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PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.5
FUJITSU Software

F.1.8 Dell EMC 社製ストレージ装置に関する異常

Dell EMC 社製ストレージ装置に関する異常について、以下に該当する場合は、それぞれに記載されている対処を行ってください。

(1) マスタからプロキシへの等価性コピー処理において SRDF が使用されない。

説明

マスタからプロキシへのコピー処理がどの方式で行われているかは、sdxinfo コマンドで表示される CPTYPE フィールドで確認できます。CPTYPE フィールドに SRDF と表示されず、soft と表示される場合は、SRDF ではなく GDS のソフトコピー機能によってコピーが行われています。

SRDF が使用されない原因として、次の 5 通りの原因が考えられます。

(原因 a)

マスタグループまたはプロキシグループの構成が不適切である。

SRDF ペアのソース (R1) デバイスとターゲット (R2) デバイスが、それぞれマスタグループ、プロキシグループに接続されている必要があります。また、プロキシグループには、そのターゲット (R2) デバイスのみが接続されている必要があります。

(原因 b)

グループの対ではなくボリュームの対をマスタとプロキシとして関連付けた。

(原因 c)

マスタグループとプロキシグループを結合する際に、マスタボリュームと異なる物理スライス属性を持つプロキシボリュームをプロキシグループに作成するよう指定した。

(原因 d)

sdxproxy RejoinRestore コマンドを使用して、プロキシを利用してマスタのデータを復元した。

sdxproxy RejoinRestore コマンドを使用してマスタの復元を行うと、SRDF ペアがキャンセルされ、以降、SRDF は使用されなくなります。

(原因 e)

sdxproxy Join コマンドまたは sdxproxy Rejoin コマンドで、-e softcopy オプションを指定してソフトコピー機能を使用するよう指定した。

sdxproxy Join コマンドで -e softcopy オプションを指定した場合、SRDF は使用されません。

sdxproxy Rejoin コマンドで -e softcopy オプションを指定した場合、SRDF ペアがキャンセルされ、以降、SRDF は使用されなくなります。

詳細については、「A.2.27 プロキシ構成における Dell EMC TimeFinder および Dell EMC SRDF の利用」を参照してください。

対処

1) (原因 a) に該当するかどうか確認します。

1-1) マスタグループおよびプロキシグループに接続されているディスクの物理ディスク名を確認します。

# sdxinfo -D -o mg1
OBJ NAME TYPE CLASS GROUP DEVNAM DEVBLKS DEVCONNECT STATUS ------ ------- ------ ------- ------- ---------- -------- ---------------- ------- disk Disk1 mirror Class1 mg1 emcpower10 17596416 node1:node2 ENABLE disk Disk2 mirror Class1 mg1 emcpower11 17682084 node1:node2 ENABLE
# sdxinfo -D -o pg1
OBJ NAME TYPE CLASS GROUP DEVNAM DEVBLKS DEVCONNECT STATUS ------ ------- ------ ------- ------- ---------- -------- ---------------- ------- disk Disk3 mirror Class1 pg1 emcpower20 17596416 node1:node2 ENABLE

この例では、マスタグループ mg1 には物理ディスク emcpower10、emcpower11 が接続されていて、プロキシグループ pg1 には物理ディスク emcpower20 が接続されています。

プロキシグループに下位グループが接続されている場合、および複数のディスクや下位グループが接続されている場合は、(原因 a) に該当します。

1-2) SYMCLI の sympd コマンドを使用して、マスタグループおよびプロキシグループに接続されているディスクの Symmetrix ID と Symmetrix デバイス名を確認します。

# sympd list
Symmetrix ID: 000183600262 Device Name Directors Device --------------------------- ------------ -------------------------------------- Cap Physical Sym SA :P DA :IT Config Attribute Sts (MB) --------------------------- ------------ -------------------------------------- ~ /dev/rdsk/emcpower10c 000 03A:0 02B:C0 RDF1 Grp'd RW 8592 /dev/rdsk/emcpower11c 001 03A:0 02B:D0 Unprotected N/Grp'd RW 8632 /dev/rdsk/emcpower12c 002 03A:0 01B:D0 RDF2 Grp'd RW 8632 ~
Symmetrix ID: 000282600920
        Device Name          Directors                   Device
--------------------------- ------------ --------------------------------------
                                                                           Cap
Physical                Sym SA :P DA :IT Config        Attribute    Sts    (MB)
--------------------------- ------------ --------------------------------------
~
/dev/rdsk/emcpower20c   005 03A:0 02B:C0 RDF2          Grp'd        RW     8592
/dev/rdsk/emcpower21c   006 03A:0 01B:D0 RDF1          Grp'd        RW     8632
/dev/rdsk/emcpower22c   007 03A:0 01A:D0 RDF1          Grp'd        RW     8632
~

この例では、物理ディスク emcpower10c、emcpower11c の Symmetrix ID は 000183600262 で、Symmetrix デバイス名はそれぞれ 000、001 です。また、物理ディスク emcpower20c の Symmetrix ID は 000282600920 で、Symmetrix デバイス名は 005 です。

参照

sympd コマンドの詳細については、Symmetrix のマニュアルを参照してください。

1-3) SYMCLI の symrdf コマンドを使用して、SRDF ペアのソース (R1) デバイスとターゲット (R2) デバイスが、それぞれマスタグループ、プロキシグループに接続されているかどうか確認します。

symrdf list コマンドの出力の SymDev フィールドと RDev フィールドに、ソース (R1) デバイスとそれに対応するターゲット (R2) デバイスの Symmetrix デバイス名が表示されます。

