ページの先頭行へ戻る
Enterprise Postgres 10 クラスタ運用ガイド(データベース多重化編)
FUJITSU Software

1.1.1 データベース多重化運用による監視

データベース多重化運用では、以下の監視を行います。

ポイント

  • OSまたはサーバの生死監視においてハートビート異常を検出した場合の動作として、メッセージを出力する選択を行った場合には、ハートビート異常により自動縮退は行われません。
    しかし、プライマリサーバでWAL送信プロセスの異常を検知した場合には、スタンバイサーバを切り離すため、結果的にスタンバイサーバでOSやサーバのダウンまたは無応答が発生した場合でも自動切り離しが行われる場合があります。

  • データベースプロセスの無応答やテーブル空間格納先のディスク障害を検知した場合にプライマリサーバの切り替えを行うか否かをパラメータで選択することができます。詳細は、“付録A パラメータ”を参照してください。

  • スタンバイサーバを切り離した場合には、Mirroring Controllerが自動的にプライマリサーバのpostgresql.confファイルのsynchronous_standby_namesパラメータをコメントアウトします。これによって、プライマリサーバにおけるアプリケーション処理が停止することを防止します。

注意

プライマリサーバが切り替わって縮退運転になった場合には、もとのプライマリサーバは自動ではスタンバイサーバとして組込まれません。異常原因を取り除いてから組込みを実施してください。詳細は、“4.1 縮退運転になった場合の対処”を参照してください。


裁定サーバによるデータベースの縮退

裁定サーバによるデータベースの縮退では、データベースサーバ間のネットワーク異常やサーバが不安定な状態に陥ることが原因で、データベースサーバが相互の状態を確認できない場合に、裁定サーバがデータベースサーバの状態をハートビートにより再確認します。

ハートビートの結果、状態が不安定であると判断した場合は、対象のデータベースサーバをクラスタシステムから隔離します(フェンシング)。

フェンシングは、Mirroring Controllerを使用している環境に応じて、処理をカスタマイズすることが可能です。

また、データベースサーバは、運用中にいつでも裁定サーバに確認依頼ができるように、裁定サーバに対して常にハートビートを行っています。

図1.3 裁定サーバによるデータベースの縮退

注意

裁定サーバは、クラスタシステムを構成するデータベースサーバで業務停止を伴うハードウェアやソフトウェアの障害が発生した場合に、これらの障害が波及しないサーバに配置してください。データベースサーバの障害時にMirroring Controllerによる自動切替えが行えなくなります。

例えば、裁定サーバはデータベースサーバと異なる物理サーバに配置してください。


裁定コマンドを利用したデータベースの縮退

裁定コマンドは、裁定サーバの代わりに裁定処理を行うユーザーコマンドです。裁定サーバを配置できない場合は、裁定コマンドを使用することで、データベースサーバの裁定処理を行うことが可能です。

図1.4 裁定コマンドを利用したデータベースの縮退

参照

ユーザーコマンドの詳細については、“2.6 データベースサーバのユーザー出口の作成”または“付録C ユーザーコマンド”を参照してください。