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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 16.5 運用ガイド
FUJITSU Storage

8.1.2 運用設計

Exchange Serverデータベースのバックアップ運用設計は、以下の手順で行います。

8.1.2.1 サーバ構成の設計

運用管理サーバ

複数の管理対象サーバを一元管理、集中操作します。

AdvancedCopy Managerマネージャー機能をインストールします。業務サーバは、運用管理サーバを兼ねることはできません。バックアップサーバは、運用管理サーバを兼ねることができます。

管理対象サーバ(業務サーバ)

Exchange Serverの運用を行うサーバです。

Windows Server 2008以降の64bit環境に AdvancedCopy Managerのエージェントをインストールします。インストール時には、[64bit版エージェント]を選択してください。

データベースのバックアップ/リストアはこのサーバより実行します。

管理対象サーバ(バックアップサーバ)

バックアップサーバ運用を行うサーバです。

Windows Server 2008以降の64bit環境にAdvancedCopy Managerのエージェントをインストールします。インストール時には、[64bit版エージェント]を選択してください。

また、バックアップデータの確認を行うために、Exchange 管理ツールをインストールする必要があります。

バックアップサーバには、データベースボリュームのバックアップ先となるディスク(バックアップボリューム)が接続されている必要があります。

注意

  • バックアップサーバをクラスタ運用することはできません。

  • 1台(1クラスタサービス)の業務サーバからは1台のバックアップサーバだけをサポートします。

  • 業務サーバとバックアップサーバを兼用させることはできません。

  • 1台のバックアップサーバを、バージョンが異なるExchange Serverのバックアップサーバとすることはできません。バージョンが異なるExchange Serverが共存する環境の場合は、Exchange Serverのバージョンごとにバックアップサーバを用意してください。

サーバ構成の例を以下に示します。

図8.4 システム構成例(Exchange Server 2007の場合)

図8.5 システム構成例(Exchange Server 2010以降の場合)

8.1.2.2 ストレージグループ/データベースの設計

8.1.2.2.1 パーティション構成

バックアップ時のアドバンスト・コピーはパーティション単位でなくディスク単位(LUN単位)に行われます。このため、ディスク内に複数のパーティションを作成する場合、各パーティションに含まれるファイルは特定のストレージグループ/データベースのものでなければなりません(下記の例Aを参照)。1つのディスクに複数のストレージグループ/データベースのファイルが含まれている構成(下記の例B)や、他アプリケーションのファイルが含まれている構成(下記の例C)では運用できません。コピー対象のディスク内には、Exchange Serverのログファイルまたはデータベースファイルが含まれているパーティションだけ存在する構成にしてください。

図8.6 パーティション構成

例Aのような構成であれば運用できますが、以下に示す複数ディスク構成をパフォーマンスや管理の容易さの点で推奨します。

図8.7 推奨パーティション構成(複数ディスク構成)

ポイント

ストレージグループ/データベースを構成するボリューム(パーティション)には、ドライブ文字またはマウントポイントを割り当ててください。AdvancedCopy Managerは、ドライブ文字、マウントポイントの双方をサポートしています。

注意

コピー元/コピー先のディスクはExchange Server連携機能のバックアップを実施していない初期状態のものを使用してください。ディスクの初期化は「8.1.6.4 ディスクの初期化」を参照してください。

8.1.2.2.2 ストレージグループ/データベースのファイル配置

データベースファイルの配置

Exchange Server連携機能は、Exchange Serverデータベースをストレージグループ単位/データベース単位でバックアップ/リストアする機能を提供します。AdvancedCopy Managerは、ボリューム(パーティション)単位でリストアするため、複数のストレージグループ/データベースが同一ボリュームに存在している場合は、AdvancedCopy Managerによるバックアップ/リストアはできません。この制約を考慮し、ストレージグループ/データベースの物理配置を設計する際は以下を守っていただく必要があります。

  1. データベースファイルを配置するボリュームには、バックアップ対象となるExchange Serverデータベースファイル以外のファイルを格納しないでください。例えば、Exchange Serverデータベース以外のファイルを同一ボリューム上に作成した場合、それらもAdvancedCopy Managerによってバックアップされるため、リストア時にデータベースファイル以外のファイルの最新データが破壊されます。

  2. 複数のストレージグループ/データベースは、同一ボリュームに格納できません。例えば、ストレージグループ1および2を同一ボリュームに格納してストレージグループ1のバックアップを行うと、ストレージグループ2のファイルもバックアップされます。そのあと、ストレージグループ1だけをリストアしようとしても、ストレージグループ2もリストアされます。このため、ストレージグループ2のデータベースが更新されていると、バックアップした時のデータでストレージグループ2のデータベースが破壊されます(下図参照)。

