クラス内のディスク数
ローカルクラスまたは共用クラスでホットスペア機能を使用する場合、クラス内のディスク数は、スペアディスクを含めて 4 個以上にしてください。クラス内のディスクが 3 個の場合、スペアディスクの効果がありません。
例 1 の構成では、SCSI Bus#0 が故障しただけで、クラスが閉塞し業務が停止します。
例 2 の構成では、ディスクが 1 つ故障し、スペアディスクがミラーグループに接続された後、ディスクがもう 1 つ故障した場合にもクラスが閉塞して業務が停止します。
クラス内のディスク数を多くすることにより、ハードウェアの一点故障による業務停止を回避できます。
ルートクラスの場合、正常なディスクがある限りクラスは閉塞しないため、ルートクラス内のディスクはスペアディスクを含めて 3 つでも問題ありません。
階層化されたミラーグループに対するホットスペア
下位グループに接続されているディスクで I/O エラーが発生した場合、スペアディスクは下位グループではなく、最上位ミラーグループに自動接続されます。このため、スペアディスクは下位グループの有効サイズ以上の容量のディスクにする必要があります。
スペアディスクは、I/O エラーが発生したディスクのディスク筐体やコントローラ番号とは無関係に選択されます。
ホットスペアモードが筐体外優先方式 (デフォルト) の場合、スペアディスクは無作為に選択されます。
ホットスペアモードが筐体内限定方式の場合、コントローラ番号が 0 で、かつ、ディスクアレイ装置に属していないスペアディスクが選択されます。
スペアディスク数
1 つのクラスに登録できるスペアディスクの個数には特に制限はありません。クラス内のミラーグループに接続されているディスクおよび下位グループの個数の 1 割、10 個に対して 1 個の割合を目安にすることを推奨します。
スペアディスクのサイズ
スペアディスクの容量が、ミラーグループ内のボリュームをコピーするのに不十分な場合、スペアディスクは自動接続されません。クラス内で容量が最大のディスクをスペアディスクとして定義することを推奨します。
プロキシボリュームに対するホットスペア
プロキシボリュームが存在するグループには、スペアディスクは接続されません。プロキシボリュームは、主業務で使用するボリュームが存在するグループとは別のグループまたはシングルディスクに作成することを推奨します。
シャドウクラス
シャドウクラスには、スペアディスクは登録できません。
ディスクアレイ装置のホットスペア機能
ホットスペア機能を備えたディスクアレイ装置をミラーリングする場合は、装置のホットスペア機能を使用することを推奨します。
スペアディスクの故障
ミラーグループに自動接続されたスペアディスクで I/O エラーが発生しても、I/O エラーが発生したスペアディスクの代わりに別のスペアディスクが自動接続されることはありません。
ホットスペアに伴う等価性コピー処理
ホットスペアに伴う等価性コピー処理は、システムに与える負荷を抑えるため、他の事象 (ボリューム作成、ディスク交換など) に伴う等価性コピー処理に比べて低速に行われます。デフォルトでは、10 ミリ秒の遅延時間が設定されています。この遅延時間は、sdxparam コマンドを使用して変更することができます。
ホットスペアに伴う等価性コピー処理の所要時間
ホットスペアに伴う等価性コピー処理の所要時間は、CPU やディスクの性能に左右されます。所要時間の目安は、以下の式で見積もることができます。
ボリュームサイズの合計 (GB) ×0.5 (分) + (ボリュームサイズの合計 (ブロック) ÷ 256 ) × spare_copy_delay (ミリ秒)
spare_copy_delay の値 (ホットスペアに伴う等価性コピー処理の遅延時間) は、sdxparam -G コマンドで確認できます。
参照
詳細については、「D.12 sdxparam - 構成パラメタ操作」を参照してください。
4.3A40 以前のバージョンからアップグレードした場合の注意事項
4.5A00 から、ホットスペアに伴う等価性コピー処理が改善され、4.3A40 以前よりも処理時間が短縮されています。
しかし、4.3A40 以前のバージョンを使用し、ホットスペアに伴う等価性コピー処理の遅延時間のパラメタ (spare_copy_delay) の値をデフォルト値 (50 ミリ秒) から 10 ミリ秒以外の値に変更していた場合、4.5A00 にアップグレードしても等価性コピー処理時間の短縮は有効になりません。
等価性コピー処理時間の短縮を有効にしたい場合、以下の設定を行ってください。クラスタシステムの場合、全ノードで設定を行ってください。
ホットスペアに伴う等価性コピー処理の遅延時間の設定を確認します。
# sdxparam -G -p spare_copy_delay
spare_copy_delay=10 と表示された場合、以降の設定は不要です。
ホットスペアに伴う等価性コピー処理の遅延時間を 10 ミリ秒に変更します。
# sdxparam -S -p spare_copy_delay=10
正しく設定されたことを確認します。
# sdxparam -G -p spare_copy_delay
spare_copy_delay=10
スペアディスクの手動接続
ホットスペアモードが筐体内限定方式に設定されている場合、I/O ケーブル抜けやディスク筐体のダウンによりディスク筐体全体にアクセスできなくなったとき、別のディスク筐体にスペアディスクが存在していても自動接続されません。例えば、「1.2.2 ホットスペア」の [図1.11 筐体内限定方式のホットスペア] においてディスク筐体 1 がダウンした場合、スペアディスク (ディスク 4) はディスク 1 の代わりに自動接続されません。
このような場合、以下の手順により、スペアディスクを使用して手動でミラーリング状態を回復することができます。
スペアディスクを未定義ディスクに変更する。
参考
ディスクタイプの変更方法については、GDS 運用管理ビューを使用する場合は「5.4.1 クラス構成」の「ディスク属性の変更」、コマンドを使用する場合は「D.7 sdxattr - オブジェクトの属性値変更」を参照してください。
1. のディスクを I/O エラーが発生したミラーグループに接続する。
参考
ディスクの接続方法については、GDS 運用管理ビューを使用する場合は「5.4.2 グループ構成」、コマンドを使用する場合は「D.2 sdxdisk - ディスクの操作」の -C オプションの説明を参照してください。
注意
ディスクアレイ装置のディスクで I/O エラーが発生したときに、ホットスペアモードの指定どおりにホットスペア機能が動作するには、以下の 3 つの条件をすべて満たす構成にする必要があります。
ミラーリングの多重度が 2 である。
ミラーリングされている 2 つのディスクは、互いに異なるディスクアレイ筐体に属している。
ミラーリングされているディスクが属しているクラスに登録されているスペアディスクは、ミラーリングされているディスクと同じディスクアレイ筐体に属している。