富士通ストレージシステム ETERNUSのアドバンスト・コピー機能をVSSと連携させることにより、Exchange Serverデータベースの高速オンラインバックアップを実現します。
Exchange Server 2010以降のExchange Serverデータベースをバックアップする場合、ウィザードを使用して簡単にバックアップの設定ができます。詳細は、「8.3 ウィザードによるExchange Serverデータベースのバックアップとリストア」を参照してください。
Exchange Serverデータベースのバックアップデータには、Exchange Serverデータベースを構成する以下のファイルのバックアップが含まれます。
EDBファイル(データベースファイル)
データベースを構成するファイルです。各インフォメーションストアにEDBファイルが1つ存在します。
LOGファイル(トランザクションログファイル)
トランザクションログが格納されています。ストレージグループ(Exchange Server 2007の場合)またはデータベース(Exchange Server 2010以降の場合)ごとに、少なくとも1つ存在します。
CHKファイル(チェックポイントファイル)
トランザクションログのうち、すでにデータベースにコミット済みの最新のトランザクションを指すチェックポイントファイルです。ストレージグループ(Exchange Server 2007の場合)またはデータベース(Exchange Server 2010以降の場合)ごとに、1つ存在します。
オンラインバックアップ
VSSと連携して、Exchange Serverデータベースのオンラインバックアップを行います。
バックアップはストレージグループ単位(Exchange Server 2007の場合)またはデータベース単位(Exchange Server 2010以降の場合)で行われます。メッセージングサービスを停止することなくバックアップ処理が実施されるため、バックアップ処理中もストアにアクセスできます。
バックアップデータの検証(ESEUTIL)やログ削除の処理は、オンラインバックアップ処理の一部として実施されるため、バックアップの実行後にこれらの作業を実施する必要はありません。
アドバンスト・コピー(OPC、QuickOPC)によるバックアップ
アドバンスト・コピー(OPC、QuickOPC)により、業務サーバに負担をかけずに瞬時にバックアップを作成します。
アドバンスト・コピーはETERNUS VSS Hardware Provider(以降、“VSSHP”と呼びます)により実行されます(※)。
バックアップ対象ファイル(*.edb、*.log、*.chk)がバックアップボリュームにコピーされます。
※: 本機能では、他社のプロバイダは使用できません。
バックアップサーバへのバックアップ
VSSのシャドウコピーのトランスポート(輸送)機能を使用することにより、バックアップサーバに接続されたディスク上にバックアップ(シャドウコピー)を作成します。これにより、業務サーバに負荷をかけることなくテープへのバックアップを行うことができます。
図8.1 Exchange Serverデータベースのバックアップの処理イメージ
サーバ | コンポーネント | 説明 |
---|---|---|
業務サーバ | Exchangeライタ | Exchangeライタ。 |
ACMリクエスタ | AdvancedCopy Managerが提供するExchange用リクエスタ。Exchangeのバックアップ/リストア機能を提供します。 | |
ETERNUS VSSHP | ETERNUS VSS Hardware Provider。アドバンスト・コピー機能によるシャドウコピー作成機能を提供します。 | |
バックアップサーバ | ESEUTIL | Exchange Serverデータベースの整合性検証・修復ユーティリティ。 バックアップデータの整合性確認のため、ACMリクエスタによって使用されます。 |
ACMリクエスタ | AdvancedCopy Managerが提供するExchange用リクエスタ。業務サーバ上のACMリクエスタからの指示によりシャドウコピーの管理(状態確認、削除)を行います。 | |
ETERNUS VSSHP | ETERNUS VSS Hardware Provider。アドバンスト・コピー機能によるシャドウコピー作成機能を提供します。 |
富士通ストレージシステム ETERNUSのアドバンスト・コピー機能をVSSと連携させることにより、Exchange Serverデータベースのオンラインバックアップデータからのリストアを実現します。
Exchange Server 2010以降のExchange Serverデータベースをリストアする場合、ウィザードを使用して簡単にリストアできます。詳細は、「8.3 ウィザードによるExchange Serverデータベースのバックアップとリストア」を参照してください。
図8.2 Exchange Serverデータベースのリストアの処理イメージ
VSSではリストア処理のファイルコピーではプロバイダは使用せず、リクエスタが必要なファイルをリストアします。
リクエスタは、既存機能(swsrpmakeコマンド)を使用してリストアを行います。
オンラインバックアップデータからのリストア
VSSと連携することにより、オンラインバックアップデータからのリストアを行います。
バックアップと同様、リストアはストレージグループ単位(Exchange Server 2007の場合)またはデータベース単位(Exchange Server 2010以降の場合)で行います。リストア処理前に、リストア対象のデータベース(ストア)をディスマウントする必要があります。
リストア方式としてロールフォワードリストア(最新時点への復旧)とPoint-in-Timeリストア(バックアップ時点への復旧)をサポートします。
オンラインバックアップデータがテープ媒体上に存在する場合は、事前にバックアップディスク上にデータをリストアする必要があります。
注意
Exchange Serverでは元のパスとは異なる場所へリストアする機能がサポートされていますが、その機能はAdvancedCopy Managerではサポートしていません。すなわち、AdvancedCopy Managerで選択可能なリストア先は元のディスクだけです。
OPCによる高速リストア
リストアにおいてもアドバンスト・コピー(OPC)を使用することで、業務サーバに負担をかけずに、迅速な業務再開を実現します。
OPCは、AdvancedCopy Managerの従来機能(swsrpmakeコマンド)により実行されます。
OPCの論理コピーの実行後からログ適用、マウントが可能になるため、OPC物理コピーが完了するのを待つことなく迅速な業務再開が可能です。
図8.3 スナップショット型リストア(OPCによるリストア)
Point-in-timeリストアでは、Exchange Serverデータベースとログファイルのリストアを行い、データベースをバックアップ時点の状態に復旧します。バックアップ後に作成されたデータはリストアされません。
ロールフォワードリストアでは、前回のバックアップデータと現在残っているトランザクションログを使用することで、データベースを最新時点まで復旧します。この方式は、データベースは破損しているがログファイルは正常である場合に使用できます。データベースとログファイルが両方破損している場合は、使用できません。