PRIMECLUSTER Wizard for Oracle の留意事項について説明します。
要件・前提条件
本製品を使用するための要件、前提条件に関する留意事項です。
PRIMECLUSTER Wizard for Oracle では、Oracle ソフトウェアを共用ディスクにインストールした環境は、サポート対象外です。Oracle ソフトウェアは各ノードのローカルディスクにインストールしてください。
同一ノード上に、バージョン・リリースの異なる複数の Oracle をインストールすることができます。ただし、運用・待機ノードでバージョン・リリースを一致させる必要があります。
サポートする Oracle 製品名称等は、“ソフトウェア説明書” や “ハンドブック” 等を参照してください。
Oracle をインストールする際に使用するユーザー名、ユーザーID、グループ名、グループIDは、全ノードで同一にする必要があります。
1台のサーバーに複数の $ORACLE_HOME を作成する場合は、それぞれ異なるユーザー名で作成してください。
ORACLE_HOMEには、ローカルディスクのパスを設定してください。これは、PRIMECLUSTER Wizard for Oracle が Oracle ソフトウェアを共用ディスクにインストールした環境をサポート対象外としているためです。
Oracle のデータベースは、共用ディスク上に配置する必要があります。
Oracle のログ出力先を共用ディスク装置に設定することは推奨しません。ディスク装置の障害発生時にログが出力されず、調査ができない場合や、Oracle インスタンスが起動できなくなる場合があります。
Oracle のアーカイブログファイルについては、ローカルディスク、共用ディスクに配置した場合、それぞれ以下の点に注意してください。
ローカルディスク
Oracle のリカバリが必要な場合には、両系のノードにある Oracle アーカイブログファイルを集結してリカバリ作業を実施してください。
共用ディスク
共用ディスクの容量の枯渇に注意してください。アーカイブログ領域不足に陥ると、監視用 SQL によるデータ更新処理がハングアップし、リソース異常となる場合があります。また、userApplication のフェイルオーバにも失敗し、業務が停止する場合があります。
Oracle の TWO_TASK 環境変数は使用できません。詳しくは、“2.2.7.1 データベースの作成・設定” を参照してください。
Oracle ユーザーの login.sql に、Oracle データベースに接続するような処理を記述しないでください。詳しくは、“2.2.7.1 データベースの作成・設定” を参照してください。
本製品は、Oracle インスタンスの起動/停止を行なう際に SYSDBA システム権限で接続しますが、このときオペレーティング・システム認証 (OS認証) を使ったローカル接続を行います。そのため、次の条件を満たしている必要があります。 (満たしていない場合、userApplication による Oracle インスタンスの操作に失敗します。)
“2.2.9 Oracle リソースを含む userApplication の作成”、“2.3.5 Oracle RAC インスタンス、リスナーリソースを含む userApplication の作成” および “2.4.5 Oracle RAC インスタンス、リスナーリソースを含む userApplication の作成” で Oracle インスタンスリソースに設定した OS ユーザー (Oracle ユーザー) が、OSDBA グループに所属していること。
sqlnet.ora ファイルに SQLNET.AUTHENTICATION_SERVICES パラメータが設定されていないこと。
本製品の接続は OS 認証を使用しますが、それ以外の接続 (例えば、システム管理者がメンテナンスのために手動で SYSDBA または SYSOPER システム権限で接続する場合) では、パスワード・ファイル認証を使用することができます。
Oracle ユーザーのプロファイルにおいて、対話型のコマンド (例 script) を実行しないでください。userApplication の起動・停止、Oracle リソースの監視が正常に動作しない場合があります。プロファイルは、/etc/profile, .bash_profile, .cshrc, .profile などを指します。詳しくは、“2.2.2 Oracle ソフトウェアのインストール・設定”、“2.3.2 Oracle ソフトウェアのインストール・設定” または “2.4.2 Oracle ソフトウェアのインストール・設定” を参照してください。
Oracle ユーザーのホームディレクトリ、プロファイルを共用ディスクに配置した環境は、サポート対象外です。Oracle ユーザーのホームディレクトリ、プロファイルは各ノードのローカルディスクに配置してください。
Oracle 10g 以降では、リスナーのオペレーティング・システム認証 (OS認証) を有効にしてください。詳しくは、“2.2.7.1 データベースの作成・設定”を参照してください。
