タグVLANとは、タグと呼ばれる識別子をネットワーク別に通信パケット上へ付加することで、同一物理回線上で複数の仮想ネットワークを構築するものです。タグVLANを構築するためには、“IEEE802.1Q”の規格を実装しているNIC、およびスイッチ/HUBを使用しなければなりません。なお、タグVLANを使用したスイッチ/HUB間の接続をVLANトランクと呼び、各スイッチ/HUBで構築しているタグVLANを同一の物理回線で使用することができます。
以下に、タグVLANを使用したネットワーク構成を示します。
図2.42 タグVLANを使用したネットワーク構成
図2.42 タグVLANを使用したネットワーク構成の例では、スイッチ1およびスイッチ2は、それぞれVLAN1(VLAN-ID:1)とVLAN2(VLAN-ID:2)を構成し、ポート1を使用してVLANトランクで接続しています。
ホスト1の物理インタフェース“fjgi0”上に、VLAN1とVLAN2に属する論理的なインタフェース“fjgi1000”と“fjgi2000”を作成することにより、タグ付きフレームの通信を行います。
同じように、ホスト3の物理インタフェース“fjgi1”上に、VLAN1とVLAN2に属する論理的なインタフェース“fjgi1001”と“fjgi2001”を作成することにより、タグ付きフレームの通信を行います。
ホスト2については、物理インタフェース“hme0”をVLAN1のポート5に接続し、物理インタフェース“hme1”をVLAN2のポート10に接続して、それぞれのネットワークを使用します。
注意
スイッチ/HUBの設定はIEEE802.1Qのフレームを通すようにしてください。
タグVLANインタフェース(fjgi1000やfjgi2000など)の使用において、自側と相手側のVLAN-IDを一致させる必要があります。VLAN-IDは、通常タグVLANインタフェース名の番号から、下3桁を除いた番号がVLAN-IDとして扱われます。例えば、fjgi1000の場合はVLAN-IDが1で、fjgi123001の場合はVLAN-IDが123となります。
伝送路二重化機能では、物理インタフェース上に作成したタグVLANインタフェースを使用して伝送路を冗長化することができます。
図2.43 タグVLANインタフェースを使用した構成
ポイント
スイッチ/HUBの台数やNICの枚数が制約された環境であっても、タグVLAN機能を使用することにより様々な構成に対応した伝送路の冗長化ができます。
例えば、サーバ・システムを3階層モデルで構築する場合、スイッチ/HUBの台数やNICの枚数が制約された環境においても、伝送路二重化機能を導入することができます。
図2.44 スイッチ/HUBやNICの数に制約がある場合
タグVLANインタフェースを使用した伝送路の冗長化には、以下の二重化方式が対応しています。
高速切替方式
NIC切替方式
注意
GS/SURE連携方式では、タグVLANインタフェースによる伝送路の冗長化は未サポートです。
参照
タグVLANインタフェースを使用した伝送路の冗長化については、“3.7.3 タグVLANインタフェースを使用した伝送路の冗長化”を参照してください。