クラスタシステムに関する異常について、以下に該当する場合は、それぞれに記載されている対処を行ってください。
(1) "ERROR: class: cannot operate in cluster environment, ..." というエラーメッセージが出力され、クラス class が操作できない。
説明
クラスタ制御が起動していないときに作成されたローカルクラスを、そのままクラスタシステムで使用することはできません。クラスタ制御が起動されると、以下のエラーメッセージがシステムログおよび GDS デーモンのログファイルに出力され、そのローカルクラスは操作できなくなります。
ERROR: class: cannot operate in cluster environment, created when cluster control facility not ready
このエラーメッセージが出力されるのは、以下のいずれかの場合です。
クラスタ初期構成設定が完了していないノードで、ローカルクラス class を作成した後に、クラスタ初期構成設定を実行した。
シングルユーザモードでローカルクラス class を作成した。
ローカルクラス class が作成されているシングルノードをクラスタシステムに移行した。
対処
以下の方法で、ローカルクラスをクラスタシステムで再作成し、使用できるようにしてください。
1) Cluster Admin の CF メインウィンドウで、[ツール]:[CFの停止]メニューを実行し、CF を停止します。
2) 必要に応じて、ボリュームのデータをバックアップします。
3) クラスを削除します。
4) Cluster Admin の CF メインウィンドウで、[ドライバのロード]を実行し、CF を起動します。
5) 手順 3) で削除したクラスやボリュームを再作成します。
6) 必要に応じて、手順 2) でバックアップしたボリュームのデータをリストアします。
参照
Cluster Admin の CF メインウィンドウの操作については、「PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書」を参照してください。
(2) PRIMECLUSTER CF の clinitreset(8) コマンドが 6675 番のエラーメッセージを出力して異常終了する。
説明
クラスタシステムにおいてクラスが存在する場合、PRIMECLUSTER CF の clinitreset コマンドを実行して PRIMECLUSTER のリソースデータベースを初期化しようとすると、clinitreset コマンドは以下のエラーメッセージを出力して異常終了します。
FJSVcluster: エラー: clinitreset: 6675: Cannot run thie command because Global Disk Services has already been set up.
シャドウクラスが存在するノードが、シャットダウンやパニックなどによって再起動されると、シャドウクラスは削除されますが、/dev/sfdsk/クラス名 ディレクトリは削除されません。この状態で clinitreset コマンドを実行した場合にも、clinitreset コマンドは上記のエラーメッセージを出力して異常終了します。
対処
クラスタシステムのすべてのノードにおいて、オブジェクトの構成を確認し、クラスが存在する場合は削除します。クラスを削除すると、ボリュームのデータは失われます。必要に応じて、あらかじめボリュームのデータをバックアップしてください。
参照
GDS 運用管理ビューを使用する場合、「9.3.1 GDS運用管理ビューを使用する場合」を参照してください。
コマンドを使用する場合、「付録B コマンドリファレンス」を参照してください。
クラスタシステムのすべてのノードにおいて、/dev/sfdsk ディレクトリにクラスのディレクトリが存在するかどうか確認し、存在する場合は削除します。以下に、クラス Class1 のディレクトリが存在する場合の例を示します。_adm と _diag は、GDS が使用する特殊ファイルなので、削除しないでください。
# cd /dev/sfdsk # rm -rf Class1 |
(3) クラスタアプリケーションが Inconsistent 状態になる。
説明
共用クラスが RMS リソースとして使用しない設定になっている場合、そのクラスに含まれるボリュームは、ノード起動時に起動されます。そのため、そのボリュームを使用するクラスタアプリケーションを起動すると、すでにボリュームが起動された状態であるため、クラスタアプリケーションは Inconsistent 状態になります。デフォルトでは、クラスは RMS リソースとして使用しない設定になっており、以下の操作を行うことで、RMS リソースとして使用する設定にすることができます。
クラスを指定して hvgdsetup -a コマンドを実行
対処
以下の方法で、共用クラスを RMS リソースとして使用する設定に変更してください。その後、クラスタアプリケーションを再起動してください。
クラスがクラスタアプリケーションで使用するリソースに登録されている場合は、以下のコマンドを実行してください。
# /opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvgdsetup -a クラス名 ~ |
(4) GFS 共用ファイルシステムが、ノード起動時にマウントされない。
説明
共用クラスが RMS リソースとして使用する設定になっている場合、そのクラスに属しているボリュームは、ノード起動時に起動されません。そのため、そのボリューム上の共用ファイルシステムは、ノード起動時にマウントされません。デフォルトでは、クラスは RMS リソースとして使用しない設定になっていますが、以下の操作を行うと、RMS リソースとして使用する設定になります。
クラスを指定して hvgdsetup -a コマンドを実行
対処
以下のいずれかの対処を行ってください。
a) 共用クラスを RMS リソースとして使用する場合は、そのクラスのボリュームに共用ファイルシステムを作成することはできません。別のクラスのボリュームに共用ファイルシステムを作成してください。
b) 共用クラスを RMS リソースとして使用しない場合は、以下の方法で、クラスを RMS リソースとして使用しない設定に戻してください。その後、システムを再起動してください。
以下のコマンドを実行してください。
# /opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvgdsetup -d クラス名 ~ |
(5) "ERROR: class: cannot operate shared objects, ..." というエラーメッセージが出力され、共用クラス class が作成できない、または、"ERROR: cluster communication failure" というエラーメッセージが出力され、自動リソース登録が失敗する。