/tmp ディレクトリに Oracle ユーザーの書き込み権限を付与してください。
本製品では、Oracle ユーザー権限で動作するプログラムが /tmp ディレクトリを使用します。書き込み権限がない場合、Oracle の起動や停止に失敗します。
/opt/FJSVclora/usr 配下に格納するユーザースクリプト(prestartup*・nomount*・mount*)内では、"su -"を使用しないでください。
仕様・機能
本製品の仕様、機能に関する留意事項です。
本製品は、Oracle インスタンスの監視のため、SYSTEM ユーザーでデータベースに接続します。また、SYSTEM ユーザーのデフォルト表領域上に監視用テーブルを作成して Oracle の動作確認を行います。この監視用テーブルは数バイトの小さなものです。ただしデータの更新を定期的に行っているため、微量の REDO ログの更新が行われ、アーカイブログが出力されます。
Oracle インスタンスの immediate モードによる停止では、DBA ユーザーが Oracle インスタンスに接続している場合や、 Online Backup を実施している場合に停止に失敗します。この場合本製品は、abort で停止を行います。
Oracle インスタンスの起動時間、停止時間はデータベースの規模によって異なります。本製品のデフォルトでは Oracle インスタンス起動時間のタイムアウトは10分、停止時間のタイムアウトは3分となっています。また、RMS の停止コマンド hvshut は独自のタイムアウト時間が設定されています。hvshut コマンドがタイムアウトしても RMS 停止に伴う userApplication の停止処理は継続されます。
スタンバイ運用の場合、本製品は Oracle インスタンスの起動中にデータベースの異常を検出したとき、データベースの修復処理を自動的に実行します。
RAC スケーラブル運用の場合、修復処理を実行しませんが、Oracle9i RAC スケーラブル運用の場合のみ、/opt/FJSVclora/usr ディレクトリのファイルを以下のように変更することで、修復処理を自動実行することができます。
例
# cd /opt/FJSVclora/usr # mv ./_mount10EndBackup.sh ./mount10EndBackup.sh # mv ./_mount20EndBackup.sh ./mount20EndBackup.sh # mv ./mount05EndBackup_MediaRecover.sh ./_mount05EndBackup_MediaRecover.sh
参照
詳しくは、“2.5.1 Oracle 起動・停止時のスクリプトの設定” を参照してください。
Oracle RAC 10g以降のスケーラブル運用の場合、RMS 上のリソース名は Oracle RAC 10g以降 の CRS リソース名や OracleSID をもとに生成されます。詳しくは、“2.3.2 Oracle ソフトウェアのインストール・設定” または “2.4.2 Oracle ソフトウェアのインストール・設定” を参照してください。
MonitorOnly は以下の条件のとき有効にできます。詳しくは、“2.2.9 Oracle リソースを含む userApplication の作成” を参照してください。
“Instance” と “Listener” がそれぞれ1つずつで、かつ「起動優先度(StartPriority)」に “Same” を指定した場合。
“Instance” か “Listener” のどちらかのMonitorOnly を有効にできます。
“Instance” を2つ以上作成した場合。
“Instance” の MonitorOnly を有効にできます。最低1つの“Instance” はMonitorOnly を無効にしなければなりません。
“Listener” を2つ以上作成した場合。
“Listener” の MonitorOnly を有効にできます。最低1つの“Listener” はMonitorOnly を無効にしなければなりません。
Oracle RAC 10g以降のスケーラブル運用において、Oracle の srvctl コマンドや 、Oracle インスタンスに対して shutdown コマンドを直接実行すると、RMS 上のリソース状態との不一致が発生する場合があります。
環境構築
環境構築に関する留意事項です。
PreOnlineScript 等のスクリプトを設定した場合は、exit code と タイムアウト時間に注意してください。詳しくは、“2.5.1 Oracle 起動・停止時のスクリプトの設定” を参照してください。
運用
運用に関する留意事項です。
クラスタ運用中に Oracle SYSTEM ユーザーパスワードを変更する場合は、“3.3 クラスタ運用中の Oracle SYSTEM ユーザーパスワード変更手順” を参照してください。
その他
上記以外の留意事項です。
abort での停止では、次回起動時に Oracle インスタンスの自動リカバリが実行されます。