バックアップウィザード(for Exchange Server)は、Exchange Serverデータベースのバックアップ運用を簡単にします。
バックアップウィザード(for Exchange Server)を使えば、複雑な手順が必要なExchange Serverデータベースのバックアップ設定・運用が、専門的な知識がなくても簡単にできます。
バックアップウィザード(for Exchange Server)では、以下の機能を提供します。
ウィザードによるバックアップ設定と設定変更
バックアップ実行スクリプトの自動生成
バックアップ設定削除スクリプトの自動生成
バックアップウィザード(for Exchange Server)でのバックアップに必要な手順について説明します。
バックアップ作業の流れを以下に示します。
リストアウィザード(for Exchange Server)は、Exchange Serverデータベースのリストア運用を簡単にします。
リストアウィザード(for Exchange Server)を使えば、複雑な手順が必要なExchange Serverデータベースのリストア操作を専門的な知識がなくても簡単に実施できます。
リストア実行によるシステム復旧
管理者がリストアする必要がなくなり、リストアウィザードを起動することにより、メールボックスサーバのデータベースをリストアできます。
データセンターの場合の例を以下に示します。
図8.29 リストアウィザード(for Exchange Server)によるリストア(データセンターでの適用例)
リストアウィザード(for Exchange Server)の利用シーン
図8.30 リストアウィザード(for Exchange Server)の利用シーン
リストアウィザード(for Exchange Server)で対処可能な利用シーンは以下の3つのケースです。
DAG構成でDBが全損
非DAG構成でDBが破損
DBで論理障害発生
参考
図8.31 Exchange機能での復旧
以下のケースは、Exchangeの機能で復旧してください。
DAG構成でアクティブのDBが破損
DAG構成でパッシブのDBが破損
リストアウィザード(for Exchange Server)が提供するサポート範囲
リストアウィザード(for Exchange Server)では、以下のリストアが可能です。
リストア対象
メールボックスデータベース(アクティブ、パッシブ)
パブリックフォルダーデータベース
復元ポイント
ロールフォワード
障害発生直前へのリストア
Point-in-time
バックアップ時点のリストア
リストア処理の内容
リストアウィザード(for Exchange Server)を実行すると、以下の処理が順次実行されます。
QuickOPCセッションの停止
データベースのアクティブ化 (DAG構成の場合だけ)
データベースコピーの削除 (DAG構成の場合だけ)
データベースの上書き許可
ETERNUS ディスクアレイのアドバンスト・コピー機能を使った、データの高速リストア
データベースのマウント
バックアップウィザード(for Exchange Server)およびリストアウィザード(for Exchange Server)の構成を以下に示します。
図8.32 バックアップウィザード(for Exchange Server)およびリストアウィザード(for Exchange Server)のシステム構成
運用管理サーバは、管理対象サーバ(メールボックスサーバとバックアップサーバ)を管理します。システム内に1台だけ設置します。
このサーバには、AdvancedCopy Managerマネージャーをインストールします。
メールボックスサーバは、メールボックスデータベースを格納するETERNUS ディスクアレイが接続されているサーバです。
バックアップウィザード(for Exchange Server)によるバックアップ運用の、バックアップ元となるサーバです。
このサーバには、AdvancedCopy Managerエージェント、Storage Cruiserエージェント、およびETERNUS VSS Hardware Providerをインストールします。
参考
2台のメールボックスサーバで、DAG(データベース可用性グループ)を構成できます。
バックアップサーバは、メールボックスデータベースのバックアップ先となるETERNUS ディスクアレイが接続されているサーバです。
バックアップウィザード(for Exchange Server)によるバックアップ運用の、バックアップ先となるサーバです。
このサーバには、AdvancedCopy Managerエージェント、Storage Cruiserエージェント、およびETERNUS VSS Hardware Providerをインストールします。
サポートするサーバの構成は、「8.1.2.1 サーバ構成の設計」を参照してください。
「8.1.2.1 サーバ構成の設計」と異なるサーバ構成条件を、以下に示します。
クラスタ構成にできるのは運用管理サーバだけです。そのほかのサーバのクラスタ構成はサポートしません。
