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NETSTAGE/FIC V1.0 説明書セション振分けオプション編
FUJITSU Software

1.2.3 業務アプリケーションの配置・起動状態に応じた振分け

富士通メインフレーム上の業務アプリケーションの配置および起動状態に応じた振分けとして、以下の2つの振分けについて説明します。

富士通メインフレーム上の業務アプリケーションごとにセション振分けを行うには、業務アプリケーションごとにサーバ負荷分散装置に負荷分散用のIPアドレスが必要です。サーバ負荷分散装置の負荷分散用のIPアドレスを仮想IPアドレスと呼びます。

1.2.3.1 応用プログラムへの振分け

富士通メインフレーム上の応用プログラムの配置および起動状態に応じてセション振分けを行う場合の設定について説明します。

富士通メインフレーム上の応用プログラムの配置および起動状態に応じた振分けを図1.13に示します。

図1.13 応用プログラムの配置・起動状態に応じた振分け

サーバ負荷分散装置での設定

振分け対象である応用プログラムごとにサーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスおよびサーバファームが必要です。振分け対象のサーバをクラスタ化したものを「サーバファーム」と呼びます。

サーバファームまたは振分け対象のサーバのクラスタ化についての詳細は、使用するサーバ負荷分散装置のマニュアルを参照してください。

ただし、以下の条件の場合は、複数の応用プログラムでサーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスおよびサーバファームを共有できます。

図1.13の例に説明します。APL1とAPL2は、富士通メインフレーム1のみに配置されています。APL3とAPL4が富士通メインフレーム2のみに配置されています。APL5とAPL6は、すべての富士通メインフレームに配置されています。このとき、サーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスを共有できる応用プログラムは、APL1とAPL2、および、APL3とAPL4です。これより、必要となるサーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスは、APL1とAPL2用(IPR1)、APL3とAPL4用(IPR2)、APL5用(IPR3)、APL6用(IPR4)の4つです。

各サーバファームでは、振分け先となる富士通メインフレームごとに、応用プログラムに対応させたIPアドレスを指定します。サーバ負荷分散装置では、サーバファームに属する富士通メインフレームのIPアドレスに対して、故障監視を行います。

NETSTAGE/FICでの定義

NETSTAGE/FICでは、応用プログラムごとに対応するサーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスを定義します。

分散対象である代表名はenrsc定義文で定義し、対応するサーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスはdhost定義文で定義します。このdhost定義文では、富士通メインフレームへ着呼接続する場合のIPアドレスを指定します。富士通メインフレームから発呼接続するとき、富士通メインフレーム側のIPアドレスが着呼接続のIPアドレスと異なる場合、発呼接続のIPアドレスもdhost定義文で定義し、これらdhost定義文をグループ化します。

dhost定義文のグループ化については、“1.2.4 相手ホストシステムのグループ化”を参照してください。

富士通メインフレームでの定義

サーバ負荷分散装置の負荷分散の単位(サーバファーム)ごとに、振分け先となる富士通メインフレームのIPアドレスが必要です。

必要な数だけIPアドレスを定義してください。

図1.13の例では、富士通メインフレームで必要なIPアドレスは、富士通メインフレーム1では3つ(IP1、IP3、IP6)、富士通メインフレーム2では3つ(IP2、IP4、IP7)、富士通メインフレーム3では2つ(IP5、IP8)です。

富士通メインフレームでの運用

富士通メインフレームでは、以下の処理を行うユーザプログラムを作成してください。

ユーザプログラムでは、応用プログラムの起動状態を監視し、応用プログラムが起動状態であれば富士通メインフレームのIPアドレスを活性化し、応用プログラムが起動状態でなければ富士通メインフレームのIPアドレスを非活性化してください。

なお、応用プログラムの起動状態を監視しない場合は、ユーザプログラムの作成は不要です。

1.2.3.2 AIMプロシジャへの振分け

富士通メインフレームごとのAIMプロシジャの配置および起動状態に応じて、セション振分けを行うことができます。AIMプロシジャごとに異なる富士通メインフレームに振分けを行うことをAIMプロシジャ振分けと呼びます。

AIMプロシジャ振分けを行う場合のNETSTAGE/FICの定義について説明します。

AIMプロシジャごとに対応するサーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスを定義します。

分散対象であるAIMプロシジャ名はapcrsc定義文で定義します。富士通メインフレームへの着呼接続を行うためのサーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスはdhost定義文で定義します。

apcrsc定義文については、“4.4.4 AIMプロシジャ資源定義文(apcrsc)”を参照してください。

AIMプロシジャ振分けにおける資源関係を1.14に示します。

図1.14 AIMプロシジャ振分けにおける資源関係

1.2.3.3 業務アプリケーションの起動状態の監視

富士通メインフレーム上の業務アプリケーションの起動状態の監視を自動化する場合、富士通メインフレームで以下の処理を行うユーザプログラムを作成してください。

ユーザプログラムでは、業務アプリケーションの起動状態を監視し、業務アプリケーションが起動状態であれば富士通メインフレームのIPアドレスを活性化し、業務アプリケーションが起動状態でなければ富士通メインフレームのIPアドレスを非活性化してください。

サーバ負荷分散装置では、富士通メインフレームのIPアドレスの故障監視を行い、富士通メインフレームのIPアドレスが活性状態であれば振分けを行い、富士通メインフレームのIPアドレスが非活性状態であれば振分けを抑止します。

図1.15 ユーザプログラムによる業務アプリケーションの監視

なお、業務アプリケーションの起動状態の監視を自動化しない場合、ユーザプログラムの作成は不要です。