ディスクミラーリングとは複数のディスクを利用して、データの複製を維持する機能です。
GDS は、複数の物理ディスクから 1 つの論理的なディスクを作成することにより、ディスクのミラーリングを実現しています。
ディスクミラーリングにより、たとえ 1 つのディスクが壊れたとしても、別のディスクをアクセスすることができるため、データを破損することなくアプリケーションは正常に動作し続けることができます。
GDS は、単体のディスク装置だけでなく、ディスクアレイ装置間のミラーリングをサポートしています。また、オペレーティングシステムがインストールされたシステムディスク、複数のサーバに接続されたディスクなど、ディスクの用途や構成を選ぶことなくミラーリングできます。
ここでは、特徴的なミラーリング形態について説明します。
システムディスクミラーリングとは、動作中の Linux オペレーティングシステムがインストールされたシステムディスクをミラーリングする機能です。
システムディスクに故障が発生すると、通常システム全体が停止して、ブートすらできなくなり、オペレーティングシステムの再構築が必要となるため、業務停止が長時間に及ぶ可能性があります。
システムディスクをミラーリングすることにより、一部のディスクに故障が発生したとしても、システム運用を継続することができます。
また、ディスクに故障が発生した状態からのシステムの起動もできます。
参照
システムディスクのミラーリングができるシステムの条件については、「3.5 システムディスクミラーリングの前提条件」を参照してください。
GDS は、高性能で高信頼なディスクアレイ装置間のミラーリングを実現できます。
ファイバチャネルで接続された 2 つのディスクアレイ装置をミラーリング構成にすることによって、災害や電源断などによる不慮の事故からデータを保護することができます。
また、専用のソフトウェアを用いてアクセスパスが冗長化されたディスク装置をミラーリングすることもできます。
GDS は、複数のサーバ (ノードとも呼ぶ) から構成されるクラスタシステムに接続された共用ディスク装置をミラーリングする機能を備えています。
これを 1 つのノードに接続されたローカルディスクのミラーリングと区別して、共用ディスクミラーリングと呼びます。
GDS の共用ディスクミラーリング機能は、スタンバイ運用を行う切替え型アプリケーションだけでなく、Global File Services (以降、GFS) 共用ファイルシステムなどの同時共用型アプリケーションとの組合せでも使用できます。
仮想環境 (Xen、KVM および VMware) では、ゲスト OS 上で動作する GDS を使用して、共用ディスクをミラーリングすることができます。
サーバ間ミラーリングとは、2台のサーバから構成されるクラスタシステムにおいて、各サーバのローカルディスク(内蔵ディスクなど)をネットワーク経由でミラーリングする機能です。
サーバ間ミラーリングは、スタンバイ運用を行う切替え型のクラスタアプリケーションにおいて、ノード間のデータ引継ぎに利用できます。共用ディスク装置を使用する場合と比較して、以下の特徴があります。
クラスタシステムがより安価に構築できる。
ディスクアレイ装置の設定や運用のスキルが不要。
サーバ間ミラーリングは、以下の特徴を持つシステムや業務に向いています。
小規模なシステム
ディスクデータ量が少ない業務
ディスクデータの読込みが主体の業務
注意
サーバ間ミラーリングは、データ量およびデータ更新量が少ない業務に向いています。業務のデータ量やデータ更新量が多い場合、および、データアクセス性能やデータの可用性が重視される場合は、共用ディスクを使用してください。
詳細は、「3.9.5 データ量およびデータ更新量」を参照してください。
サーバ間ミラーリング構成の場合、共用ディスク構成の場合と比較して、クラスタアプリケーションの切替えに時間がかかります。ネットミラーボリューム 1 個につき数秒、切替え時間が増加します。クラスタアプリケーションの迅速な切替えが必要な場合は、共用ディスクを使用してください。
サーバ間ミラーリングの対象とするディスクの活性交換はできません。ディスク交換時には、ノードを一旦停止する必要があります。ディスク交換作業中も、クラスタアプリケーションはもう一方のノードで実行可能です。詳細は、「7.3.3 ネットミラーグループのディスク交換」を参照してください。
運用中にクラスタインタコネクトが故障したり、ノードがパニックすると、ネットミラーボリュームへの I/O が最大 2~3 分保留されます。詳細は、「7.15.3 LEFTCLUSTER 状態のノードがある場合の動作」を参照してください。
ネットワーク異常により、他ノードのディスクにアクセスできなくなった場合、および、ネットワークが復旧して等価性回復コピーが実行された場合、ボリューム1個につき数秒間、ボリュームへのI/Oが保留されます。ボリュームの個数は少なくすることを推奨します。
I/Oが保留される時間はシステムによって異なりますが、目安は4~5秒です。
本バージョンでは、サーバ間ミラーリング機能を使用するシステムには、外付けのディスク装置を接続しないでください。
本バージョンでは、サーバ間ミラーリング構成のボリュームを Symfoware Server(Native) で使用できません。Symfoware Server(Native) を使用する場合は、共用ディスクを使用してください。
サーバ間ミラーリング機能を使用する場合、「A.13 サーバ間ミラーリングの注意事項【4.3A40以降】【RHEL6】」も参照してください。