# symrdf list
Symmetrix ID: 000183600262 Local Device View ------------------------------------------------------------------------------- STATUS M O D E S RDF S T A T E S Sym RDF --------- ------------ R1 Inv R2 Inv ----------------------- Dev RDev Typ:G SA RA LNK Mode Dom ACp Tracks Tracks Dev RDev Pair --- ---- ----- --------- ------------ ------ ------ --- ---- --------------
~
000  005   R1:1 RW RW NR  SYN  DIS OFF       0        0 RW  RW   Synchronized
002  006   R2:2 RW RW NR  SYN  DIS OFF       0        0 RW  RW   Split
~

Symmetrix ID: 000282600920

                               Local Device View
-------------------------------------------------------------------------------
                  STATUS   M O D E S                        RDF  S T A T E S
Sym       RDF   --------- ------------  R1 Inv   R2 Inv -----------------------
Dev  RDev Typ:G SA RA LNK Mode Dom ACp  Tracks   Tracks Dev RDev Pair
---  ---- ----- --------- ------------  ------   ------ --- ---- --------------

~
005  000   R2:1 RW RW NR  SYN  DIS OFF       0        0 RW  RW   Synchronized
006  002   R1:2 RW RW NR  SYN  DIS OFF       0        0 RW  RW   Split
~

この例では、Symmetrix 筐体 000183600262 のソース (R1) デバイス 000 と、Symmetrix 筐体 000282600920 のターゲット (R2) デバイス 005 は、SRDF ペアとなっています。マスタとプロキシは適切に構成されており、(原因 e) には該当しません。

参照

symrdf コマンドの詳細については、Symmetrix のマニュアルを参照してください。

1-4) (原因 e) に該当する場合は、マスタとプロキシの関係をいったん解除した後、適切な構成となるよう設定をやり直してください。

例えば、手順 1-3) の symrdf コマンドの結果から、Symmetrix 筐体 000282600920 のソース (R1) デバイス 006 と、Symmetrix 筐体 000183600262 のターゲット (R2) デバイス 002 も SRDF ペアであることが分かります。手順 1-2) の sympd コマンドの結果から、Symmetrix デバイス 006、002 の物理ディスク名は、それぞれ emcpower21、emcpower12 であることが分かります。emcpower21 と emcpower12 をクラスに登録して、それぞれを別のグループに接続し、それらのグループをマスタとプロキシとして関連付けることにより、SRDF と連携したプロキシ構成が構築できます。

なお、デバイスグループへのソース (R1) デバイスの登録は、ディスクをクラスに登録した後でもかまいませんが、マスタとプロキシの結合を行う前に実施する必要があります。


2) (原因 b) に該当するかどうか確認します。

この例では、プロキシボリューム pv1 が属しているグループ pg1 の MASTER フィールドにアスタリスク (*) が表示されていて、pv1 の MASTER フィールドにマスタボリュームのボリューム名 mv1 が表示されており、(原因 b) に該当します。

(原因 b) に該当する場合は、以下の対処を実施してください。

2-1) マスタボリュームとプロキシボリュームの関係を解除します。

# sdxproxy Break -c Class1 -p pv1

2-2) ボリュームの対ではなくグループの対をマスタとプロキシとして関連付けます。ここでは、マスタグループのグループ名を mg1 とします。

# sdxproxy Join -c Class1 -m mg1 -p pg1 -a mv1=pv1:on

3) (原因 c) に該当するかどうか確認します。

この例では、マスタボリューム mv1、プロキシボリューム pv1 の物理スライス属性はそれぞれ on、off であり、(原因 c) に該当します。

(原因 c) に該当する場合は、以下の対処を実施してください。

3-1) マスタとプロキシの関係を解除します。

# sdxproxy Break -c Class1 -p pg1

3-2) マスタとプロキシを再度関連付けます。sdxproxy Join コマンドの -a オプションでは、プロキシボリュームの物理スライス属性の指定を省略することにより、作成されるプロキシボリュームの物理スライス属性がマスタボリュームと同じになるようにします。

# sdxproxy Join -c Class1 -m mg1 -p pg1 -a mv1=pv1:on

4) (原因 d)、(原因 e) に該当するかどうかは、GDS のログファイル /var/opt/FJSVsdx/msglog/sdxservd.log でコマンド実行履歴を確認することにより判定できます。

(原因 d) または (原因 e) に該当する場合は、マスタとプロキシの関係をいったん解除した後、再度関連付けてください。


(2) 結合状態のプロキシボリュームが INVALID 状態である。

説明

ノードのダウンなどにより、Symmetrix デバイスの排他ロックが解放されず、TimeFinder や SRDF が動作しなくなることがあります。この場合、TimeFinder や SRDF によるコピー処理が正常に動作せず、プロキシボリュームが INVALID 状態になることがあります。

Symmetrix デバイスの排他ロックは 2 種類あります。それぞれの排他ロックが解放されずに残っているかどうかは、SYMCLI の symdev コマンドおよび symcfg コマンドを使用して確認することができます。

# symdev -lock list
# symcfg -lock list

排他ロックが残っている場合は、ロック番号が表示されます。

対処

以下の方法で、Symmetrix デバイスの排他ロックを解放します。

symdev -lock list コマンドで表示された排他ロックは、symdev コマンドを使用して解放します。number には、symdev -lock list コマンドで表示されたロック番号を指定します。

# symdev -lock  number  release

symcfg -lock list コマンドで表示された排他ロックは、symcfg コマンドを使用して解放します。number には、symcfg -lock list コマンドで表示されたロック番号を指定します。

# symcfg -lockn  number  release

参照

symdev コマンドおよび symcfg コマンドの詳細については、Symmetrix のマニュアルを参照してください。