、<中止> ボタンを押します。
注意
<作成> ボタンを押し、ファイルシステムの作成を行うと、GFS 運用管理ビューが自動的に /etc/vfstab にエントリを追加します。
(9) 通信プロトコルの選択
ファイルシステム作成の操作終了後、MDS と AC との間の通信プロトコルとして IPv6 を使用するか IPv4 を使用するかを設定します。
デフォルト (ファイルシステムを作成したときに登録される通信プロトコル) は、IPv4 です。
通信プロトコルの設定は、GFS 運用管理ビューの [操作]:[属性変更] で起動するファイルシステム属性画面の [詳細情報] で行います。IPv4 を使用する場合、設定作業は不要です。
注意
通信プロトコルはファイルシステムごとに設定できますが、管理を容易にするため、すべてのファイルシステムで同じにすることを推奨します。
通信プロトコルは、“(2) ホストデータベースへの登録”でホストデータベースに登録した共用ノードの IP アドレスの種別に適合するものを選択してください。適合しない通信プロトコルを選択した場合、GFS 共用ファイルシステムをマウントできません。
参照
通信プロトコルの設定の詳細については、本書の“10.3.1 ファイルシステム属性変更”を参照してください。
(10) ファイルシステムのマウント
ファイルシステムをマウントします。
参照
コマンドによるマウントの詳細は、“11.2.6 マウント”を参照してください。