DAG内のメールボックスサーバは4台までです。メールボックスサーバが5台以上のDAG構成はサポートしません。
参考
バックアップウィザードでは、メールボックスサーバを操作サーバとして使用できます。つまり、バックアップウィザードが生成したスクリプトは、生成先(メールボックスサーバ上)で実行します。
サポート構成図
本機能は、以下の構成をサポートします。
注意
バックアップサーバをクラスタ運用しないこと
1台のメールボックスサーバに対して複数のバックアップサーバを使用しないこと
バックアップサーバとメールボックスサーバにおいて、Exchange Serverのバージョンとサービスパックを統一すること
AdvancedCopy Managerエージェント(メールボックスサーバ)のプラットフォームはWindowsであること
1台のバックアップサーバおよびメールボックスサーバ上に複数のバージョンのExchange Serverを共存させないこと
Exchange Serverデータベースをバックアップしたあとにデバイスのサイズや構成を変更した場合、リストアでエラーとならないよう、変更後にバックアップすること
DAG構成(運用管理サーバ:クラスタ構成)
DAG構成で運用管理サーバがクラスタ構成で構築された環境
図8.33 DAG構成(運用管理サーバ:クラスタ構成)
DAG構成(運用管理サーバ:非クラスタ構成)
DAG構成で運用管理サーバが非クラスタ構成で構築された環境
図8.34 DAG構成(運用管理サーバ:非クラスタ構成)
DAG構成(最小構成)
DAG構成でクライアントアクセスサーバとハブトランスポートサーバを同一サーバで構築した環境
図8.35 DAG構成(最小構成)
非DAG構成
DAG構成でない環境
図8.36 非DAG構成
非DAG構成(最小構成)
DAG構成でない環境でクライアントアクセスサーバとハブトランスポートサーバを同一サーバで構築した環境
図8.37 非DAG構成(最小構成)
サーバの役割と機能概要
Exchange Serverのバックアップ/リストア運用に関するサーバの役割と説明は以下を参照してください。
サーバ種別 | サーバの役割 | 必須/オプション | 他のサーバとの共存 |
---|---|---|---|
メールボックスサーバ | メールボックスとパブリックフォルダーをホストするサーバです。 バックアップ対象のサーバであり、AdvancedCopy Managerエージェント、Storage Cruiserエージェント、およびETERNUS VSS Hardware Providerのインストールが必要です。 | 必須 | 以下のサーバと共存が可能
※バックアップサーバおよび運用管理サーバとの共存は不可 |
クライアントアクセスサーバ | POP3、IMAP4、HTTPS、Outlook Anywhere、空き時間情報サービス、および自動検出サービスなどのクライアントプロトコルをホストするサーバです。 | 必須 | 以下のサーバと共存が可能
|
ハブトランスポートサーバ | Exchange Server組織内でメールをルーティングするメールルーティングサーバです。 ※デフォルトでは、DAG作成時に自動的に監視サーバとして構成されます(ミラーリング監視サーバ)。 | 必須 | 以下のサーバと共存が可能
|
エッジトランスポートサーバ | 境界ネットワーク(DMZ)に配置され、Exchange Server組織との間でメールをルーティングするメールルーティングサーバです。 | オプション | 不可 (DMZで動作する必要があるため、LAN内で動作する他の役割とは共存不可) |
ユニファイドメッセージングサーバ | 構内交換機(PBX)システムをExchange Serverに接続するサーバです。 | オプション | 以下のサーバと共存が可能
|
バックアップサーバ | Exchange Serverのオンラインバックアップを行うための専用のバックアップサーバです。 バックアップボリュームが接続されている必要があります。 AdvancedCopy Managerエージェント(注)、Storage Cruiserエージェント、ETERNUS VSS Hardware Provider、およびExchange管理ツールのインストールが必要です。 | 必須 | 以下のサーバと共存が可能
|
運用管理サーバ | Exchange Serverのオンラインバックアップを行うための専用の運用管理サーバです。 ETERNUS SF Manager(AdvancedCopy Managerマネージャー)のインストールが必要です。 | 必須 | 以下のサーバと共存が可能
※メールボックスサーバとの共存は不可 |
注: AdvancedCopy Managerエージェントをインストールするサーバが運用管理サーバと共存する場合は、AdvancedCopy Managerエージェントのインストールは不要です。
注意
Active Directoryを除く(注)各サーバの仮想化をサポートします。