    図8.8 データ破壊の例

注意

  • バックアップ対象のデータベースと、バックアップ対象以外のデータベースが同一ボリュームに存在している場合、バックアップが実行されると、バックアップ対象でないデータベースのデータ整合性は保証されません。

  • データベースをExchange ServerおよびAdvancedCopy Managerの実行ファイル・制御ファイルが存在するボリュームへ配置できません。

  • バックアップ対象のデータベースのデータベースファイルは、データベースファイルのファイルパスが213バイト以下になるように配置してください。

  • バックアップ対象のデータベースのログファイルは、ログファイルを格納するディレクトリのパスが197バイト以下になるように配置してください。

ポイント

Exchange Server 2007またはExchange Server 2010の場合

配置済みのデータベースファイルを移動する必要がある場合は、Exchange管理コンソールを使用してファイルを移動してください。

Exchange Server 2013以降の場合

配置済みのデータベースファイルを移動する必要がある場合は、Exchange管理シェルを使用してファイルを移動してください。

トランザクションログファイルの配置

図8.9 ログファイルの配置と実現可能なリストア方式の関係

表8.3 ログファイルの配置と実現可能なリストア方式の関係

ログファイルの配置

リストア方式

Point-in-timeリストア

ロールフォワードリストア

データベースファイルと同一ボリューム

実施可能

実施不可

データベースファイルと別ボリューム

実施可能

実施可能

したがって、運用要件としてロールフォワードリストアが必要な場合は、データベースファイルとログファイルを別ボリュームに配置してください。通常、Exchangeではデータベースファイルとトランザクションログファイルが同一ボリューム上に作成されますが、Exchange Server 2007またはExchange Server 2010の場合はExchange管理コンソール、Exchange Server 2013以降の場合はExchange管理シェルを使用して、トランザクションログファイルの格納場所を変更できます。

EDBファイルの分散配置(Exchange Server 2007の場合)

以下の図に示すとおり、データベースファイルを別々のボリュームに分散して格納できます。ストレージグループが複数のボリュームに分散配置されている場合、AdvancedCopy Managerはそれらすべてのボリュームに対してバックアップを実行します。

図8.10 データベースファイルを複数のボリュームに分散配置する場合

8.1.2.3 循環ログの設計

AdvancedCopy ManagerによるExchange Serverデータベースのバックアップでは、循環ログを無効にする必要があります。循環ログが有効な場合はバックアップを実行できません。

循環ログ出力を無効にした場合、データ量が増えるに従ってログファイルが順次作成され、ログファイル配置ボリュームの容量が増加しますが、バックアップが成功した時点で不要なログが削除されます。

8.1.2.4 バックアップディスク(LUN)、バックアップボリューム(パーティション)の準備

バックアップディスクの配置について

バックアップディスクと業務で使用するディスクは同一のETERNUS ディスクアレイ上に配置されている必要があります。

バックアップディスクとボリューム(パーティション)の作成について

3.4.4 管理対象サーバ配下のデバイス情報の取込み」を行う前に(事前準備の章を参照)、バックアップボリュームを作成しておく必要があります。バックアップボリュームは、パーティションサイズ、開始オフセットが業務ボリュームと一致するように作成してください(バックアップ時のアドバンスト・コピーがディスク単位で実施されるため)。1LUN=1パーティション構成の場合は、パーティションサイズを同一にすれば開始オフセットを意識不要です。

図8.11 バックアップボリュームの作成

バックアップディスクのLUNは、業務ディスクのLUNと同じサイズを用意する必要があります。

ディスクパーティション形式はMBRとGPTをサポートします。ただし、業務ディスクとバックアップディスクのパーティション形式は一致する必要があります。

8.1.2.5 コピーセットの設計

バックアップ対象ストレージグループ/データベースに関連するすべての業務ディスクについて、バックアップディスクと1:1の関係となるように設計します。

図8.12 コピーセットの登録

業務ディスクが同一でバックアップディスクが異なるコピーセットを同時に登録することはできません。

図8.13 コピーセットへ登録できない場合

Exchange Server連携コマンド(swsrpXXX_exchange)では、ストレージグループ名(Exchange Server 2007の場合)またはデータベース名(Exchange Server 2010以降の場合)から特定されるコピーセットに対して処理を行います。

図8.14 ストレージグループ/データベースが複数ある場合

1台(1クラスタ環境)の業務サーバに対するバックアップサーバは1台かつ非クラスタ環境である必要があります。

図8.15 業務サーバとバックアップサーバの例