説明
GDS パッケージがインストールされた状態で、PRIMECLUSTER HA Server または PRIMECLUSTER Enterprise Edition などをインストールして、クラスタシステムを構築した場合に、本現象が発生します。
本現象に該当するかどうかは、FJSVsdx-bas パッケージと FJSVclapi パッケージのインストール日時から判断します。FJSVsdx-bas パッケージのインストール日時が、FJSVclapi パッケージより前の日時である場合、本現象に該当します。
例
インストール日時の確認結果
FJSVsdx-bas パッケージのインストール日時
# rpm -qi FJSVsdx-bas
Name : FJSVsdx-bas Relocations: (not relocatable)
~
Install Date: Tue Jan 26 15:27:22 2010 Build Host: xxxxxxxx
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
~ |
FJSVclapi パッケージのインストール日時
# rpm -qi FJSVclapi
Name : FJSVclapi Relocations: (not relocatable)
~
Install Date: Wed Jan 27 19:08:13 2010 Build Host: xxxxxxxx
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
~ |
この場合、FJSVsdx-bas パッケージのインストール日時が、FJSVclapi パッケージより前の日時になっています。これにより、GDS パッケージがインストールされた状態で、PRIMECLUSTER HA Server、または、PRIMECLUSTER Enterprise Edition などがインストールされていることが確認できます。
対処
FJSVsdx-bas パッケージを上書きでインストールします。
PRIMECLUSTER のインストール時に使用した CD2 を CD-ROM 装置にセットし、マウントします。以降、CD のマウントポイントを <CDROM_DIR> とします。
# mount /media/cdrom |
FJSVsdx-bas パッケージを上書きでインストールします。
# cd <CDROM_DIR>/Linux/pkgs # rpm -Uvh --force <パッケージ名> |
<パッケージ名> は、各ディストリビューションに対応しています。以下の対応表を参考に指定してください。
ディストリビューション | パッケージ名 |
---|---|
RHEL-AS4(IPF) | FJSVsdx-bas.rhel4_ia64.rpm |
RHEL-AS4(x86) | FJSVsdx-bas.rhel4_i386.rpm |
RHEL-AS4(EM64T) | FJSVsdx-bas.rhel4_x86_64.rpm |
RHEL5(IPF) | FJSVsdx-bas.rhel5_ia64.rpm |
RHEL5(x86) | FJSVsdx-bas.rhel5_i386.rpm |
RHEL5(Intel64) | FJSVsdx-bas.rhel5_x86_64.rpm |
システムをリブートします。
# /sbin/shutdown -r now |
(6) 共用ディスク上のファイルシステムの使用率が100%である。
説明
共用クラスのボリュームに作成された切替ファイルシステムの使用率が 100% になることがあります。
対処
復旧手順を以下に示します。
ボリュームの状態確認
復旧作業をしないノードで、復旧対象のファイルシステムが存在するボリュームが停止していることを確認します。
復旧作業をしないノードで、以下のコマンドを実行します。
# sdxinfo -V -c class |
例) クラス名「c0」、ボリューム名「v0」の場合
# sdxinfo -V -c c0
OBJ NAME CLASS GROUP SKIP JRM 1STBLK LASTBLK BLOCKS STATUS
------ ------- ------- ------- ---- --- -------- -------- -------- --------
...
volume v0 c0 g0 off on 131072 163839 32768 STOP
... |
NAME が「v0」である行の STATUS がSTOPであることを確認します。
ボリュームの起動
復旧作業をするノードで、以下のコマンドを実行します。
# sdxvolume -N -c class -v volume |
例) クラス名「c0」、ボリューム名「v0」の場合
# sdxvolume -N -c c0 -v v0 |
ファイルシステムのマウント
復旧作業をするノードで、復旧対象のファイルシステムをマウントします。
例)クラス名「c0」、ボリューム名「v0」、ファイルシステムタイプ「ext3」、マウントポイント「/mnt」の場合
# mount -t ext3 /dev/sfdsk/c0/dsk/v0 /mnt |
不要ファイルの削除
復旧作業をするノードで、手順3.のマウントポイント配下の不要なファイルを削除します。
ファイルシステムのアンマウント
復旧作業をするノードで、復旧対象のファイルシステムをアンマウントします。
例) マウントポイント「/mnt」の場合
# umount /mnt |
ボリュームの停止
復旧作業をするノードで、以下のコマンドを実行します。
# sdxvolume -F -c class -v volume |
例)クラス名「c0」、ボリューム名「v0」の場合
# sdxvolume -F -c c0 -v v0 |
クラスタアプリケーションの Faulted 状態のクリア
クラスタを構成する全ノードで、以下のコマンドを実行します。
# hvutil -c userApplication_name |
例)クラスタアプリケーション名「app1」の場合
# hvutil -c app1 |
クラスタアプリケーションの起動
運用系ノードで、以下のコマンドを実行します。
# hvswitch userApplication_name SysNode |
例)node1 のクラスタアプリケーション「app1」の場合
# hvswitch app1 node1RMS |
参照
hvutil コマンドおよび hvswitch コマンドについては、「PRIMECLUSTER 活用ガイド <コマンドリファレンス編>」を参照してください。