仮想化環境のサポート範囲は、AdvancedCopy Managerのサポート範囲かつETERNUS VSS Hardware Providerのサポート範囲に準拠します。詳細は、表8.4 仮想環境対応表を参照してください。
注:Active Directoryの仮想化は推奨しないため、本機能では未サポートです。
プラットフォーム | エージェント | マネージャー | |
---|---|---|---|
VMware | ホスト | × | × |
ゲスト(注1) | ○ | ○ | |
Hyper-V | ホスト | ○ | ○ |
ゲスト | × | ○(注2) | |
KVM | ホスト | - | ○ |
ゲスト | - | ○ |
○: サポート
×: 未サポート
-: バックアップウィザード(for Exchange Server)とリストアウィザード(for Exchange Server)の対象外
注1: VMware Toolsがインストールされていること
注2: Windows Server 2008 R2およびWindows Server 2012以降をサポート
「図8.38 アクティブメールボックスデータベースとパッシブメールボックスデータベースの混在(DAG構成)」に示すような、アクティブメールボックスデータベースのコピーが各メールボックスサーバに配置された構成もサポートします。
図8.38 アクティブメールボックスデータベースとパッシブメールボックスデータベースの混在(DAG構成)
バックアップウィザード(for Exchange Server)およびリストアウィザード(for Exchange Server)では、次の条件をすべて満たすボリューム構成をサポートします。
メールボックスサーバに接続されたボリュームおよびバックアップサーバに接続されたボリュームのサイズが同じである(バイト単位まで同じにしてください。)
1つのLUNに対して、1パーティションで構成されている
メールボックスデータベース(.edb)およびパブリックフォルダーデータベース(.edb)が、別ボリュームに配置されている
メールボックスデータベース、パブリックフォルダーデータベース、およびそれぞれのトランザクションログ/チェックポイントが配置されたボリュームが、ほかの用途で使用されていない
LUNのマウントポイントにドライブ文字またはフォルダが割り当てられている
データベースが配置されている1つのボリュームに、ほかのデータベースが配置されていない
トランザクションログ/チェックポイントファイルが配置されている1つのボリュームに、ほかのトランザクションログ/チェックポイントファイルが配置されていない
バックアップ元およびバックアップ先のボリュームが、同一ETERNUS ディスクアレイ内に存在する
バックアップ元およびバックアップ先のボリュームのファイルシステムのフォーマット形式(NTFS)が一致している
図8.39 ボリュームのサポート構成
注意
以下の条件を満たしていない場合は、バックアップウィザードのバックアップ元およびバックアップ先のマッピング画面で、ボリュームが選択リストに表示されません。
メールボックスサーバに接続されたボリュームおよびバックアップサーバに接続されたボリュームのサイズが同じである(バイト単位まで同じにしてください。)
バックアップサーバに接続されたボリュームの場合、LUNのマウントポイントにドライブ文字またはフォルダが割り当てられている
バックアップ元・バックアップ先のボリュームが、同一ETERNUS ディスクアレイ内に存在する
次の条件を満たすボリューム構成の場合、リストアにより最新ログファイルが喪失するためロールフォワードリストアはできません。Point-in-timeリストアだけできます。
メールボックスデータベースおよびメールボックスデータベースのトランザクションログ/チェックポイントが、同一ボリュームに配置されている
パブリックフォルダーデータベースおよびパブリックフォルダーデータベースのトランザクションログ/チェックポイントが、同一ボリュームに配置されている
メールボックスサーバまたはバックアップサーバのAdvancedCopy Managerエージェントのバージョンが15.2の環境では、次の条件を満たすボリューム構成をサポートしません。
メールボックスデータベースおよびメールボックスデータベースのトランザクションログ/チェックポイントが、同一ボリュームに配置されている
パブリックフォルダーデータベースおよびパブリックフォルダーデータベースのトランザクションログ/チェックポイントが、同一ボリュームに配置されている
データベース名に以下の文字を使用したデータベースはバックアップできません。
* ? : < > | &
バックアップ対象のデータベース名には以下の文字を使用しないことを推奨します。
以下の文字を使用している場合、バックアップウィザードによって作成したバックアップ実行スクリプトに対して、使用文字をエスケープする対処が必要になります。
. % @ ` ~ ' ! ( ) ^ - $ [ ] { } + #
ポイント
本機能がサポートするスナップショット型レプリケーションの種類は、QuickOPC型レプリケーションだけです。