複数の富士通メインフレームに業務アプリケーション(応用プログラムおよびAIMプロシジャ)が分散配置されているシステムにおいて、富士通メインフレームの台数、業務アプリケーションの配置、および富士通メインフレーム上の応用プログラムのグローバル名の違いなどをネットワーク利用者である端末が意識することなく、通信を行うことができます。このようにシステムを構成する複数の業務アプリケーションを端末に対して1つに見せることを1システムビューといいます。
1システムビューを用いた場合のシステムビューを図1.4に示します。
図1.4 1システムビューを用いた場合のシステムビュー
1システムビューにより端末に見せる業務アプリケーションの名前を代表名といいます。
1システムビューによる代表名を利用することで、富士通メインフレームの構成を端末側が意識することなく、適切な富士通メインフレームと通信できます。
また、一部の富士通メインフレームまたは一部の業務アプリケーションがダウンしている状態でも、有効な富士通メインフレームおよび業務アプリケーションを選択することができ、それらのダウンを考慮することなく業務を遂行することができます。
システム構成に変更があった場合の通常のシステムビューを図1.5に、1システムビューを用いた場合のシステムビューを図1.6に示します。
図1.5 システム構成変更時の通常のシステムビュー
図1.6 1システムビューを用いた場合のシステム構成変更時のシステムビュー
1システムビューで端末からセションを確立する場合、接続する応用プログラム名として代表名を使用します。
代表名は、enrsc定義文で定義します。富士通メインフレーム側の応用プログラム定義(APPL定義文)のグローバル名が、振分け先の富士通メインフレーム間で同じである場合、enrsc定義文のgblnameオペランドに応用プログラムのグローバル名を記述します。振分け先の富士通メインフレーム間でグローバル名が異なる場合、応用プログラムのACB名を記述します。
複数の富士通メインフレームに配置された応用プログラムのグローバル名が同じである場合と異なる場合のenrsc定義文の指定を図1.7、図1.8に示します。
図1.7 富士通メインフレームごとの応用プログラム名が同じである場合の1システムビュー
図1.8 富士通メインフレームごとの応用プログラム名が異なる場合の1システムビュー
富士通メインフレームからセションを確立する場合の名前
振分け対象の応用プログラムから端末に対して発呼接続を行う場合、VTAM定義のAPPL定義文のGPNAMEオペランドで指定した名前を使用してセションを確立します。
富士通メインフレームの応用プログラムのグローバル名と代表名が異なる場合、VTAM定義のAPPL定義文のGPNAMEオペランドに代表名を指定してください。
なお、APPL定義文のGPNAMEオペランドは、HOST定義文のOPTIONオペランドにGPNMを指定している場合に有効となります。
代表名による発呼接続を図1.9に示します。
図1.9 代表名による富士通メインフレームからの発呼接続
1台の富士通メインフレーム上に、セション振分けの対象の応用プログラムとセション振分けの対象でない応用プログラムを混在配置し、それぞれと通信を行うことができます。
この場合、セション振分けの対象でない応用プログラムとの通信もサーバ負荷分散装置を経由して接続するようにネットワーク構成を設計してください。
セション振分けの対象外の応用プログラムと通信する場合、サーバ負荷分散装置の仮想IPアドレスではなく、富士通メインフレームのIPアドレスに対して直接TCPコネクションの接続を行います。
なお、セション振分けの対象外の応用プログラム名を個別名といいます。代表名と個別名による通信の混在する場合の通信資源の関係を図1.10に示します。
図1.10 代表名と個別名による通信の混在
富士通メインフレームへ着呼接続する場合、個別名および代表名共にグローバル名またはACB名を使用します。図1.10に示した通信環境における着呼接続時の資源名の関係を図1.11に示します。
図1.11 代表名と個別名による通信の混在(富士通メインフレームへ着呼接続する場合)
富士通メインフレームから発呼接続する場合、個別名ではグローバル名を使用し、代表名ではVTAM定義のAPPL定義文のGPNAMEオペランドの値を使用します。このため、VTAM定義のAPPL定義文のGPNAMEオペランドには、NETSTAGE/FICにおいて代表名を定義するenrsc定義文のnameオペランドの値を指定します。
図1.10に示した通信環境における発呼接続時の資源名の関係を図1.12に示します。
図1.12 代表名と個別名による通信の混在(富士通メインフレームから発呼接続する場合)