3) クラスのオブジェクト構成のバックアップ
運用ドメインのノード Node1 または Node2 において、バックアップの対象となるクラス Class1 のオブジェクト構成をバックアップします。
3-1) 構成情報の保存
sdxinfo コマンドの出力をファイルに保存します。ここでは、ファイルのパス名を /var/tmp/Class1.info とします。
# sdxinfo -c Class1 -e long > /var/tmp/Class1.info |
3-2) 構成ファイルの作成
クラス Class1 内のオブジェクト構成を、構成テーブル形式でファイルに出力します。ここでは、ファイルのパス名を /var/tmp/Class1.conf とします。
# sdxconfig Backup -c Class1 -o /var/tmp/Class1.conf |
3-3) 構成情報と構成ファイルのバックアップ
手順 3-1)、3-2) で作成したファイルをテープなどに保存します。
4) バックアップ用ディスクの切離し (同期化の一時停止)
参考
ここでは、バックアップ用ディスクを切り離す際に、業務を停止することによってデータの整合性を確保します。ボリュームのデータを管理しているファイルシステムやデータベースシステムといったソフトウェアが、切り離されたコピー先ディスクのデータの整合性を保証する機能や整合性を修復する機能を備えている場合は、手順 4-3) および 4-5) を実施する必要はありません。その代わりに、それらのソフトウェア固有の方法で、整合性を確保する操作を行います。「3.17 スナップショットデータの整合性」を参照してください。
4-1) 業務用ボリュームの状態の確認
業務用ボリューム Volume1 のスライスのデータが正当な状態 (ACTIVE または STOP) であることを確認します。
# sdxinfo -S -c Class1 -o Volume1 |
データが正当な状態 (ACTIVE または STOP) ではない場合は、「D.1.1 スライス状態に関する異常」を参照してスライスの状態を復旧してください。
4-2) ディスク装置のコピー機能の状態の確認
業務用ディスクとバックアップ用ディスクが同期化された状態であることを確認します。
参照
確認方法については、ディスク装置のコピー機能のマニュアルを参照してください。
4-3) 業務の停止
業務用ディスクから切り離した後のバックアップ用ディスクのデータの整合性を確保するため、ノード Node1 および Node2 において、業務用ボリューム Volume1 を使用しているアプリケーションを停止します。
Volume1 をファイルシステムとして使用している場合は、アンマウントします。
4-4) バックアップ用ディスクの切離し (同期化の一時停止)
バックアップ用ディスク sdc、sdd を、業務用ディスク sda、sdb から切り離します。
参照
同期化を一時停止する方法については、ディスク装置のコピー機能のマニュアルを参照してください。
4-5) 業務の再開
手順 4-3) でファイルシステムをアンマウントした場合は、再度マウントします。
手順 4-3) で停止したアプリケーションを再開します。
5) バックアップ用ボリュームの作成
バックアップサーバ Node3 において、バックアップ用ディスク sdc、sdd 上にバックアップ用ボリュームを作成します。以下の設定をバックアップサーバ Node3 で実施します。
5-1) 構成ファイルの配置
手順 3)でバックアップした構成ファイル /var/tmp/Class1.conf を、バックアップサーバ Node3 上に配置します。ここでは、配置先のファイルのパス名を /var/tmp/Class1.conf とします。
5-2) 構成ファイルに記述されている物理ディスクの変更
構成ファイル /var/tmp/Class1.conf に記述されている業務用ディスクの物理ディスク名 sda、sdb を、バックアップ用ディスクの物理ディスク名 sdc、sdd に変更します。
# sdxconfig Convert -e replace -c Class1 -p sda=sdc,sdb=sdd \ -i /var/tmp/Class1.conf -o /var/tmp/Class1.conf -e update |
注意
物理ディスクの容量
変更前の物理ディスクと変更後の物理ディスクは、容量が等しい必要があります。
5-3) 構成ファイルに記述されているクラス名の変更
構成ファイル /var/tmp/Class1.conf に記述されている構成テーブルのクラス名 Class1 を他のクラス名 Class2 に変更し、構成ファイル /var/tmp/Class2.conf に保存します。クラス名の変更は、バックアップサーバが属しているドメインにクラス Class1 がすでに作成されている場合は必須です。
# sdxconfig Convert -e rename -c Class1=Class2 -i /var/tmp/Class1.conf -o /var/tmp/Class2.conf |
5-4) バックアップ用ボリュームの作成
手順 5-3) で生成した構成ファイル /var/tmp/Class2.conf に記述されている構成テーブルに従って、クラス Class2 のオブジェクト構成を作成します。
# sdxconfig Restore -c Class2 -i /var/tmp/Class2.conf -e chkps,skipsync |
バックアップサーバ Node3 において、バックアップ用ディスク c3t1d1、c4t1d1 がローカルクラス Class2 に登録されます。それぞれのディスクにディスク名 Disk1、Disk2 が付与され、ディスク Disk1、Disk2 上にバックアップ用ボリューム Volume1 が作成されます。
手順 4-4) において、バックアップ用ディスクに対する書込みがない状態でバックアップ用ディスクを切り離しているため、c3t1d1 と c4t1d1 の等価性が保証されています。このため、sdxconfig Restore コマンドの -e skipsync オプションを指定し、ミラーボリューム Volume1 作成時の等価性コピーを省略することができます。
6) テープへのバックアップ
バックアップサーバ Node3 において、バックアップ用ボリューム Volume1 のデータをテープ装置 /dev/st0 のテープ媒体にバックアップする例を示します。
参照
バックアップ方法の詳細については、バックアップするファイルシステムや使用するコマンドのマニュアルを参照してください。
6a) dd(1) コマンドを使用してデータをバックアップする場合
# dd if=/dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 of=/dev/st0 bs=32768 |
6b) tar(1) コマンドを使用して ext3 ファイルシステムをバックアップする場合
6b-1) バックアップ用ボリューム Volume1 上の ext3 ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順 3) においてバックアップ用ディスクを切り離す際にファイルシステムをアンマウントした場合は、本手順を実施する必要はありません。
# fsck -t ext3 /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 |
6b-2) バックアップ用ボリューム Volume1 上の ext3 ファイルシステムを、一時的なマウントポイント /mnt1 に読取り専用モードでマウントします。
# mkdir /mnt1 |
6b-3) ファイルシステムのデータをテープにバックアップします。
# cd /mnt1 |
6b-4) 手順 6b-2) でマウントしたファイルシステムをアンマウントします。
# cd / |
7) バックアップ用ボリュームの削除
バックアップが完了したら、バックアップのために作成したクラス Class2 のオブジェクト構成を削除します。バックアップサーバ Node3 で以下の作業を実施します。
7-1) バックアップ用ボリュームの停止
クラス Class2 のボリュームをすべて停止します。
# sdxvolume -F -c Class2 |
7-2) クラス Class2 のオブジェクト構成の削除
クラス Class2 のオブジェクト構成を削除します。
# sdxconfig Remove -c Class2 |
8) バックアップ用ディスクの再同期化
次のバックアップに備えて、業務用ディスク sda、sdb をコピー元、バックアップ用ディスク sdc、sdd をコピー先として、それぞれディスク装置のコピー機能によって再同期化します。
参照
再同期化の方法については、ディスク装置のコピー機能のマニュアルを参照してください。